ドクター・フー(Doctor Who)とは1963年からBBC Oneで放送されている世界最長のSFテレビドラマシリーズである。現在は現地時間毎週土曜日19時台(BBCの番組は何故かよく放送時間が毎週変わる。不思議)にシリーズ9が放送中。
ちなみに2013年で50周年を迎えた。様々なイベントが行われ、11月23日には記念番組が放送された。
遠い惑星に住む種族タイムロードのドクターがターディス(TARDIS)という時間・空間移動装置を操り、コンパニオン(ドクターの仲間)とともに未知のエイリアンと戦ったり、歴史上人物に会ったりして、楽しく歴史上人物を学ぶことができる傑作SFドラマ。
元は子供向け番組だが、長期シリーズ化したことと脚本の妙で現在は大人から子供まで楽しめる番組になっている。
イギリスでは最早文化の一部として認識されており、それに次いでニュージーランド、オーストラリアでも人気作品である。一方、アメリカやカナダでも知名度は高いがイギリスと違い地上波放送ではなくケーブルテレビでの放送なのであくまでマニアやオタク向けというイメージが強い。
1963年から1989年まで放送されたシリーズ。1エピソード約25分(シーズン22のみ1エピソード約45分)で放映していた。ドクターは1代目~7代目。
人気番組であったが、この番組のメインである恐怖的な描写が当初から議論の対象となり、更にイギリスの活動家であるメアリー・ホワイトハウスが「暴力的で残虐的なシーンが多く、子供向け番組にはふさわしくない」と批判したことやBBCがドクター・フーに関する調査結果をもとに上層部もこの問題を重く受け止め、スタッフ達に恐怖的な描写を抑えるように指示したのである。
このため、82年から始まった5代目は安定した内容であったが、6代目が登場したシーズン22の内容をめぐって上層部とスタッフとの対立が発生したことで上層部は打ち切りも検討したものの最終的には休止という形で収まった。しかし、休止という煽りを受けたためシーズン22とシーズン23の放映ブランクが1年半あり、その間に視聴者が離れてしまい、シーズン23の視聴者数は激減となった。シーズン24からは7代目に変更し、テコ入れを図ったものの歯止めがかからずシーズン26で再度休止(実際は打ち切り状態)。その後、シーズン27は制作しないという判断が下ったため、正式に終了となった。
旧シリーズ終了後は小説、ラジオドラマ、オーディオ(CDドラマ)が数多く出版され、歴代ドクターの掘り下げが進むようになり、ファンを始めBBC内部からも復活の声が上がってきたのであった。更にフィリップ・シーガルというテレビプロデューサーもドクター・フーの復活を交渉を進めたのである
そして、1996年にFOX、ユニバーサル・ピクチャーズ、BBCの共同制作でTVムービーとして放送されたのである。8代目ドクターはポール・マッガンが演じた。
TVシリーズ復活をかけて放送された実験番組であり、イギリスでは久しぶりのテレビ放映であったため視聴者数が高かったもののアメリカではあまりふるわなかったため、TVシリーズ化はされなかったものの引き続き小説、ラジオドラマ、オーディオが数多く出版され、特に8代目を掘り下げた小説が大好評となった。
2005年から再スタートしたシリーズ。1話1エピソードにするために放映時間を伸ばしたことで1話約45~50分でスペシャルの時は約60分で構成されていることが多い。現在のドクターは9代目~13代目[1]。2010年より更に制作陣を一新している。
日本ではNHK-BS2とNHK教育テレビでシリーズ1、2005年クリスマススペシャル、シリーズ2が放送された。ここまでは吹き替えあり。
2011年12月よりLaLa TVでシリーズ3が放送。2013年1月よりひかりTVでシリーズ4まで配信。7月より楽天ShowTimeでシリーズ4まで配信。11月よりひかりTVで2008年~2010年スペシャル、Huluで2013年クリスマススペシャルまでが順次配信。こちらはどれも字幕のみ。
2014年9月より日本でシリーズ5から2013年クリスマススペシャルまでを『ニュー・ジェネレーション』と題してDVDレンタル・販売が開始。こちらは吹替あり。
Q:放送形態バラバラ過ぎてどこで見れば全話あるのか分からん
A:どうしても吹き替えがなきゃ嫌!ってことじゃなければHuluとひかりTVにある。そもそも新シリーズですら全てに吹き替えは無いから諦めて字幕を読め
2023年2月現在で配信されているところはU-NEXT、Amazonプライムビデオ、huluくらいしかなく、最新シリーズを最速で視聴するならhulu一択という状況になっている[2]。
恋愛要素やCG技術による描写のリアル化によって、対象年齢は上がったもののあくまで子供向けの作品である。しかし、時事ネタや隠喩(時には性的なものも含む)、旧シリーズネタを盛り込んでおり、大人(特に旧シリーズ世代)でも楽しめる内容になっている。ヒューゴー賞などを獲るほど脚本も秀逸。
ドクター・フーにおける重要なギミックである。名前の由来はドクターの孫娘であるスーザンが「Time And Relative Dimension In Space(次元超越時空移動装置)」(平たく言うと「宇宙船兼タイムマシン」)と言い、その頭文字を取ったものである。ただの機械ではなく、生命に近い存在である。
ドクターの使っているターディスはポリスボックス(警察に通報するための電話ボックス)に擬態した形であるが、世代によってサイズや色が違っている。本来のターディスならカメレオン機能で他の擬態も出来るのだが、故障のためずっとポリスボックスのままである。ドクターの使っているターディスは「タイプ40」と言われる旧式であり、本来は円筒状の形である。なお、初代ドクターが盗む(本人曰く「無断で借りる」)際にコンパニオンであるクララ・オズワルドの助言に従って盗んだが、修理工場にあったターディスであることと性能に関してはお世辞にも褒められないターディスであり(クララが「イカれてるけど楽しめる」と言って敢えて性能の悪いターディスを薦めたため)、ターディスの魂が女性に移った時には自分のことを「セクシー」とドクターに呼ばせたり、ドクターに対して「まるで子供」と言うほどである[3]。
ちなみに11代目の中盤の時点でドクターとは700年の付き合いであることをターディスが口にしている。
惑星ガリフレイ(ギャリフレイ)に住むタイムロードという種族の最後の生き残りでターディスというタイムマシンで旅をしている。心臓が2つあり、地球人と比べてかなり丈夫であるものの回復不可能な傷を負うと12回まで[4]再生することが可能(消滅レベルになると流石に再生不可能)。その際には外見、性格、性別などが変化する。
家族がいたりいなかったり、他のタイムロードが出てきたりと血縁関係や本当に「最後」かは不明な点が多い。
時間旅行者であるが、正義感と道徳心から様々な事件を解決している。ただし歴史的事実は覆せない(または覆してはいけない)というルールがあり、それに縛られていることに苦悩することも。また一度起きた出来事を覆すような行動は出来ない。でも最近はその辺も改編するようになってきている。
ちなみにタイトルの「ドクター・フー」はフーという名前ではなく、そのまま「ドクター・誰」という意味。
英語圏では医師や博士号を持った人物は名前の前に『ドクター』を付けて名乗るため、「Hello, I'm the Doctor(こんにちは、僕はドクター)」と挨拶された相手は『いや医者か博士なのは分かったけどその後に続く名前名乗れよ』となるので「Doctor Who?(ドクター・誰?)」と訊くのが番組のお決まりのパターン。それがタイトルとなっている。
本名は人間に発音できないため、宇宙を救う医者という意味でドクターを便宜上名乗っている…という設定もあれば、「みんながドクターと呼ぶから自分もドクターと名乗る」という設定もあり、実際のところはよく分からない。
一番最近作中で出た説は、自分で適当に「ドクター」という言葉を自分用に作り、宇宙を救うことを繰り返したためにその言葉が「医者」という意味で定着した、というもの。
実年齢については11代目の頃に900歳あたりと言われていたが、11代目の間にとある惑星を守るために数百年過ごしたため13代目の時点で1200歳を超えている可能性が高いと考えられる。
余談であるが、ドクターの再生能力が生まれたきっかけは初代ドクターであるウィリアム・ハートネルが持病で降板という時であった。スタッフ達は「ドクター・フー」が人気子供向け番組としての軌道に乗っていたことを知っていたため、このまま番組を終わらせたくないということで編み出したのが、ドクターの再生能力である。
ドクター及びタイムロードに関する重要なネタバレのため文字反転注意
タイムロード自体が人工的に進化した人種であることが8代目マスターによって解明された。
マスターの解明によるとガリフレイ星のショボーガン族(後のタイムロード)であるテクテユンが宇宙を探検中に次元や宇宙の境界のところにいた子供を拾ってガリフレイに連れて帰って生活することになった。子供の種族などについて研究したものの一切不明であったが、ある日不慮の転落事故が起きる。テクテユンは子供は死亡したと思っていたもののいきなり子供の身体が光り、姿は変わったものの息を吹き返したのである。これがいわゆるガリフレイにおける初めての再生であったのである。
再生能力を見たテクテユンはその子供の能力について研究することになり、長年の研究によって、ついに再生能力を持つ遺伝子の抽出に成功し、再生能力の実証実験としてテクテユン本人が再生に成功したことでショボーガン族は進化を始め、更に時空超越の技術の発見によりショボーガン族は繫栄することとなり、その際にテクテユンはタイムロード個人の特徴に合う名前を名乗ること、再生能力を12回までという制限を付けたのであった。そして、この時期からタイムロードという種族で呼ばれるようになったのである。
そして、再生能力を持つ子供はドクター本人であり、タイムロードの始祖にあたる存在であることをわかったのであった。なお、ドクターは拾われた時から初代までの間(拾われた時から実験成功までの間に最低6回とルース、ブレンダン、初代に再生したため最低3回)に最低9回は再生していることが確実である。
余談であるが、タイムロードは心臓が2つあると言われているものの話中ではショボーガン族の進化については再生能力しか語られていないため、元々ショボーガン族に心臓が2つあったのか進化の過程で心臓が2つになったのかについては不明である。
ドクターと共に旅をする相棒のこと。ほとんどは地球人の女性だが、ロボット犬や男性のこともある。
「視聴者=地球人」の視点で解説をするためのキャラクターというのが本来の役割。
また元々子供番組だったため、ドクターとコンパニオンの恋愛は旧シリーズ中は表立って描写されることはなかったが、新シリーズからは恋愛描写が出るようになり、特に10代目はキスシーンが非常に多い。
更に新シリーズのコンパニオンたちは皆、ドクターと出会ったためにその後の人生が(悪い意味で)変化した者が大半である。
2012年10月12日よりBBCチャンネルで公式配信開始。2013年11月に全削除されて12月に再配信。
2009年~2010年のスペシャルからBlu-rayも発売されている。リージョンフリーなので日本でも見られる。そして英Amazonの方が輸送費も含めて安いのでそちらからの購入がお勧め。
↑「ドクター・フー」という番組がどのようにして生まれ、様々な困難にどう立ち向かったのかを製作スタッフと初代ドクター役俳優から見た視点で再現したドキュメンタリードラマ。50周年記念番組の一つ。初代ドクターの第1話を見るなら先にこっちを見てからの方が分かりやすさと思い入れが増すこと請け合い。
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