グルーヴ地獄Vとは、クソゲー(褒め言葉)である。
ジタク概要
グルーヴ地獄Vは、電気グルーヴのカオゲルゲピエール瀧が主に制作に関わったことで知られるプレイステーション用のゲームである。瀧はゲームマニアとしても知られる人物であり、ゲームのあれこれを知った上で関わった作品であるため、そんじょそこらの有名人ゲームとは(違う意味で)一線を画す出来になっている。メインデザインは『バスト・ア・ムーブ』なども手掛けた田中秀幸で、田中らしいポップでカオスな世界観(一部除く)がオサレである。
ジャンルは主にミニゲーム集と音楽シーケンサーから構成されているが、ピエール瀧曰く、「ジャンルはクソゲー」(「伊集院光のゲームカタログⅡ」にてゲスト出演時に発表)とのことである。「ジャンル:クソゲー」を名乗る作品はおそらくビデオゲーム史上唯一である。
このゲームは「SweepStation」シリーズの第2作目(1作目は『DEPTH』)として出たゲームだが、いきなりVである。グルーヴ地獄Ⅰ~Ⅳなんてものはない。あと、『DEPTH』と内容が違いすぎて続編に見えない。
1998年に発売されて以来、知る人ぞ知るマニアックバカゲーとして細々と話題になっていた代物であるが、意外にも「ジャンル:クソゲー」を公称する割にこのゲームを悪く言う意見がほとんどない。1990年代当時はゲーム雑誌でもクソゲー特集をやっていたくらい(ピエール瀧もコメントを寄せていた)のクソゲーブームの渦中で、どんな良作でも貶めようとするクソゲーレビューテキストサイトが跋扈していた時代であるにも拘らずである。
続編はPSPソフトのグルーヴ地獄VIバイトヘル2000である。「最近ミニゲーム集流行ってるけど、そういえば前に俺もミニゲームッぽいの出したなぁ」というピエール瀧の思いつきによって出た続編である。ちなみにバイトヘル2000はソニー・コンピュータ・エンタテインメント(SCEI)であるが、グルーヴ地獄Vはよりにもよってソニー・ミュージック・エンタテインメント(SME)が制作している。そのぶんであろうか、ジタクでのDJパートが削られた純粋なミニゲーム集になっている。
大まかな流れジゴク
お金が欲しいです。お金はバイトで稼ぎます。バイトはつまらない。バイト=クソゲー。
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お金ができたのでガチャガチャで音ネタを手に入れます。運ゲーです。ハズレもあるし被りもあります。クソゲー。
↓
音ネタを手に入れたので、自宅に籠って組み合わせて曲を作ります。むずい。クソゲー。
↓
これを繰り返します。
↓
_人人 人人_
> クソゲー <
 ̄Y^Y^Y^Y ̄
ちなみにエンディングとかありません。クソゲーですから。[1]
ミニゲーム集デパート
ミニゲームは入るたびに4種類が表示される。ブラック企業並みに常に募集をかけているボールペン工場もあれば、稀にしか見られないレアバイトも存在する。どれもまごうことなきクソゲーである。
ボールペン工場
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/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ 今日からまた、
| (__人__) | ボールペンのキャップをはめる仕事が始まったお…
\ ` ⌒´ /
このゲームを象徴するゲームであり、このゲームで最も無駄にグラフィックに力が籠められたパートでもある。
流れてくるフルポリゴンのボールペンにキャップをはめるだけの、やる夫でもできる簡単なお仕事です。
たまに逆さまになったまま流れてくるボールペンがあるので、上下を入れ替えてキャップをはめてやる必要がある。
最初はなかなか効率よくできないが、ピエールおばちゃんぐらいになるとボールペン工場もよそ見しながらペンにキャップを挿せるのである。効率よくできるようになると「あれ、これってこのゲームで一番面白いんじゃね?」という気持ちが湧きあがってくる。目指せカンスト!(約10億本)
結構頑張っていると、「トモダチ」に足を運んだ時に工場の社長から正社員登用を持ちかけられる。「はい」と答えて就職するとゲームオーバーになる。社畜人生はクソゲー。
キノコ or DIE
ATARI2600並みのハイカラなグラフィックで描かれたクソゲー。自動車が行き交う道路で、老人をうまく誘導して渡らせるという道路交通法違反バイト。もちろん車に接触すると老人は死ぬ。でも老人はストックが多いから特に問題ないよね。
道端にはアスファルトに突き破ってキノコが生えており、これを老人に取らせると金になる。慣れると延々と続けていられる良バイトであるが、終わるには老人を死なせる必要があるのが難点。
薪割り
由緒正しい肉体労働の典型。ババアが出した薪を、斧で真っ二つにするだけの簡単なお仕事。出たらすぐに割らないと、なぜか失敗扱いにされる。
ただしババアは時折罪もない小動物を出してくる時があり、それに斧を振りおろせば惨劇の結果が待ち構えている。さらにムカつくことに、時折小動物の形をした薪を出してくる(これは割らないとダメ)。クソゲーというよりクソババアである。
クサイモン
光った順番を記憶する昔のおもちゃ『サイモン』が小汚くパワーアップ!4つの顔がゲップした順番を憶えて、正しく回答すれば成功だ!しばらくやってるとリアルに気持ち悪くなるぞ!
崖レース
オーバーオールを着た赤い帽子の髭のオッサンがカートに乗り込んで、ロバ(英語で「ドンキー」)とチキンレースで勝負するゲーム。ただのチキンレースである。他意はない。
交通量調査
おそらく一番難しいゲーム。人とその他が混じり合う街中で、人間の通った数を正しく計測する簡単なお仕事。人間と非人間の基準が分からなくなってくる。ステージが進むと世界観もわからなくなってくる。
心霊写真鑑定人
なかなか登場しないレアバイト。写真に映ったこの世にあらざる者を見極める仕事。おわかりいただけただろうか。
ちなみに、心霊写真だと判定した数だけ給金がもらえる。
ときめいていいとも!
一番出にくいレアバイト。タイトルからヤバそうな雰囲気を察して欲しい。実際ヤバいと思うが、タモさんは知っているのだろうか…
DJプレイはトモダチ
お馬鹿なミニゲーム集としてばかり本作であるが、本当のキモは、実際のミュージシャン監修の音楽ゲームであるというところである。音楽ゲームと言っても、DJゲームと言いながら鍵盤でクラシックやら葬送曲やらを「弾く」ようなゲームではなく、レコードを入れ替えたり音を付けたり消したりして曲を「作る」ゲームである。
ツクールシリーズのような「自分で作る」ゲームをやったことのある人ならわかると思うが、ゲームにしろ曲にしろ、ツールがあっても簡単にできるものではなく、このゲームでも最初何をやっていいのか分からなかったりする。だがそんなことを気にしなくていい。適当に音を並べて、適当に組み合わせるだけでもノリノリな音楽になっていたりするものである。よくわからないものは、よくわからないなりに楽しんでもいいものである。クソゲーなんだし。
一方、音楽の心得のある人であれば、ディスクや音ネタを選りすぐって楽曲を作ることも可能なはずである。ただ、このゲームの頃のメモリーカードは容量が貧弱なため、あまり多くの制作曲を保存しておくことができないのが残念なところである。
「自前で楽曲を作るゲーム」は後にも『くまうた』(PS2)など続々出て、今やでネット上で自作曲を公開するのが一般化する時代になっている。当時はインターネットで動画なんてのは技術的に難しい時代であったが、もし当時に今の動画共有サイトと同じ技術が存在していたら、このゲームで作った曲がガツガツ投稿されていたのかもしれない。ピエール瀧は、やはり少し未来を行き過ぎている男なのかもしれない。
実際、このゲームで作曲したものを動画として上げている人は少なからず存在する。そもそもこのソフトが入手しにくい(数が少なく、しかもプレミア価値がついている)ので、新規参入のハードルはやや高い。
関連動画
グルーヴ地獄Vに関するニコニコ動画の動画を紹介してください。
関連コミュニティ
グルーヴ地獄Vに関するニコニコミュニティを紹介してください。
関連項目
外部リンク
脚注
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