タクシー運転手(閃光のハサウェイ)とは、小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場したキャラクターである。小説中では運転手という名義で登場するキャラクターが他にも複数登場するため、本記事では公式的なネーミングではないが、差別化のためにタクシー運転手という名称を用いて説明していく。
声:本多新也(映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』)
概要
このキャラクターは、1989年に発売された富野由悠季の小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の上巻、「10 ハンター」の章に登場する男性キャラクターである。挿絵はなく、容姿が詳細に分かるような説明も存在しない。
ダバオの街中で不法居住者に対し、マン・ハンターの人狩りが行われている状況下で主人公ハサウェイ・ノアがその場から遠ざかるために駆け込んだタクシーの主が、タクシー運転手であった。タクシー運転手は、ハサウェイがタサダイ・ホテル近くまで送迎される短い期間、小説内で僅か8頁しか登場しないが、正規の居住許可証を持ったアースノイドである彼の何気ない一言は、ハサウェイに衝撃を与えた。
ハサウェイが乗り込もうとして来た時は、当初拒否の手を振っていたが、タクシー乗り場がマン・ハンターのパトカーにより占領されている旨を説明されると、タクシー運転手は渋々彼を乗せるのだった。ダバオ近郊のマン・ハンターのやり方にはうんざりしており、世間を騒がせている反連邦政府組織マフティー・ナビーユ・エリンがマン・ハンターを叩かないのは不思議に思っていた。
タクシー運転手は、日々の生活に追われ毎日を暮らしている気の良い運転手である。しかし、ダバオの環境汚染の事、連邦政府が法律文章上で巧妙に問題点を隠して差別政策を推進している事、マン・ハンターによる不法居住者への虐殺行為などについては知らない。また、正規の居住許可証を手に入れるために日銭を稼いで地球連邦政府の偉い人達につぎ込むというプロセスを繰り返してる中で、思考停止してしまっている節があり、ハサウェイの「緑は少なくなったって、魚だってとれないだろう」という問いに対し、「島のみんなぐらい、食っていけますよ」とほぼ自分達の生活の事しか考えていない返答をしている。
マフティー・ナビーユ・エリンの思想・活動に対しても興味を持っておらず、マフティーは単に偉い奴等をやっつける学がありすぎる人達という認識であり、ハサウェイとの会話では
ハサウェイ・ノア「ハハハ……そうだねぇ。でも、マフティーは、千年先の地球のこといっているようだけど、それでは、駄目なのかな?」
タクシー運転手「ケへへへッ……暇なんだね? その人さ? 暮しって、そんな先、考えている暇はないやね」
ハサウェイ・ノア「暇……?」
とマフティー・ナビーユ・エリンを暇なことを言っている人と表面的な捉え方をしていた。マフティーという組織の実態は地球連邦政府の官僚のトップに作られた政治的秘密結社であり、彼らは地球連邦政府の差別政策を止めようとしていたのだが、アースノイド市民にはその実態が知れ渡ってはいなかったのである。
「10 ハンター」の章に登場後、タクシー運転手は同小説内で二度と登場する事は無かったが、マフティー・ナビーユ・エリンが中央閣僚会議の粛正に失敗し『地球帰還に関する特例法案』が可決。マン・ハンター的行為の合法化、正規の居住者からでも地球連邦政府が土地を接収出来てしまうようになった為、タクシー運転手のようなアースノイド市民はマン・ハンターの被害に遭う確率が高まり、最悪の場合には地球を追い出されることになるのは想像に難くないのである。
映画版
小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が2021年に映画として公開され、原作通り運転手という名称で登場した。CVは本多新也が担当している。『SDガンダム GGENERATION-F』などのゲームでは、登場していなかったキャラクターのため、本作で初めてデザインが描き起こされ、その風貌は上下顎の中切歯と側切歯がない、両耳にデカいピアスを開けているなどかなりインパクトのある造形となった。また、ハサウェイがホテルに宿泊中に回想で登場するなど出番が原作小説より増えている。
ハサウェイがタクシーに乗り込む直前にマン・ハンター所有のジェガンが登場するという映画のオリジナル展開は挟まるが、タクシーに乗り込んだ後の会話はほぼ原作通りであった。
タサダイ・ホテルに泊まったハサウェイの回想の中でギギ・アンダルシアと共に登場し、地球に人類全部が住むことが出来ないのに逆移民を開始している地球連邦政府の現状、地球連邦政府が作り上げた仕組みの深さを破壊するにはテロリズムを行使するしかない自分の立場に悩み涙したハサウェイを印象付けた。
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関連項目
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