ダーツとは、手投げ可能な小さい矢を、壁の的を射て得点を競うゲームである。投げやりになってはいけない。
概要
プレイヤーは、3本のダーツ1組を1本ずつ投げ(これを1スローという)、点数を計算して次のプレイヤーと交代する。すべてのプレイヤーが一巡することをラウンドといい、これを最終ラウンドまで繰り返す。最大ラウンド数はゲームによって異なる。
発祥はイギリスで、初期は酒樽の底裏に的を描いて弓矢で射ていた。次第に弓を使わずに手だけで投げられるように改良され、現在の形に至る。的も樽の底裏から、超高圧で圧縮した麻の繊維に変更された。これにより、矢が刺さった後もしばらくすれば穴が塞がるようになった。
1980年頃、アメリカのメダリスト社が自動計算機能が搭載されたダーツボードを開発。それまで矢の先端は金属製の針であったことに対し、プラスチック製のチップに変更することで安全性が増した。これが現在ソフトダーツと呼ばれている物の始まりである。ソフトダーツの誕生により従来のダーツをハードダーツと呼ぶことになる。
矢の説明
←=―<
矢は4つのパーツからなり、針先をチップ(上図の←)、握る本体部分をバレル(=)、後方の羽をフライト(<)、バレルとフライトをつなぐものをシャフト(―)という。
矢の重さはハードで20g以上、ソフトでは16~18gが主である。ハードは麻の的に押し込むように射るため、ある程度重さがないと的に弾かれて刺さりにくい。ソフトは18gを超えると的への負担が大きくなってしまい、的が壊れやすくなる。適切なパーツを選ぶように。
チップ
前項で軽く触れたとおり、ダーツボードには2種類ある。ハードボードには鋭利な金属製の針を使用した矢を、ソフトボードには面取り加工のプラスチックチップを使用する。
金属製でできた針先をコンバージョンまたはハードチップと呼ぶ。コンバージョンでソフトダーツの的を射ることはできないが、ソフトチップでハードボードを射ることは可能である。ただし先端が細いチップを推奨する。太めのソフトチップは折れにくいが、ハードボードに使用すると劣化が早まってしまう。カッターナイフなどで先端を削るのも良い。また、ソフトダーツ向けのコンバージョンも販売されているため、交換することでハードダーツ仕様にすることも可能。
チップのネジ山は3種類ある。ほとんどはチップ側がネジのほうが多いが、最近はバレル側がネジになっている商品も増えてきていて、主に前者を2BA、後者を4BAと呼ぶ。もう1種類はダーツバーなどで借りられるハウスダーツ向けのチップがある。いずれも互換性が全く無いので購入する際は注意。
バレル
矢の中で最も重量があり、全体の重心になる。これ1つだけでも15g程度ある。素材は主にタングステンだが、この素材はレアアースの一種であり、大変高価なものである。質量が大変大きいため、重量を保持しつつ小型化が可能なためである。安いものでも5000円程度のものから、プロ仕様のもので1~2万円程度、ブランド物で5万円以上するものがある。
初心者向けには安いもので1000~3000円程度で購入できる。こちらの素材はブラス(真鍮)などの安価な素材なため、重量を確保するためにバレルがとても太く作られている。
他にもステンレスやアルミで作られた非常に軽いバレルも用意されている。重さは合計で10gを下回り、最軽量では3~5g程度しか無い。極限にまで軽くしたことで、コントロールの練習に向いている。紙飛行機を投げ出すような感覚。
単体だけをセットで販売しているもの、1本ずつバラ売りのもの、すぐに始められるようにフルセットされているものなど、販売形式は様々。安いものはすぐに始められるようになっているので心配はいらない。
シャフト
バレルとフライトを接続するパーツで、素材や長さなどで豊富な種類が用意されている。長さの違いでダーツ全体の重心が変わってくる。素材は、ナイロン製の安価で軽量なものが多い。アルミ製のものは重くなるが曲がりやすく、壊れやすい。
フライト
矢の羽部分。素材はプラスチック、布、紙などさまざま。大きいほど飛びが安定し、小さいほど鋭くなる。初心者には大きい物をおすすめする。
フライトのデザインは多様で、ダーツメーカーのブランド入りや各販売店が作るオリジナルデザインのものまであり、オーダーメイドも可能である。萌えキャラをプリントした痛フライトといったものも少なからず存在する。
パーツはどれも、大きい方が投げやすいが、グルーピング(全ての矢を一箇所に集中させる)がしにくくなる。つまり高価な矢を買おうとも、技術がなくては良い結果が出せない。
的の説明
的は、円を20分割してあり、その上に1から20までの点数が書かれている。中心の二重の円をブル(Bull)と呼び、外側をアウトブルまたはシングルブル(SB)、内側をインブルまたはダブルブル(DB)と呼ぶ。点数はアウトブルは25点、インブルは25×2=50点とされているが、ソフトダーツでは内外問わず50点としていることが多い(後述するクリケットや、プロの試合は例外)。前者の内外分離計算のブルをセパレートブル(セパブル)と呼ぶ。
1から20までの的には輪が2本ずつあり、一番外側をダブル(D)、内側をトリプル(T)と呼ぶ。その名の通りダブルはエリア点数の2倍、トリプルは3倍となる。これにより、通常の得点をシングル(S)と呼ぶこととなっている。得点表記は数字の後ろにnS、nD、nTのいずれかをつけることで省略している(nは数字)。
一番高い得点は20T(20x3=60点)で、50点のインブルよりも高い(ついで19T=57、18T=54、17T=51)。的の幅も20Tが広いため、プロの試合では20Tを当てに行くのが当然とされている。一方ソフトダーツは、アウトブルも50点であるから、広い円形と低い位置にあるブルを狙いに行く傾向にある。
的のサイズや設置距離などはハードとソフトで違う。ハードボードは、英国公式サイズで13.2インチとされている。スローイングラインは的から237センチ。ソフトボードは15.5インチと244センチ。
しかし一般で販売されているものにはハードサイズのソフトや、その逆のソフトサイズのハードなども用意されている。的の高さはいずれもブルの中心がが地面から173センチになる高さ。
主なゲーム
ダーツには以下のゲームがある。
PRACTICE
- カウントアップ:
的に当たった点数を加算していくゲームである。最大8ラウンド。最高得点は60×3×8=1440点だが、世界級のプロですら満点を出すことはほぼ不可能である。ソフトダーツで高得点を狙いに行くならブルのほうが無難(50x3x8=1200点)。お店の最高スコアに1440点があった場合は、指で押しただけのインチキだと思っていい。 - クリケットカウントアップ:
クリケットの的のみ(20~15とブル)を使用した特殊なカウントアップ。指定ターゲットは20から順番に19、18、17、16、15、ブルと順番に進んでいき、最終ラウンドではそれらすべての的が指定される。最高得点は1275点。 - ローテーション:
的を1から20まで順番に射るゲーム。ヒットしたら次の数字が指定される。ダブルエリアにヒットしたときは2つ、トリプルは3つ進む。 ラウンド内3スロー目が的にヒットしたときはラウンドを加算せずにもう一度3スロー投げることができる。対戦中では次のプレイヤーに交代せずにもう3スロー投げることになる。20までヒットし終えた後は、最後にブル3本を当てて上がり。 - ラウンド・ザ・クロック:
的の数字順にすすめるローテーションとは違い、こちらは1から時計回りに進んでいく。 - イーグルズ・アイ:
ターゲットはブルのみのカウントアップ。アウトブルは25点のセパブル。最高得点は1200点。 - ハーフイット:
クリケットの的のみ(20~15とブル)使用する。プレイヤーは予め40点を持ち点として与えられる。指定したターゲットに一度でもヒットすれば加点されるが、3スローとも全て外れた場合は持ち点を半分にされてしまうシビアなゲーム。クリケットカウントアップとは逆に15から始める。15、16、Any Double(ダブルのいずれか)、17、18、Any Triple(トリプルのいずれか)、19、20、ブルの合計9ラウンド。Any Doubleでは50点のインブルも有効。持ち点が奇数の時は切り上げ。最高得点は1435点。
他にも筐体によってオリジナルのゲームも用意されている。ダーツライブではブルのみのハーフイットなんてのも月限定であったりするから要チェック。
01
301、501、701などの点数を持ち点として開始し、ボードに当たった点数を引いていく。一番早く0点にしたプレイヤーが勝者。点数が0点を下回った場合はバスト(BUST:おっぱいじゃないよ)となり、そのスローは無効となる。さらに前回終了時の点数からやり直しとなる。公式ルールではダブル(ダブルブル含む)で上がらないと無効となってしまう。これをダブルアウトという。ダブルアウトはハンデとしても使われることがあるため、初心者と熟練 者が対戦してもバランスが取れるようになっている。
持ち点の端数が01である通り、301、501、701、901、1101、1501といくつものゲームが用意されている。筐体によっては101などもあるらしい。ソフトダーツの公式戦では501か701で争われることが多い。1501は主に練習用として使用されている。
オプション設定にはダブルアウト以外にダブルイン(最初にダブルにヒットしないと計算されない)、マスターアウト(ダブル、トリプルまたはブルで終わる)、シャンハイ(同じ点数のシングル、ダブル、トリプル全てにヒットして上がる)などがある。
スタッツ(成績)の算出方法は、PPR(ラウンド内得点の平均)とPPD(1スローの得点の平均)の二種類がある。
クリケット
- スタンダードクリケット:
使用する的は15から20とブルのみの7種類で、有効得点のエリアに3回当てて自陣にし、さらに自陣に当てて点数を稼ぐ陣取りゲーム。ダブルは2本、トリプルを3本と扱うため、開始早々トリプルにヒットした途端に自陣にすることができる。ただし他のプレイヤーが自陣のエリアを3本ヒットさせて閉めた場合、それ以上点数を稼げなくなる。これは決して陣地を奪ったことにならないので、以降はどのプレイヤーがヒットさせても無効扱いになる。最高得点者が次に高い得点者と200点差をつけてしまうとオーバーキルとされ、これ以上は加点されなくなる。紳士の国では失礼な行為とされているため。逆にオーバーキルを連発して相手の心を折る鬼畜な戦い方もある。 - カットスロート:
3人以上で行うことが必須条件。スタンダードクリケットのルールに加え、こちらは得点を自分ではなく他のプレイヤー全員に加点する。最終ラウンドまでに最も点数が低いプレイヤーが勝ちとなる。 - ランダムクリケット:
7種類のターゲットを機械が自動選択するゲーム。 - ヒドゥンクリケット:
ランダム同様、自動選択されるが、こちらは的に当てるまで隠され続ける。誰がどこに当てたかを記憶しながら戦略を練る必要がある。 - ジュニアクリケット:
ターゲットを広げたクリケット。上(5、20、1)下(19、3、17)左(14、11、8)右(13、6、10)の4箇所とブルを使用する。例えば上のゾーンがオープンなら、5、20、1のいずれかにヒットすれば加点される。クローズするためにもいずれかに3本当てれば良い。
スタッツは、MPRと言い、ラウンド内でのマーク数の平均を表す。
公式ルール
ハードダーツ
501を行う。セパレートブルでダブルアウト上がり。20Tを狙いに行くのが基本となっている。そんなんだから的の劣化具合が偏ってしまう。
そのためハードダーツのボードは基本的に外側の数字ワイヤーを回転させることで的の劣化を分散させることができるようになっているものが多い。その際元の色の配置と同じになるように回転させる。
501では9ダーツという最高の栄誉がある。これは9スロー(つまり3ラウンド)でピッタリ0にする必要があるため、高度なテクニックと、確実に的を射る集中力を要する。特に決まった型は無いが、ダブルアウトで上がることを念頭において決めなくてはならない。
以下のスコアは多くのプロの選手たちが狙う王道パターン。赤はダブルアウト。
1ラウンド目: 501 - 60(20T) - 60(20T) - 60(20T) = 321
2ラウンド目: 321 - 60(20T) - 60(20T) - 60(20T) = 141
3ラウンド目: 141 - 60(20T) - 57(19T) - 24(12D) = 0
廃止されるまではダブルインルールが設けられていたため(現在一部のトーナメントでのみ採用)、選手たちはまず20Dを狙いに行く。これでダブルアウトするには9スロー目をインブルに射なくてはならないため、当時は大変シビアだった。
1ラウンド目: 501 - 40(20D) - 60(20T) - 60(20T) = 341
2ラウンド目: 341 - 60(20T) - 60(20T) - 60(20T) = 161
3ラウンド目: 161 - 60(20T) - 51(17T) - 50(DB) = 0
ダブルインルールでの9ダーツ達成動画
ソフトダーツ
01とクリケットのメドレー形式。例えば3Leg Medleyでは1戦目は01、2戦目は1戦目敗者を先行にしてクリケット、3戦目はコークで後攻者がいずれかを選び、2セット先取した方が勝ち。01はイベントによって異なるが、501、701、901がよく行われる。プロが参加するハイレベルな大会では701が多く使用される。
ダーツの賞(アワード)
1スローで一定以上の点数を稼ぐなどすると賞(アワード)の演出が入る。ダーツライブ及びVSPHENIXでは専用のカードを購入するとアワード時に痛い好きな言葉を流せる。
アワードは以下の通り
- LOW TON (ロートン):
1スローで101点以上点数150点以下の点数を取ること。 - HIGH TON (ハイトン):
1スローで151点以上の点数を取ること。 - TON80 (トンエイティー):
1スローでトリプル20に3回入れること。カウントアップとか01なら180点だからトンパチ。THREE IN THE BEDとHigh TONとしてもカウントされる。 - HAT TRICK (ハットトリック):
1スローでブルに3本入れること。LOW TONとしてもカウントされる。 - THREE IN THE BLACK (スリーインザブラック):
1スローでインブルに3本入れること。LOW TONとHAT TRICKとしてもカウントされる。 - THREE IN THE BED (スリーインザベッド):
1スローでブル以外の同じ点数のダブルかトリプルに3本入れること。クリケットの9MARKSとしてもカウントされる。 - WHITE HORSE(ホワイトホース):
クリケットにて、それぞれの点数になるエリアのトリプルに3本入れること。9MARKSとしてもカウントされる。 - 5~9MARKS
クリケットにて、ラウンド内に5マーク以上取った時のアワード。シングルを/、ダブルを☓、トリプルを☓と◯を組み合わせた記号で表す。
注意事項
- ハードソフト問わず人に投げてはいけない!
針からプラスチックに変わって扱い易く放ったが、破壊力は変わっていない。人の目や口に入ったら大事故になる。 - 自宅で遊ぶときは騒音に注意!
ハードダーツは重めの「ドォン」という音で済むが、ソフトはプラスチック同士が衝突するため強めの「ガツンッ」という音がする。この音がかなり近所迷惑。ハードはヒットするものによってはうるさくなるので同じく注意。 - 対戦相手の妨害をしてはいけない!
仲間内の悪ふざけならともかく、決して公式戦でやってはいけない。 - カッコイイと思うからって箸を投げてはいけない!
よくアニメやゲームの演出で、相手に棒状の何かを大量に投げつける(例えば名状しがたいラノベの6巻で少年がフォーク投げてトンパチ出した、とか)というものがあるが、羽がないので実際にはあのように飛ばすことは不可能!あれはどちらかというとダーツではなく手裏剣。手裏剣としてなら実際に投げることが出来るらしいよ。どっちにしたって危ないから人に向けて投げないように。 - 全力で投げてはいけない!
ハード、ソフト共に思いっきり投げると危険だし機械は精密だから壊れちゃう事もあるんだよ。
機械の弁償なら働いて何とかなるけど、思いっきり投げたダーツが弾かれて他の人に刺さったら…… - 咥えタバコでプレイしてはいけない!
カッコ良く見えるかもしれないけど、マナーはしっかり守ろうね!英国紳士との約束だよ!
勿論未成年の喫煙は禁止されてるから、未成年のニコニコユーザーは吸っちゃダメ!ゼッタイ!
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