トンプソン・サブマシンガン(Thompson SubMachine Gun)とは、アメリカのジョン・タギアフェロ・トンプソン将軍により開発された短機関銃、及びそのシリーズ名である。
概要
世界で初めて“サブマシンガン”(略称SMG、日本語訳は短機関銃)の名称が付けられた銃である。
トンプソン将軍により1917年から設計が開始され、1919年に基礎が完成、1921年より販売を開始する。だが、当時は第一次大戦終結直後のため軍・公的機関用としては売れ行きを伸ばせず、民間向けとしても販売された。
その後の第二次世界大戦からは、米軍の制式装備として1928年に採用される(M1928A1)。しかし軍は、より多数の短機関銃を必要とし、大量生産向けに大幅な簡略化を施したM1(M1A1)を開発した。
口径は.45ACPが一般的だが、初期の試作では9mmパラベラム(9mm×19)なども存在した。当時、生産を担当していたのはワーナー&スウェージー社、オート・オードナンス社、コルト社、サベージ社などである。
今なお幾つもの紛争で流出または鹵獲品が扱われ現役で稼働し続けていたり、生産終了した現在の米国市場でも高い人気を誇る、息の長いモデルである。現在のFBIでも象徴的な意味合いで扱われ、見学者向けに射撃教官がトンプソンのフルオート射撃で自身の名前を刻むデモンストレーションを行っていることは有名である。
なお、正式名称は“トンプソン・サブマシンガン”だが、“トミーガン”、“シカゴタイプライター”など複数のあだ名を持つ事でも知られる(後述)。
ちなみに、トンプソン・センター社で生産される狩猟向け中折れ式単発拳銃のトンプソン・コンテンダーとは一切関係ないので注意。
→ 『トンプソン・コンテンダー』
主なあだ名とその由来
- シカゴタイプライター、シカゴピアノ
- 「ローリング・トゥエンティーズ=狂騒の20年代」と呼ばれた1920年代当時、アメリカ屈指の黒歴史と名高い禁酒法が施行されていた。
民間販売されたトンプソン(M1921)はシカゴのギャング達の手に渡り、抗争で使われた。彼らギャング達にFBIもまたこの銃で応戦し、華々しい戦果を挙げていた。
そのタイプライターでのキー打ち音に例えられる独特な射撃音、ギャングのイメージと合わせて、これらのあだ名が付いた。
ちなみに当時はフルオート銃器の一般販売及び所持は簡単だった。とても大らかな時代である。
この様な事情から1934年より一般民間人のフルオート銃器は購入不能となり、民間市場ではセミオート型M1927のみの販売となった。 - トミーガン
- M1928を扱ったイギリス軍兵士が最初に呼んだ名だが、米軍にも波及し以後の代名詞になった。
他「トムソン銃」「アイリッシュ・ソード」など多数のあだ名を持つ…のだが、ここで全てを事細かに記述するのは少々面倒なんで、興味を持たれた方はウィキペさんの項目でも参照して下さい。
バリエーション
- トンプソン・サブマシンガン(M1919)
- 試作型。世界で初めて“サブマシンガン”の名称が使われたモデルである。
作動方式はブリッシュ・ロック式と呼ばれるディレード・ブローバック機構を採用。後述の簡易型M1以外は全てこの機構が用いられている。レシーバーは切削加工で製作される。
口径・使用弾薬は.45ACPが基本ではあったものの、このモデルのみ少数ながら9mmパラベラムや.22LRなどのバリエーションが存在する。また、照準器やストックは装着されていないなど、外見から見ても試作品としての色が非常に強いことで知られる。
精密機器メーカーのワーナー&スウェージー社により生産が開始されるが、当時の米軍は採用せずニューヨーク警察が40挺ほど購入しテストしていた。
ちなみに“M1919”の型式名は後から付けられた物であり、あくまで正式な製品名はトンプソン・サブマシンガン(Thompson submachine gun)の方である。 - M1921/M1927
- 基本のモデル。M1927はM1921のセミオート射撃限定モデルである。
このモデルから銃口には反動による跳ね上がり抑制のコンペンセイターが取り付けられ、銃身には冷却用のフィンも加工されている。更にフルオート時の安定性を高めるフォアグリップに着脱可能ストック、100発ドラムマガジンなど、後述のM1系と比べると非常に豪華で凝った仕様だった。
マフィアやFBIなどで多用されていた機種はM1921であり、様々なメディア作品においても露出度の高い品はこれであろう(多分)。 - M1923
- 後述のM1928系の基礎となった、専用設計強装弾薬の.45レミントン・トンプソンを用いる試作モデル。
だが従来の.45ACPと比べて.45レミントン・トンプソンの威力や射程は向上した(現在の.44マグナムに匹敵)が、命中精度は著しく無かったため製作は中止されてしまった。約10センチのバレルや水平タイプのフォアグリップの装備など従来以上に軍用銃としての側面が強調されている点も特徴。
量産・市販には至らなかったものの、そのスタイルは後のM1928A1やM1/M1A1に引き継がれている。 - M1928(M1928A1)
- M1921のマイナーチェンジモデル。A1はアメリカ軍の要求によりM1923のテスト結果を反映させ、更に改良が施されたモデルである。
外観上は水平フォアグリップや延長したバレルを装備するなどM1923に近いが、口径は従来通り.45ACPそのままである。
しかしながら凝った仕様による高価な値段が足を引っ張り大量生産にも向かず、また軍がニカラグア進出による影響で多数の短機関銃を必要としたため、後述の簡易型M1モデルが作られる事になる。 - M1/M1A1
- オート・オードナンス社がM1928の設計を見直し、より大量生産向きに修正した簡易モデルで、M1A1は更に簡易化した改良品である。
外見的な特徴では、コンペンセイターや放熱フィン、フォアグリップは排除。内部では作動方式をシンプル・ブローバックに改め、その他細かい部品の数を減らした。着脱可能なストックは固定式に、マガジンは20または30発の箱形のみ生産し供給、従来のドラム型は使えなくした。ただし切削加工のレシーバー本体の設計はほぼそのままである。
第二次世界大戦中、最も多く製造されたタイプであり、M3グリースガンなどと共に米軍が最も扱ったモデルでもあった。
登場作品
第二次世界大戦やギャングを題材とした作品によく登場する。
ここではニコニコで有名だと思われるゲームで登場している作品を紹介する。
- バイオハザード4
- シカゴタイプライターの名称で登場する。
本編クリア後でプレイできる「the another order」をクリアすることによって、本編で購入が可能になる。
お値段100万ptas(ペセタ)とかなり値が張るが、バイオシリーズでは最強と言っても過言ではない。 - 弾一発の威力がショットガン並みの強さであり、弾数無限、連射速度0.1秒というチート武器である。
コスチュームによってマガジンがドラム式になり、リロードモーションも変わる。
恐らく開発当初は改造できる予定だったと思われる。(専用の弾が存在し、リロードモーションも用意されていたが、マス数が全武器中最大のため、没になったと思われる。その名残がリロードモーションだろうか) - メタルギアソリッド3
- トミーガンの名称で登場するが、武器として使用することは出来ない。
コブラ部隊の一人、ザ・ペインが使用している。
サルのお面を被って戦っている人からは武器の名称すら言わせてもらえない結構不遇な扱い。 - メタルギアソリッドピースウォーカー
- M1928A1の名称で登場する。こちらは武器としての使用は可能である。
序盤の対AI兵器のお供、威力も序盤で手に入るサブマシンガンでは強い分類に入る。
開発が進むとグリップ装着、弾数増加し、サブマシンガン中最大所持弾数が最も多くなる。
リロードも結構早いので、結構優遇な武器である。 - 桃太郎電鉄USA
- 物件駅シカゴが目的地の場合で到着したときのイラストに銃を持ったマフィア風のおっさんが持っている。
おそらくシカゴタイプライターだと思われる。 - ドラえもん
- ねずみと爆弾の回で登場。
- ドラえもんがねずみを捜索中に持っていた武器。のび太達に乱射したりもした。
未来の世界では銃を普通に買える時代なのだろうか・・・
当然ゲームには登場していない、漫画版のみである。 - ジョジョの奇妙な冒険
- 戦闘潮流にてジョセフ・ジョースターがストレイツォ戦で使用した。
どこから手に入れたかは知らないが、街中でぶっ放した。
因みに、この時は相手が相手だったので効果は無かった。
- Mafia2
- 知らないって?有名じゃなくて悪かったな!
関連作品
動画
静画
MMDモデル
関連項目
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