鵜堂刃衛とは、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の登場人物である。
概要
独特の殺しの美学を持つ、殺人欲が強い浮浪(はぐれ)人斬り。白目と黒目が逆転した目付きと、着物の下に全身タイツ、独特の笑い声(「うふふ」「うふわははは」)、頭の黒い笠が特徴。その外見から、巷では「黒笠」と呼ばれ恐れられていた。
明治維新以前から「人間を斬りたい」という欲求にしたがって、自身の美学に基づいて人を斬りまくっていた危険人物。元新選組であり、その思想を危険視され粛清されかけるが返り討ちにして新選組を抜けた。明治維新以降は要人暗殺請負人「黒笠」という暗殺事業にて殺人欲を満たしている。己の殺人欲を満たすため、ターゲットには斬奸状を送りつけ、厳重な警備をさせるように仕向けていた。(より多くの人間が斬れてお得、ということである)
そんな危険思想から、神谷薫からは魔物と評されるが、決して根っからの狂人ではないことも併記しておく。
人を斬る以上に、強敵との斬り合いに至高の快楽を見出す戦闘狂でもあり、剣心がかつての人斬り抜刀斎であると知ると、彼を全盛期の人斬りへと覚醒させるために薫を拉致するなどして、剣心を激怒させた。当時、長年不殺をつらぬいてきた剣心と、人を斬り続けてきた刃衛との間には歴然たる実力差があったが(刃衛に曰く、「煙草三本吸い尽くす間に倒せる」)、怒りから一時的に人斬り抜刀斎へ覚醒した剣心との斬り合いの末に双龍閃で右腕をやられ、剣客として再起不能となる。これで終わるかと思ったら「まだ後始末が残っているさ」と、自らの体を貫き絶命。
当初は連載が短期終了した場合のラスボスになる予定だった男の最期は強いインパクトを遺した。
剣客としての流派は二階堂平法。この流派は現実に存在する。金縛り状態にする瞬間催眠術・心の一方も実際に秘伝として、流派の使い手であった主水大吉が使用していたという資料がある。目から放つかどうかは知らないが。
そういえば、コイツそっくりのキリンがいたという目撃情報があったらしいのだが・・・。
作者によれば人物像は岡田以蔵、ビジュアルイメージは「X-MEN」の登場人物・ガンビットとのこと。白の着流しに黒笠という服装は、園田光慶『新撰組流血録 壬生狼』(原作:久保田千太郎)の芹沢鴨を参考にしている。
原作における序盤の強敵、そしてキネマ版と小説版、実写映画第1作ではラスボスを務めた。
担当声優・俳優
キネマ版、及び小説版「銀幕草紙変」における鵜堂刃衛
実写映画版を基にしたこちらのストーリーではプロローグで幕末時代の刃衛ほか新撰組と剣心達が登場する。
幕末の頃から既に殺人狂として人を斬る快楽に憑かれており、その斬る愉しみの為(そして、新しい刀の切れ味を試す為)に仲間の隊士すらも平然と斬って捨てるなど既に性格はまともではなくなっている。
その後、「平和な時代が訪れる前に、一度斬り合いたい」と連日望み続けていた伝説の人斬り・緋村抜刀斎(緋村剣心)と剣を交えるが、交戦の末両の掌を自前の2本の刀でそれぞれ刺し貫かれ、手の筋を絶たれた事で刀を振るう事ができなくなり剣客として再起不能となってしまう。
ああ、調子に乗って仲間を斬ってこなければ刃が鈍らずに・・・
時は流れ明治十一年、刃衛は「穴を開けられた両手に抜き身の刀を直接突き刺し、手そのものを刀とする」直視するのもおぞましい戦闘スタイルを身に着け(彼に曰く「少しの工夫」)、更なる鍛錬を積み剣客として復活を果たすと、裏家業で雇われの人斬りとして活動すると共に、東京で「神谷活心流」を名乗る『偽人斬り抜刀斎』として暗躍していた。これは雇われ元たる武田観柳の思惑によるものであるが、刃衛にとっても「偽者を名乗り続けて人を斬っていれば、いつか必ず本物が現れるはずだ」という彼自身の考えがあり、その念願が叶い剣心と再び剣を交える事になる。
その圧倒的な剣の腕前ゆえに武田観柳や彼の仲間・部下達からも一目置かれているが、性格は幕末時代と同様で歪んでおり、さらに抜刀斎や人を斬ること以外の事象(観柳や外印達の計画など)にはまるで興味も執着もないため、力を認められる一方で味方にも恐れられているさまが見え、作中では警官達以外にも仲間である我荒を口封じに始末するついでに斬り合ったり、外印の呼びかけで集まった荒くれ者達をも我欲のために斬り捨てている。
事実、本作中で最も多く人を殺しているのは間違いなく刃衛だろう。
やがてストーリー終盤、原作と同様の展開で薫を利用して剣心の怒りを呼び覚まし全盛期の人斬りたる抜刀斎へと覚醒させると渾身の斬り合いを演じると、双龍閃で右腕を潰されたのち残った左手の剣で自害。
終盤は原作を再現したような展開となっているが、こちらでは当初の和月の考え通り刃衛がラスボスとして登場できたばかりか、そのマッドぶりを最初から最後まで余す事無く堪能できる構成になっている。
刃衛好きなファンにはたまらないだろう。
ちなみに本作での戦闘スタイルである「抜き身の刀を手に直接刺す」アイデアは作者・和月も気に入っているようで、実写映画版の打ち合わせの際に「この設定を使ってほしい」とスタッフに提案したところ「痛々しすぎる」との理由から却下されてしまったらしい。ごもっともである。
使用技
- 心の一方
ターゲットに対し目から剣気を叩き付け、相手を金縛り状態とする事で行動の自由を奪う。別名「居竦みの術」とも。
強烈なものになると、動きはおろか呼吸さえ困難になり、窒息死の危険まで発生する。解除するには受けた剣気をそれと同等の気合を発して弾き飛ばす必要がある。
催眠術の一種でもあり、後述するように自分自身に用いる応用法もある。キネマ版では使用しない。 - 背車刀
右手に持った刀を背後で左手へと持ち替え、予測外の方向から斬撃を見舞う。混戦時などに相手の虚を突いて攻撃するフェイント技。実写映画でもこの技は再現されており、原作と同様で剣心に刀を弾かれよろけたように見せかけてこの技を繰り出し反撃。こちらでは漫画だと少々わかりにくかった、攻撃の全貌がより鮮明に演出されている。 - 心の一方影技・憑鬼の術
心の一方を逆利用し、自分自身に「強靭!無敵!最強!」「不敗・無敵・最強」のイメージを強く刻み込む事で自らの潜在能力を全て覚醒させる。これにより剣心の抜刀術を紙一重でかわす程の強力な反射神経・身体能力を得たが、鞘打ちによる第二撃目までは読めなかった。新選組を抜ける際にも発動したらしい。実写映画版では未使用。
名言
- うふ うふふ 死ーね
- んーむ この感触・・・いいね
- あとはそのけったいな逆刃の刃を返せばそれで・・・ 伝説の人斬り様の復活だ
- 伝説の人斬り様の兇刃 冥土の土産に一撃脳天(ココ)にくれよ
- そんな目をするな抜刀斎 俺を殺すと言った時のお前は もっと良い目をしていたぞ
- 人斬りは、所詮死ぬまで人斬り。同じ人斬りが言うんだ、間違いない
関連動画
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関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 二重の極み
- 相楽左之助
- 緋村剣心
- 佐渡島方治
- 四乃森蒼紫
- 駒形由美
- 志々雄真実
- 巻町操
- 神谷薫
- 悠久山安慈
- 魚沼宇水
- 瀬田宗次郎
- 明神弥彦
- 本条鎌足
- 外印
- 雪代縁
- るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編
- 赤末有人
- 比古清十郎
- 雪代巴
- 三条燕
- 飛天御剣流
- 斎藤一(るろうに剣心)
- 石動雷十太
- 戌亥番神
- 沢下条張
- 月岡津南
- るろうに剣心(実写映画)
- 不二(るろうに剣心)
- るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚・北海道編-
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