スロウスタートとは (スロウスタートとは) [単語記事]

『スロウスタート』とは、篤見唯子による4コマ漫画である。

概要

まんがタイムきららにて、2013年 7月号より連載開始。2014年 8月27日に単行本第1巻が発売された。
2025年 11月現在既刊13巻。

2017年 6月号にてTVアニメ化が発表され、2018年 1月から3月まで放送。

本作は個性豊かな仲間たちとのほのぼのとした日常が展開されつつ、その裏で1年遅く入学した主人公の複雑な心情が描かれている。
とはいえ、そこまで重苦しいストーリーではなく、主人公が友達に囲まれ、両親や先生に見守られながらどのように成長していくかも注目の一つといえよう。また、本作はタイトル通り時間経過がかなり遅い。どれだけ遅いかというと水着を購入してから1年間水着回がないほど

作中に明記されてはいないものの、軽井沢が物語の舞台として想定されている^[1]。

原作の制作背景

原作者の篤見唯子は、雑誌の編集から「テーマや設定をきっちり作ってほしい」と言われ、「まずはメインの女の子に秘密がある状態から物語をはじめよう」と考えた。しかし具体的なアイディアがなかなか思い浮かばず、他にも様々な案を考えたがどれも行き詰ると思うものであった。そのような中で、あるとき不意に“中学浪人”という設定を思いついた。

また、元々主人公の花名はもっと調子に乗りやすい性格にする予定であったが、「やっぱり可愛いほうがいいのかな」と思っているとどんどんエスカレートしていき、実際に描かれたような弱々しいキャラクターになった。このような経緯もあり、後には花名の他に浪人生であり、当初あった「お調子者」という要素を背負うキャラとして万年大会が登場することとなった^[2]。

ストーリー

一之瀬花名、16歳。皆より一年遅く高校に入学したことは、同級生にはひみつ。
大したことじゃないと思われるかもしれないけれど、私にとっては大問題なんです。
いつかはみんなに追いつきたい、スロウスターターストーリー。

登場人物

　名字に数の単位が入っている。

一之瀬花名（いちのせはな） - CV：近藤玲奈: スロースターター。高校受験の時に病気にかかり、試験を受けられず中学浪人となってしまっていた。
後ろ向きな性格ではあるが、以前のクラスメイトがいない高校の学校生活で少しずつ自信を取り戻していく。; あえてどこがとは言わないが、話を追うごとに成長しているのが単行本の表紙でも分かる。
特に最新話の水着回。
十倉栄依子（とくらえいこ） - CV：嶺内ともみ: クイックスターター。常にポジティブで、クラスの誰とでもすぐに打ち解けられる包容力が持ち味。
そのコミュ力の高さは高校入学4日目にしてクラスの全員を呼び捨てにしてしまうほど。
ただし自分から攻めるのは良いが攻められるのに弱く苦手な生徒もいる。
特に榎並先生にはからかうごとにカウンターを食らい撃沈することが多い。本人はそれを喜んでいるようだが
百地たまて（ももちたまて） - CV：伊藤彩沙: マイペースな性格。人当たりもよく、活発で元気な面を持ち合わせる。
アニメのグッズを集めていたりイベントに参加したりと、オタク趣味を持つ反面、いろんな豆知識を知っている博識な姿も見せる。
作者が過去に連載していた『瓶詰妖精』に登場した「たまちゃん」とは外見や特徴など共通点が多いことから、同一人物である可能性が高いとされていたが、作者いわくスターシステムに近い扱いなようだ。(参考)
千石冠（せんごくかむり） - CV：長縄まりあ: 本人曰く大器晩成型。高校生にして136 cmという小型な体型だが、陸上部に勧誘されるほど足が速い。
普段は人見知りであまり喋らず、仲良しな栄依子と離れると不安になって怯えてしまう。
かなりの大食いだが食べるペースは遅く、場合によっては朝食を食べ終えるのが夜になることもある。
万年大会（はんねんひろえ） - CV：内田真礼: 本作2人目のスロースターター。大学受験に向かう途中、とある事情で大学浪人となってしまった。
そのショックで普段から誰とも関わらず引きこもりとなっていたが・・・。
億果実（おくかさね）: 花名の中学三年の時のクラスメイト。
しかし果実は小さい頃から転校が多く、そのクラスも数か月しか在籍せず３月の卒業前に引っ越してしまった。
その間に花名と一度だけ会話したが、周りとは関わらないようにしていたために花名がクラスメイトだという事を引っ越し後に知った。果実は花名ともっと話しておけばよかったと後悔していた。
高校生で再び転校し、花名達のいる高校へ。そこで花名と劇的な再会、その後友達となる。
兆野綴（ちょうのつづり）: 2年生で生徒会副会長。; 栄依子とたまてのおふざけをいじめと勘違いして咎めてきたことで出会う。その際に隣に立てば同い年に見えると考えた花名が近づいてきた事を自分が頼られていると勘違いし、以後親しくなる。なお、同じクラスに友達はいないらしく生徒会室に入り浸っている。生徒会長の創とは「つづ」「つっくん」と呼び合う仲。; 花名にとっては同じ年であるためか、名前を呼ぶ時に「兆野さん」と言いかけて「兆野先輩」と言い直している。
京塚志温（きょうづかしおん） - CV：M・A・O: 本作で最も豊かな巨乳を持つ者。花名の従姉で、花名が今住んでいるアパートの管理人を勤めている。
胸をコマの淵に置くなどといった「おっぱい芸」は必見。就職浪人中。
溝端創（みぞはたつくる）: 3年生で生徒会長。ボーイッシュな外見の女子。大会と同じ予備校に通っている。
榎並清瀬（えなみきよせ） - CV：沼倉愛美: 花名たちがいるクラスの担任を務めている数学教師。
クールでサバサバした性格。

1年2組のクラスメイト※赤字の子はアニメ非登場

TVアニメ

監督となる橋本裕之がアニプレックスのプロデューサーから、「橋本さんが気に入った原作をアニメ化したい」と声をかけられ、まずマンガやライトノベルを大量に読むことから始めた。その中に『スロウスタート』があり、橋本は、絵が抜群に可愛いのと同時に、少し暗い部分を持ち合わせているところ、「基本は明るい世界観でありつつも、キャラクターの意外な面が少しずつ見えるようになっている」といったところに惹かれた。そのような内容、作風に魅了され、「この原作をアニメ化したい」と企画がスタートした^[3]。

また橋本はこの作品を「“感情のつながり”を大事にしてる作品」と捉えており、「女の子キャラクターの感情の機微を描くのがうまい」ということで、シリーズ構成として、過去に自身の監督作である『ご注文はうさぎですか?』の脚本も務めた井上美緒を希望し声をかける^[4]。脚本会議には原作者の篤見唯子も毎回参加し細かなところまで校正を行い、特に後半は篤見自身が直した部分も多い^[5]。

第11話のラストで、花名が第1話での栄依子の「遠回りしてよかったでしょ？」という台詞を思い返し、その意味を改めて思い直すというシーンがあるが、橋本は「この台詞がこの作品の伝えたいことだろうと捉えている」と述べている^[6]^[7]。

スタッフ

主題歌

オープニング主題歌「ne! ne! ne!」: 作詞：岩里祐穂 / 作曲・編曲：藤澤慶昌; 歌：START ails☆（近藤玲奈、伊藤彩沙、嶺内ともみ、長縄まりあ）
エンディング主題歌「風の声を聴きながら」: 作詞・作曲・編曲：40mP; 歌：三月のパンタシア

放送情報

放送局
放送局	放送開始日	曜日	時間	備考
TOKYO MX	2018年 1月6日	土曜	24:30
とちぎテレビ
群馬テレビ
BS11
AT-X	2018年 1月8日	月曜	20:00	リピート放送あり
テレビ愛知	2018年 1月9日	火曜	26:05
関西テレビ	2018年 1月11日	木曜	26:25

配信サイト
配信サイト	配信開始日	曜日	時間	備考
dアニメストア	2018年 1月9日	火曜	12:00
ニコニコ動画			12:00	最新話1週間無料
ニコニコ生放送			23:00	ライブ配信
AbemaTV			23:30	ライブ配信

各話リスト

話数	サブタイトル	脚本	絵コンテ	演出	作画監督	エンドカード
第1話	はじまりのどきどき	井上美緒	橋本裕之		安野将人	マルイノ
第2話	うんどうのはぁはぁ		原英和		竹本未希野中正幸倉谷亮多	川井マコト
第3話	なみだのぽろぽろ		篠原正寛		石井かおり、牧田昌也	高嶋ひろみ
第4話	2階のプレミア大会		金崎貴臣	丸山裕介	石田一将、中島裕里	ぼや野
第5話	かむりのふわふわ	山下憲一	鈴木健太郎	山中祥平	伊藤雅子、井戸田あかね	原悠衣
第6話	うなぎのぬるぬる	井上美緒	大畑清隆橋本裕之	相浦和也	山村俊了、佐々木貴宏三木俊明、倉谷亮多細田沙織	文月ふうろ
第7話	ぐるぐるのてくび	井上美緒	舛成孝二	篠原正寛	河合拓也	鈴木次郎
第8話	はなのともだち	山下憲一	原田征爾		中島裕里、伊藤雅子細田沙織、竹本未希井戸田あかね、井上香織	阿部かなり
第9話	ゴリラのみずぎ	井上美緒	金崎貴臣	山中祥平	山村俊了、佐々木貴宏	るろお
第10話	サメのいとこ		イムガヒ		清水祐美石井かおり小澤円	こもわた遙華
第11話	トマトのまつり		篠原正寛		中島裕里、竹本未希、山村俊了細田沙織、井戸田あかね、日高真由美佐々木貴宏、後藤麻梨子、伊藤雅子	近藤玲奈長縄まりあ伊藤彩沙嶺内ともみ
第12話	スロウのスタート	橋本裕之			石井かおり、佐々木貴宏、伊藤雅子三浦龍、竹本未希、井戸田あかね山村俊了、細田沙織	篤見唯子