フォームチェンジ (――、英:Form Change) とは、創作においてキャラクターが他の形態に変化することを指す。
主に変身ヒーローが異なる戦士に変身することを指すことが多いが、『ポケットモンスター』のフォルムチェンジや『ロックマンエグゼ』のスタイルチェンジ、ソウルユニゾン他のようなケースを含めることもある。
ヒーローはそのヒーローごとに固有能力があり、それを活かして敵を倒す――というのはヒーローモノではお約束である。
しかし、時としてその得意分野がまったく意味をなさない敵が現れる。そうしたときに別の形態に変化して相手に対応するというのがフォームチェンジである。多段変身をする場合に良く言われがちだが、最初から通常とは別形態に変身するケースもある。
変身するヒーローがそもそも変わってしまうというケースの場合、フォームチェンジに含めるかどうかはその作品ごとの扱いに依存する。
例えば、特撮テレビドラマ『仮面ライダー555』では主人公・乾巧やライバルキャラクター・草加雅人が普段変身している戦士とは別の戦士に変身したが、こうしたケースは作中で明確に『違うシステムの戦士』と描写されているためフォームチェンジとは看做されない。一方で『ふたりはプリキュアSplash☆Star』の日向咲と美翔舞のキュアブルーム&キュアイーグレット⇔キュアブライト&キュアウィンディの場合、違う戦士の名前になってしまっているがフォームチェンジとして扱われる。
違うシステムならば違う戦士になるかというと、究極は本人(公式)の自己申告になることさえある。
『仮面ライダー鎧武』の仮面ライダー斬月と仮面ライダー斬月・真は似た名前ながら違う戦士扱いであったが、同作の仮面ライダーバロンと仮面ライダーバロン・レモンエナジーアームズは前述の斬月と斬月・真と同じくベルトの換装でありながらも別フォームのように名乗っている (一応公式は別の戦士としてカウントしているようす) 。同じ仮面ライダーでは『仮面ライダーゴースト』のグレイトフル魂もベルトを換装したが別フォームとして扱われている。
1966年放送の『マグマ大使』に登場するマグマ大使は通常形態からロケット形態に変身し、さらに自ら巨大化することが可能。彼は通常形態からロケット形態に変身する形式から、一般的には「元祖変形ロボ」と言われているが、それぞれ特殊能力の一部という扱いではあるが、ヒーロー作品におけるフォームチェンジの元祖という見方もある。
(1971年放送の『仮面ライダー』では、仮面ライダー1号及び仮面ライダー2号が再改造を施されパワーアップし、身体のカラーも変わっているが、これを強化フォームととるかは意見が分かれるところではある。)
1975年放送の『仮面ライダーストロンガー』の後半に登場したチャージアップ形態は、通常の姿からカラーが変わり、能力が大幅にパワーアップするという、強化形態の元祖ともいえる姿である。
とはいえ、『ストロンガー』は裏番組で『秘密戦隊ゴレンジャー』が放送されていた上、同作は『ストロンガー』を超えるお化け番組ぶりであった事から広く知れ渡る事が出来ず。1970年代当時は結局今作だけの形態になってしまったのは否めない。以降も特訓などで強化しても全く見た目が変わらない…という展開が長らく主流になっていた。
その後のフォームチェンジが主流になる出来事は諸説あるが、有力なのが1980年代後半におけるTVゲームの台頭と見られている。
1986年にファミコンにて発売された国民的ゲーム作品である『スーパーマリオブラザーズ』や『ドラゴンクエスト』では、前者ではファイアマリオで後者は伝説の武具を装備した際に見た目及び能力共に大幅なパワーアップする点が斬新と評価されていた。同時期に展開されていた『聖闘士星矢』や『ドラゴンボール』といった当時のアニメ・漫画作品ではゲームでの事例を模倣し、主人公が物語が後半になると見た目が派手になる強化が施されるイベントが多数見られる様になった。
この出来事は特撮関連も見逃しておらず、『仮面ライダーBLACK』では仮面ライダーBLACKは後番組でBLACK RXに『機動刑事ジバン』では機動刑事ジバンが物語後半でパーフェクトジバンにというように、同様のケースによるパワーアップイベントが相次いで見られる様に。
その結果、1990年代半ば辺りまでは強化形態型のフォームチェンジが一番の主流になっていたと見られている。
一方で、使い分け型のフォームチェンジは『愛の戦士レインボーマン』『仮面ライダースーパー1』と結構な古くから使われていたのだが、転機となったのは1996年放送の『ウルトラマンティガ』。
同作のメインヒーローのウルトラマンティガは、通常ではマルチタイプで戦闘を行うが、シチュエーションに合わせてそれぞれ一部の能力に特化したパワータイプ・スカイタイプを使い分けながら戦闘を行っていた。また最終決戦時には強化形態であるグリッターティガも登場。
同作は久々のウルトラシリーズの最新作という事もあり大ヒットを記録。これを元にアニメ・特撮問わず様々な作品で『ティガ』と同様のフォームチェンジが模倣された結果、使い分け型と強化型のフォームが作中で同居するのが現在まで続くメインの流れになった。
そういった意味でも、ティガは「ヒーロー作品におけるフォーム像を完成させた」といっても良いかも知れない。
一番多いフォームチェンジで、特に作中序盤のフォームチェンジは大概このタイプ。
バランスの整った能力を持ったフォームを基本とし、スピードやパワー、特殊能力など各能力に特化したフォームを状況に応じて使い分けていく。
逆に作中後半は強化型になることが多いため、後半で複数の使い分け前提のフォームが登場することは珍しい。
ただしまったくないわけではない。
例えば『仮面ライダーゴースト』の仮面ライダーゴースト闘魂ブースト魂、仮面ライダーディープスペクター、『仮面ライダーセイバー』の仮面ライダークロスセイバー、『仮面ライダーギーツ』の仮面ライダータイクーンブジンソードのように、強化形態でありながら強化前の拡張性を維持している場合、派生形態として多段変身することもある。
また、物語の終盤や劇場版などの特殊な環境において、後述の形態を含めた全フォームを連続で登場させる「フォームチェンジラッシュ」が繰り広げられることがある。
使い分けタイプのフォームチェンジにおける源流と呼べる存在が『愛の戦士レインボーマン』の化身。
同作の主人公であるレインボーマンは化身を行う事により、状況に応じて様々な形態を使い分けていた。
その戦士の強化形態に当たる姿。
上述の「歴史」の項目でも触れられている通り、かつての「フォームチェンジ」といったらこの形態のみを備えている事が主流とされていた。
『ウルトラマンガイア』のウルトラマンガイア→ウルトラマンガイアV2、ウルトラマンガイアスプリーム・ヴァージョンの2段階強化がわかりやすいケースである。
また仮面ライダーでは作中の進行に伴い強化形態が複数登場することが常。
一例として『仮面ライダービルド』の場合、基本形態 (ex. ラビットタンクフォーム) → ラビットタンクスパークリングフォーム → ハザードフォーム (ex. ラビットタンクハザードフォーム) → ラビットラビットフォーム / タンクタンクフォーム →ジーニアスフォームと移行している (ハザードフォームの場合、後述の暴走形態と前述の使い分け形態をも兼ねている) 。
スーパー戦隊シリーズでは92年に放送された『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のアームドティラノレンジャーを皮切りに強化形態が登場している。
主に戦隊のリーダーであるレッドのみが強化されるパターンが多いが、『特捜戦隊デカレンジャー』のスワットモードのようにメンバー全員に強化形態が与えられたり、『侍戦隊シンケンジャー』のインロウマルを用いた強化形態のように一つの強化アイテムをメンバー間で共有したりといったパターンもある。
ちなみに、『イナズマン』『イナズマンF』に登場するサナギマン→イナズマンという流れを模した、物語開始当初からあらかじめ強化形態を備えているケースもある。
こちらは大概のケースが鈍足かつ防御特化形態からスピード及び攻撃特化形態に移行するパターンになっていて、後に放送された『仮面ライダーカブト』から「キャストオフ」とも呼ばれている。
強化形態の逆で、何らかのデメリットによったり、本来変身に必要な要素が欠けている、あるいは変身者の覚悟が足りないなどの理由で通常の形態より弱い形態になってしまうという事例がある。
『仮面ライダークウガ』の場合、覚悟不足や著しい体力低下、ダメージの蓄積などでグローイングフォームに変化してしまう。
その様な性質を逆用する事によって、作中で弱体化形態として扱われているが本来はこちらが素の状態というケースもある。
例えば『仮面ライダー龍騎』のブランク体、『仮面ライダー電王』の仮面ライダー電王・プラットフォーム。こういった形態の扱いを『仮面ライダージオウ』の基本形態や『仮面ライダーギーツ』のエントリーフォームと同一扱いにするかは判断がわかれる。
もっとも後者はそれを基本形態としてそこそこ戦績を上げていたりもするが。
何らかの理由から変身者が意識を喪失したり、悪感情に支配されてしまうような形態。
枚挙に暇がないが、とりわけインパクトが強いのは『仮面ライダービルド』の仮面ライダー・ラビットタンクハザードフォーム。ここでは怪人を『退治』したのではなく、敵であるとはいえ人を『殺した』という描写がなされた。
『ウルトラマンオーブ』のウルトラマンオーブは、サンダーブレスター変身時にたびたび怒りに飲み込まれる描写があり、ヒーローらしからぬ戦い方で町に大きな損害を起こしてしまう。変身者も変身する際に逡巡したり、変身を取りやめようとする描写も見られた。
こうした暴走形態に対する対応はさまざまである。
『仮面ライダーゼロワン』の仮面ライダーゼロワン・メタルクラスタホッパーでは暴走を防ぐための手持ち武器を開発する。『仮面ライダービルド』の前述のハザードフォームや『仮面ライダーセイバー』の仮面ライダーセイバー・プリミティブドラゴンはその力を取り込みつつ別形態に多段変身 (ラビットラビットフォーム / タンクタンクフォーム、エレメンタルプリミティブドラゴン) する。
仮面ライダーシリーズでは特に近年放送されている令和ライダーシリーズで暴走形態が取り入れられる傾向があり、令和の時代における多様化する作風の象徴の様な扱いがされている様子。
一方で、暴走を自身の心でコントロールするケースも見られている。
ウルトラマンオーブ』の前述のサンダーブレスターや『宇宙戦隊キュウレンジャー』のヘビツカイシルバーの強化形態・ヘビツカイメタルは最初はどれも闇堕ちの様な扱われ方だったが、精神を鍛えた結果それぞれの戦士の純粋な強化フォームへと昇華する形になった。
二人以上の戦士が合体変身するケース。
シチュエーションの関係で使用の際には複数のメンバーがその場に居合わせなければならず、合体後も各メンバーの意志が一カ所に同居している状態なのでそれぞれが息を合わせて戦わなければならない、といった様に運用面に関しては非常に癖がある。
その様な事から、基本的には使用場面は限られてしまうケースが大半なのだが、反面それを逆用し必殺技や最終決戦専用のフォームとして主に使われている。
東映が制作した特撮作品の場合は基本的な合体形態の定義に沿った内容がほとんど。
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のパトレンU号 (パトレン1号+パトレン2号+パトレン3号) 、ルパントリコロール (ルパンレッド+ルパンブルー+ルパンイエロー) 、『仮面ライダービルド』の仮面ライダークローズビルド(仮面ライダービルド+仮面ライダークローズ) が挙がる。
ウルトラシリーズでも同様だが該当形態は非常に多い。
ウルトラマンレジェンド (コスモス+ジャスティス) 、ウルトラマンサーガ (ゼロ+ダイナ+コスモス) 、ウルトラマンギンガビクトリー (ギンガ+ビクトリー) 、ウルトラマンルーブ (ロッソ+ブル)
特にウルトラマンレイガに至っては総勢11人のニュージェネ戦士(ギンガ+ビクトリー+エックス+オーブ+ジード+ロッソ+ブル+グリージョ+タイガ+タイタス+フーマ)と合体する物になっていて、この手の形態の極致と言っても良い。
合体形態の源流とされているのは『トリプルファイター』におけるトリプルファイター。
こちらはグリーンファイター、レッドファイター、オレンジファイターの三人の戦士がスクラムを組む事で作品名のトリプルファイターに強化変身するという形式を取っている。
また、トリプルファイター自身の登場も短く、1972年の時点で早くも定義を確立したと言えなくもない。
フォームチェンジにはコスチュームやスーツ、身体の組成が完全に変化するタイプもあるが、アーマー装備型のフォームも存在する。
スーパー戦隊の強化形態はまるきり別のスーツになるということは少なく、一部分にだけ別の装備が加わるという形のフォームチェンジが多め。
仮面ライダーの場合でも、『仮面ライダーゴースト』のゴーストチェンジ、『仮面ライダージオウ』のアーマータイム、『仮面ライダーゼロワン』のハイブリッドライズのようなケースも。
異なる2つのアイテムを使う変身の場合、アイテムの組み合わせでさらなるフォームが生まれる。
仮面ライダーシリーズではコレクションアイテムの販促のために組み合わせ型のアイテムが平成ライダー2期以降から登場している。
『仮面ライダーW』の仮面ライダーWはガイアメモリ、『仮面ライダービルド』の仮面ライダービルドは2種類のフルボトル、『仮面ライダーOOO』の仮面ライダーオーズでは3つのオーメダルの組み合わせで変身する。
これらはフォームの数が膨大なことになるため、特定の組み合わせが正式なフォーム扱いになり他は派生形態と扱われることが多い。
たとえば仮面ライダービルドは2つのフルボトルが「ベストマッチ」となる組み合わせのみ「●●フォーム」になり、他の組み合わせはごく一部を除き「トライアルフォーム」でひとくくりにされている。
仮面ライダーシリーズにてこの形式が主流になっていたせいか、
後に制作されたウルトラシリーズでも「ニュージェネシリーズ」と一括りにされている作品群において、『ウルトラマンオーブ』のフュージョンアップ、『ウルトラマンジード』のフュージョンライズ、『ウルトラマンZ』のウルトラフュージョンにて、仮面ライダーを模倣する様な組み合わせ型のフォームチェンジが登場した。
基本的には『仮面ライダーゴースト』の仮面ライダーネクロムスペクターや『仮面ライダーゼロワン』の仮面ライダーバルカン・アサルトウルフ、ウルトラシリーズのゼロダークネスのように悪の戦士に成り下がるという形を取ることが多い。
一方、『仮面ライダー電王』の仮面ライダー電王各形態や『仮面ライダードライブ』の仮面ライダードライブ・タイプトライドロン (ベルトさん運転時) 、『仮面ライダーリバイス』の仮面ライダージャックリバイスなど正義のヒーローとして活動するケースも有る。
中でも『仮面ライダー電王』の各形態は、仲間の怪人が主人公の体を乗っ取りメインフォームとして大活躍するという、当時の作品としては型破りな展開が待ち受けていた。
作品人気も非常に高く、結果的に憑依形態の定義を確立させたと言っても良い。
フォームチェンジは基本的に一人あたりの形態変化であり、それぞれのフォームが揃い踏みすることはない。
ただし、数は少ないが、分身能力・幻の生成・過去の自分を連れてくるなどの手段により、全てのフォームが揃い踏みするという展開が登場することがある。こういう展開は「敵キャラ涙目」「オーバーキル」などという感想がよく見られる。
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最終更新:2024/12/08(日) 21:00
最終更新:2024/12/08(日) 21:00
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