SCP-1682-JP 単語


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イサナギマコモ

7.0千文字の記事

 

 

人は いつ死ぬと思う…?exit_nicovideo

心臓を銃で撃ち抜かれた時… …違うexit_nicovideo

不治の病に侵された時… …違うexit_nicovideo

猛毒のキノコのスープを飲んだ時…… 違う!!!exit_nicovideo

…人に忘れられた時さ…!!!exit_nicovideo

尾田栄一郎著(2000年12月9日第1刷),『ONE PIECE』16巻 第145話,集英社, 173-175ページ

たすけて

SCP-1682-JPとは、シェアード・ワールドSCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。

なお記事冒頭のDr.ヒルルクのセリフ引用は、SCP-1682-JPディスカッションページで、本オブジェクトの著者Fennecist氏が引用しており、本オブジェクトの読解をする上でわかりやすいのでここでも引用させていただいたものである。なおリンクは元のディスカッションページではYouTube投稿されたcosMo(暴走P)の『リアル初音ミクの消失exit』のページリンクされているが、ここはニコニコ大百科であるため、ニコニコ動画の同曲へのリンクに変更させていただいている。この楽曲も本オブジェクトの理解の助けになるため、聞きながら読むことをおすすめしておく。

概要神様 もうゆるしてください

SCP-1682-JP
基本情報
OC Keter
収容場所 N/A(SCP-1682-JP)
サイト-8181(SCP-1682-JP-A)
著者 Fennecist
作成日 2019年7月20日
タグ k-クラスシナリオ
ミーム
メタ
日奉一族
未収容
概念
歴史
精神
聴覚
視覚
認識災害
リンク SCP-1682-JPexit
SCPテンプレート

SCP-1682-JPは、イサナギマコモ(Isanagi Makomo, SCP-1682-JP-A)という女性死亡したという概念である。本報告書執筆時点でこの女性死亡したことを認知している世界人口は約85.2%と見積もられており、かつ現在もなお増加中ということである。この概念は財団が保有するいかなる記憶処理方法も効かないことが判明している。

この概念を認知した人物(以下、感染者)はイサナギマコモが何者であるかを知る知らないにかかわらず、その死に悲壮感・喪失感等のネガティブな感情を抱き、この死亡について他者に伝達することを試みる。心理的に抵抗力が高い人間や、神に強く信仰心を持つ者、幼児のように母親などの強く依存する対がある者はこの精神が軽減される。死の概念を理解しないもの(幼児等)はSCP-1682-JPの精神を発露しないが、記憶除去が不可能なことも変わりない。

この感情は気らしとなるような行動をすることで多少紛らわせることもできるが、結局はずっとイサナギマコモについての負の感情に支配され続けるため、精神的な健康を徐々に損ねていく。こんなに脅威的なを及ぼすにも関わらずミーム的伝染性は強く、「記録媒体に録音されたSCP-1682-JP-Aのを聞く」「写真映像記録された姿を視認する」「死体(の皮膚組織)を視認する」「Isanagi MakomoMakomo Isanagi読み取れる文を視認する」というだけでこの感情に包まれてしまう。

SCP-1682-JP-Aは都内で活動していた「あまてる」というハンドルネームを名乗る20代日本人女性である。財団の広範な調にもかかわらず、活動地域である都内の神社巫女をしていたことくらいしかわかっていない。

財団がSCP-1682-JPを観測したのは2017年7月7日。このときはまだ均的な情報拡散速度であったが、翌8日には複数のに伝播し、更にいくつかのメディア報道を開始し始めた。翌9日には虚偽情報キャンペーンや電子記憶処理エージェントの投入を行ったが、効きがなく、11日を迎える頃には地球上の8割がイサナギマコモの死を悲しんでいることが観測された。増加率のピークはここで過ぎ、12日には情報拡散速度は低下したが、これは識字力のない人口が在住する地域における拡散速度が遅いため。このときも精神による自殺者や精神疾患発症者、暴動発生数は依然増加していた。


余談だが、このことを確認する実験で『日奉菰』という文字列が第4条件を満たすため、おそらくイサナギマコモは日奉菰と表記し、そのように読むものと思われる。『日奉』は財団81管区における異常な人実体群が有する稀有な姓であるため、この一族との関連が疑われている。しかしこオブジェクトの理解に関してこの日奉一族の理解は全く必要ないため、この点を記憶しておく必要はない。

あまてるの嘆きどこにも慈悲はないの?

さて、財団は7月10日にはあまてるの自殺映像を回収していた。この映像YouTube投稿された『【あまてる】別れの挨拶』というものである。どうして書くの 消してよ お願いだから

彼女はそのなかで、自身の動画活動について、当初は好きという人が多かったのに、いつのまにか低評価や暴言が増えていったこと、そして「なんだか変わってしまった」という評が増えたことに嫌気が差していたのだと述べる。自分の動画を見ることも嫌になって、以前の動画をすべて削除したという。

気づきました。みんな「あまてる」というコンテンツしか見てなくて、私自身のことなんてちっとも見てない。

SCP-1682-JP - SCP財団exit,2022/06/17閲覧

自分がひとりの「イサナギマコモ」という人間であり、「あまてる」というコンテンツではない。コンテンツとしてしか見ない人間に対する嗟を吐き、これから死ぬことを宣言。「人は喪って初めてそれがどれ程大切だったのか気付く愚かな生き物だ」と言うやいなや、道路に飛び出し、大に衝突されて即死した。

それでもイサナギマコモは、私たちの心の中に生きている。もういっそ ねえ

収容施行気づいて 気づいてよ

SCP-1682-JPを収容するため、財団は会議を行った。そこでは様々な提言がなされた。「死んだのは影武者である」とする虚偽情報拡散を行うカゲムシャ・プロトコル、他の常組織の協力を仰ぎ、SCP-1682-JPの除去可な技術を開発するエリミネーション・プロトコル、精神を和らげるために死への関心を希薄にするアクイタルプロトコルなど。最終的に選ばれたのは世界規模の記憶処理を行ったあと、それらの人に精神的な拠り所として、「SCP-1682-JP-Aを神格化した宗教」を広めるアポテオシス・プロトコルであった。宗教の熱心な信者はSCP-1682-JPのを受けにくいので、SCP-1682-JP-Aそのものを神様としてしまい、それ自体をSCP-1682-JPを防ぐための宗教にしてしまうという合理的な収容手段であるわけだ。

これは、SCP-8900-EXにおいて、の『さ』を受け入れさせるため財団がとった『アンニュイプロトコル』と同じ要領であり、全世界にENUI-5(通称:クラスE記憶処理)を大量散布し、日本発祥の宗教ということにした『日奉教』をヨーロッパ地域・及び無宗教の多いアジア地域で拡散させる。同時にSCP-1682-JP-Aに関する残存情報駆逐し、歴史記録を改竄することで、これを「もともとそういう宗教があったのだ」としてしまうことで疑いそのものを抱かせないようにする。

では、この教えはどうなってんだよ教えはと思う人もいるだろうから、そこについても財団が考案したカバーストーリーを見ていこう。痛い痛い 熱い熱い熱い熱い たすけて だれか


日奉教は、日奉菰(イサナギノマコモ)を信仰する日本発祥の宗教。古くから口伝で伝えられてきたという特徴を有するため、文献はほとんど発見されていない。にもかかわらず、現在ヨーロッパ東アジア東南アジアを中心に世界で3番めに信者が多い宗教となっている。宗教的配慮から歴史書などの文献に日奉教についての記述はどないが、世界的に常識として知られている。

信仰対となる日奉菰は死後神格化された人神であり、14世紀前後に生きていたとされる生年不詳の日奉菰がもととなっている。当時発生したなんらかの災害(一説には噴火)が日本を及ぼした際に、あえて自害し人々の心に普遍的に寄り添うことが可となり、人々に生きるための勇気希望を与えたという。これが故に人々は日奉菰が生きて人々を励まそうとすると考えることで心の安寧を得るという宗教となっている。

なお、日奉教には祭施設がない。また、記述がどないのも、この日奉菰に『祟り神』としての性質もあるからというのがある。この日奉菰は自害する前に自身の所有物や屋などのすべてを燃やしたことが伝えられてきた。自身について詳細に記した書物や絵巻物を作成した人物にも苦痛をすともいわれてきた。実際にそうであったかは資料がいくつか発見されていることから信憑性は薄いが、現在でも多くの信者はこの逸話を信じ、日奉菰についての情報を記すなどの祟りに触れる行動はしない。

日奉教は15世紀に日本各地に拡散していた。これは大名同士の領地争いに伴い、各地の大名が日奉教信者を優遇する政策を取ったことが要因とされている。その後、中国大陸朝鮮半島にも拡散し、更に大航海時代スペインポルトガルとの貿易が行われた際に、布教的に日本人ヨーロッパに渡ったことで世界中に日奉教を信じる人が散布した。背景には、ヨーロッパにおける職者の世俗化と堕落を批判するに日奉教が答えたというものがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

更新

SCP-1682-JP
基本情報
OC Ticonderoga
収容場所 N/A(SCP-1682-JP)
サイト-19(SCP-1682-JP-A)
著者 Fennecist
作成日 2019年7月20日
タグ k-クラスシナリオ
ミーム
メタ
日奉一族
未収容
概念
歴史
精神
聴覚
視覚
認識災害
リンク SCP-1682-JPexit
SCPテンプレート

アポテオシス・プロトコルを実行した後、SCP-1682-JPは一般社会において、上記の内容の宗教として、つまり非異常概念として一般社会に受け入れられるようになった。祭施設と文献の少なさ、Youtube動画などの一般PCなどからの削除から、一般の宗教研究者が調を行ってもSCP-1682-JPやSCP-1682-JP-Aの本質にたどり着く可性は極めて低いと判断され、KeterからTiconderogaオブジェクトクラスを再定した。SCP-1682-JPを要因とする自殺暴動は確認されなくなり、年間自殺率は正常範囲まで低下した。

すべては解決したのだ。

しかし、ブラッドベリー博士はとある報告を行った。それは、財団における「文章にを及ぼし自を有する63のアノマリーがSCP-1682-JP-Aについて言及し始めた」というもの。アポテオシス・プロトコル以後に確認されたものであり、彼らいわく「イサナギマコモは生きている。そして形容し難い苦しみの中にある」という。しかしそれらのアノマリーはSCP-1682-JP-Aと意思疎通を図ることはできず、彼女を理解することもできない。それでも、「死んでいない」ではなく、「生きている」と表現しているというのである。彼らはアポテオシス・プロトコルの範囲外でありながら、アポテオシス・プロトコルによって広めた日奉教の教義と一致することを述べているのだ。財団サイト-19はSCP-1682-JP-Aの生存の可性を調べた。ここでいう生存とは霊として残っている可性も含めてである。しかし調べても調べても、SCP-1682-JP-Aは体・精神の両面で死んでいることがわかった。

SCP-1682-JP-Aは死に、「天照(あまてる)」の名前が示す通りの太陽となった。しかし、世界には「人は忘れられて初めて死ぬ」というもある。ブラッドベリー博士はこのことに触れ、そして1つの可性に言及した。

これはまさしく憶測に過ぎませんが、もしSCP-1682-JP-Aがただ生物としての生命活動を終えただけで、異常性そのものやアポテオシス・プロトコルによって私たちが知ることもできない何らかの形で生きているのなら……

確実に、私たちは何かを見落としているのでしょう。死ね

SCP-1682-JP - SCP財団exit,2022/06/17閲覧

 

 

 

 

SCP-1682-JP

慈悲よ、汝いずこへ

 

 

 

 

解説

SCP-1682-JPのテーマは著者いわく、「人は忘れられて初めて死ぬ」というものである。一般的にこのことばはポジティブな意味合いで使われる。項最初のDr.ヒルルクの言葉も、「お前たちの記憶に生き続ける、故に死なない」という意味合いのである。亡くなった偉人も、その支持者が語り継ぐことで、人々の心にいつまでも生き続ける。しかし、逆に言えば、「死にたい」と願ってトラックに轢かれても、皆が忘れてくれなければ、死ねないのだ。

人は体の一部を欠損すると、「肢痛 (Phantom Pain)」という痛みを覚える。彼女の場合は、すべての体を失ったから、この肢痛が体全てに及んでいるのだという。死にながらに生きる

彼女は「あまてる」というコンテンツとしてただ消化されることを嫌い、そうなってしまったことに絶望して自死を選んだ。しかし彼女配信で、「人は喪って初めてそれがどれ程大切だったのか気付く愚かな生き物だ」と語っていた。これがトリガーとなり、彼女は「人々に自分を失ったことへの喪失感」を引き起こす存在に成り果ててしまった。挙げ句、これをなんとかしようとした得体の知れない組織によって、彼女は「神様」という一大コンテンツにされてしまった彼女は今もなお死ぬことはできない。人類が絶滅するその日まで、彼女は苦しみながら生き続けるのだろう。

もう一つの解説

かつて、SCP財団日本支部には『AiliceHershey』という著者がいた。AiliceHershey氏は旧SCP-1682-JP (救難信号)・旧SCP-1686-JP (変動、あるいは焼却されるべき未来)・旧SCP-201-JP (ざんごのハイウェイ)などの名著を記し、非常に高い評価を得た著者であった。またそのアバターたる『御先管理員』も知名度が高く、様々の財団ファン創作で引っりだこであった。しかし氏は突如、自分の作品をすべて削除し、かつその作品のアイディアの再利用を認めないと告げて創作コミュニティからいなくなった。

かしこれはSCP Foundation及びSCP-JPが採用する『クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植exit』において認められないでもあり、また、氏の作からしてもかなり不可解な発言であった。というのも、先に挙げた旧SCP-201-JP (ざんごのハイウェイ)は、wobe氏が書いた旧SCP-201-JP (ざんげのキッチン)のリメイクであり、この作品が消えた理由はwobe氏がAiliceHershey氏同様に引退時に記事を自削除したためである。

さて、このSCP-1682-JPもかつてはAiliceHershey氏の『救難信号』という作品に紐づいているナンバーであった(現在削除済だがこちらexitアーカイブされている。またニコ百でもSCP-1682-JP(AiliceHershey)として紹介している)。この作品は、雑に言えば自分たちと同じような見た異世界で、死ねなくなった平行世界同位体たちが、こちら側の人物が死ねば自分たちも死ねることに気付き、助けてくれ(=死なせてくれ)というメッセージを送ってくるというものであった。平行世界では『SCP-001-JP - 死の死』としてナンバリングされている。

『死なせてくれ』。AiliceHershey氏が創作者として、コンテンツとして引退し、その跡を消したがった。しかし氏の書いたオブジェクトは様々なところで紹介され今なお読むことができる。そしてAiliceHershey氏の創作を惜しむ人たちは今でも御先管理員のイラストを描いたり、しまいには御先管理員のVtuber化exitまで計画され(現在は計画は凍結しているようだが)、そしてトドメとして現SCP-1682-JPである。このオブジェクトはSCP-1682-JPのテーマである「死にたくても死ねない」、『死の死』を翻案したもの。アイディアの再利用を認めないと告げて創作コミュニティを去ったAiliceHershey氏に、同じナンバーで強な蘞味の強いアンサーをぶつけていると言えよう。

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