Xウイング・スターファイター(X-Wing Starfighter)とは、「スター・ウォーズ」サーガに登場する宇宙船である。
スター・ウォーズ旧三部作(『エピソード4/新たなる希望』、『エピソード5/帝国の逆襲』、『エピソード6/ジェダイの帰還』)および続三部作(『フォースの覚醒』、『最後のジェダイ』、『スカイウォーカーの夜明け』)に登場する宇宙戦闘機(スターファイター)。
旧三部作における反乱同盟軍、続三部作におけるレジスタンスの主力戦闘機(ファイター)で、スター・ウォーズを代表するメカニックのひとつ。細身の精悍な主胴体を中心として上下に、つまり前後方向から見てX字に広がる、Sフォイルと呼ばれる可変四枚翼による独特のシルエットが最大の特徴であり、「Xウイング」という名称の由来でもある。戦闘開始前の、「Sフォイル 戦闘ポジション(Lock S-foils in attack positions.)」というセリフが耳に残っているファンも多いと思われる。
旧三部作を通した主人公ルーク・スカイウォーカーの愛機であるが、登場シーン的に旧三部作の主役メカという印象はむしろ<ミレニアム・ファルコン>のほうが強い。旧三部作で登場した機体には形態差の設定はなかったが、やがて各種のスピンオフ作品(「拡張世界」。現“レジェンズ”)や後付けのメカ設定で様々なバリエーションが生み出され、続三部作でもよりスマートな最新タイプが登場している。
『エピソード4』の「Xウイング」(と同時に登場した「Yウイング」)という名称をきっかけに、作中で反乱同盟軍(および後身の新共和国軍)の用いる小型宇宙機(主に宇宙戦闘機)として、「(アルファベット)ウイング」と名付けたメカを設定する慣例が生まれた。こうしたメカの大半は、XウイングとYウイング同様、名称通りのアルファベットを思わせる形状をしていなくもない。
旧三部作では『ジェダイの帰還』で「Aウイング」と「Bウイング」が登場している。これらはアルファベット形状というには無理があるが、外見ではなく撮影時のモデルの識別記号が由来だからである。さらに時系列では先行する『エピソード3/シスの復讐』で銀河共和国最末期の機体として「Vウイング」が登場している(これもあまりVっぽくはない)。
このほか、“レジェンズ”のスピンオフ・コミックで生まれて“カノン”のドラマ『アソーカ』で実写化された「Eウイング」(上から見るとたしかにE)、同じく“レジェンズ”小説出身の「Kウイング」(前後から見るとそこそこK)、“カノン”の映画『ローグ・ワン』から登場した「Uウイング」(わからなくもない程度にはU)が挙げられる。
なお、「遠い昔、遥か彼方の銀河系」なのにXだのYだののラテン文字があるのだろうかと思った諸賢もいることと思うが、ある。 スター・ウォーズ作中の標準文字は「オーラベッシュ」というオリジナル文字なのだが、このほかに「ハイ・ギャラクティック」と名付けられたラテン文字アルファベットと同一形状の古典文字体系が設定されており、設定の整合性を取っているのである[1]。
映画旧三部作において反乱同盟軍の戦闘機として登場した機種は、インコム T-65 Xウイングである。
歴史ある宇宙船製造企業インコム社が設計・生産し、旧三部作の時代において反乱同盟軍が使用した基本モデルで、敵である銀河帝国軍の主力戦闘機TIEファイターに対し性能的に優位であり、Yウイング・スターファイターとともに旧三部作時期の反乱同盟軍の主力を担った。映画旧三部作に登場した機種は、“カノン”、“レジェンズ”双方の設定でT-65Bと呼ばれるサブタイプと設定されている。
『ジェダイの帰還』後を描いたドラマ作品などでは、新共和国の戦闘機として、引き続きT-65タイプのXウイングが登場している。
ドラマ『マンダロリアン』で初登場し、『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』、『アソーカ』と再登場したカーソン・テヴァは、“カノン”スピンオフドラマ出身の代表的なXウイング・パイロットである。
映画続三部作におけるレジスタンスの主力戦闘機として登場するモデル。インコム・フライテック社製。
『ジェダイの帰還』後に成立した新共和国が導入した新型モデルだが、『ジェダイの帰還』から30年ほど後の時代である続三部作のころには新共和国軍ではおおむね退役済。新共和国から十分な支援を得られないまま戦っている非政府組織であるレジスタンスでは型落ち品を使っているわけだが、とはいえファースト・オーダーの主力戦闘機ファースト・オーダーTIEファイターよりも有力な戦闘機であった。
旧三部作のT-65と比べた外見上の大きな違いは、Sフォイルの根本にある4基のエンジン前部カウリングが半円筒形となっている点である。Sフォイルを閉じると上下が合わさってひとつの円筒形を構成するようになり、左右とも上下に2個の円筒形が並んでいたT-65よりスマートな印象となった。
映画続三部作の時期において、上記T-70に取って代わった新共和国の主力戦闘機モデルとして設定されているのがインコム・フライテック社製 T-85 Xウイングである。
アニメ『スター・ウォーズ:レジスタンス』でわずかに登場してはいるが、続三部作の作中では、最初の『フォースの覚醒』中盤に新共和国軍が新共和国そのものごと吹き飛んでしまったため、映画には登場していない。T-70に比べ、胴体先端が幅広になっているのが特徴。
『ジェダイの帰還』で皇帝が斃され、反乱同盟軍は新共和国軍となった。新共和国は様々な戦闘機を開発・使用したものの、その後も数十年間にわたり、Xウイングは主力戦闘機として重用された。
スピンオフ小説『新反乱軍』では、T-65D-A1と呼ばれる、アストロメク・ドロイドの廃止を可能とする優良なアップグレードを導入したところ、ほぼ完了した段階ですべて新共和国を陥れようとする敵、ブラキスの謀略であったことが判明し、ウェッジ・アンティリーズ将軍が艦隊にXウイング以外の戦闘機のみ載せてブラキスの拠点アルメニアの討伐に出撃するはめに陥ったこともある(アップグレードの責任者はXウイング・パイロット上がりのウェッジ自身だったのだが)。
『ジェダイの帰還』より20年ほど後にあたる小説「ニュー・ジェダイ・オーダー」シリーズの時期には、XJシリーズ(T-65XJ)と呼ばれる改良新型モデルが登場している。XJシリーズは、同作以降の時代の作品で新共和国(のちに銀河連合自由同盟)の主力戦闘機として活躍することとなる。
“レジェンズ”の小説「ダーク・ネスト三部作」以降において、新ジェダイ・オーダーのジェダイが使用するモデル。作中を通して「ステルスX」とだけ呼ばれるせいであまりXウイング感がないが、れっきとしたXウイング(XJシリーズ)の一モデルである。
その名の通り、Xウイングをステルス化したモデルで、アクティブ・パッシブ双方で敵のセンサーから徹底して存在を隠蔽する装備が施され、外見的にも宇宙に溶け込むような暗い塗装となっている。火器の発射どころか他機との通信もステルスを探知されて無意味にするため、フォース・メルドで精神的に繋がったジェダイのみが運用している。
なお、Xウイングの標準装備であるプロトン魚雷は推進装置の噴射により発射元の存在を暴露してしまうため、ステルスXではそもそも推進装置を持たないジェダイ・シャドウ爆弾を装備することが多い。シャドウ爆弾は、投下されると自己推進ではなくジェダイのフォースによってひそかに敵艦まで“押し出され”て爆発するため、プロトン魚雷より探知が難しい。
“レジェンズ”のコミック「Star Wars: Legacy」シリーズで登場する、『新たなる希望』より130年ほど後の時代のモデル。
「ツインテール」の名の通り、エンジンのついた2つの細いブームが並ぶ前方にコクピットを持つ双胴機だが、左右にはちゃんとシルエットがX字になるようにSフォイルがついている。X字に翼のついたデ・ハビランド バンパイアという風情。あまりに外見が違いすぎて本当にXウイングとみなしていいのか不安になってくるが、一応は130年後のXウイング・シリーズの最新形態という設定である。
「アグリー」とは、全く異なる種類の機体の構成部品を寄せ集めて作った、間に合わせの戦闘機を意味する作中用語である。要するに無理やりつなげたニコイチ機体であり、だいたいにおいてロクな見た目をしていないしロクな性能も持っていないので「アグリー(醜い)」というわけ。基本的にはメーカー量産されているものではなく、海賊や私兵、貧乏な地元防衛軍レベルで手に入れたワンオフ機材である。
なかにはXウイングが構成要素になっているものもあり、“レジェンズ”では、Sフォイルの代わりにTIEファイターのソーラーパネルを取り付けた「X-TIEファイター」(X要素はどこ行ったのだろうか)、TIEインターセプターのソーラーパネルを取り付けた「Xセプター」(X要素は以下略)などが登場している。
『新たなる希望』後半にて、反乱同盟軍に加わったルーク・スカイウォーカーは、Xウイングのパイロットとしてデス・スター攻撃(ヤヴィンの戦い)に参加し、見事にデス・スターを破壊する。レッド中隊の所属で、コールサインは「レッド5」。デス・スター攻撃に登場した同盟軍戦闘機の大半はXウイングである(残りはYウイング)。
脚本段階ではルークが所属するのは「ブルー中隊」の予定だったが、Xウイングに青いマーキングを入れて撮影すると宇宙戦闘時のブルーバック合成に干渉することが判明したため、赤いマーキングの「レッド中隊」に変更された、というのは有名な話。
訓練も受けていない水分農家の子であるルークが容易くXウイングを操縦できたのは、故郷タトゥイーンで同じインコム社製のスピーダー、T-16スカイホッパーを愛機としていたためとされる。作中序盤、ルークが家でブンドドしていた三枚翼の機体の模型がそのスカイホッパーのもので、操縦経験については出撃直前のシーンでルークの旧友ビッグス・ダークライターの台詞で触れられている。
ちなみに、“カノン”設定では、ルークが来た(そして操縦がより上手だった)せいで乗るはずの機体を追われ出撃できなかったコル・タクブライトというパイロットがいる。出撃前のブリーフィングのシーンで隣りに座るルークと会話していた男がそれで、「偽ウェッジ」というひどいあだ名の持ち主(詳細は記事「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」の当該項を参照)。
主人公ルークが映画作中で宇宙戦闘に参加するのはこのデス・スター攻撃が最後。つづく『帝国の逆襲』以降も主人公機ではあるが、主役メカという感はなくなる。
『帝国の逆襲』では、雪原惑星ホスの基地を放棄する際にルークがXウイングに乗り換えて脱出し、ヨーダのいる惑星ダゴバへと向かっているが、同作ではハン・ソロやレイア・オーガナが乗る<ミレニアム・ファルコン>のほうが主役メカ感が強い。この機体は、ダゴバで着陸した沼地に一時全没した(ルークが未熟だったのでジェダイの師ヨーダのフォースで引き上げられた)上、次に向かった惑星ベスピンのクラウド・シティではルークがダース・ヴェイダーとの戦いの末に<ミレニアム・ファルコン>に拾われたため、そのまま置き去りにされるなど散々なめに遭っている。
つづく『ジェダイの帰還』でもタトゥイーンからダゴバに向かう際にルークが乗っているが、第2デス・スター攻撃(エンドアの戦い)ではルークが宇宙戦に参加しなかったこともあり、やはり<ミレニアム・ファルコン>(今度はランド・カルリジアンが乗り組む)が主役メカの地位を占めている。代わりに『新たなる希望』以来のルークの僚機ウェッジ・アンティリーズがレッド・リーダー(中隊長)としてXウイングで活躍しており、名脇役という感がある。
エピソード7『フォースの覚醒』以降の続三部作では、ポー・ダメロンの愛機としてレジスタンスのT-70 Xウイングが登場する。
『フォースの覚醒』冒頭でポーの乗機として登場する機体は惑星ジャクーの村でファースト・オーダーに破壊されてしまうが、中盤タコダナの戦いには黒い塗装のXウイング<ブラック・ワン>に乗るポー率いるレジスタンスのXウイング部隊が颯爽と登場。ポーが1カットで10機以上の敵機を撃墜する圧倒的エースぶりを見せつける。つづくスターキラー基地における空戦でも主役メカとして活躍する。
ちなみに、本作で<ブラック・ワン>以外に登場するXウイングはすべて白地に青いマーキングだったりする。CGのおかげでブルーバック撮影との干渉が問題でなくなったので、昔できなかったことをやりたくなったんだろうなぁ、と察されるものがある。
つづくエピソード8『最後のジェダイ』では、冒頭のディカーの戦いでポーが<ブラック・ワン>で引き続き大活躍するものの、中盤にレジスタンスの旗艦<ラダス>がファースト・オーダーの攻撃を受けた際、デッキで破壊されてしまう。レジスタンスのXウイングは、本作でいったん全滅する。
いっぽう、隠棲したルークのXウイングも再登場するが、こちらは惑星オク=トーの海に沈められ、部品がルークの家に転用されているなど、ルークが世を捨てたことを象徴している。“カノン”の設定上、この機体は『新たなる希望』からルークが乗ってきた機体そのものであるとされる(クラウド・シティからも後で回収されている)。大体ロクなめにあってないな
エピソード9『スカイウォーカーの夜明け』では、ポーは新たなT-70<ブラック・ワン>を手に入れている(ただしメインカラーはオレンジ)。T-70 Xウイングは、AウイングやBウイングといった旧三部作以来のレジスタンス戦闘機と並んでクライマックスのエクセゴルの戦いでも活躍している。
いっぽう、同作では霊体となったルークがフォースで海中から自身のXウイングを引き上げ、ルーク同様に絶望して隠棲しようとした弟子である続三部作の主人公レイに引き継いだ(飛ばす前にレイが修理したらしい)。これは、かつて『帝国の逆襲』で若きルークが自分では愛機をダゴバの沼地から引き上げられず、師ヨーダの力に頼らざるをえなかったこととの対比でもある。
レイはこの機体でシスの秘密惑星エクセゴルへとレジスタンス艦隊を導いているが、信号はレジスタンスにも「ルーク・スカイウォーカーのXウイング」と識別されており、ルークのXウイングがレジスタンスを導くビーコンの役割を果たしているわけである。
『新たなる希望』の直前を描く本作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、旧三部作同様のT-65 XウイングがやはりYウイングとともに反乱同盟軍の主力機体である。“レジェンズ”設定由来のT-65C-A2というサブタイプも登場していることになっているが、ぶっちゃけ判別不能。そもそも観客に分かるような外見上の差異があるかすら不明。
作中後半のスカリフの戦いでは、コールサイン「レッド5」が撃墜されるシーンが挟まれている。このコールサインを、のちの『新たなる希望』でルークが埋めることになるわけである。ちなみに本作でもXウイングを含む「ブルー中隊」がしっかり登場し、全滅した。全滅したんだから直後のデス・スター攻撃には参加できない。納得である。
新三部作のEP3には、銀河共和国のクローン軍の戦闘機としてARC-170スターファイターが登場する。上下に開く6枚の翼が特徴の大型宇宙戦闘機であり、明らかにXウイングとの関連を感じさせる。やはり同作で登場するジェダイ・インターセプターにTIEファイターの意匠と設計思想が見て取れるのと好対照を成している。
スピンオフ作品では、Xウイングの前身的機種として同じインコム社が開発に関与したZ-95 ヘッドハンターが登場する。可変翼(Sフォイル)を持たず、2枚羽で寸詰まりのXウイングといった風情のデザイン。旧三部作の時代には安価な旧式機種として登場したが、のちにアニメ『クローン・ウォーズ』で共和国クローン軍の装備「クローンZ-95ヘッドハンター」としても登場した。
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/23(火) 01:00
最終更新:2025/12/23(火) 00:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。