『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(Star Wars: Episode III Revenge of the Sith)とは、「スター・ウォーズ」サーガの映画作品である。
アメリカ合衆国製作、2005年のジョージ・ルーカス監督作品。英略称は「RotS」。
2005年に劇場公開された「スター・ウォーズ」サーガ映画第六作にしてスカイウォーカー・サーガの第三章。「スター・ウォーズ新三部作(プリクエル・トリロジー)」の完結作であり、青年アナキン・スカイウォーカーの暗黒面への転落と銀河帝国の誕生を描く。
新三部作の完結篇だけあって、作中時間で19年後、現実の劇場公開は28年前となるシリーズ第一作にして次章『エピソード4/新たなる希望』とのつながりに意が払われている。旧三部作との関連を感じさせるメカニックや人物もところどころに姿を見せ、最後には『新たなる希望』の物語へと繋がってゆく。
CGを駆使した壮大な惑星コルサント上空での宇宙戦闘シーンからはじまる劇的な冒頭部は、新三部作の完結を待ち望んでいたファンの機先を制する強い衝撃を与えた。物語は新三部作の好青年アナキンの堕落と旧三部作のヴィラン、ダース・ベイダーの出現をめがけて怒涛のごとく進んでゆくが、銀河帝国の誕生という重大事もあって政治や陰謀の描写もかつてなく色濃い。
クローン戦争は続いている。銀河共和国の英雄アナキン・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノービは分離主義勢力の総帥ドゥークー伯爵を斃し、勝利は近いかに思われた。だがアナキンは、懐妊中の妻パドメの死の予知夢に悩まされる。共和国のパルパティーン最高議長は彼に、自分こそ戦争の黒幕、暗黒面のフォースを操るシス卿ダース・シディアスだと明かし、暗黒面の力ならばパドメを救えると示唆する。
真実を知ったジェダイ騎士団はパルパティーンの打倒を試みるが、アナキンは忠誠と愛情の板挟みの末、暗黒面に屈して仲間を手に掛けた。命令一下、アナキンとクローン軍の裏切りによって鏖殺される全銀河のジェダイ。パルパティーンは共和国の解体と銀河帝国の樹立を宣言し、皇帝を称した。
悲劇的な対決はオビ=ワンが勝者となり、アナキンは溶岩流へ落ちる。堕ちたアナキンの変貌に絶望したパドメもまた、双子を産んで命を落とす。父譲りのフォースの資質を持つ双子は最後の希望として隠され、息子ルークは父の故郷タトゥイーンのおじに、娘レイアはオルデラーンの王室に引き取られた。
死の淵のアナキンは、漆黒の甲冑に生命を繋がれた怪物ダース・ベイダーに生まれ変わる。シスは復讐を成就させた。ジェダイは滅び、銀河は邪悪な帝国の手に落ちたのだ。
人物は前作でほぼ出揃っているし、新三部作の最後ということもあって、本作が初出という主要人物はグリーバス将軍がいる程度。いっぽうメカニックに関しては、大規模な宇宙戦闘がなかった前作『エピソード2/クローンの攻撃』に対して本作では冒頭から超大規模な宇宙戦が繰り広げられるとあって、両軍とも宇宙艦艇が増強されている。
分離主義勢力(独立星系連合軍)にはプロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤーが登場し、なかでもグリーバス将軍の旗艦<インヴィジブル・ハンド>にはジェダイが乗り込んで近接戦の舞台ともなる。共和国軍にはついにヴェネター級スター・デストロイヤーが登場。旧三部作で活躍するスター・デストロイヤーを思わせる楔形のデザインでありながら、共和国を象徴する緋色のサブカラーを用いた印象的なカラーリングでその勇姿を見せつけている。
また、前作『クローンの攻撃』から登場したクローン・トルーパーのアーマーとヘルメットの形状が変化。よりストームトルーパーのヘルメットに近いデザインとなって旧三部作との接続を示唆する。クローン・トルーパー自体にも、アーマーのカラーリングのバリエーションや人間味が増し、「コーディ」「ブライ」「アポー」など通称を持つ個体も現れている。
前作『エピソード2/クローンの攻撃』で始まり、本作で結末が描かれる一大事件「クローン戦争」については、映画の合間の戦争の推移を描くメディアミックスが多く展開された。
本作公開前には、2Dカートゥーンアニメとして『スター・ウォーズ:クローン大戦』が展開されるとともに、小説でも映画間をつなぐブリッジ・ノベルとして「クローン大戦ノベル」シリーズが展開された。アニメと小説ではストーリーが異なる(矛盾するのではなく、同じクローン戦争中でも描く場面が異なる)が、双方とも最終的に本作冒頭に接続するような物語になっている。
その後、2008年のアニメ映画『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』を皮切りに、ルーカスが製作総指揮として直接関わる『クローン・ウォーズ』3DCGアニメシリーズが開始された。最終的に7シーズン全133話が発表され、本作と平行する時系列で完結を迎えた(ここから続くように本作直後の銀河を描く「カノン」のアニメシリーズ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』も発表されている)。
他にもゲーム『スター・ウォーズ:リパブリック・コマンドー』などのゲーム展開やゲーム関連小説でもクローン戦争が描写されたが、さまざまなメディアで別々に映画の合間が描かれたため、結果として時系列や展開が錯綜し、あるいは相矛盾する事態が生じた。結局、2014年にスピンオフ展開が「レジェンズ」に再ブランディングされた際、『クローン・ウォーズ』アニメシリーズのみ「カノン」にも残ったことで出来事が整理された。
序盤のシーンで、画面端に小さく<ミレニアム・ファルコン>が飛んでいる。これがスタッフがお遊びで挟んだ単なるイースター・エッグの類(隠し要素。スター・ウォーズ映画では割とよくある)ではなく、作中でも<ファルコン>であることは公式に確認されている。
「レジェンズ」では、このシーンでの登場に題材を取って<ファルコン>の長く数奇な経歴を追うスピンオフ小説『ミレニアム・ファルコン』(著:ジェームズ・ルシーノ)が刊行され、この時この場所で<ファルコン>が飛んでいた理由が明らかにされている。
本作に登場するジェダイ・マスター、シャアク・ティは、違うタイミングでの二通りの殺害シーンが制作されたが、どちらも削除されている。ひとつは冒頭、分離主義勢力の旗艦内でグリーバス将軍に刺殺されるもの、もうひとつは後半にジェダイ聖堂で暗黒面に堕ちたアナキンに殺害されるものである。
スター・ウォーズ映画の削除シーンは後々からメディアミックスを通して「(映画では省略されたが)あった出来事」になるパターンが多いが、吉川三国志の張郃じゃないのでこればかりは両方をあったことにするわけにはいかない(ちなみにノベライズではどちらも描かれないが、中盤に登場シーンがあり前者の場面が存在しないことは明確になっている)。
今回の場合、前者は本作中の後のシーンで本人が登場することから明確に存在しない出来事になっている。後者についても、時系列で後のゲーム『スター・ウォーズ:フォース・アンリーシュド』で当人が再登場したことで「レジェンズ」では起きなかった出来事だと明らかになったが、「カノン」では設定上、2番目の削除シーンのタイミングで殺害されたことが後から確認された。
監督ジョージ・ルーカスが子どもたちを引き連れ一家総出でカメオ出演している。 ジョージ・ルーカス自身は青い肌の種族パントランのパパノイダ男爵役を務め、パパノイダの娘で元老院議員のチー・イクウェイ役を養次女ケイティ・ルーカスが、人間の元老院議員テア・タニール役を養長女アマンダ・ルーカスが、ジェダイ・パダワンのゼット・ジュカッサ役を養長男ジェット・ルーカスが担当している。
当然ながらいずれも端役程度で、物語上ではさしたる役割もないが、チー・イクウェイとテア・タニールは、パドメたちとともにパルパティーンの権力強化に反対する議員の一派を構成している(ただし当該シーンがカットされ、集団のひとりとして登場するカットのみ残った)。ゼット・ジュカッサは中盤、ジェダイの粛清時にジェダイ聖堂に駆けつけたベイル・オーガナの目前でクローン・トルーパーを何人も倒す活躍を見せており、一家では一番目立っている。
オビ=ワンが中盤でグリーバス将軍に遭遇した際、「やあ諸君(Hello there.)」と呼びかける。
これは『エピソード4/新たなる希望』で初登場したときとまったく同じ台詞(『新たなる希望』のDVD版吹替では「もう大丈夫だぞ」)であるが、本作で再登場したことをきっかけとしてファンの中でミーム化した。スピンオフ作品でもときおり使われるような台詞となり、「レゴ スター・ウォーズ」シリーズのアニメ作品のように、完全にギャグとして扱っている事例すらある。
他にも、『新たなる希望』ではライトセーバーをブラスターと異なる「洗練された武器だ。もっと進んだ時代のな(An Elegant Weapon for a more civilized age.)」(より文明的な時代の上品な武器だ)と評しているのに対し、本作ではライトセーバーを落とした代わりに使ったブラスターに「こんなものを使うとは(So uncivilized.)」(非文明的だ)とつぶやくなど、オビ=ワンについて『新たなる希望』との対比・接続を企図したような演出が多い。
中盤、暗黒面に堕ちたアナキンのもとジェダイ聖堂を制圧するクローン軍部隊として、アーマーに青いペイントを入れた「第501大隊(501st Battalion)」が初登場している。
この部隊はのちにベイダー直属の帝国軍ストームトルーパー部隊「第501軍団(501st Legion)」、通称“ヴェイダーズ・フィスト”に改組されたと設定され、後付けながら『エピソード4/新たなる希望』でレイア姫の外交船を拿捕する部隊、『エピソード5/帝国の逆襲』でホスの反乱同盟軍基地に突入する部隊はこの第501軍団だとされた。のちにアニメ『クローン・ウォーズ』でも、アナキンが指揮する部隊として登場する(アナキンのもとで活躍したキャプテン・レックスの所属部隊もこの部隊である)。
この名称は、1997年にアメリカで結成された世界最大級のストームトルーパーのファンコスチューム団体、“Vader's Fist”こと「501st Legion」へのオマージュである。2004年にスピンオフ小説『生存者の探索』(ティモシイ・ザーン著、レジェンズ)などで帝国の分派のひとつ「ハンド帝国」のストームトルーパー部隊として初めてその名が作中に登場し、同時にかつての帝国軍エリート部隊、“ヴェイダーズ・フィスト”第501部隊の存在が言及された。つづいて本作で映画登場を果たした格好となる。
他のシリーズ映画作品同様、ノベライズ作品が刊行されている(2014年以降「レジェンズ」に分類)。著者はマシュー・ストーヴァー。ストーヴァーは他に「ニュー・ジェダイ・オーダー」シリーズ『反逆者』やクローン大戦ノベル『破砕点』といった「レジェンズ」のスピンオフ小説を執筆している。
上述のクローン大戦ノベルシリーズを始めとしたスピンオフ由来の設定をふんだんに盛り込み、映画ノベライズの域を超えた特異な演出と叙情的な筆致で描き出す、意欲作にして異色作としてスター・ウォーズファンにはつとに知られ、好評を得ている。『クリスタル・スター』みたいな意味ではなくってよ。
オビ=ワンはアナキンの尻を判別するし、平和を約束された分離主義者はばらばらにされる。章ごとにカッコいいエピグラフが挿入され、パルパティーンに挑むジェダイたちのシーンは突如として音声記録の書き起こし演出になる。共和国軍人として活躍するニーダ少佐[1]がいて、メイスはシャッターポイント[2]を探る。地の文はアナキンがいかに銀河最高の英雄であるか、オビ=ワンがいかに不世出のジェダイであるかを謳い上げる。
その意欲作ぶりといえば、同じフォーマットで刊行されている新三部作ノベライズ日本語訳のなかで、『ファントム・メナス』がソニー・マガジンズ文庫版407頁/講談社版473頁、『クローンの攻撃』がソニー・マガジンズ文庫版431頁/講談社版507頁というページ数であるのに対して、本作はソニー・マガジンズ文庫版557頁/講談社版605頁という異様な分厚さに達していることからもおわかりであろう。
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