『スター・ウォーズ:ビジョンズ』(Star Wars: Visions)とは、『スター・ウォーズ』サーガのアンソロジー・アニメシリーズである。
日本をはじめとする世界各国のアニメーション・スタジオが、それぞれのカラーで「スター・ウォーズ」の世界を描く短編アニメシリーズ。多彩多様なスター・ウォーズの世界観を地盤とし、既存のストーリーから離れて、各スタジオが思い思いの「スター・ウォーズ」を作り上げている。
その性質上、シリーズ内外を問わず他作品とは原則として接続を想定せず(『ビジョンズ』シリーズ内での続編作品は除く)、時系列においても設定においても整合性は考慮されていない。フォース、ジェダイ、シスなどの「スター・ウォーズを規定する世界観設定」が共通するだけで、既存作品のタイムラインからは明らかに切り離されている作品も少なくない。公式作品ではあっても、内容・設定はすべて「正史」の中には含まれない「非正史」であることがあらかじめ宣言されている。
配信開始以来、コミカライズ、スピンオフノベル、さらには「Star Wars Visions Presents」と題したアニメシリーズといったメディアミックスが相次いでおり、いまや伝統の「レゴ:スター・ウォーズ」アニメシリーズと並ぶ非正史スター・ウォーズ展開の柱となりつつある。
2021年9月22日より、日本のアニメスタジオ各社の制作による全9作品がDisney+より同時配信された(Volume 1)。アニメスタジオを世界各国に広げたVolume 2(全9作品)は2023年5月4日に配信。さらにふたたび日本のアニメスタジオによるVolume 3(全9作品)が2025年10月29日に配信。
Volume 1となる最初の9作は、すべて日本のアニメスタジオによって制作された。
日本人みんな侍ジェダイが好き(誇張表現)。そもそもスター・ウォーズには黒澤映画や時代劇からの強い影響がある、というところから始まった企画でもあり、各スタジオも意識するところがあるのだろう。そして脅威の助演チョー率33%。よっぽど“居そう”な声してるらしい。
和風の山村を舞台に描かれるライトセーバー時代劇殺陣バトル。黒澤映画風の時代劇を精緻に作り込んだフルCGで再現し、レーザーやライトセーバーなどの光を除いてすべて白黒で描かれる演出によって強烈な視覚的印象を与える。
スピンオフ小説(未邦訳)や、キャラクターデザインを担当した岡崎能士によるコミックによりメディアミックス展開されているほか、Volume 3では続篇「The Duel: Payback.」が制作されている。
二刀を差しドロイドを連れ旅する“ローニン”は、木と瓦の建物が立ち並ぶひなびた村の茶屋に立ち寄る。兵士くずれの野盗に悩まされてきた村人はその日、用心棒を雇い反撃に出ようとしていた。しかし野盗のボス、赤い光刃を持つ番傘型のライトセーバーを振りかざすシスの女が姿を現し、用心棒たちを圧倒。村人が総崩れとなるなか、ローニンはひとり女ボスのもとへ歩を進める。
スター・ウォーズの銀河でスターダムを目指すロック・バンドの物語。スター・ウォーズとロック・ミュージックの夢が融合した、スペース・オペラにしてロック・オペラである。
クローン戦争を逃れたジェダイ・パダワンのジェイはハットのギーザーに出会い、うらぶれたバンド“スター・ウェイバー”のボーカルとなった。各地でライブする彼らだが、賞金稼ぎボバ・フェットに追われ、ギーザーを連れ去られてしまう。彼らはただのバンド、仲間を取り戻す手立てはない。絶望のなか、サウンド-ドロイドV-5が彼らの最初のセッションの録音を再生する。
「スター・ウォーズ」サーガ伝統の“双子”をテーマに、フォースのダークサイドから生まれた双子の姉弟が強大な力をめぐってぶつかりあう、トリガー味120%ノー自重のスター・ウォーズ。
帝国残党の秘密兵器ツイン・スター・デストロイヤーの主砲ツイン・スター・ハイパー・デストロイ・キャノンは、指導者であるダークサイドの双子アムとカレの力により発射される。だが姉アムが主砲発射を指示したとき、動力源のカイバー・クリスタルが弟カレに奪われた。銀河の秩序のため取り返そうとするアムと、姉の未来のため盗み出そうとするカレ。姉弟の戦いが始まる。
キネマシトラス制作、垪和等監督作品。英題:The Village Bride。
ジェダイとは異なるかたちでフォースを捉える、素朴な自然崇拝の異文化との出会いを通して、ジェダイのあるべきすがた、ヒーローとしての自身を問い直す少女の物語。
オーダー66ののち、銀河帝国の支配が広がりつつある時代。顔を隠した少女エフは探検家ヴァンに呼ばれ、緑と水の惑星キーリアへとやってくる。エフが目に留めたのは、自然のなかに満ちる“マギナ”を尊ぶキーリアの婚礼の儀式。その夜、村で開かれた宴で彼女は、明朝には分離主義者に代わって現れた略奪者イズマが村長の孫娘である花嫁ハルを人質として連れ去りに来ることを知る。
プロダクションI.G制作、神山健治監督作品。題名は「九人目のジェダイ」とも。
Volume 3にて続篇「The Ninth Jedi:Child of Hope」が制作されているほか、アニメシリーズ『Star Wars Visions Presents - The Ninth Jedi(原題)』が制作中。
銀河からジェダイが姿を消し長い歳月が過ぎた争乱の時代。辺境伯ジューロは、ジェダイ騎士団復活のためマスター無きジェダイを空中神殿に召集した。セーバースミスのジーマは失われて久しいライトセーバーを完成させるが、直後に謎の敵の襲撃を受ける。シスも蘇り、ライトセーバーを狙っていたのだ。ライトセーバーを託された娘カーラは、追跡を振り切り空中神殿を目指す。
日本アニメ黎明期を象徴する手塚治虫『鉄腕アトム』オマージュの古典的キャラクターデザインで、ジェダイへのあこがれを胸に、万物に宿るフォースに導かれ飛び立つドロイドの少年を描く。
ドロイドの少年T0-B1は、たくさんのドロイドやミタカ博士とともに暮らしていた。ドロイドを息子たちと呼ぶ博士が取り組む仕事は、彼らが住む真っ白な不毛の惑星に生命を宿らせること。しかし銀河に飛び出しジェダイとして活躍することを夢みるT0-B1に、博士はフォースの導きに従いカイバークリスタルを探す試練を与える。だがその試練が、彼らのもとに悪の手を招く。
落ち着いてるときのトリガー。スター・ウォーズの伝統ともいうべきジェダイの師弟関係を通して描かれるのは、いかなる力もいずれは老い衰えてゆく世の無常、そして年長者から若者への継承のサイクル。
タジンとダン、ジェダイの師弟が辺境を巡っている。飛行中、経験豊富なマスターのタジンは、フォースを通して古い闇の気配を感じた。退屈な辺境に飽いた弟子ダンの進言もあり、二人は惑星ハボへと降り立つ。住民の証言をもとに山へと入った二人が遭遇したのは、ライトセーバーの痕跡と、妖しく笑う小柄な老人。ジェダイは老人に、シスなのかと問いかける。
ジェノスタジオ制作、五十嵐祐貴監督作品。英題:Lop & Ochō。
SW最萌美少女ヒロインズに彗星のごとく名乗りをあげた獣耳少女ロップと、家族を思うがゆえにすれ違い、ぶつかり、訣別する親子の絆の物語。
銀河帝国による開発が進む緑の惑星。長い耳を持つ種族の孤児ロップは、地元の親分・弥三郎と娘のお蝶に拾われ、家族として育つ。だが7年後、環境を汚染しつづける帝国に武力で抵抗する弥三郎と、帝国のもと一家の生き残りを図る次期当主お蝶は対立し、ロップは狭間に立たされた。ついにお蝶は帝国に加わる道を選び、ロップは弥三郎にもう一度家族をひとつにしたいと訴える。
Volume 2では担当スタジオが世界中に広がり、様々な国の様々なスター・ウォーズが送り出されている。
どの作品も、それぞれの制作元を反映した演出やストーリーで展開されており、ストップモーションやカートゥーン風のアニメもあれば、物語に自国の歴史や文化を反映させた作品もあるなど、Volume 1とはまた違ったかたちで多彩なシリーズとなっている。
※演者の表記は 原語音声担当 / 日本語吹替音声担当 の順。
El Guiri Studios制作、ロドリゴ・ブラース監督作品。原題:Sith。
ドロイドのE2だけを供に、誰もいない土地でひとり絵を描いて暮らすローラ。日食の日、悪い夢を見て起きた彼女は、作品を描こうとすると、なぜかどうしても黒く染まってしまうことに思い悩んでいる。やがて突然鳴りはじめたビーコンを調査するためスピーダーで出た彼女は、アラートは故障ではなく、自身がシスに属していたころのマスターが弟子を引き戻しにやってきたことを知る。
Cartoon Saloon制作、ポール・ヤング監督作品。原題:Screecher's reach。
住み込みの工場で働く少女ダールは、同僚の子供たちベイソン、クイン、キーナとともにスピーダーを盗み出し、スクリーチャーズ・リーチを目指す。そこは恐ろしい悲鳴をあげる魔女が棲むという洞窟。その夜、ダールは今の工場から逃れた先によりよい生活を求め、チャンスを掴めとベイソンに励まされる。ダールはお守りを握りしめ、禍々しい雰囲気の洞窟へと入ってゆく。
Punkrobot Studios制作、ガブリエル・オソリオ監督作品。原題:In the Stars。
制作国チリの歴史に着想を得た寓話であり、自然と結びついた文化を持つ先住民と、彼らに対する抑圧と植民地化の歴史を寓話としてスター・ウォーズの世界観に取り込んでいる。
コーテンとティチーナの姉妹は、帝国が汚染し続ける惑星で二人暮らし。強い力を持っていた母親は帝国軍に挑んで還らず、村も滅ぼされた。自分にも帝国と戦う力があると思いたがる幼い妹ティチーナは、母は星になり見守っていると信じているが、夜空は厚い雲に覆われ星々の姿はない。そんな妹をたしなめる姉コーテンは、飲める綺麗な水を手に入れるため帝国の工場へと忍び込む。
Aadman Animations制作、マグダレーナ・オシンスカ監督作品。原題:I Am Your Mother。
原題はあからさまにEP5のアレのパロディである。クレイアニメで有名なアードマン・アニメーションズ(イギリス)が、ストップモーション・アニメーションで制作した作品。
母親と二人暮らすトワイレックの少女アンニが通うフライト・アカデミーで、毎年恒例の家族レースが開催される当日。だが、いつも騒がしく愛情表現が過剰な母親が恥ずかしいアンニは、レースの存在を母親に伝えないまま、お弁当も持たずに登校する。高慢な女生徒ジュランの嫌味にも応えられない彼女が憂鬱げに観客席で見守るなかで、いよいよ家族レースが始まろうとしていた。
Studio Mir制作、パク・ヒョングン監督作品。原題:Journey to the Dark Head。
ジェダイとシスの戦いは、シスの優勢にあった。辺境の惑星ドルガラクの寺院で、少女アラは石の表面に未来を見る。やがて成長した彼女はジェダイに、戦いの潮目を変えるためドルガラクにあるダークサイドを表す巨像の頭ダークヘッドを破壊することを提案。かつて師をシスに殺されたジェダイの少年トールが彼女の随行者となり、ふたりは衝突しながらもドルガラクへ向かう。
Studio La Cachette制作、ジュリアン・チェン監督作品。原題:The Spy Dancer。
たくさんのストームトルーパーが訪れるキャバレーで花形の踊り子として持て囃されるロイは、その実、年若い娘エティスや仕事仲間とともに地元の反乱者ジョンに協力し、惑星を脱出する機を探るスパイ。やがてショーが始まると、ロイは飛ぶように踊り回りながら客のストームトルーパーに追跡装置をつけて回る。だがその途中、バルコニー席に入ってきた帝国の将校に目を奪われる。
88 Pictures制作、イシャン・シュクラ監督作品。原題:The Bandits of Golak。
惑星ゴラクの荒野をゆく列車で旅する、チャルクとラニの兄妹。列車は混み合い、ストームトルーパーが目を光らせている。だが幼いラニが無邪気に示した、物を引き寄せる“力”が他の乗客の目を引いてしまう。乗客やストームトルーパーの目を妹から逸らすため駆け回るチャルク。盗賊の襲撃を奇貨として難を逃れた二人は列車を降り、父親に指示された目的地へとたどり着く。
D'ART Shtajio制作、レアンドレ・トーマス&ジャスティン・リッジ監督作品。原題:The Pit。
日本にあるアフリカ系アメリカ人アニメスタジオ、D'ART Shtajioによる作品。
荒野へと連れてこられた囚人たちは、カイバー・クリスタルの採掘のためひたすらに穴を掘らされる。やがて採掘場の近くに大きな都市が生まれたころ、穴は地底に到達。囚人たちは解放されるが、あまりにも深い穴の底に取り残される。その一人、若者クラックスは、少女リヴィに「光に従え」と言葉を残して切り立った壁をよじ登り、助けを求めるため都市をめざす。
Triggerfish Animation Studios制作、ナディア・ダリース&ダニエル・クラーク監督作品。原題:Aau's Song。
豊富なカイバー・クリスタルを蔵する惑星コルバの少女アーウは、父アバトから歌うことを禁じられていた。彼女の美しい歌声は、かつてシスが暗黒面の赤に染めてしまった地中のカイバー・クリスタルを不安定にしてしまうから。アバトは、クリスタルを蘇らせようとするジェダイに鉱夫として協力してきた。歌いたくとも歌えないアーウの家に、ジェダイのクラトゥが訪れる。
Volume 3は、Volume 1に立ち返ってふたたび日本のアニメスタジオによる制作となった。Volume 1では参加しなかったスタジオも加わっているほか、Volume 1の続篇となる作品も含まれている。
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最終更新:2025/12/06(土) 05:00
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