『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(Star Wars: Episode V The Empire Strikes Back)とは、「スター・ウォーズ」サーガの映画作品である。
アメリカ合衆国製作、1980年公開のアーヴィン・カーシュナー監督作品。製作総指揮はジョージ・ルーカス。公開時の題名は『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(Star Wars: The Empire Strikes Back)、英略称「ESB」。
1980年に劇場公開された、「スター・ウォーズ」サーガ映画第二作にしてスカイウォーカー・サーガの第五章。いわゆる「スター・ウォーズ旧三部作(オリジナル・トリロジー)」の第二作であり、前作の3年後、再び襲いくる帝国と戦う青年ルーク・スカイウォーカーの成長と驚くべき事実への直面を描く。
前作と異なり「スター・ウォーズ」サーガの創作者ジョージ・ルーカスではなくアーヴィン・カーシュナーが監督を務め、ルーカス自身は製作総指揮を担当した。冒頭から陸戦と宇宙戦がテンポよく連続する展開、前作以上に進化したVFX、そして衝撃的な結末から、中途半端になりやすい三部作の中間作でありながら「スター・ウォーズ」サーガの最高傑作として長年にわたり称えられている。
劇場公開当時のタイトルは『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』であったが、1999年の『エピソード1/ファントム・メナス』公開時に『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』とエピソード数を含めるタイトルに改められた。この間、1997年には旧三部作の他二作ともども、リマスターのうえ映像の修正・ブラッシュアップを徹底した『スター・ウォーズ/帝国の逆襲 特別篇』(The Empire Strikes Back: Special Edition)が劇場公開され、以後はこの『特別篇』映像が本作のスタンダードとして扱われている。2004年にはDVD化にあわせハイビジョン化が行われた。
銀河帝国軍迫る。雪原惑星ホスの反乱同盟軍秘密基地が発見されたのだ。ルーク・スカイウォーカーたち同盟軍は強力な帝国軍の侵攻を地上で迎え撃ち、撤退の時間を稼ぐ。無脱出したルークは、恩師である故ベン・ケノービの霊体に導かれ、ベンの師だというジェダイ・マスター、ヨーダに師事することとなる。
いっぽう、同盟軍のリーダーであるレイア・オーガナ姫を連れ、愛艇<ミレニアム・ファルコン>号でホスを逃れたハン・ソロは、邪悪なダース・ベイダーが率いる帝国軍の大艦隊に追われていた。船の故障に悩まされながらも小惑星帯を飛び抜ける中で、ふたりの心は近づいてゆく。帝国軍の追跡を逃れた彼らは、ハンの旧友ランド・カルリジアンが統治する惑星ベスピンの空中都市クラウド・シティをめざした。
<ファルコン>号の一行はベイダーに脅迫されたランドの裏切りに遭い、ハンはカーボン冷凍されてしまう。ベイダーと対決するルークも暗黒面の力に圧倒され、ベイダーから自身こそ彼の父だと教えられて激しく動揺する。それでも誘惑を振り払ったルークは、ランドと脱出したレイア姫に救い出される。
同盟軍は帝国軍の逆襲を切り抜けたが、ハンの身柄は犯罪王ジャバ・ザ・ハットに奪われた。ハンを取り戻すため、ランドを仲間に加えて<ファルコン>号は飛び立つ。
脚本を担当したSF作家リイ・ブラケットは第一稿の脱稿直後に死去したため、当時ルーカスが目をかけていたローレンス・カスダンが後を引き継ぎ、ルーカス自身も執筆に加わっている。
登場人物ではヨーダ、ランド・カルリジアン、皇帝(ホログラムのみ)が初登場。
壮大なストップモーション撮影で称賛されたAT-ATウォーカー、AT-STウォーカーといった帝国軍の地上兵器、宇宙爆撃機TIEボマー、巨大なスーパー・スター・デストロイヤー、同盟軍の輸送船(いわゆるツナ・シップ)やネビュロンβフリゲートといった両軍の主要メカの多くが本作から初登場した。「スター・デストロイヤー」の名称が使用されるようになったのは本作からである(前作『エピソード4/新たなる希望』でも登場するが、原語版では「Imperial Cruiser(帝国のクルーザー)」と呼ばれたのみ)。
音楽面では、ライトモティーフとしてハンとレイアのロマンスを象徴する愛のテーマ、ヨーダのテーマが本作から導入。なによりダース・ベイダーのテーマとしてあまりにも有名な「帝国のマーチ(The Imperial March)」は本作の新規曲である。なお、この曲とは別に帝国軍のモチーフ曲は『新たなる希望』の時点から存在している。
『特別篇』をはじめとしてシーンの大きな変更が多い前作『エピソード4/新たなる希望』と比較すると、本作の『特別篇』では同様の全面ブラッシュアップは行われたものの、大きな変更は少ない。目立つところだと、制作当時にはあまり上手く撮影できなかった氷獣ワンパのカットの作り直し、クラウド・シティの都市景観のCGによる全面描き直しなどがある。
とはいえ旧三部作の他二作同様、2004年のDVD化以降も機会があるごとに微修正が重ねられている。たいていはミスの修正や色調補正、微細な演出の追加だが、なかには過去に一度加えた変更をもとに戻すようなこともあり、どうにも賽の河原の石積みめいてきている。
ホログラム越しながら本作が初登場となる皇帝は、劇場公開版では老女優マージョリー・イートンが演じ、マスクをつけた顔にチンパンジーの目を合成した、異様な風体をしていた。声はクライヴ・レヴィルが当てた。ちなみにやたらハキハキ喋る。すっごい聞き取りやすい。
このホログラム皇帝は『特別篇』でもそのままだったが、2004年のDVD化の際、『エピソード6/ジェダイの帰還』以降で皇帝/パルパティーンを演じるイアン・マクダーミドの映像と声に差し替えられた。この際に台詞も変更され、もともとは「ルーク・スカイウォーカー」の名を出していたところを「若き反逆者(the young rebel)」とし、つづけて本来は『ジェダイの帰還』が初出であった「アナキン・スカイウォーカー」の名前を出すようになった。
『特別篇』より、終盤でベイダーがクラウド・シティから自身の旗艦であるスーパー・スター・デストロイヤーへとシャトルで戻るシーンが追加された。
このシーンは次作『ジェダイの帰還』冒頭でベイダーが第二デス・スターに到着したシーンの未使用映像を流用したため、必然的にベイダーの旗艦の着艦デッキはデス・スターの着陸デッキと同じ構造という設定になっている。また当然、流用元シーンでベイダーを出迎えたジャージャーロッド司令官も遠景の背中だけだがわずかに映っており、当時は彼もこの旗艦に配属されていたと解釈される場合がある。
前作で監督を務めて精神的に疲弊し、また多忙でもあった[1]ルーカスは製作総指揮へと退き、製作に関する最高権限を保ちつつ実際の監督を他者に任せることとした。そこで任されたアーヴィン・カーシュナーはジョージ・ルーカスより20歳ばかり年長で、若きルーカスが南カリフォルニア大学映画芸術学部に在学していた当時に同学部で映画を教えていた知己であった。
ところで、全米監督協会(DGA)では原則として映画冒頭に監督のクレジットを入れることを義務付けている
(前作『新たなる希望』は冒頭にルーカスフィルムのロゴがありルーカス監督なのでセーフ判定)が、全クレジットを最後に回したいルーカスは本作も『新たなる希望』同様、冒頭にはルーカスフィルムのロゴは入れても監督のクレジットを入れなかった。このため冒頭にカーシュナー監督をクレジットしないの絶対許さないアソシエーションと化したDGAと激しく対立し、結局ルーカスはDGAを脱退している。
実は、DGAは会員でなければ映画を監督させない協定を米国の大手映画会社と結んでいる。しかし本作と『ジェダイの帰還』および新三部作はもっぱらルーカス側の持ち出し(『新たなる希望』のロイヤリティ収入に由来する)で製作され、大手映画会社は製作に直接噛まなかった(20世紀フォックスは配給権のみ保有)。ルーカス自身は以後も監督業からは退いて製作総指揮などプロデュースを主としており、どうも映画制作は好きでも監督業は嫌いというタイプらしいが、新三部作で22年ぶりに監督に復帰している。
本作の国際版ポスターには、日本のイラストレーター・生賴範義の描いた作品が採用され、日本をはじめとする各国で宣伝に使用された。生賴は当時すでに『日本沈没』をはじめとする映画ポスターやSF小説のカバーイラストを担当して活躍しており、のちには「ゴジラ」シリーズやコーエーの歴史ゲームパッケージを多く描いたことでも著名である。
中央に<ミレニアム・ファルコン>号をバックにしたハンとレイアのロマンスシーンを配し、背景に至るまで精緻に描き込まれた生賴のポスターイラスト
は、数ある「スター・ウォーズ」映画ポスターのなかでも最高傑作のひとつとして海外でも高く評価されている。本作が公開30周年を迎えた2010年にはアメリカ本国でも500枚限定の鮮明な大型ポスターとして販売された。
これより前、生賴はスピンオフ小説『侵略の惑星』(1978年。レジェンズ)の日本語版で口絵を担当している。この鬱蒼とした繁みに横たわるXウイングの精緻なイラストが、ルーカスに本作ポスターへの生賴の採用を決めさせたとも、本作のダゴバのシーンに影響を与えたのではないかとも言われている(本作ポスターへの参加は雑誌に載った「スター・ウォーズ」のイメージイラストがきっかけという説もある)。
本作公開時の宣伝では、ラルフ・マクォーリーのデザインによる「THE EMPIRE STRIKES BACK」を前面に押し出したタイトルロゴ
が使用された。「STAR WARS」ロゴ同様のHelvetica Blackに基づく横長の字体を用い、白抜きの「STAR WARS」ロゴから伸びる二重線で囲ったうえ、右上がりに傾けた平行四辺形として本作独特のスピード感を伝えている。
1995年のVHS/LD再リリース、および1997年の『特別篇』では、内部のタイトル部分を斜めから水平にしたロゴが用いられた。その後の各種リリースでは「STAR WARS」ロゴとサブタイトルを組み合わせた、他作品と統一のフォーマットのロゴが適宜使用されている。
ちなみに、2018年のスピンオフ映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のタイトルロゴ
は、本作のオリジナルロゴ同様の字体で置いた「SOLO」を同様に右上がりに傾け枠で囲ったデザインとなっており、ハンが活躍する本作へのオマージュが感じ取れるようになっている。
他のシリーズ映画作品同様、ノベライズ作品が刊行されている(2014年以降「レジェンズ」に分類)。著者はドナルド・F・グルート(ドナルド・F・グラット)。原著は1980年刊行。
脚本をもとにしたノベライズの常として、ヴィアーズ将軍(ホスの同盟軍基地を攻撃する帝国軍司令官)の戦死シーンなど、映画では削除されたシーンも多くがそのまま描かれている。また最終的に撮影現場のアドリブが採用されたことで有名な、クラウド・シティでのハンとレイアのロマンチックなやりとりも、映画とは異なる脚本段階の台詞がそのまま残されている。
日本語訳書籍は3度にわたり訳と出版社を替えて刊行されている。固有名詞訳も版によって変動があり、古いものでは、カタカナ慣れ、スター・ウォーズ設定慣れした現代から見ると一種独特な漢字訳語などを見かけることもある。
(要登録)。| スター・ウォーズ レジェンズの邦訳小説 (作中時系列順) |
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|---|---|---|
| 前作 | 本作 | 次作 |
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シャドウズ・オブ・ジ・エンパイア [帝国の影] (3ABY) |
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最終更新:2025/12/08(月) 13:00
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