アルテリオス計算式とは、古代ギリシャにおいて万物の巨人と謳われた偉大なる数学者アルテリオスによって考案された高度な数式のことである。
普段、我々が目にする“攻撃-防御=ダメージ”という計算式は、数式の完成後、アルテリオス本人の手によって簡略化がなされた数式である。現在では失われてしまった本来のアルテリオス計算式はあまりに難解な数式であり、かのアルキメデスをもってしても理解出来ず匙を投げたとされるほどであった。そのことを風の便りに聞いたアルテリオスは、アルキメデスの元を訪れ親身になって手ほどきをしたが、なお理解には相当の時間を要したという。アルキメデスが寝食を忘れて数式に挑んでいる間、アルテリオスは現在のアルテリオス計算式の基礎となる『市民のためのアルテリオス計算式』を著述し、アルキメデスを慄然とさせた、という逸話が残っている。
残念なことに本来のアルテリオス計算式の手がかりとなる上述の著書は、アルテリオスの死後、計算式の悪用を恐れた弟子たちによって散逸させられてしまっており、今では唯一簡略化された数式が伝わるのみである。
民明書房刊『古代数学で紐解くロールプレイングゲームの歴史 第15版』より
アルテリオス計算式とは、RPGなどにおける王道を征くダメージ計算式の一つで、RTA動画の投稿者であるbiim兄貴がそれに付けた名称である。
biim兄貴がアルテリオスRTAを行った際に解説及び命名したもので、アルテリオスのダメージ計算方式がこれにあたる。
なお名前にアルテリオスと付いているが、このダメージ計算式を採択したゲームは歴史上アルテリオスが初というわけではない。あくまで認識と命名の契機となったゲームがアルテリオスという事である。
具体的に説明すると、
攻撃側の攻撃力-防御側の防御力=ダメージ
という単純極まりない計算式である。
レトロゲームやTRPGでしばしば見られる計算式であるのだが、レトロゲームに用いられた場合、往々にして「適正LVより低いと敵に攻撃がサッパリ通らず、適正LVを超えると与えるダメージが何倍にもなる」という状況に陥りやすく、戦闘バランスが適正になる範囲が狭い。
(実例は長くなるので割愛。 ここを参考にするとわかりやすいだろう。また、上手い計算式の扱い方について当掲示板でも熱い議論が交わされている)
また、前述のとおりレトロゲーに多く採用されているが、ゲームバランスがおかしい場合が多い。
経験値のバランスが悪いことが多く、LVが上がったときの能力値上昇が多すぎる(少なすぎる)、では装備で補正しようにも強さと値段が不釣り合い、敵の防御力とHPのインフレにプレイヤー側がついていくのが難しいなどプレイ時間が延びてひたすらゲームのテンポが悪くなることに拍車をかけている。
だが、ドラゴンクエストシリーズ(攻撃力/2-守備力/4≒(乱数)ダメージだが)をはじめマリオストーリーやペーパーマリオRPG、ファイアーエムブレムシリーズや数々のウォーシミュレーションなどが高い完成度であることを踏まえると、アルテリオス計算式の特性を正しく理解すればゲームバランスは悪くならないと言える。
この計算式を演出を含めて最大限に発揮されたのはFC版ドラゴンクエストだろう。本作では最強武器のロトのつるぎと準最強武器のほのおのつるぎでは与えられるダメージ差は6程度だが、この差が守備力200(被ダメ50軽減)のりゅうおうを倒すのに必要な攻撃回数にかなりの開きを作っており、ロトのつるぎの必要性をフラグを使わずに見事に引き立てている。
つまり悪いのはガバガババランスのレベルデザイナーということ。アルテリオス計算式を採用しているゲームの全てがクソゲーというわけではないどころか名作もたくさんあるのだ。
説明では欠点ばかり目立つが、調査する事で敵のHPと防御力といったステータスさえ判明すれば戦闘展開の予測がしやすく、RTAのチャート作成がしやすいという利点もある。ただしその性質上低レベル進行に不向きという面もあるため、いずれにせよアルテリオス計算式を採用しているゲームのRTAは予断を許さない。
一般的に、扱う数値が小さいゲーム、ステータスが固定されている、あるいは成長が緩やか(最終ステータスが初期ステータスの数倍程度までで収まる、ということ)なゲーム、防御力が必須要素ではなく装甲がある敵以外はほぼ0になっているようなゲームに向いている。
上述のマリオストーリーの場合、プレイヤーの最大HPのカンスト値が50で攻撃力は僅か6とRPGとしては極めてデフレしており、プレイヤーを含め明確に装甲を持っている敵以外のほとんどの敵の防御力が0に設定されている。
ファイアーエムブレムの場合も各ステータスの上限値はせいぜい30程度で、防御力は終盤でも20を超えるユニットはほとんどいない。その上で、武器の威力が5~12程度あるため全く攻撃が通らないという事態はほとんど起こらないようになっている。
これらの場合、戦闘結果の予測のしやすさからプレイヤーが緻密な戦略を練ることができ、例外的に高い防御力を持つキャラとどう戦うかという駆け引きや、ステータス傾向からくる戦闘相性など独特の面白さが生まれるようになっている。
ドラゴンクエストなどの一般的なRPGの場合、正しく運用すれば「物理が通らない敵には魔法が有効」「魔法使いの物理攻撃は基本あてにならない」など直感的にPCの役割や敵の倒し方が分かりやすくなっている。
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最終更新:2025/12/07(日) 06:00
最終更新:2025/12/07(日) 06:00
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