倉山満「そうですね」
三橋貴明「今日はですね。倉山さんちょっと教えていただきたいことがあって、それでこういう場を作っていただいたんですが」
三橋貴明「チャンネル桜にご出演されたときに、私もいたんだけども、「保守」という言葉について、「保守っていうのは、保守派って言うのは別に無いんだよ」と仰ってましたよね」
倉山満「なんかそういう言葉を名乗って自己満足している集団いますよね」
三橋貴明「いますね。日本に。それは保守じゃなくて本来は違うって話をされていたのがまず1点と、もうひとつは私が上念司先生と対談をやっていた時に、公演でやっていたんですが、その時私、私もよく「保守派のくせに」とか「保守派の三橋」とかいわれるんだけども、名乗ったこともないし保守って何かよく分からないんで、ちょっとそういうのも分からなくて、「「こういう問題はこう対処しましょう」「こういう問題はこう対処しましょう」って言ってるだけですよ」って言ったら上念さんが「三橋さん、それが保守なんですよ」と言っていたんですけども、それをぜひ教えていただきたいですね。保守の元祖」
倉山満「そうですね。二つの質問のようで実は同じ質問でして、「元々保守って何だ」っていうこと、思想じゃないんですね。なぜならば別にそんなこと思想にしなくても普通に生活していたらそこに穏やかな生活があるんで、別に考えなくても生きていけたんですよね。ところがフランス革命というですね、非常に野蛮な、もう物事を理性で考えたり理屈で考えたら上手くいくみたいなですね、上念先生でそういうところの「設計主義」ですね。「世の中矛盾があるのはおかしい」「一年はなんで365日うるう年があるんだ一年を300日にしよう」「ついでに1ヶ月を30日づつ10ヶ月にしよう」とかですね、そういうことやると無茶苦茶になりますよね。そういう馬鹿なことやる人たちがいたんで「それおかしいでしょう」と言っていたのがイギリスで有名なエドマンド・バーク。彼はフランスでいうとシャトーブリアンだった。だから頭がおかしい人たちに対して常識を解いていたのが保守であって、「反革命」なんですよね。「半革新」に対するものが「保守」としてあるものであって、「これが保守だー」みたいなですね、そういうものは無いんです」
三橋貴明「革命がある前はってことですね。フランス革命がおきてしまって、もう目茶目茶やったわけですよね革命派たちが」
三橋貴明「そうですよね。それに対する対抗の思想なんですか?思想じゃなくて立ち位置なんですか?」
倉山満「立ち位置ですね。思想というよりは」
倉山満「そうそう、それで整理していったら「保守思想」みたいに構成で分類されますけど、同時代のバークであるとかシャトーブリアンっていうのは頭がおかしい人たちに対してものの理と解いていたと。その「ものの理」って誰かがいきなり頭でポーンと思い浮かぶものかっていう、むしろそういうルソーみたいなのがおかしいんであって、「歴史とか文化とか伝統にのっとって今に至るまで流れてきたでしょ」みたいな」
三橋貴明「よく分かります。日本で保守について語る人が、「いや保守の元祖はエドマンド・バークだよー」とか言うんだけれども、それもちょっと違うんですよね」
倉山満「だからバーク言う人とシャトーブリアン挙げる人がいないのが不思議ですよね」
三橋貴明「そうですね。同じことやってたのに」
倉山満「で、こういうところでニコ動なんかで「バークについて語れ」とか、そういう人に限って「シャトーブリアンってどんな人ですか」って、ぜひとも私の知らないことを教えて欲しいですよね」
倉山満「お母さんとお姉さんに「政治ごっこやんないで生活ちゃんと立て直しなさい」って怒られながら反革命活動をやっていた人ですね」
倉山満「そうですね。で革命で没落してナポレオン勢にも痛めつけられて王政復古をやり遂げたっていう」
倉山満「まぁ亡命したりいろいろ、とにかく生き延びて徹底抗戦したわけです。なんか我々の未来みたいですね」
倉山満「今一生懸命亡命先模索してるんですけど、どこいっても某国の人たちいるんで10億超えているんで、もう逃げ場が無いんでここで戦うしかないなと最近思っているんですけども」
三橋貴明「この国でね。よく分かるんですけども最近ね、ヨーロッパが大混乱になってるじゃないですか。特にユーロ。あれはユーロというシステム自体が財政政策と金融政策を分離して「通貨統合でーす。為替レート無しにしましょう。資本移動自由にしましょう。人の行き来も自由にしましょう。ヨーロッパ大帝国です」みたいなノリで、たぶんこういうテーブルの上で机上で学者が考えたのをそのまま当てはめたんだけども、あれも革命ですよね」
倉山満「三橋さんが出てた経済討論の中で神回だとおもったんですけども、あの田村秀雄先生が経済学の話で延々「ギリシャを入れないといけないとヨーロッパじゃない」という話をしだしたんで、本当にユーロって経済学の概念を超えてるんだなと」
倉山満「本当に経済学的合理性が無いということがよく分かりました」
倉山満「そうそうそう。田村先生が話ばっかりしていたんでびっくりしました」
倉山満「そういう人じゃないですよ本当に。むしろ「週末の休みの日は経済のデータを整理してみんなに分かりやすいようにデータを作るのが生き甲斐」みたいな」
三橋貴明「私と同じだ」
倉山満「そうです。学者より学者みたいな感じで言われていた人がいきなり、自分の専門を大事にしていて専門外のことは言わないんですが、やっぱりユーロっていうわけの分からない、合理性の無いものについて語る時はそういう不合理な事実を語るしかないっていう。それがよく分かりましたね」
三橋貴明「合理性が無いということですね。もうみんな分かっちゃってると。でね、ユーロもそうなんだけれども、そういう後ろに、上念さんじゃないけど陰謀チックな話をすると「国境線を消そう」っていうようなそういう革命的な発想があるように思えるんですけども」
倉山満「はい」
三橋貴明「いわゆる「地球市民」とかですね。「グローバリズム」とかですね。あるいは「世界革命」でもいいですよ、それとユーロって変わらないんじゃないのって思うんだけれども」
倉山満「ユーロの場合は神聖ローマ帝国復活させたいだけですよね。神聖ローマ帝国と今のEUの違いって何かっていうと選帝侯が27人に増えたっていうただそれだけ」
倉山満「昔7人から9人に増やすの大変でしたからね。選挙権ってそれぐらい大変」
三橋貴明「一応領土も広がったわけですね。ギリシャから大西洋までと」
倉山満「でもどの過去のヨーロッパの帝国とも重ならないというのがあって、そういうのを見て行かないとわかんないですね」
三橋貴明「はい。ちょっとフランス革命に戻るんですけども、ロシア革命も同じだと思うんですけども、結局今いろんな問題があって、それで鬱屈として閉塞感に包まれている人がいるわけですよ。そういう人が「なんかもう耐えられねぇな。じゃあ全部リセット!」っていうのが革命ですよね。基本的には」
倉山満「そうですね」
三橋貴明「で「まぁちょっとずつ改善していこうよ」ぐらいが保守っていう位置づけでいいと思うんだけれども、ロシア革命のときはそういう人いなかったんですか?」
倉山満「ロシアの保守派っていうのは腐敗しきっていましたからね」
三橋貴明「腐敗しきっていたんですね」
倉山満「だから保守っていう奴は腐敗派だっていう時に、本当に革命、暴力革命ができちゃった」
三橋貴明「なるほど。でもフランスはそうでもなかったと思うですが」
倉山満「フランスはもう本当に財政破綻が大きいですよね。戦争やれば負けて財政破綻してっていう、だからあれはまだがんばれたんですよね」
三橋貴明「本当はね」
倉山満「本当は。ちなみにルイ16世ってすごい人望がある王様で、池田理代子っていう大嘘つきのせいでひどい目にあってますけどもね」
倉山満「「ベルばら」っていう、あの世から名誉毀損私が代わって起こしたくなるようなひどい漫画がありますけども、スイス人の傭兵の親衛隊が革命派からルイ16世守るために一人残らず死ぬまで戦っているんです。すごい人望があった人なんですね。でなぜか浮気性の奥さんの方が美化されているという意味不明な。ちなみにフランス人は「マザーテレサとかシュヴァイツァー博士と一緒に少年少女が読む伝記漫画に「マリー・アントワネット」が並んでいる」っていうと信じないんです」
倉山満「本当に信じないっていうんですね」
三橋貴明「そうですね。結局鬱屈とした気持ち、「ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃしてなんかめんどくせぇなぁ、綺麗まっさらにしてなんか美しいものを作ろう」っていう発想なんだけれども、実はこれって経済学の基本と同じなんです」
倉山満「そうなんですよ」
三橋貴明「ご存知でした?」
倉山満「本当にもうそれこそアダム・スミスが経済学者かっていうとそうじゃなくて」
倉山満「国家経営学の中でお金の話も入れないと政治とか軍事とかだけじゃ国は守れないよという発想からですよね」
三橋貴明「はい。で、経済学者っていうのは美しい数式モデルを書かないと評価されないんですよね」
三橋貴明「ノーベル経済学賞は数式モデルを作らないと評価されないんだけれども、数式モデルを作るには人間を色んな勝手に動き回るような本当の人間的に捉えたらかけないんですよね数式が」
倉山満「だから合理的な人を作るんですね」
三橋貴明「「経済人」って奴ですね。これもう結構一種の革命に結びつくような、要は美しいわけですよ経済学って、経済学者ってたぶん全部合理的に説明できる美しい世界っていうのを持ってるわけですね。それは学問だからいいんだけれども、それを現実に当てはめようとするとロクなことにならないなぁっていうのが色んなところでおきている問題の根底にあるんじゃないかなぁと」
三橋貴明「マルクスも彼の頭の中に美しい社会があったんですよね。世界があったと」
倉山満「方程式使わないでああいうモデルつくるとああなるみたいな」
三橋貴明「そうですね。でそういうことはですね。それこそ上念さんのいう設計主義とか机上の学者たちが数式を使って「こういう世界にしよう」なんてことやったら、まぁロクなことにならないんで、それに対抗するものが「保守」ですよっていうことでいいと思うんですけどね」
倉山満「そうですね。そのよくわかんないモデル的世界っていうか自分の世界に閉じこもってしまって、なんでそんな白川さん嫌いなんですか?まさに彼の頭の中がそうやって出来上がってますよね」
倉山満「みたいですけどね」
三橋貴明「ただね、やっぱり結局経済学の進化の仕方っていうのが、まず「経済人」という絶対にありえない経済合理性だけを追求する人間じゃない人間をおいて、それで彼と経済人だけの世界があって、更に全員の情報が均等、不均衡が無い状況で、閉じられた世界で、みんなが経済合理性を追求すると美しいパレート最適みたいな社会が出来上がるっていう、ハッキリ言うとファンタジーなんですよ」
三橋貴明「架空の世界です。ところがそれを勉強した学者さんたちが「なんか現実おかしいなぁ。なんか俺の頭の中にある美しい世界と違うなぁ」ってことでいろいろこうやってきているっていうのがあって、代表的な人を言うと竹中さんですね。ハッキリ言って。だかれそれで「そういうの無いから」と。美しい世界はと。それでフランス革命もロシア革命も今のグローバリズムとか新自由主義もそうなんだろうけど、そこを分かってもらいたいなぁということで対談をやったわけなんです」
倉山満「たとえば一つの完成されたモデルとして、モデル自体が悪いわけじゃなくて、人類が考え出した最も美しいモデルって実は日本人が考えてて、実は将棋なんですよね」
倉山満「将棋って一つの戦争モデルじゃないですか。でも人間が将棋の駒のように完璧に動くとかルール通りに駒が動くなんてことは絶対に起き得ないじゃないですか。何よりも戦争ゲームなのにお互い情報が均等に分かり合っている。」
三橋貴明「はい」
倉山満「でもあえてそういう状況を設定することによって思考訓練ができる、みたいなものとして使う分にはいいんだけれど、じゃあこの世が全て将棋だと、「こいつは桂馬のはずだ」とか「こいつは槍のはずだ」」
三橋貴明「「こう動くはずだ」とかみたいな感じで」
倉山満「でも人間はいきなり桂馬なのに桂馬の動きできないとか、みたいなそっちのがあるわけですね。だから一つのモデルと現実とを、そのギャップというか摩擦といいますね、その摩擦をどうやってある中で埋めていくかっていうことが本来のモデルの役割なのにそのモデルをそのまま当てはめようとするとそら悲劇になって、しかも現実に影響力が大きい政治家とか学者とかだったら大変ですよ」
三橋貴明「大変ですよ。実際大変になってます」
倉山満「大変になってますよね。というものに対抗するために、どこでバランスを取るか」
倉山満「っていうことですよね」
三橋貴明「そういうちゃんと現実を見て「いやいやまぁいいじゃないか君の頭の中にある美しい世界は分かったから。でも現実はこうだからこういう感じで行こうよ」なんてことであるのが本当は保守「派」って呼ばれるべきだと思うわけですよね」
倉山満「でもぜんぜん違ってますよね」
三橋貴明「はいぜんぜん違ってます」
倉山満「じゃあどういう風に頭がおかしくなってるかの連中を検証していきましょう」
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