日本漫画史、ひいては世界の漫画史にその名を残す偉大なキャラクターであり、その生き様の見事さ故に主人公であるケンシロウをも喰らった主人公食いキャラとしても有名。
概要
北斗神拳第64代伝承者候補。修羅の国(現在の中国に当たる)にてカイオウの実弟として生まれ、さらに弟にトキを持つ。少年時に幼子のトキ、乳飲み子のケンシロウをその胸に抱き、戦乱に荒廃した修羅の国を出て現在の日本に当たる国に流れ着く。その後、北斗神拳第63代伝承者リュウケンの元へと向かいその養子となる。その際にケンシロウ・ジャギの義兄にもなる。
養子となる際に、リュウケンに「養子にするのは崖を登ってきた方のみ」と言われ崖下に突き落とされる。
ラオウはあくまでトキと共に養子になるつもりでいたが、トキは突き落とされた際に負傷してしまい、崖を登れない状態になってしまう。そのためラオウはトキを片手に抱えたままもう片方の手だけで崖を登りきるという荒業を実行し、見事崖を登りきってリュウケンにトキも養子に迎える事を承諾させる。
ラオウ自身も類稀なる拳法の才能を持ち高い実力を示していたが、見よう見まねで修行の真似事をしていたトキの才能を見たリュウケンによってトキも伝承者候補に加えられる事となる。後に自らも凌駕するかも知れない程の使い手に成長したトキに、ラオウは「もし自分が道を誤ったらお前の手で殺してくれ」と頼む。その後、死の灰により不治の病に侵されたトキは伝承者候補から脱落したものの、この誓いはトキが絶命するまで両者の間に生き続けており、トキの逝去後は末弟であるケンシロウがその誓いを引き継いだ。
拳の質の違いから、またその悪しき野望から、暗殺拳である北斗神拳伝承者には不適格であるとされケンシロウが伝承者に決定したが、ラオウ自身は自身の野望においては伝承者になる事は必須ではないと考え、逆に今まで学んだ北斗神拳をもって天下を支配することを目論んだ(実際は世界に再び平和を取り戻すためには恐怖政治を敷くしかないという彼なりの決断の結果であった)。その野望を危険視した師父・リュウケンをも殺害したラオウは、その後自ら「拳王」を名乗り、圧倒的な兵力と天地をも砕く剛拳で乱世に覇を唱えた。
しかし、ケンシロウが北斗神拳究極奥義「無想転生」を会得したことにより状況は一変、その圧倒的な力に生まれて初めて恐怖したラオウは、拳に一生を捧げた北斗の長兄として大変に苦悩する。その後、恐怖を克服するために挑んだ南斗五車星の一人山のフドウとの戦いにおいても恐怖を克服することが出来なかったラオウは、最愛の人・ユリアを手にかけることで莫大な哀しみとユリアへの愛を背負い、遂に無想転生を会得した。
拳王としての地位、平和の追求、最愛の女性、文字通りすべてを犠牲にしてケンシロウとのラストマッチに挑んだものの、結局幾多の強敵(とも)たちとの戦いの中で成長した末弟ケンシロウの無想の拳の前に敗北。たくましく育った弟の姿に目を細めたラオウはケンシロウの健闘を称えた後、全ての闘気を天に放ってついに絶命した。その際に放った最期の一言「我が生涯に一片の悔いなし!」はあまりにも有名。
他作品でのラオウ
上記は原作「北斗の拳」においてのラオウであるが、「ラオウ外伝 天の覇王」や「リュウケン外伝」においては、特にリュウケンとの対決のシーンに関していくらか描写の違いが存在する。
「ラオウ外伝 天の覇王」では七星点心で追詰められ、リュウケンが発作で止めを失敗するところまでは同じであるが、ラオウは一撃を放っていない。「やはり神はこの俺と戦いたがっているのだ」と叫んだ後止めを刺さずに立ち去り、リュウケンはそのまま病の発作によって死亡する。
「リュウケン外伝」ではそもそも対決に至った経緯からして異なる。
原作では伝承者候補がケンシロウに決定した事をラオウが知ってから、伝承者ではないラオウはこの後どうするのか…と問いかけるところから始まるが、リュウケン外伝ではケンシロウに決定はしたものの、ラオウ等ほかの候補にはまだそれを知らせていない段階の話になる。
理由を明かさないままラオウに襲い掛かり、戦いの中で「伝承者はケンシロウだ。だが、ケンシロウは甘すぎる。お主の究極の拳を持ってケンシロウを打ち、伝承者としての力を引き出すのだ」と言う密約のようなものを交わす。そしてその最中に核戦争が勃発し、リュウケンは戦いで消耗した体に残った最後の闘気を使ってラオウをシェルターのある方向へと吹き飛ばして最後を迎える。
性格
己の意にそぐわないものは力でねじ伏せる、もしくは手に入らないものは力ずくで奪う、という弱肉強食的な考えが随所に見られる。
幼い頃に両親を失って以来理不尽な経験を重ねてきた事が原因と言われるが、リュウケンに会うまでには既にこの性格が出来上がっていたものと思われる。
覇道を目指してからも、「思いが通じぬのなら」と自害したトウに「想いが叶わないなら俺を殺して自分のものにすればよい」と言い放ったり、無抵抗主義を唱える村の村長を「意志を放棄した人間は人間にあらず!」と殺害している(ただしTV版では吹っ飛ばされるだけ)事から、弱肉強食がラオウの行動原理となっている事が分かる。
そうした信条を自分以外の人間にも当然のように押し付けてきたラオウであったが、確固たる意志を持った人間に対してはたとえ少年であっても一目起き敬意を払う姿勢を見せている。
自らが住まう村の目前まで拳王軍が進撃して来た際、そのまま拳王軍に村が侵略される事と自分がラオウと戦い共倒れになり拳王軍の統制のタガが外れてしまう事をどちらも回避するために自らの右足を切って差し出したファルコに「うぬの右足は一国にも値するわ」とまで評価しファルコの嘆願の通りに拳王軍を転進させたり、「神に復讐する」と言ったバランを共として同伴させ北斗神拳の技を盗ませていた。実際、ファルコやジュウザなど、その心意気、覚悟を買って見逃した敵、敬意を払って見送った敵は数多い。
なお、サウザーの体の秘密については「トキが知っている」事は知っていても、自分自身はケンシロウが闘いの中でサウザーの秘孔を露にするまでは見抜けていなかったようだ。
闘わずしてその秘密を見抜いていたのは医学にも通じていたトキだけで、ケンシロウも一度目の戦いでは見抜けずに敗北を喫し、二度目の戦いの中で拳を打ち込み鼓動の音を聞き取れる距離まで肉薄してようやく見抜いたほどなのだが、ケンシロウとの闘いに全てを懸けるようになる前のラオウは覇道のために慎重に事を進めようとする節があり、その例によってサウザーとの戦いを避けていたため、見抜く機会が無かったのだと思われる。
ラオウの技
- 二指真空把
飛んできたボウガンの矢などの飛び道具を受け止めそのまま相手に打ち返す奥義。
ケンシロウなども使用した他、南斗の人間であるレイなどもこの技の存在を知っていたなど、広く知られている技。ラオウはトキとの対決中にマミヤにボウガンを撃たれた際に使用した。
北斗琉拳にも似たような技がある。 - 北斗剛掌波
闘気を手に集めて前方に放つ。後にケンシロウやバランも使用する。
AC北斗の拳では必殺技として登場。 - 天将奔烈
両の手に集めた闘気を一気に発射する、ラオウの必殺奥義。後にケンシロウも使用する。
剛掌波との違いは闘気の量? ケンシロウのこの技をハンが見た時に「ラオウの技」として驚愕している点から、ラオウが独自に編み出した奥義だと思われる。
AC北斗の拳では究極奥義として登場。 - 秘孔・新血愁
奥義ではないが、AC北斗の拳にて究極奥義として登場しており、また原作でもストーリーに関わった技であるので記載する。
ちょうど鳩尾の辺りに存在する、「突かれたものは3日間全身の激痛にのた打ち回った後死ぬ」と言う秘孔。レイが断己相殺拳を使おうとした時にマントをかぶせて妨害し、その上で秘孔を突いた。
AC北斗ではマントを被せるところから秘孔を突くところまでが一連の技になっている。レイの強力な切り返し技・断己相殺拳に合わせて出すと問答無用で断己相殺拳が不発した上で新血愁が刺さるという原作再現が起こる(新血愁に特別に設定された効果ではないが…)。 - 北斗天将雷撃
名前はAC北斗の拳より。上段から強烈なチョップを繰り出す。
トキやフドウに対して放ったチョップだと思われる。 - 北斗呑龍呼法
名前はAC北斗の拳より。ケンシロウが使った転龍呼吸法の類似技? - 北斗羅烈拳
名前はAC北斗の拳より。「北斗羅掌拳」と言う名前もあるが恐らくこちらは誤字。
「俺の剛拳、いつまで受けきれるかな?」といいながらラッシュを仕掛ける技。 - 北斗滅天把
名前はAC北斗の拳より。一撃必殺奥義として登場。
原作ではケンシロウとの決戦で最後に放った、ラオウ全身全霊の拳。 - 七星点心
人間の死角を辿ると北斗七星の形になると言う事から、北斗七星の形に動き相手の死角から致命の一撃を放つ技。
本来ラオウにはこの奥義は伝授されていなかったが、リュウケンとの対決の際にこの技を受け、そこで体得したものだと思われる。
ケンシロウとの対決で使用しあらゆる方向からの突きを放ったが、無想転生によって全てかわされた。 - 無想陰殺
無意識に繰り出される必殺の拳。頭で考えて拳(脚)を繰り出すのではなく、気配と殺気を感じ取って繰り出す。考えて出す拳は相手への恐怖があるが故に隙が生まれるが、無想の拳にはそれが無いため隙も無いという技。
原作ではトキとの対決中にトキに背後を取られて攻撃された際に放たれ、技名は横で見ていたケンシロウの解説による。
AC北斗の拳では普通に自分でコマンド入力して出す技であるが、オーラゲージを消費する代わりに様々な技からキャンセルで出す事が出来ると言う特殊な必殺技になっている。 - 無想転生
北斗神拳究極奥義。AC北斗の拳でもケンシロウと同様に究極奥義として登場する。
哀しみを背負ったものだけが体得できるという奥義で、北斗1800年の歴史の中で未だかつて体得したものはいないと言われる。しかし哀しみを背負いさえすれば体得出来るのかと言うとそうでもないらしく、北斗の歴史の中で無想転生を体得したケンシロウとラオウはいずれも北斗宗家の血を引く人間であった事が後に明らかになっている。
AC北斗の拳での性能
トップクラスの攻撃力と防御力を併せ持つ重量キャラクター。
原作での性格を反映して、後退=バックステップが出来ず、代わりに専用の避け動作になる。(歩いての後退や空中のバックダッシュは出来る。膝もつく)
そのデカさを生かしたリーチと攻撃力で相手の体力ゲージをガシガシ削っていく。気絶値も全キャラ中No.1でピヨりにくい。
全体的に技の動作が遅く立ち回りは辛いが、無想転生や無想陰殺である程度フォロー可能。
しかしながら全ての技がガードされると不利なので気軽に出せる技が少ない。飛び道具も発生が遅く硬直が長い北斗剛掌波しかなく、座高が高い為専用の中段技が多い事・画面端に追い込まれた場合、ラオウだけは画面端を背負っても低空ダッシュ攻撃がめくりになってしまうことがよくある(しかも相手が着地すると表ガードになったりする)。
その為ゲージ依存率が高く、ゲージが無い状態でサウザーやレイに追い詰められると何もできずにそのままKOとなる事が多々ある。
特にボールになってしまった状態では、よほど体力差があって残り時間が少ない時以外はもはや防御力など意味が無く、防御力が高い=死ぬまでの攻撃回数が多い=相手のゲージ回収が余分に進む と言う、「体力が多くて不利」と言うおかしな状況にすらなりうる。
こういった機動力の無さや防御性能の悪さから守りに入るとキツイく、一時はジャギやマミヤを差し置いて最弱かと思われたが、その後のプレイヤーの研究により、いわゆる「小足から10割」という、全キャラへの即死コンボが開発され、汚名を返上している。
小足から10割が当たり前と噂されつつも、何だかんだ言って即死コンはゲージ必須だったり超高難度だったりキャラ限定だったりする中、目押しの練習さえ出来ていれば本当の意味での「全キャラ小足からノーゲージ10割」を達成出来る唯一のキャラである。
闘劇08直前に志郎氏がトキ等の空中の食らい判定が特殊なキャラに対して容易にサイが入るコンボを開発(通称志郎SP)。
これによりダイヤグラムが覆るかと思われたが、紅の豚氏が対ラオウ限定コンボを開発。やはりトキはトキだった。
かくしてピカイチのワンチャン力によってトキ・レイ・ユダにならぶ4強に数えられるまでになったが、立ち回り能力が辛いのは変わらないため、「3強に絞ったらどうなるか」と言う話では真っ先に下に落とされる位置ではある。位置的には、トップ3強(トキレイユダ)と中堅トップ(ケンシロウ)の真ん中くらいの位置。
主な有名プレイヤーは今も尚全一ラオウと呼ばれる赤カラーの志郎や黒カラーのKAと秋田のジェフリー、白カラーのこじゅ、全一口プレイ(主に性的な意味で)のライブラ等が有名。
関西方面では北斗を始めて僅か3ヶ月で切符を取ったたーし氏や06闘劇にケンシロウで出場し現在はラオウにキャラ変えしたDK氏など。
歴代担当声優
関連動画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アミバ
- トキ(北斗の拳)
- ジャギ
- ハート様
- シン(北斗の拳)
- サウザー
- ケンシロウ
- ユダ(北斗の拳)
- レイ(北斗の拳)
- リュウガ
- ユリア(北斗の拳)
- シュウ(北斗の拳)
- ジード(北斗の拳)
- マミヤ
- リン(北斗の拳)
- バット(北斗の拳)
- 北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝
▶もっと見る
- 16
- 0pt