ミツバチが作りだす甘い甘い蜜のことである。
概要
その名の通り、ミツバチが巣に溜めこんだ蜜のことである。
蜜そのものは色んな花から集めてきたものだが、ミツバチは蜜を体内に収めて運ぶ(つまり飲みこんで巣で吐き出す)為、元の花の蜜に比べてミツバチの体内で消化・分解されている部分が多い。また、巣に運んだり貯蔵したりしているうちに濃縮され、水分量の少ない非常に糖分の高い蜜になっている。
特性
とても甘い匂いを発し、舐めるとやはりとても甘い。主成分はブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)で、砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)に比べて人体への吸収が速い。これら糖分の他にもビタミンやミネラル等の微量成分を含んでおり、その為どの花から蜜を集めてくるかによって蜂蜜の味や色、香りも微妙に異なっていく。日本ではレンゲやアカシアの花から採られた蜂蜜が一般的だが、探せば結構な種類の花の蜂蜜がある。中には花の蜜ではなく、アブラムシの分泌した蜜を集めさせた蜂蜜(甘露蜜)という珍品もある。
蜂蜜はとても腐りにくいので、一般的に瓶詰めで常温保存される。長期間放置しておくと底の方から白く固まってしまうことがあるが、これは蜂蜜の中のブドウ糖で、気温が低くなると固まりやすくなってしまう。この為、冷蔵庫で保存するのはやめたほうがいい。固まった蜂蜜は温めれば融けるが、熱することで風味や色味が落ちることもあるので注意。瓶ごとゆっくり湯煎すると影響を少なくできる。
現代
現代において人間が食べる蜂蜜は殆どが養蜂によって生産されるものだが、自然界にもミツバチのいるところには蜂蜜が作られており、他の動物にとっても貴重なエネルギー源となる。くまのプーさんやアオアシラのように、熊の大好物のように表現されることがよくあるが、別にそういう訳でもないらしい。
たまに勘違いされているが、蜂蜜とメープルシロップはまったくの別物である。あと水飴も別物。「糖蜜」と呼ばれるものも、また別物である。
養蜂
蜂蜜の歴史は人類の歴史とともにあり、文明の生まれるよりも前の時代から蜂蜜が食べられていたようである。始めのうちはミツバチが自然に作りだした巣を採取していたが、紀元前5000年頃にはミツバチを飼育する「養蜂」が発明されていたという。日本でも7世紀には大陸から養蜂が伝わっていたという。
現代の養蜂では、木組みの枠を沢山用意して、そこにミツバチの巣を作らせる方式が主流である。蜜が溜まったら巣箱から枠を外し、遠心分離器にかけて蜜を絞り出し、また木枠を巣箱に戻して溜めさせるのである。遠心分離以外にも、巣を潰して搾りだしたり、切り口から自然流出させる方法もある。
生産
世界的には中国が最も養蜂が盛んで、かつては北米や旧ソ連でも生産量が多かった。
日本でも養蜂業はまだ存在しているが、安い海外産蜂蜜に押されて苦境に立っている。一方で、趣味でやっているアマチュアの養蜂家もいたり、環境保全の一環として養蜂が行われているところもある。素人からはじめられる養蜂キット等も販売されている。ただし、養蜂は「養蜂振興法」という法律で制限がなされているもので、また蜂が飛び交うことが前提なので周囲に迷惑を及ぼす可能性もあり、考えなしに好き勝手に行っていいものではない点には注意。
用途
甘い甘い蜂蜜は当然食べておいしい物。そのまま舐めてもよし、パンやホットケーキに塗ってもよし、ヨーグルトに添えてもよし。
料理に蜂蜜を使うことも多く、甘みを出すだけでなく照りをつけたり、魚の臭みを抑えたりする目的でも使われる。ただし、砂糖やみりんに比べて蜂蜜独特の甘ったるい匂いも加わるので、少々好みの分かれるところではある。アメリカ料理ではしばしば肉料理に蜂蜜を使うことがあり、特にハニーマスタードソースの匂いは実に食欲をそそる。
他にも、果物を蜂蜜漬けにすることもある。特にカリンや青梅のような生食に向かない果実に最適で、果実酒と違ってお酒が飲めない人でも食べられるのもいい。カリンの蜂蜜漬けは喉荒れに良いとされている。レモンの蜂蜜漬けは浅漬けくらいにして、その甘酸っぱさを味わうのがいい。
薬として
食用以外にも、蜂蜜は薬としても使われてきた歴史があり、まるで万能薬のように様々な症状に効くとされてきた。勿論漢方薬の中にも入っている。内服薬としてだけでなく、傷に塗る外用薬としても使われ、目薬にも使われていたという。実際に蜂蜜には強い殺菌作用があり、傷口に塗るのは理に適っているのだが、実は未だになぜ殺菌作用があるのかが明確になっていないという。
一方で殺菌されない菌もあり、特にボツリヌス菌の芽胞(種のようなもの)が混じっていることがあるので、1歳未満の乳児には与えてはならない食材とされている[1]。
その他
- 三国志の時代に、皇帝を自称してフルボッコにされた袁術という豪族がいたのだが、彼の最期の言葉が「蜂蜜が舐めたい」というものだったという。彼が普段から蜂蜜好きだったのかは分からないが、三国志界隈で「蜂蜜といえば袁術」とネタにされるようになってしまった。哀れ。
- 来る日も来る日も働いて、自分のために誰かのために少しずつためこんだ努力の結晶をある日家に帰ると根こそぎ持っていかれてしまっていた
はちみつとは
そういう食べ物です(出所) - 「蜂の蜜」と書くが、もちろんミツバチ以外は作らない。
- ラーテル(ミツアナグマ)、ノドグロミツオシエ(鳥)など連携して蜂蜜を捕食する動物もいる。
- 英語ではハニー(honey)と呼ばれ、恋人への呼びかけとしても用いられる。
関連動画
関連項目
脚注
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