やる夫は魔女の騎士になるようですとは、やる夫シリーズの1つである。
概要
人里離れた森の中で暮らしていた100年を生きる魔女「梨花・フルデ」が近衛騎士「やる夫・ニューソック」との出会いをきっかけに王位継承の争いに巻き込まれるライトファンタジー。
5名の王位継承権を持つ女性と、彼女たちに忠誠を誓った5名の騎士達の2年後の「王選」へ向けての争いを描いている。
2010年8月からやる夫板Ⅱにて連載が開始されたが、第19章が投稿されたのを最後に、2012年7月に作者によるエター宣言が出された。
世界観
人間の他、エルフ、ドワーフなどの異種族が暮らし、コボルトなどの魔物や、各種魔法、神々が存在するファンタジー世界が舞台となる。
やる夫や梨花の住む大陸では人間による統一王国が建国から500年を経ているが、その勢力は大陸全土には及んでおらず、ドワーフやエルフの勢力圏も健在である。
統一王国は半年前に王と王位継承者のすべてを特定の血族のみがかかる病気により失っており、新しい王になってもらうために王族の血を引く後継者の捜索を近衛騎士団に命じたのが物語の始まりとなる。
登場人物
王選関係者
- 梨花・フルデ
- 森の奥に隠れ住んでいた王家の血を引くハーフエルフ。100年以上生きているが、その姿は少女のままである。やる夫・ニューソックにより発見され、王位継承の戦い「王選」に挑むことになる。
- 4代前の王と森に住むエルフとの逢瀬の結果生まれた子供だが、人間とエルフの異種族間の関係は非常に悪く、父親である王の死後は人から離れ、森の奥で一人暮らしていた。
- 森に迷い込んできたやる夫と数日間暮らす内に人とのふれあいの温かさを思い出し、それを与えてくれたやる夫をいとおしく思うようになる。
- やる夫の正体が王位継承者としての自分を探しに来た近衛騎士だと知ったのちは、騎士としてのやる夫を手に入れるため王になることを誓い、王選に挑むことになる。
- やる夫・ニューソック
- 当初は森に迷い込んだ修行中の騎士見習いと梨花に自己紹介していたが、本当は既に王国最強クラスの近衛騎士。戦闘能力は単騎で16名の山賊を制圧するなど非常に高い。広い領地を持つ名門貴族の若き当主でもある。
- 梨花・フルデに忠誠を誓い、彼女の後見人となる。
- テト・カサネ
- 王家の血を引く女性の一人。先代王の子供と推測される。
- 街の酒場で唄歌いをしていた31歳。実年齢よりずっと若く見える容姿を持つ以外は取り立ててすぐれたところのない女性だが、騎士やらない夫に見いだされ王選に挑む。
- やらない夫・ビップデ
- テトの後見人。平民出身でありながら、多くの優れた能力や神々の加護を持ち、近衛騎士にまで上り詰めた男。「騎士の中の騎士」との呼び声もある。その反面、平民育ちゆえに演説などの政治関連は弱く、そのために王選では真っ先に脱落するとみられている。
- グレーテル
- 王家の血を引く女性の一人。先代王の子供と推測される。
- 古代兵器である銃を愛用する戦闘狂であり、好きな物は血と悲鳴で、殺人をためらわない危険な人物。裏社会では「血塗れ(ブラッドバス)グレーテル」の異名を持つ。
- 武力に優れており、彼女が王位についた暁には周辺の異種族への征服戦争が始まることが予想されている。
- ダディ・クール
- グレーテルの後見人。近衛騎士団長。しかし、その本質は戦狂いの戦闘狂。グレーテルを見出し、彼女を王位に据えての異種族への征服戦争を夢見ている。
- みゆき・タカラ
- 王家の血を引く女性の一人。先代王の子供と推測される。
- 中堅貴族の娘で、最近まで病弱ゆえにほとんどを家の中で過ごしていた。貴族生まれゆえに礼儀作法に通じ、長く家の中にいて知識の研鑽に励んだため知力も高い。
- …と思われていたが、実は真の姿は巨大犯罪集団のトップ。本物のみゆき・タカラを暗殺し、その地位と名前を奪っている。物語冒頭で梨花が山賊に襲われたのも彼女の手引きである(反転ここまで)。
- でっていう・ヨッシー
- みゆき・タカラの後見人。リザードマンと言う異種族でありながら近衛騎士団に属し、しかして得意とするのは謀略と言う異色の存在。
- みゆきと共に謀略を駆使し王選の勝利を狙っている。
- ナギ・ミクリヤ
- 王家の血を引く女性の一人。先代王の子供と推測される。
- スラム出身でありながら天性の商才で財を成した女商人。王位につけば困窮する王国の財政再建を成し遂げると期待されている。
- できる夫・パーソク
- ナギの後見人。近衛騎士団所属であるが、武力はさほどでもない。その代りに商才に長け、近衛騎士団の会計を握っている。周囲からは「超絶ドケチのできる夫」と呼ばれている。
解説
- 統一王国はその初代王から王族が神々の加護を受けており、そのおかげで王国が守護されている。そのため王の血脈は代替できるものでなく、王朝が断絶しても新しい王朝を立てようという動きは全くない。
- また、王族の血脈の加護は王から2親等までになっており、各地の諸侯に降嫁や養子として出された王族の末裔では新しい王となることはできない。そのため諸侯の反乱も起こらない。
- 加護を受けれるか判定するための道具も存在しており、5人の候補者の身元はこれで保障されている。
- 「王選」は国民の投票により新しい王を決める選挙の事。2年後の投開票に向けて5人の候補者は争うことになる。
- 過去にも王位継承者が全滅したことがあり、その際にはその当時王位継承者とみなされていなかった女性王族たちの間で「王選」が行われた。結果は一人の勝者を除いて残りは全滅。国を割る大戦争が起こり、大陸は大いに乱れることになった。
- 今回の「王選」では過去の王選の悲劇を防ぐため、後見人の5名を除く近衛騎士団などは協力を禁じられている。
関連項目
- 3
- 0pt