カーテローゼ・フォン・クロイツェルとは、銀河英雄伝説に登場するキャラクターである。
概要
宇宙暦799年6月頃の時点でおそらく15歳。階級は伍長で、自由惑星同盟の艦載戦闘艇「スパルタニアン」のパイロット。ニックネームはカリン。「薄くいれた紅茶の色」の髪を持ち、律動的な歩調が印象に残る、生気にあふれた美少女。
父は「薔薇の騎士」連隊で連隊長を務めたワルター・フォン・シェーンコップ、母はローザライン・エリザベート・フォン・クロイツェル。
元々は自由惑星同盟軍の下士官であったが、メルカッツの「動くシャーウッドの森」に参加し、以後エル・ファシル革命予備軍やイゼルローン共和政府軍など「ヤン不正規隊」で戦った。
本編では描かれなかったが、皇帝ラインハルトの死後にユリアン・ミンツと結婚したと思われる。
能力
パイロットとしての能力は定かではないが、考察する上では第11次イゼルローン要塞攻防戦が参考になる。
ヴァーゲンザイル艦隊所属のワルキューレ空戦隊との戦いで、ポプランの空戦隊が出したキルレシオは敵を圧倒するものであり、これはドッグファイト史上に残るものとされている。それは無論カリン個人による戦果ではないものの、カリンを含む若手パイロットをポプランが適切に指導した結果であると考えられるので、 彼女もまたポプランに鍛えられて相応の腕を持っていると思われる。また「ドッグファイト史上」ということは、大規模空中戦が展開された第二次世界大戦の戦果も含んでということにもなる。
そうであるならば、カリンと帝国の平均的なワルキューレパイロットとの能力差は、東部戦線におけるルフトヴァッフェ対ソ連空軍のそれに近いと考えることも不自然ではない。
性格・キャラクター
ツンデレ。情感はゆたかだがそれを制御し表現するのが不器用、と評されている。
後述するシェーンコップとの確執の影響からかユリアンにも辛く当たっていたが、徐々にユリアンと心を通わせて恋仲になっていった。
ツン期
当初は「何さ、あんな奴」という態度であり、シェーンコップを持ち上げるユリアンに対し「男には羨ましいんでしょうよ。女なら誰でもいい人ですから!」と喧嘩を売るような態度をしてしまうことがあった。しかしヤンが死に、若すぎるユリアンが重い責任を負いつつそれを果たそうとするのを見ていくに従って、またフレデリカなどと交流を持つことで態度は変わっていく。
デレ萌芽期
「安定した同盟や協商関係とはとてもいえず、薄い氷に「中立」と記入したていど」という間柄ながら、イゼルローン共和政府の軍事司令官として執務に追われるユリアンと偶然行きあった際、生前とのヤンとの思い出を話すようなこともあった。
ユリアンが年長の部下から「ヤン提督のお生命ひとつ守れなくて、何が司令官だ」などと理不尽な因縁をつけられていると間に割って入り、「あんたは、あんたを信頼し支持してくれている人たちのために、自分自身の正当な権利を守るべきではないの?」「……それは、よけいなことだとは思うわよ。わかっているわよ。でもね……」と持ち前の気の強さを活かしたお節介をせずにはいられなくなる。
デレ移行期(ツンデレ均衡期)
ロイエンタール謀反の際、ユリアンがメックリンガー艦隊に通過許可を与えた後には「皇帝とロイエンタール元帥の私戦に巻きこまれることはないわよ。自分の判断に自信をお持ちなさいよ」と励まし、ユリアンが「ありがとう、心配してくれて」とその言葉への謝意を伝えると「心配なんかしてないわよ。歯がゆいだけよ」「わたしはね、あんたがしっかりしていないなんて言ってやしないんだから」と返した。
デレ期
宇宙暦801年の新年パーティでは「ユリアン、パーティがはじまるわよ」と親しげに声をかけていることから、この頃にはユリアンに対してはツンよりデレ寄りになっていたと思われる。また他の女性兵士からは「カリンの好みは、亜麻色の髪で深刻ぶるのが絵になるタイプなんだから」とユリアンとの仲をからかわれると「そんなのじゃないわよ」と強がるも、結局後で自らユリアンに話しかけている。そして無自覚のまま、ユリアンの尻を叩き彼が責任を果たす方向へと行くような言葉を発した。
このように徐々にユリアンにデレて行くのと並行して周囲の人々に対する態度も柔らかいものになっていき、他人に素直な笑顔を見せることも多くなっていった。
カイザーとユリアンとの間で停戦合意がされた後には、ユリシーズの格納庫で母から教えられた歌を口ずさみ、 シェーンコップの死に際して落ち込んでいる様子が見られる。ユリアンが慰めるとカリンは彼の胸で泣き、「ね、わたしのこと好き? もしそうだったら、黙ってうなずいたりしないで、はっきりおっしゃい」と言っていることから、この頃にはすっかりデレモードに入っているのは間違いない。
銀英伝における萌えキャラ
カリンの言動及び変遷を考えれば、今日で言うツンデレキャラの王道を当時既に歩んでいたと言える。銀英伝にはこのほかにも
など、現代の水準においては萌えを狙ったとしか思えないようなキャラが多い。作者が様々な女性や状況を想定して図上演習を行い、ガイエスハーケンの訓練射撃を行っていたのは想像に難くない。
ワルター・フォン・シェーンコップとの関係
シェーンコップとは親子であるが、その関係はかなり難しいものであった。父はカリンの母であるローザライン・エリザベートとは短い間しか暮らさなかったため、シェーンコップ本人ですら娘の存在を知らなかった。シェーンコップがカリンを知ったのは、カリンから送られてきた母の死を知らせる手紙によって。但しカリンは連絡先を書かなかったので、シェーンコップも連絡の取りようがなかった。
二人が顔をあわせるのはヤン不正規隊が一時駐屯したエル・ファシルにおいてだが、 カリンは「自分と母は父に捨てられた」との思いが強く、感情的になってしまう。以後もシェーンコップに対しては心に壁を設けて接するが、徐々にではあるがシェーンコップに対しても態度を軟化させていく。この態度の変化については後述するポプランの助言もあるが、カリンが敬愛するフレデリカが「シェーンコップ中将は卑怯の二文字とは無縁」と説いたこと、ユリアン・ミンツを初めとする仲間と打ち解けていった影響もあったと言える。
カリンの相談に乗っていた空戦隊長ポプラン中佐は、「あの子は自分で感情を持て余しているし、それを適切に表現することが出来ない。年長者の側が出口を作ってやるべき」とシェーンコップに助言した。一方でカリンに対しては「シェーンコップの不良中年はお前さんより早く死ぬ。墓石と仲直りしても仕方あるまい」と、意固地にならないように勧めたのだった。
シェーンコップ自身はユリアンとカリンが恋仲になっていくのを知っており、「娘の結婚を邪魔する」という彼らしい希望を抱いていたものの、それが叶うことは無かった。
関連動画
関連項目
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