ワルター・フォン・シェーンコップ(Walter von Schönkopf)は「銀河英雄伝説」の登場人物。
ヤン艦隊の幕僚の一人。
CVは羽佐間道夫(石黒監督版OVA)、三木眞一郎(Die Neue These)、斉藤綾(Die Neue These(少年期))。
黎明~風雲編
帝国出身の同盟軍軍人。帝国からの亡命者で編成された「薔薇の騎士」連隊の第13代目連隊長で階級は大佐。
ヤン・ウェンリーの第13艦隊による第7次イゼルローン攻防戦に参加し、作戦の中軸を担う。帝国本土からの使者を装い要塞に侵入し、要塞司令官シュトックハウゼンを人質にして、要塞内部の制圧を成功させた。要塞占拠の功で准将に昇進。後任の連隊長をカスパー・リンツに委ねる。
同盟軍の帝国領侵攻作戦~アムリッツァ星域会戦でも、第13艦隊に配属されていたが出撃の機会はなかった。戦後、第13艦隊を前身とするイゼルローン要塞駐留艦隊(ヤン艦隊)の設立に伴い、同要塞防御指揮官に就任する。
同盟のクーデターでは要塞を離れ、ヤン艦隊の幕僚として陸戦指揮を担当。占拠された惑星シャンプール解放戦では陸上戦闘の指揮を執り、1週間かかるとされた鎮圧を3日間で遂行させている。 同時期に味方を装い刺客として送り込まれたバグダッシュの正体を看破して拘束を指示。ハイネセン制圧では上陸の指揮を行い、クーデター鎮圧後は、シャンプールでの武勲により少将に昇進。
第八次イゼルローン攻防戦では、ヤン不在の為、司令官代理となったキャゼルヌを補佐。要塞に侵入しようとした帝国軍の装甲擲弾兵に対して、連隊を率いて撃退する。
第九次イゼルローン攻防戦では、強襲揚陸艦を用い、総司令官ロイエンタールの旗艦トリスタンに突入。ロイエンタールの身柄を狙い、あと一歩のところまで詰めたが、ロイエンタール自身も白兵戦の雄であったが為に阻まれる事となった。
バーミリオン星域会戦前に中将に昇進。会戦では艦隊旗艦のヒューベリオンに搭乗していた。
飛翔~落日編
会戦後は強引に辞表を提出し一時野に下る。しかし以後の動乱を予想(希望)して周到に準備を行っていた。高等弁務官府と同盟政府からのヤンへの弾圧に対しては、ヤンに与力し連隊を動かして逆襲に出る。ヤンの救出、高等弁務官レンネンカンプと最高評議会議長レベロを襲撃・拉致し人質とする。ハイネセン脱出後は、エル・ファシル革命予備軍の設立に名を連ねた。
第十次イゼルローン攻防戦では、メルカッツの指揮下に入り、要塞内部攻略の戦闘指揮を担当。
回廊の戦いでは出番が無く待機。地球教徒のヤン暗殺事件では間に合わず、ヤンの警護にあたっていた部下のブルームハルトを見取る事となった。 ヤン亡き後はユリアンとフレデリカを擁立する一員となり、イゼルローン共和政府でもヤン時代と変わらぬ尽力を行った。
シヴァ星域会戦では、帝国軍総旗艦ブリュンヒルトに兵を送りこんで、ラインハルトを討ち取る事(ユリアンにより会談に変更)を提案。ユリアンをラインハルトの下へ送る為に勇戦し、成功させるが自身は闘死。享年37才。死に臨んで言い残せり――わが墓碑に銘は要らじ、ただ美女の涙のみ、わが魂を安らげん、と。
出自
シェーンコップ家は、帝国に本貫を持つ男爵家が本家であり、シェーンコップの祖父が帝国騎士の称号を与えられて分家した帝国貴族の家系。祖父は軍務省の経理局次長にまでなったが、知人の連帯保証人となってしまったが為、財産と屋敷を手放す羽目となり、シェーンコップは6才の時、祖父母に連れられて、フェザーン経由で同盟に亡命している。亡命時はかなり冷遇をうけたようである。
16才の時、同盟軍士官学校の入学試験を受験し合格したが、校則に嫌われた?らしく入学はしなかった。代わりに下士官を養成する、陸戦部門の軍専科学校に入学し、学年9位の成績を修めると、伍長に任官されて出征。以後武勲を重ね、21才の時に幹部教育を受けて、士官としての狭き門をくぐる。22才の時に少尉・小隊長として「薔薇の騎士」連隊に配属された。不良的な素行と亡命者という経歴を差し引いても、上層部からの評価は高く、いずれは将官に進める逸材と認められていた。
この時期の登場は外伝「千億の星、千億の光」。当時は「薔薇の騎士」連隊の副連隊長で階級は中佐。ヴァンフリート星域の会戦時、連隊は惑星ヴァンフリート4=2の同盟軍の基地に駐留。同地の戦闘で、当時の連隊長ヴァーンシャッフェ大佐が戦死した為、代理を経て第13代目の連隊長を襲う。後にかつての上官であり、帝国に逆亡命した2代前の連隊長リューネブルクと、第六次イゼルローン攻防戦(を利用した私戦)で決着をつける事となった。
薔薇の騎士(ローゼンリッター)
帝国から同盟へ亡命してきた貴族の子弟を中心に創設された、半世紀の歴史を有する一個連隊。血と炎と真紅を意味なす赤い薔薇を由来とする。たびたび連隊長が帝国に裏切った経緯があり、その都度廃止が協議されたが、政治的配慮や戦闘力ゆえに存続されてきた。驍勇果敢で知られ、特にヤン艦隊時代では魔王めいた勇名を馳せた。
本来は陸戦総監部に所属する部隊だが、シェーンコップの代以降から距離を置いて独立・軍閥化する傾向にあった。イゼルローン要塞攻略時には1,960名を数えた連隊員は、5年の激戦を経てシヴァ星域会戦終了時には204名にまで減少し全てが負傷している。
能力
勇気も知略も十分に備えた陸上・白兵戦の名指揮官。幕僚としては陸戦の専門家であり、作戦立案や用兵も担当している。強襲揚陸艦を用いた海賊的な戦法を得意とし、寡兵による奇襲戦の主力となりヤンの魔術に貢献した。反面、まともな艦隊決戦ではかなり暇となる。
職責上では局地の一指揮官であるが、大局的な慧眼も持つ。ヤンに意見する事も多く、たびたび権力を掌握すべきと本気で指唆している。艦隊戦は畑違いだが、ヤンとラインハルトが同条件で戦ったなら、多分ヤンが勝つとの見解を示している。
個人的な武勇も卓越し、白兵戦技では同盟軍最高の達人であり射撃の名手。パワーやスピードが傑出しているわけではなかったが、両者のバランスと致命傷を与える技量に長け、戦場での殺人技術を芸術と錯覚させる域にあった。キルヒアイス、ロイエンタールといった、第一級の戦士とも一騎打ちで互角以上に戦っている。ロイエンタールを討ち損ねた事は悔いとなっていたが、後に彼の死をうけて酒盃を手向けた。シヴァ星域会戦において、彼の勇姿を見たミッターマイヤーは自身が現場に立とうとしたが、幕僚としての責務のためにと周囲に止められている。
ユリアン・ミンツの射撃と白兵戦技の師匠。イゼルローン軍の練兵も担当している。
統 率 | 運 営 | 情 報 | 機 動 | 攻 撃 | 防 御 | 陸 戦 | 空 戦 |
20 | 32 | 18 | 34 | 27 | 33 | 100 | 20 |
陸戦は最高の能力。他の能力が軒並み低いのは、提督、艦隊戦闘面の扱いとなっている為。
人物
ややグレーがかったブラウンの頭髪と瞳で、彫りの深い洗練された容姿を持つ長身の美男子。年齢はヤンより3~4才年上(黎明編≒32才~落日編37才)。好戦、毒舌、不遜、不敵、不逞、不良と危険な面もあるが、豪胆で闊達、気さくで冗談を好む好漢。部下の面倒見も良く信頼は篤い。反面、部下として使う場合、器量を欠く上官には扱いにくい人物と映った。
上官であるヤンに対して表面上では扱き下ろしているが、内心では好意と敬意を抱いていた。ただ、部下のブルームハルトが一命を賭したにもかかわらず、むざと暗殺されてしまったヤンに対しては、文句を言ってやりたいとユリアンにもらしている。
女性関係が派手な事でも知られ、オリビエ・ポプランとならぶヤン艦隊の双璧で「家庭道徳と良識の敵」。しかし、一面では他人の物堅さにも理解を示し、伊達者としての節度も持ち合わせ、フレデリカ、キャゼルヌ夫人といった賢夫人からの受けも悪くはなかった。恋人のいる敵兵や、自身に致命傷を負わせた若い敵兵を見逃したりと、一種の騎士道精神?の持ち主。
独身であるが十数年前に、ローザライン・エリザベート・フォン・クロイツェルという女性との間に一女カーテローゼ(カリン)を儲けている。しかし最近までは彼女の存在を知らず、両者の関係は当初はかなり険悪であったが(主にカリンの方が)次第に改善されていく。
ある出来事により宇宙暦797年以降の1月8日は、イゼルローン要塞において「奇術師ワルター・フォン・シェーンコップの日」として祝日とされている。
関連動画
関連項目
- 銀河英雄伝説
- カーテローゼ・フォン・クロイツェル
- カスパー・リンツ
- ライナー・ブルームハルト
- デア・デッケン
- ビクトル・フォン・クラフト
- ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ
- ルイ・マシュンゴ
- ヤン・ウェンリー
- ユリアン・ミンツ
- オリビエ・ポプラン
- パウル・フォン・オーベルシュタイン
- ヘルマン・フォン・リューネブルク
- オットー・フランク・フォン・ヴァーンシャッフェ
- オフレッサー
- 馬謖
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