戸崎圭太(とさき けいた)とは、元大井競馬所属、現在は日本中央競馬会(JRA)に所属する騎手である。
戸籍上の表記は旧字体が含まれている戸”﨑”であるが、旧字体の登録が認められていないJRAの規定に従い、ここでは新字体を含めた戸”崎”圭太と表記する。
概要
1980年、栃木県に生まれる。その後、騎手を目指した詳しい動機は不明だが中学時代は野球をやっていたらしく、今でも特技ということである。松岡正海騎手とどっちがうまいんだろうか……
中学卒業後の1996年、地方競馬における競馬学校、地方競馬教養センターに入学。なぜ地方競馬の学校に入ったかというと「中央競馬を知らなかったから」らしい。ええ……
入学から2年後の1998年、地方競馬教養センターを卒業し騎手免許を取得、大井の香取和孝厩舎所属の騎手になり騎手生活をスタートした。
その後は長きにわたって壁を破れない時期が続いたが、2005年に重賞初制覇を飾ると翌2006年には初の3桁勝利となる134勝をマークしブレイク、2007年には年間212勝と南関東競馬では内田博幸に次ぐ勝利数を挙げて一気に地方のトップジョッキーに成長した。
2008年以降はその手腕を買われてか地方最強馬フリオーソをはじめとする多くの有力馬に騎乗、中央競馬への遠征を積極的に行った2010年以外は全て地方競馬リーディングに輝き、地方最強騎手としてその地位を盤石なものにしていた。
そして2013年1月、2005年、2011年に続いて三度目の挑戦となるJRAの新規騎手免許試験に受験し見事合格。同年3月1日からJRAに移籍(その際、JRAでの登録が認められていない旧字体が含まれた登録名を新字体に修正した)。移籍初年度、3月スタートながらいきなり113勝で中央総合リーディング5位につけて実力の高さをアピール。そして翌2014年から2016年までの3年間は3年連続でリーディングを獲得し日本一のジョッキーの地位を確固たるものとした。
しかしその矢先、翌年M.デムーロとC.ルメールの二人の外国人ジョッキーが通年騎乗を開始すると2017年はリーディング2位、2018年はリーディング3位に順位を落した。
特に2018年はエポカドーロにて初めてクラシックタイトルを獲得するなど前半は好調だったものの、夏競馬以降は調子が下降線。後述する得意な夏競馬では勝ち星を中々上げられず、秋競馬では天皇賞(秋)でダンビュライトが放馬し除外、JCでは代打騎乗予定だったミッキーロケットが筋肉痛で回避し騎乗できなくなるなど運にも見放されたことが多かった。
2019年には史上35人目、現役18人目のJRA通算1000勝を達成した(地方出身では史上4人目)。しかし、浦和競馬場で行われたJBCレディスクラシックで落馬し、右肘開放骨折の重傷を負う。
2020年5月23日に復帰。8月には関屋記念でサトノアーサーで勝利し、復帰後初の重賞制覇となった。更に、12月にはチュウワウィザードでチャンピオンズカップを勝利し、復帰後初のGI制覇を挙げた。
騎乗スタイル
騎乗スタイルはどちらかというと馬優先主義と言える、馬の特徴やその時の気分をしっかりと汲み取り、それに合わせた騎乗を行う。その為、馬が行きたがらないときに強引に追う事や進路が塞がれた際に前をこじ開けて走るなどといった騎乗をすることはほとんどない。悪く言えば消極的騎乗と言えるかもしれないが、よく言えば馬の将来を考えた騎乗をしていると言えるだろう。
一方で地方競馬が先行や捲り有利と言われる中でその経験が活きているのか先行や中団から捲って上がるタイプのの競馬が得意、ダート戦なんかでは「出遅れながらも道中いつの間にか前目に持ってきて悠々抜け出して勝利」というレースも割とある。しかし意外なことにハナに立っての逃げ切りはあまり狙わない。
また、騎乗回数や勝利数に対して制裁点の少なさも特筆すべき点である、2016年はなんとリーディングジョッキーと特別模範騎手の同時受賞という史上初の快挙を成し遂げた。
特別模範騎手というのはその年の所属内リーディング5位以内かつ、制裁点が0点でなければ受賞できないという極めて受賞が難しい賞であり、これを受賞するとなると勝利数を重ねる高度な騎乗技術と共に、レース中の過失は勿論、斤量不注意や正当な理由のない遅刻などといったレース外での制裁点にも注意しなければならず、尚且つ競馬法の熟知や悪癖のある馬に対する適切な扶助技術、人間としての誠実さ等もとても高いレベルで要求され、スポーツマンとして理想的な人間でなければ受賞は困難を極める。それをリーディングジョッキーと共に受賞した戸崎騎手は間違いなく今の競馬界におけるトップジョッキーである。
2023年のチャンピオンズカップで1、2着に入ったレモンポップとウィルソンテソーロの主戦を長期間務めていたことから、馬に対しての教育能力の高さが注目された。特にウィルソンテソーロは戸崎が騎乗した最初の2戦こそ惨敗したものの、3戦目以降は前目の競馬から控える競馬まで経験させつつ4連勝で未勝利クラスだった当馬を一気にオープンクラスに導いた。その後は主戦を降りるものの、その後の当馬は重賞3連勝やチャンピオンズカップでの2着に入る等ダート界の中心で活躍している。
他にも2023年秋に故障離脱を余儀なくされた武豊の代打としてドウデュースに跨った際は、初戦の天皇賞(秋)こそ癖の強いドウデュースとの折り合いがつかず、規格外の怪物であったイクイノックスに真正面から対抗する競馬をしたことも相まって11頭立て7着と惨敗するも、続くジャパンカップでは強豪が集まる中で世界最強馬イクイノックスに次ぐ2番目に早い上りタイムを出しながら4着に入り、復調をアピールした。その後の有馬記念では武豊が故障から復帰したことから主戦を譲り、武豊を背に接戦を制して劇的勝利を遂げたのだが、この勝利に際して一部の競馬ファンの間では「前2戦で癖が強い馬ながらも慎重に跨って変な悪癖を与えたり調子を崩さなかった戸崎の貢献も大きい」と評価する意見も存在している。
一方で重賞で印象に残るやらかしがあるのも事実で、最近では2023年のラジオNIKKEI賞におけるレーベンスティールの騎乗はレース傾向を見誤った騎乗ミスとしてよく槍玉に挙げられている。
私生活
2005年に一般女性と結婚しており2男1女の3人の子供がいる。また奥さんがとても美人であることも有名。その子供が剣道を習い事とした事をきっかけに、自身も剣道を始め、2022年には川崎市に剣道場を立ち上げた。剣道を教える師範ではなく、道場の総代表として参加している。
私生活も勝利のためにとにかくストイックである。健康食品を色々と試す、夏負けを防ぐためにスポーツ選手の間でも有名なグルテンフリーを実践するなど、勝利のために出来ることはどんどんと私生活に取り込んでいる。数多くの勝利にはこういった私生活での努力も少なからず影響しているだろう。
戸崎騎手の買い方
2016年以降、夏競馬では抜群の安定感を誇り、2016年は夏競馬において10週連続での重賞連対を達成するなど夏競馬における信頼度は極めて高い騎手と言える。さすがに近年はそれほどの勝ちっぷりは鳴りを潜めたが未だに夏場の勝率・連対率・複勝率は良好である為「夏場の戸崎」には注目した方が良いだろう。
また美浦所属の為、夏競馬に限らず秋のG1シーズンの裏開催でも結構な頻度で見かける一方、栗東所属騎手を中心に他の有力騎手は重賞やG1レースの騎乗の為に不在なことも多く、実力差も影響してか時には1日5勝等の無双状態になることも少なくない。当然人気は集中しやすい為馬券としての旨味は薄いことが多いものの、当てに行くなら軸として意識しなければならない時も多いだろう。
ちなみに阪神や京都が苦手というイメージを持たれがちだが、近年は阪神も京都も単勝回収率80%~90%程度で推移しており、特に阪神ダートでは回収率150%を超えるというとんでもない強さを見せているので阪神ダートで見かけた際は要注目。
あと、何故かG2の単勝回収率が42%と異常に悪い。複勝回収率は88%と水準以上の数値なので、G2では頭ではなくヒモとして考えた方が無難だろう。
脚質相性に関しては逃げ・先行有利な地方競馬の経験が活きているのか逃げ時の回収率が90%台と相性が良く、必然的に小回りで直線が芝コースより短い関係上先行馬が有利になりやすいダートコースも得意であるが、戸崎自身が逃げを打つケースは少ないのが難点、差し馬騎乗時の回収率も90%台と良好な為、差し馬を抑えるのが基本となりそうだ。
一流ジョッキーの中では得意な分野と苦手な分野が割とはっきりしていて傾向が分かりやすいタイプである一方、馬券的に見るとそれ故に割と回収率通りに収まりやすい難儀な騎手である。馬券をやる上では軸として生かすか、高配当を狙いあえて消すかという駆け引きが求められる騎手と言えるだろう
主な騎乗馬
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