スタディオブマン(Study of Man)とは、2015年アイルランド生まれフランス調教の競走馬である。
小さな白い星を持つ鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍は2018年のジョッケクルブ賞(G1)、グレフュール賞(G2)。
概要
父ディープインパクト、母セカンドハピネス、母の父Storm Catという血統。
父は日本が誇る無敗の三冠馬にして大種牡馬でもあるディープインパクト。
母セカンドハピネスは現役こそ1戦0勝というものだが、世界のマイル戦線を席巻し繁殖でも直仔Kingmamboを始めとして牝系から数々の活躍馬を排出している名牝Miesqueとアメリカの名種牡馬Storm Catの娘という超良血の繁殖牝馬である。
また母セカンドハピネスの半姉にしてKingmamboの全妹MonevassiaにStorm Catを付けて生まれたのがラヴズオンリーミーであり、父にディープインパクト母にラヴズオンリーミーを持つGⅠ馬リアルスティール、ラヴズオンリーユー兄妹は本馬とほぼ同血統の近親である。
生産・オーナーはFlaxman Stables Ireland Ltd(ニアルコスファミリーのアイルランド拠点)。
調教師はフランスのPascal Bary:パスカル・バリー。主な管理馬は仏愛ダービーを制しカルティエ賞年度代表馬にもなったDream Well(サンクルー大賞でエルコンドルパサーと対戦、アドマイヤモナークの父でもある)、その半弟にして同じく仏ダービー馬のSulamani、フランス時代のルメールを主戦としてG1を5勝したDivine Proportionsなど。なおこの3頭もニアルコスファミリーの生産・所有である。
また、本馬と同じ父と母父の日本ダービー馬キズナがフランス遠征をした際には受け入れ先厩舎になっている。
経歴
誕生まで
ニアルコスファミリーの祖:スタブロス・ニアルコスはNureyevを所有しMiesqueを始めとして数多くの名馬を生産し走らせてきたオーナーブリーダーであり、当然Miesqueの娘である本馬の母セカンドハピネスもニアルコスファミリーの馬なのだが繁殖入り当初は日本で繁用されていた。
これについては、ニアルコスファミリーの生産・所有である凱旋門賞馬:バゴが日本の軽種馬協会に購入されたことで引退し日本で種牡馬生活を送っていたため、その後継となる馬をニアルコスファミリーの良血牝馬との交配によって誕生させるために日本の社台グループにセカンドハピネスを預託していたと言われており、実際に日本繁用時の産駒は4頭が父バゴである(これらの日本で生まれた産駒は日本の社台コーポレーション白老ファームの生産となっている)。
2012年には初めて父ディープインパクトの産駒つまり本馬の全兄:Tale Of Lifeを生んでいる(この馬もフランスでデビューした)。
そして2014年に日本での最後の産駒を出産後再びディープインパクトと交配し、受胎した状態でアイルランドにあるニアルコスファミリーの生産牧場へと移って翌年に生まれたのが本馬:Study of Manである。
競走馬として
2歳
2017年9月21日にサンクルー競馬場のマイル戦でデビュー、2着に2馬身差をつけて快勝した。
主戦となったのは2006年の凱旋門賞においてRail Linkに騎乗しディープインパクトを破ったステファン・パスキエ騎手。
3歳
3歳の始動戦は4月8日のG3Prix La Force:ラ・フォルス賞(仏パリロンシャン競馬場芝1800m)で、スタートから後方待機して直線でよく伸びたが先行から抜け出したChileanに届かず2着に敗れる。
続くフランスダービー前哨戦の5月8日G2Prix Greffulhe:グレフュール賞(仏サンクルー競馬場芝2100m)は4頭立てという少頭数の中、最内枠から発走し序盤は先頭になって途中から後ろの馬が前に出るという変則的な流れでもマイペースに進み直線で追いだすとしっかりと反応して抜け出し2着に3馬身半差の圧勝でグループ競争初勝利を飾るとともに改めてフランスダービーの有力候補となった。
次走は英ダービーとの二択で仏ダービーを選択、迎えた本番2018年6月3日第178回G1Prix du Jockey Club:ジョッケクルブ賞(仏シャンティイ競馬場芝2100m)、中団馬群の真ん中を追走し直線を向いたところでは前が壁になるかとも思われたが道が開けると鋭い脚で先頭集団に並びかけそこから残り400m数頭での叩き合いを制し2着に半馬身差で勝利、フランスダービー馬の栄冠を手にした。
この数日前には同じ父を持つ金子オーナーのワグネリアンが日本ダービーを制しておりディープインパクトは同年に産駒から日仏ダービー馬を輩出、またクールモアの同産駒Saxon Warriorがイギリスの2000Guineas Stakesを勝っておりディープインパクト産駒は日英仏の春クラシックで勝利をあげることになった。
その後はG2Prix Guillaume d'Ornano:ギヨームドルナノ賞(仏ドーヴィル競馬場2000m)でKnight to Behold3着、G1Irish Champion Stakes:愛チャンピオンS(愛レパーズタウン競馬場1マイル2f)でRoaring Lionの5着、G1Prix de l'Arc de Triomphe:凱旋門賞(仏パリロンシャン競馬場2400m)でEnableの9着と勝ちからは遠ざかったレースで3歳シーズンを終えた。
ちなみに愛チャンピオンSでは前述のSaxon Warriorや後にディープインパクトとの間に2023年の英ダービー馬:Auguste Rodinを産むRhododendronも出走していた。
4歳
現役を続行し4歳の初戦となったG1Prix Ganay:ガネー賞(仏パリロンシャン競馬場2100m)ではスタートから断然の1人気であったGhaiyyathと端を争ってからそれを見る形の2番手に落ち着いて追走、直線に入ると進出を開始して外から先頭に並びかけるがその更に外から上がって来たWaldgeistが一気に突き抜けて1着でゴール、Study of ManはGhaiyyathとの叩き合いは制したものの先頭からは4馬身半離された2着でレースを終えた。
敗れはしたもののこの年の秋にEnableを破って凱旋門賞を制覇するWaldgeistの2着で、次走でG1初制覇を果たし翌年は更に3勝をあげることになるGhaiyyathに競り勝っており復調気配の見えるレースとなった。
その後出走したG1Prix d'Ispahan:イスパーン賞(仏パリロンシャン競馬場1850m)では後方を追走し直線で追い込んだが先行して抜け出していたZabeel Princeに届かず3/4馬身差でまたも2着。
このレースでは祖母Miesqueや父ディープインパクト母父Storm Catと血統構成を同じくするエイシンヒカリが勝利していたが再現とはならなかった。
更に距離を短縮して挑んだG2Prix Messidor:メッシドール賞(仏ドーヴィル競馬場1600m)では1人気となり、レースでは先頭を行く馬の外に付けて進んだが直線で伸びを欠いてImpulsifの3着。
続いてのマイル戦となったG1Prix Jacques le Marois:ジャックルマロワ賞(ドーヴィル競馬場1600m)では見せ場なくRomanisedの6着に敗れ、このレース限りで現役を引退した。
種牡馬として
引退後は2020年よりイギリスのニューマーケットにあるLanwades Stud(ランウェイズスタッド)で種牡馬入り。
この牧場はイギリスで最も裕福な女性とも言われるスウェーデン出身のKirsten Rausing:カーステン・ラウジング[1]が所有しており競走馬の生産・育成を行っている。
初年度から頭数は少ないものの産駒の勝ち上がり率とブラックタイプ競争(大まかにリステッド及びG1~3のレース)の成績が優秀で順調な種牡馬生活のスタートを切っている。
2023年9月23日には初年度産駒Deeponeが2歳G2Beresford Stakes:ベレスフォードS(愛カラ競馬場1マイル)を勝って産駒グループレース初勝利。
翌2024年10月19日には同じく初年度産駒のKalpanaがヨーロッパの牝馬戦線の総決算とも言える秋の大レースであるG1British Champions Fillies & Mares Stakes:英チャンピオンズ・フィリーズアンドメアズS(英アスコット競馬場1マイル3+1/4f[2])を快勝し産駒G1初勝利を果たした。
また、2022年の凱旋門賞を含めG1を6勝した名牝Alpinistaはランウェイズスタッド出身(生産・所有ともラウジング氏名義)のため競走馬引退後は同牧場に帰って繁殖入りしており、繁殖2年目の種付け相手をStudy of Manとすることが引退時から計画されていて実際に2024年に交配を行ったことからも種牡馬として期待されていることが伺える。
主な産駒
2021年度産
血統表
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
*セカンドハピネス Second Happiness 2002 鹿毛 FNo.20 |
Storm Cat 1983 黒鹿毛 |
Storm Bird | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Terlingua | Secretariat | ||
Crimson Saint | |||
Miesque 1984 鹿毛 |
Nureyev | Northern Dancer | |
Special | |||
Pasadoble | Prove Out | ||
Santa Quilla |
クロス:Northern Dancer 5×4×4(15.63%)
関連動画
関連項目
脚注
- *テトラパックの創始者の一人であるルーベン・ラウジングの孫。イギリスジョッキークラブのメンバーでナショナルスタッドのディレクターも務めている。
- *馬場コンディションの関係で通常の1マイル4fより短いインコースで開催
- *この年からG2に降格
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