タニノフランケルとは、2015年2月9日生まれの日本の競走馬・種牡馬である。青鹿毛の牡馬。
通算成績26戦4勝 [4-2-3-17]。
概要
父フランケルはG1を10勝し、14戦14勝と無敗のまま引退したイギリスの名馬。
母父タニノギムレットは馬主の谷水雄三が経営しているカントリー牧場から誕生した東京優駿(日本ダービー)の勝ち馬。谷水氏の所有するタニノギムレット産駒であったウオッカは、牝馬として64年ぶりに日本ダービーに勝利するなどGI7勝を挙げた名馬として知られている。
ドバイで引退したウオッカは、谷水氏の意向で、ヨーロッパの種牡馬との配合を実現させるためにアイルランドで繁殖生活を送ることとなった。2011年からの3年間はシーザスターズとの産駒を生み、3頭とも日本でデビューした。フランケルの種牡馬初年度となる2013年には種付け相手をフランケルに移行したものの不受胎に終わり、翌2014年の種付けで生まれたのがタニノフランケルである。
3歳まで
フランケル産駒の持込馬で”16冠ベビー”とも呼ばれたソウルスターリングが2016年末の阪神ジュベナイルフィリーズを勝利し、フランケル産駒として世界初のGI馬となるなど、フランケル産駒が注目される中で日本にやってきた”17冠ベビー”タニノフランケル。デビュー済みのウオッカ産駒3頭は未だ重賞に出場していなかったものの、ウオッカの人気もあり「丸ごとPOG2017~2018」の表紙に選ばれるなどデビュー前から期待を集めていた。
ウオッカやその産駒を管理していた角居勝彦調教師の管理馬としてデビューが決まり、5月には「タニノフランケル」という馬名も決まり、2017年6月15日にはゲート試験に合格した。
角居師が「産駒の中では母に最も似ていますね」とコメントするなど期待される中、迎えた2017年8月の新潟での新馬戦では、単勝2.1倍の1番人気を背に鞍上ミルコ・デムーロでデビューしたものの、2着。
因みに新馬戦の馬体重は528kg。607kgで重賞制覇するような馬もいるが、ああいうのは特殊例であって、7割の競走馬が500kg未満とも言われることを考えるとかなり大型馬寄りであるといえよう。
鞍上が福永祐一となった2戦目は、9月の未勝利戦。単勝1.1倍の圧倒的人気に応えて、ハナを奪い馬なりでゴールし初勝利を飾った。
次走は鞍上福永で10月のアイビーステークスと発表され、当日は2番人気ではあったものの単勝2.8倍。しかし、ここは3着に敗れる。
続いて出馬した2歳500万下(現在の2歳1勝クラス)の黄菊賞(11月)、水仙賞(翌年2月、鞍上は戸崎圭太)でも単勝5倍未満の人気となるも4着、3着止まり。
3月のオープン若葉ステークスに鞍上幸英明で臨み、2番手につけたものの落鉄が影響したのかやはり4着。(この時の1番人気であるGI馬タイムフライヤーは5着)
2018年4月には7戦目となる3歳500万下に出走。単勝2.1倍の1番人気に応え、ここは逃げの戦法で4馬身差の圧勝。2勝目となった。
5月にはGⅡ京都新聞杯に出走。3番人気となり、ダービー出走の切符を手に入れられるか期待が高まっていたものも、ここでは何と最下位の17着に終わった。
この間の6月には酒気帯び運転で角居勝彦が調教停止処分となったため、中竹和也厩舎に転厩。
8月には1000万下の西部スポニチ賞に出走。「もっともっと高いところを求めているので現状には納得できない」という陣営の想いも背に2番人気で出走し、再び4馬身差をつけて逃げ切った。
9月には2度目の重賞挑戦となるGⅡセントライト記念に出走。春に比べ心身のバランスが取れてきたように感じるという調教助手のコメントもあったが、7番人気。逃げて大きなリードを保ったまま直線へ入る見せ場を作ったものの12着に終わる。
全妹タニノミッションがデビュー前からついに大物出現かと煽られる中で再び条件戦に戻り、10月は1600万下の大原ステークスに出走。単勝2.2倍に応え、2番手に控えてからクビ差抜け出し勝利、4勝目となった。幸騎手から乗り替わった武豊騎手はウオッカへの騎乗経験も多かったが、「黒くてデカいところは一緒だね。素軽さはお母さんと比べたらかわいそうだけど、乗っていて懐かしく感じましたよ。一緒に勝ててうれしいですね」とコメントした。
2018年の有馬記念のファン投票では、ウオッカ人気もあってか重賞未勝利馬ながらも1595票を集めて70位となりこの年を終えた。
4歳
放牧を挟んで2019年1月5日、内田博幸騎手を鞍上として年始のGⅢ中山金杯に出走。9番人気ではあったが、ハンデ戦であり53kgと軽斤量(1着ウインブライトは58kg)であったことも生かして、単騎逃げの形に持ち込んだ結果、ウインブライト、ステイフーリッシュに次ぐ3着。
2月には、GⅢ小倉大賞典に出走。前走での好走もあり、川田将雅鞍上で単勝4.0倍の1番人気となり、2番手につけるレースとなったものの発走直後の落鉄の影響もあってか2着。
3月のGⅡ金鯱賞に吉田隼人騎手とのコンビで臨むも、GI馬5頭が出走するレースとあって8番人気、単騎で逃げたものの10着に終わった。
4月に母ウオッカの欧州での死亡が発表された後、武豊鞍上で迎えた6月のGⅢ鳴尾記念は単勝4.6倍の3番人気だったが、2番手で走り9頭立てで8着という厳しい結果となった。
2019年の宝塚記念のファン投票では有馬記念より票数を増やし、2054票を集めて55位となった。
7月のGⅢ七夕賞は福永祐一鞍上の4番人気で2番手で走り6着、8月のGⅢ小倉記念は松若風馬騎手鞍上の4番人気で、理想としては逃げたかったようだがやはり2番手となり4着。
休養を挟んで、次走は12月のGⅢ中日新聞杯。松若騎手を鞍上に臨んだが9番人気14着と厳しい結果。
2019年の有馬記念のファン投票も、8月以降の休養もあってか前年より票数を減らし1227票で77位となりこの年を終えた。
5歳
前年と同じく1月にGⅢ中山金杯に出走したものの、12番人気で15着。
同じく前年に出走した2月のGⅢ小倉大賞典も「大敗していたここ2戦とは、まるで別の馬かと思うくらい雰囲気が違っています」というコメントがあったものの、8番人気12着。
3月には、重賞ではなくリステッドの大阪城ステークスに出走も9着。
4月には、ダートのオープン戦吾妻小富士ステークスに挑戦したが13着。
8月には、GⅢ小倉記念に出走も12着。引退を控えた角居勝彦厩舎から村山明厩舎に転厩し、同月に出走した小倉日経オープンも10着となる。
この後は年末まで放牧に入り、掲示板に入ることなくこの年のレースを終えた。
6歳
二度の不合格の後に障害試験に合格し、2月には障害4歳以上未勝利に出走。4番人気で5着となり久しぶりに掲示板を確保した。
その後、5月21日付でJRAの競走馬登録を抹消された。獲得賞金は1億近くに達したものの、重賞のタイトルを得ることはできなかった。
種牡馬入り
JRA登録抹消直後に一時サラブレッドオークションに出品されたが、取り消された。馬主の西山茂行氏によると、谷水オーナーに種牡馬入りを直訴した牧場主がいたとか。この頃になると谷水氏は馬主業を畳む準備をしていたこともあり(2022年6月に最後の所有馬がJRA競走馬登録抹消)、その一環であったと考えられる。
8月には種牡馬入りし、レックススタッドに種付け料30万円で繋養されることが発表された。なお、有志がウオッカフランケル会というシンジケートを結成し満口となったようである。
種牡馬入りこそ発表されたものの、重賞未勝利でどの程度集まるのか不安視する向きもあった。しかし、血統と馬体が評価されたこともあり、初年度2022年は57頭の種付けを行うことに成功した。
但し、2年目の2023年には33頭に減少している上に、日本国内で種牡馬入りするフランケル産駒が増加していることから3年目以降どれだけの牝馬が集められるは不透明である。
日本国内のフランケル産駒の種牡馬
- モズアスコット(GI2勝、2021年から種牡馬)
- アスクピーターパン(未出走、2022年から種牡馬)
- グレナディアガーズ(GI馬、2024年から種牡馬)
- アダイヤー(GI2勝の海外馬、2024年から種牡馬)
- ウエストオーバー(GI2勝の海外馬、2024年から種牡馬)
ライバルも多いが、ウオッカとフランケルの血が花開くことを期待したい。
因みに、タニノフランケルの交配相手にはダイワスカーレットの孫スカーレットテイルや、ウオッカの孫のタニノミモザがいる(ウオッカの2×3という強いインブリードがどうなるか)。
余談だが、タニノフランケルの2017年生まれの全弟Seven Pocketsは、谷水氏の都合もあって海外でデビューし、イギリスのヴェリアン調教師の夫人でもある園部花子氏の所有となった(記事)。最終的に、フランケル産駒の種牡馬を求めていたLongford House Studで2024年から種牡馬として活動することになったようである。(記事)
血統表
Frankel 2008 鹿毛 |
Galileo 1998 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Urban Sea | Miswaki | ||
Allegretta | |||
Kind 2001 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig | |
Razyana | |||
Rainbow Lake | Rainbow Quest | ||
Rockfest | |||
ウオッカ 2004 鹿毛 FNo.3-l |
タニノギムレット 1999 鹿毛 |
*ブライアンズタイム | Roberto |
Kelley's Day | |||
タニノクリスタル | *クリスタルパレス | ||
*タニノシーバード | |||
タニノシスター 1993 栗毛 |
*ルション | Riverman | |
*ベルドリーヌ | |||
エナジートウショウ | トウショウボーイ | ||
コーニストウショウ | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Northern Dancer 4×5(9.38%)、His Majesty・Graustark 5×5(6.25%)
関連項目
親記事
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