デインドリーム単語

12件
デインドリーム
4.0千文字の記事
  • 2
  • 0pt
掲示板へ

デインドリーム(Danedream)とは、2008年ドイツ生まれの競走馬。晩年は繁殖牝馬として日本で供用されていた。
2000年代後半から2010年代にかけて日欧に同時多発的に現れた名の一頭。 

小さなシンデレラ

ドイツ年度代表馬を獲得し、種牡馬としても一流といえる成績を残したLomitasアイルランド生まれで近キンシャサノキセキがいるDanedropは*デインヒルという血統。
彼女ドイツで生産されたのだが、ドイツ生まれの世界的名によくあるドイツが紡いだ名牝系の出身というわけではないという若干の変わり種である。Nijinsky産駒ドイツ土着牝系の掛け合わせという血統ではあるが。
彼女自身も小さな体でということもあり、決して評価の高いではなかったが、預かったペーター・シールゲン調教師は入厩してきたデインドリームに一で惚れ込んだという。

2歳6月フランスアルザス地方(ドイツに近い地域である)のヴィサンブール競馬場という小さな競馬場で出走したデビュー戦は勝利したものの、次走以降は4連敗(うち1回は1位入線後に3着降着)で2歳シーズンを終えた。
この頃は一線級相手のマルセル・ブサック賞(GI)でも8頭立ての6番人気で6着ということからわかるように三流もいいところな成績であり、内でも大したではなかった。
ちなみにマルセル・ブサック賞の勝ちMisty for Meは3歳になってもアイリッシュ1000ギニーとプリティーポリーステークスを勝つなど、2歳で燃え尽きるようなではなかったことは付記しておく。 

翌年はイタリアで出走した始動戦でやっぱり負け、ドイツダービーオークス7月開催ということもあり、レベルの低いイタリアクラシック戦線へ。
しかし混合のデルビーイタリアーノ(GII)で3着に食い込むと、オークスディターリア(GII)では6身半ぶっちぎって圧勝し初重賞勝利を飾る。
しかし次走フランスGIIマルレ賞では僅差とはいえ5着に敗れ、前走の圧勝がすっかりんでしまった。

……と思ったら、ドイツの3歳VSが初めてぶつかる伝統あるGIベルリン大賞に強気に挑むと5身差圧勝。さらにを越した後、ドイツ伝統のGIバーデン大賞を6身差圧勝。ベルリン大賞・バーデン大賞ともにLomitasとの制覇となった。バーデン大賞は欧州各地から遠征もいるGⅠであり、ここで圧勝したのは才の現れとして受け取られた。

ここで素く権利取得に手を打ったのが社台ファームの吉田照哉氏であり、9月29日に権利の半分を取得。秋華賞と追加登録料の必要な凱旋門賞の両睨みで予定を立てることとなった。このニュースで、日本競馬ファンにも彼女の名は大いに知られることとなった。

秋華賞に本当に出てきたら面かったのだが、やはり凱旋門賞(GI)を選ぶことになり、10万ユーロの追加登録料を払って出走。10月ロンシャンらしからぬパンパンの良馬場だったとはいえ、ここで彼女は10番人気低評価を覆すように圧倒的な発力を見せつけ、5身差つけて圧勝。しかもレコード更新おまけ付きであった。
ドイツとして初、ドイツ調教としてはStar Appealに次いで36年ぶり2頭上のアンドレアシュ・シュタル騎手ドイツ騎手として初勝利と、メモリアル勝利であった。

その後はジャパンカップに遠征するが6着と振るわずシーズン終了。カルティエ賞年度代表馬の座こそFrankelに譲ったが、下半期の大活躍を評価され最優秀3歳となり、1991年に創設されたカルティエ賞において初めてドイツ調教が受賞することとなった。
年度代表馬の選考に関しては、これまでの好走はすべて斤量56kg以下で、GIに限ると54.5kg以下と軽量を背負っての勝利であったことが、斤量負けする非力と見られて微妙したのかもしれない。58kg背負ったマルレ賞が5着だったという傍もあったし。Frankelキチガイ的すぎたのが一番だろうが。

シンデレラから女帝へ

非力という評が気になったのかは定かではないが、2012年も現役続行、凱旋門賞連覇をすこととなった。

始動戦となったドイツGIIバーデン企業大賞は58キロを背負ったが勝利したが、メンバーが低調にもかかわらず(なりとはいえ)僅差と斤量負けしそうな怪しさは払拭できず終い。
続くサンクルー大賞(GI)では56.5キロと前走より軽くなったにもかかわらずスローペースゆえ伸びず4着に敗れた。ちなみに4頭立ての4着であるため最下位である。

そのため、営が強気にキングジョージ(英GI)出走を決めたが、ここでは凱旋門賞を圧勝したでありながら5番人気止まりであった。まあ、メンバー的には前年の勝ちNathanielや前年BCターフを勝ったかつての天才少年St. Nicholas Abbey、最も相関のあるとされるハードウィックステークスを3身1/4差で勝った8戦着外なしの安定Sea Moonら近年稀に見る好メンバーってしまっていたのだから仕方ないのかもしれない。ディープブリランテは悪い時に遠征を企画したもんである。にしても負け過ぎだが。

しかしレースでは先に抜けだしたNathanielを外から強襲。根性を発揮してるNathanielをゴールハナ差差し切り、凱旋門賞に続く欧州二大タイトル奪取を果たした。
勝利1983年Time Charter以来29年ぶり、凱旋門賞キングジョージダブル制覇は2007年Dylan Thomas以来、での達成は史上初となった。DahliaAllez Franceですら達成できなかった快挙であり、まさに不世出のと言える。 本記事でもここまで斤量のことがたびたび話題になってきたが、このレースでは9ストーン7ポンド(≒59.0kg)を背負っての勝利であり、体重430kg前後の小さながこの重さを背負ってに勝ったという点でも特筆すべきものがあろう。

続くバーデン大賞(独GI)ではその年のドイツダービー馬Pastoriusらを退け連覇を達成。によるバーデン大賞連覇はかつて3連覇を達成したあの伝説の名Kincsem以来133年ぶりの偉業であり、また一つ伝説を築き上げたことになった。
そして、 史上6頭としては史上2頭となる凱旋門賞連覇へ挑む予定であったが、滞在していたケルン競馬場伝染病が発生。病の拡散を防ぐための処置としてデインドリームを含む全ての滞在に3ヶ間の移動禁止命が出たことにより、凱旋門賞はおろか続けて出走する予定だったジャパンカップへの出走も断念せざるを得なくなった。あまりにも不本意な形で偉業への挑戦が断たれてしまうこととなった。

その後はドバイシーマクラシック出走も予定されていたが流れ、結局2012年限りで引退し繁殖入りした。

繁殖入り、そして

2013年よりイギリスニューセルパークスタッドで繁殖入り。2014年産の初*ナッシングバットドリームズは足が弱くレースデビューすることなく繁殖入りし、2番ソリッドドリームもたび重なる骨折のせいか本領を発揮できぬまま未勝利引退した。しかし3番Faylaqが3勝を挙げ、5番オンラインドリーム日本デビューして新勝ちを収めている。

ちなみに引退後しばらくはイギリスで繋養されていた(オンラインドリームイギリス)が、2020年12月日本の社台ファームに輸入されたexitことが判明した。今後の繁殖成績にも注したいところである。……あったのだが。

2023年12月1日、同年8月31日に蹄葉炎の悪化により安楽死の措置が取られていたことが明らかになった。15歳という、あまりにもすぎる死であった。2024年現在彼女の直で現役の競走馬はなく、2023年に生まれたロードカナロアとの間のデビューを待っている状況である。

幸いなことに子の多くがだったため、彼女の血はしっかりと受け継がれている。調教中の動脈破裂によりデビュー前に亡くなってしまった4番Dreaming Eyesを除き、未出走で繁殖入りした6番アンデルセン・持込新馬戦を勝ったものの体調が思わしくなく復帰わず引退した7番ドリーミーデイ含め、引退した4頭全員日本で繁殖入りしている。とくに繁殖入りのかった*ナッシングバットドリームズは既に複数の子デビューしており、中でも初ルージュエヴァイユは重賞勝ちこそまだないが、エリザベス女王杯2着や大阪杯3着など複数のGⅠで勝負に絡んできている。

今後も彼女の走りを受け継いだ子どもたちが現れることを見るばかりである。

血統表

Lomitas
1988 栗毛
Niniski
1976 鹿毛
Nijinsky II Northern Dancer
Flaming Page
Virginia Hills Tom Rolfe
Ridin' Easy
La Colorada
1981 栗毛
Surumu Literat
Surama
La Dorada Kronzeuge
Love In
Danedrop
1999 鹿毛
FNo.14
*デインヒル
1986 鹿毛
Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Razyana His Majesty
Spring Adieu
Rose Bonbon
1984 鹿毛
High Top Derring-Do
Camenae
Lady Berry Violon d'Ingres
Moss Rose
競走馬の4代血統表

クロスNorthern Dancer 4×4(12.50%)、Natalma 5×5×5(9.38%)Ribot 5×5(6.25%)

関連動画

関連項目

【スポンサーリンク】

  • 2
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

ワシントン(艦これ) (単) 記事と一緒に動画もおすすめ!
提供: 雷光
もっと見る

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

デインドリーム

2 ななしのよっしん
2012/09/26(水) 02:55:38 ID: b7x8GVF3ly
>>1
気に入らないならお前が編集すればよくね?
編集する気はないけど気に入らないのならWikipediaにでも行こうぜ
👍
高評価
1
👎
低評価
0
3 ななしのよっしん
2014/01/29(水) 19:41:00 ID: aOUc/ogJCl
イギリスフランケルとの出産したようだ。
日本に来ないのかね?
👍
高評価
0
👎
低評価
0
4 ななしのよっしん
2016/11/11(金) 18:59:30 ID: b7x8GVF3ly
日本デインドリーム2015(フランケル)が走る
お値段一口300万、やはり欧州血統だからかこの血統にしては意外と安い
👍
高評価
0
👎
低評価
0
5 ななしのよっしん
2019/08/26(月) 13:38:58 ID: xgWRj2q0Hk
産駒散々だな。デビュー前に死亡してるやつも何頭かいるようだし。一生分の運とツキはキングジョージまでに使い果たしたかな。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
6 ななしのよっしん
2021/10/04(月) 00:12:55 ID: tACq5EQDki
トルカータータッソデインドリーム以来に凱旋門を制覇したぞ!
👍
高評価
0
👎
低評価
0
7 ななしのよっしん
2021/10/04(月) 00:24:00 ID: 2osPdqb6R1
ドイツ競馬レベルの高さを示したね、内の賞金は低いけど
👍
高評価
0
👎
低評価
0
8 ななしのよっしん
2022/08/27(土) 15:20:23 ID: f28z3pli/j
繁殖牝馬ナッソングバットドリームズ(フランケル×デインドリーム)の産駒ジャスタウェイ駒の初に続いてエピファネイア駒の第2も2歳新を勝つとはなかなか調子が良いな
👍
高評価
0
👎
低評価
0
9 ななしのよっしん
2023/12/01(金) 12:08:27 ID: ouUKYeQvlY
8月31日付で死亡したことになってる……知らなかった
👍
高評価
0
👎
低評価
0
10 ななしのよっしん
2023/12/01(金) 17:05:28 ID: cBlxy5+4Z4
👍
高評価
0
👎
低評価
0
11 ななしのよっしん
2023/12/03(日) 00:14:24 ID: xWVjqbfhma
どうか安らかに…
しかし凱旋門賞が亡くなったというのに数かも経って今頃発表とはあまりにも対応が杜撰では?
👍
高評価
0
👎
低評価
0