トヨタ・ランドクルーザーとは、トヨタの大型SUVである。通称「ランクル」
概要
世界各地に輸出され、走破性の高さと耐久性の高さで高い人気を誇っている。現行型は大きく分けて3つ存在し、200系・70系・プラド系が存在する。200系とプラド系はレクサスブランドにおいても販売されている。ランクル系に付与される形式は「J」である。
日本においては現在は70系以外が販売されているが、一部の強者は70系を独自のルートで仕入れている。
以下にランクルの系譜を記す。()内の表記はあくまでここでの仮称である事を注釈しておく。
55型→60系→80系→100系→200系→300系(ワゴン系)
現在、ランクルを想像するとこの系統が頭に思い浮かぶであろう。ラグジュアリー系統に振ったモデルであり、大陸巡洋艦の和訳に恥じない豪華な装備や走破性が特徴である。
1967年に登場した55型はジープに代表される無骨さを払拭し、洗練されたデザインが特徴であった。40型のコンポーネンツを使用しているので、乗用車的でありながら悪路走破性はお墨付きであったが、日本ではその大きさゆえに販売は少なかった。その容貌から「ムース(ヘラジカ)」のあだ名があった。
1980年に60系へモデルチェンジをして、大型化と共に装備の高級化が図られた。エンジンにディーゼルが加わり、この頃よりランクルの人気が出始めてきた。
1989年に登場した80系(通称「ハチマル」)は丸みを帯びたより乗用車的なデザインとなった。時はおりしもバブル景気であり、かなりの台数が売れた。装備も豪華化が進み、スエード調の肌触りのエクセーヌシートやオートエアコンの採用など、ますます高級SUVの傾向が強まってきた。ディーゼル規制の影響でディーゼル車は海外流出が多いが、その次の100系がオンロード重視の方向性となったため、クロカンユーザーの中には80系を引き続き乗り続けるものもいる。なお、モデル後半においてはレクサスブランドでLX450として販売された。
1998年に100系へとモデルチェンジし、装備やデザインなどから「SUVのセルシオ」と例えられるほどの人気車種となった。ガソリン車はV8となり、よりパワフルとなった。その一方で足回りが前のみであるが独立懸架となり、また車高調整などのハイテクがふんだんに盛り込まれている事から、オフローダーの中では信頼性の面を不安視される事もあった。実際、トヨタでも悪条件の未舗装が多いオーストラリアや紛争地域でも活躍する国連向けには80系の足回り・エンジンを使用した105系が用意されていた。また、100系の登場した辺りから、盗難が多くなった。マイナーチェンジ後はコンピューターが改良されてセキュリティが強化されたが、中には前期型の甘いセキュリティのコンピューターを使い、マイナーチェンジ後の車を盗むという者もいた。ちなみに筆者の家庭では前期車がありましたが、コンピューターだけ盗まれました。引き続きレクサスでも販売され、人気車種となった。なお、日本においては現行の200系に至るまで、レクサスで販売された事はないが、LX相当の車種は後々追加されている。100系ではシグナスという名前で販売されていた。
最新の200系は2007年に登場。エンジンはディーゼルもV8となった。日本向けは4700ccであるが、アメリカ向けには5700ccという巨大なエンジンを採用している。また、日本とアメリカ向け以外に存在するディーゼルは新開発のVD型となり、ツインターボを装備している。その出力265ps、最大トルク63kgというモンスターエンジンとなっている。このモデルでは105系相当のモデルは設定されておらず、70系にその役割を譲ったものと思われる。
ランドクルーザー生誕70周年となる2021年夏に、フルモデルチェンジした300系が登場予定。(ニュースリリース)
BJ型・20系→40系→70系(ヘビー系)
ランクルの中でも本来的な目的である業務用途に使用される事の多い系統で現行型はワゴン系やプラド系とはほぼ別物である。その使用目的から1にも2にも頑丈性が信条であり、極悪な条件下においてもトラブルを起こすことなく走破できるポテンシャルを秘めている。その為、世界各地においても家庭用から軍用に至るまで幅広く使用されている。面白いモデルとしては40系以降においてはキャブの後ろが荷台になっているトラック仕様やホイールベースを延長して人員輸送に適したモデルが存在する事である。
BJ型・20系はランクルの源流であり、BJ型は1951年に登場、警察予備隊向けに開発され、最初はランドクルーザーではなくトヨタジープBJ型と名乗っていたが、商標権の問題からランドクルーザーに改称となった。BJ型はヘッドランプが着脱可能で、トーチライトになる特徴があった。
40系(通称「ヨンマル」)は1960年に登場。このモデルは70系にモデルチェンジとなる1984年まで延々と24年間生産され続け、ランドクルーザーの中でも特に人気の車種である。最近登場したFJクルーザーはこのモデルをモチーフとしている。このモデルよりラインナップが多くなり、先述したトラック仕様や人員輸送用のロングホイールベース仕様が登場した。ちなみにブラジルではこのモデルを「バンデランテ」と言う名前で2001年まで製造していた。これを含めれば実に40年近くFJ40の車体が製造されていた事になる。なお、エンジンはメルセデス・ベンツ製の物を使用していた。
70系(通称「ナナマル」)は1984年に登場。曲線的な40系とは打って変わって、直線的なデザインとなった。このモデルでは消防車仕様も登場し、非常に多くの車種が存在した。なお、全車バンのみの設定で、幌仕様も存在した。1999年にはフロントのみであるがそれまでのリーフ式からバネ式に変更された。排ガス規制の影響で2004年を持って、国内向けへの販売を中止し、以降は国外向けのみとなった。2007年に新開発のVD型搭載に当たり、フロント周りの構造を変更したマイナーチェンジを行った。それまでの直列6気筒の自然過給からV8ターボ過給となり、出力も205馬力と大幅に上がった。なお200系と違い、こちらはシングルターボとなっている。ワゴン系やプラド系にはない絶対的な耐久性と悪路走破性などから世界各地で70を見かける事が多い。近年のマイナーチェンジで80年代からそのままであった直線的なインパネが曲線的なものになった。
2014年8月26日にランドクルーザー70誕生30周年を記念し、2015年6月30日までの限定ではあるが、国内向けに販売が再開された。今回ラインナップされるのは4ドアバンと4ドアピックアップである。特にピックアップモデルは日本国内向けには初めて販売される事になった。2004年時点ではディーゼルのみであったが、VD型が国内基準を満たしていないのか、今回はガソリンのみとなっている。エンジンはプラドやFJクルーザーでおなじみの1GR-FE型となっている。しかし、燃料はハイオク仕様となっている。その為、ボンネットのデザインもエアダムがないなど、少々異なった趣になっている。ギアはマニュアルのみであり、オートマの設定はない。オフロード用のメカニズムとして総輪デフロックや電動ウインチなど現代の車としては非常に珍しく、しかし本格的な装備が設定されている。これ以外のほとんどの部分は海外で販売されている70と似た内容になっている。お値段は350万円からとやや高めの設定である。
国外仕様の70
日本国内においては70のラインナップは2ドアのショートボディか4ドアのロングボディのみであるが、国外では前述した通り、ピックアップなど非常に多くのバリエーションが存在する。
かねてより、コアな強者は国外仕様の70系を逆輸入するものが多かったが、その中で一般的に多く見られるのはいわゆる「ナナゴー」と言われる超ロングホイールベース仕様で70のショートボディに窓を一つ追加したようなシルエットが特徴である。軍用車両と見間違えるその武骨さから大陸巡洋艦(ランドクルーザーの意訳)ならぬトゥループキャリアー(兵隊輸送艦)と言われる。なお、近年のモデルチェンジで数字が「78」となっているが、実はプラドの初代の数字と一緒である為、混同してしまう場合がある。
このほかにもピックアップモデルも存在し、こちらは一般的に「79」と言われている。これまたプラドとかぶっている。主に農家での使用を念頭にしており、この他にも架装を前提とした荷台部分のないキャブシャーシモデルもラインナップに存在する。
消防車用
消防車用は50系や60系等元々ワゴン系においてラインナップされていたが、80系へのモデルチェンジと共に70系ベースとなった。小型の消防車は現在のようにキャブオーバーがメインになる前はこうしたジープ系も多くラインナップに存在した。日産もサファリをベースとした消防車がラインナップに存在したほどである。
輸出仕様の超ロングホイールベース仕様を使用しており、キャブシャーシ仕様と同等の2ドアと4ドアが存在した。特に4ドア仕様は超ロングホイールベースでありながらキャブが国内仕様のロングボディなのでその部分が寸詰まりとなっている。架装段階でその部分に加工がされるのであまり目立たなくなっているが、カタログにはその寸詰まり具合が確認できる。他にもハイルーフになっていたりと、特殊仕様をまざまざと見せつけてくれている。
エンジンは消防車向けにチューニングされたエンジンを使用している。放水用のポンプをエンジンから出力する、いわゆるパワーテイクオフを採用しており、そのポンプを現場において使用する際に回転数を一定に保つ必要がある為にオーバーレブ防止のガバナーが専用の設定がされている。結果、出力はノーマルと同じであるが出力特性が非常に穏やかになっている(悪く言えばレスポンスが悪い)
その消防車用をベースとしたピックアップモデルがメーカー系ではないが、販売された事もある。これは逆輸入の79とは別物である。
主に山岳地などの消防隊や消防団向けに販売されていたが、キャブオーバー型がメインとなり、足回りも4WDの設定が出てくると次第にそちらへ移行していったが、根強い人気を誇った。2004年の70の国内生産中止に合わせて、消防車の販売も中止になった。
70系→90系→120系→150系(プラド系)
「トヨタ・ランドクルーザープラド」の項を参照
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関連項目
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