2007年 | 2008年 | 2009年 |
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のび太の新魔界大冒険 | のび太と緑の巨人伝 | 新・のび太の宇宙開拓史 |
ドラえもん のび太と緑の巨人伝とは、映画ドラえもんシリーズ第28作目である。新キャストでは第3作目にあたる。2008年3月8日公開。 主題歌は『手をつなごう』。作詞:絢香、作曲:西野芳彦・絢香、編曲:L.O.E、歌:絢香
概要
『ドラえもん』の短編「森は生きている」、「さらばキー坊」を原案とした、新キャストによる初のオリジナル作品。
映画版と岡田康則による漫画版が存在する他、ゲーム版も発売されている。
映画版は『帰ってきたドラえもん』などの感動シリーズおよび『のび太の恐竜2006』を手掛けてきた渡辺歩が監督を務める。前半はキー坊とのび太たちとの触れ合いが感動シリーズの如く丹念に描かれて評価が高い一方、後半(のび太たちが緑の星から地球に戻ってくる辺りから)については異様な映像表現と展開がなされ、かなり賛否両論の激しい作品となった。
この事については後年、渡辺が『アニメスタイル002』でのインタビュー内で触れており、渡辺自身は本作を失敗作としている。
当初は短編「ゆうれい城へ引っこし」を原案とした映画の企画が進められていたが、藤子プロより「さらばキー坊」をやりたいという話が出て企画がひっくり返ってしまった(しかし「ゆうれい城」自体は渡辺が絵コンテを担当し、テレビシリーズの作品として制作されている)という。
他にも、「『ドラえもん』はこうあるべきだ」という渡辺の主張と脚本が摺り合わせをすることが出来ないまま、脚本未完成の状態で絵コンテ作業に入らなければならず、最終的に「感じてもらう」方向へと作品がシフトしたことなどが語られている。
この出来事を受けてか渡辺はその後映画版の監督を務めることはなく、2011年にシンエイ動画を退社。フリーランスとなった。
ちなみに漫画版は脚本に添った形で描かれたのか、前半にひみつ道具「心の土」を使って裏山の植物とのび太たちが触れ合う場面が存在する(映画版では渡辺が道具を使って木々を変形させて遊ぶというプロットに拒否感を示していた(インタビューより)ためか、ばっさりカットされている)。特に後半はかなり展開が異なり、植物星人との戦いが映画版よりも具体的に描かれている。
本作は『さらばキー坊』の「エコロジー」という共通のテーマの下に、映画版はのび太とキー坊、リーレ姫を通し「争い」や「違う考えを持つもの同士が分かり合うこと」、「大切なものを守るためにはどうすればいいか」の問題を投げかけ、漫画版は「人間と植物の共生」について原作をより掘り下げた物として描かれ、方向性に違いがある。どちらか片方だけでなく、両方に触れることでようやく完成する稀有な作品と言っていいだろう。
あらすじ
裏山に捨てられていた苗木をひみつ道具「植物自動化液」で動けるようにしたのび太とドラえもん。苗木には「キー坊」と名前が付けられ、野比家の新しい家族として迎え入れられた。キー坊との日々を重ね、交流を深めていくのび太たち。
そんなある日、のび太たちは裏山の木を吸い取るUFOに吸い込まれ、植物型宇宙人の惑星「緑の星」に迷い込む。緑の星では地球の植物を全て奪い、人類を根絶やしにするという恐ろしい計画、「地球遠征法」が進行していた。
計画の要である「緑の巨人」を復活させるための生贄としてキー坊は捕まってしまい、更には地球が緑に覆われる中、遂に緑の巨人が復活し暴走。地上は熾烈な戦場となってしまう。
のび太たちはキー坊、そして地球を救うことは出来るのだろうか?
ゲストキャラクター
キー坊 CV/吉越拓矢
元は裏山に捨てられていた苗木だったが、「植物自動化液」のおかげで動けるようになった。
好奇心旺盛で弟のようにのび太の真似をしたがると同時に、新聞やテレビ番組から知識を吸収し勉強する面もある。
大山版の『さらばキー坊』では原作に沿ったデザインでアニメ化されているが、本作では原作の絵から新たにリファインされたデザインとなっている。
リーレ CV/堀北真希
緑の星の王女。わがままな性格で、政治についてもシラーにまかせっきり。
のび太やキー坊たちと出会うことにより、その心には変化が……?
長老ジィ CV/三宅裕司
緑の星を旅する老人。植物星人の星の中で唯一彼だけキノコ(菌類)の姿をしている。
のび太やキー坊、リーレたちに時折助言をし、行く末を見守っている。
ジョーロの女の子 CV/松元環季
映画版の前半に登場する少女。本作のテーマを物語る存在となっている。
赤いジョーロで植物に水を与え、キー坊とも仲良くなる。漫画版では未登場。
シラー CV/大塚周夫
緑の星でリーレに代わり政治を取り仕切り、緑の巨人の復活で人類を滅ぼすことを考えている。
漫画版では強烈に動物への悪意を剥き出しにした様子でのび太たちと争い、明確な敵として描写される。
一方映画版では緑の巨人の暴走により母星に被害が出た事を知り、己の愚かさを悟るという展開で完全なる悪としては描かれていない。
パルナ CV/有田哲平(くりぃむしちゅー)
シラーの部下で、兵士達のリーダー。おっちょこちょいな面がある。
スタッフ
- 原作/藤子・F・不二雄
- 監督/渡辺歩
- 総監督/楠葉宏三
- 脚本/大野木寛
- 絵コンテ/渡辺歩、宮下新平
- 演出/宮下新平
- 作画監督/金子志津枝
- エフェクト作画監督/桝田浩史
- 美術/西田稔、河合伸治
- 色彩設計/松谷早苗
- 3DCGスーパーバイザー/木船徳光
- 撮影監督/岸克芳
- 編集/小島俊彦
- 録音監督/田中章喜
- 効果/糸川幸良
- 音楽/沢田完
- チーフプロデューサー/増子相二郎、杉山登
- プロデューサー/小倉久美、吉川大祐、藤森匠、島哲雄、山崎立士
- 制作/ 「映画ドラえもん」制作委員会
関連動画
藤子・F・不二雄によるSF短編(1976年発表)。
植物に覆われる東京など、共通する面が多い。
関連商品
関連項目
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