ノームコア(Normcore、樸素無華)とは2015年生まれの日本の競走馬である。芦毛の牝馬。
美浦・萩原清厩舎所属、安平町・ノーザンファーム生産
馬主は池谷誠一(ダイナマイトダディやプリサイスマシーンの馬主)
主な勝ち鞍
2019年ヴィクトリアマイル(GⅠ)、2020年香港カップ(GⅠ)
2020年札幌記念(GⅡ)、2018年紫苑S(GⅢ)、2019年富士S(GⅢ)
馬名は「究極の普通」(JRA競走馬情報より)。極めて普通の格好、というファッション用語である。
生い立ち
父*ハービンジャー、母クロノロジスト、母父*クロフネという血統。
父のハービンジャーはGⅠ勝ちこそキングジョージのみだが、そのキングジョージを大差勝ちしたことにより優駿の一頭に数えられる。ノームコアはハービンジャーの4年目の産駒にあたり、同父の同期は有馬記念馬ブラストワンピースである。
母クロノロジストは現役時代ダートで1勝。因みにクロノロジストはクロフネとフサイチエアデールの全妹との間に生まれたため、朝日杯FS勝ち馬フサイチリシャールとは母馬の名が違うだけの同血統である。
1つ下の半妹に秋華賞馬クロノジェネシス(父バゴ)がいる。
2016年の1歳セレクトセールで税別2,200万円で落札され、馬主の池谷誠一は後に「値段も高くなかったし、普通の馬だと思っていた」と語っている。2歳となったノームコアは萩原清厩舎へと入厩した。
競走生活
2~3歳
2歳7月の福島開催でデビュー。ここを難なく快勝すると中山開催のアスター賞も番手から伸び勝って連勝。しかしレース後に骨折が判明し2歳シーズンを切り上げ休養となった。
年が明けてフラワーCより戦線に復帰し番手から抜け出して3着。続くフローラSでもやはり番手から競馬を進めるも直線で競り負けて3着となり、オークスの優先出走権を得られず春を終えた。
秋になり紫苑Sから始動。ここで新たにルメールを鞍上に据えてみたところ、いつもより抑え気味、中団の前目につけて進める。結果、直線で力強く抜け出して2着に3馬身差をつける快勝を収める。しかし疲労が出たとして秋華賞を回避。
エリザベス女王杯でGⅠ初挑戦となり、ここを2番人気に支持されるも直線で今ひとつ伸びが少なく5着となる。しかし3歳馬最先着を果たした。
4歳
明けて4歳となり愛知杯から始動するもスタートで躓き、後ろ目から直線一気で伸びてきたものの半馬身及ばず2着に、続く中山牝馬Sではルメール騎乗停止により田辺裕信に乗り替わったものの、直線で進路を失って伸びきれず7着と初めて掲示板を外す。
そして迎えたヴィクトリアマイル。マイル戦は2歳のアスター賞以来である。ここではラッキーライラックが押し出され気味の1番人気(4.3倍)となり、ノームコアはアエロリット、レッドオルガ、プリモシーンに続く5番人気(9.4倍)であった。これまで鞍上だったルメールが再び騎乗停止となり、豪州から短期免許で来ていたダミアン・レーンが鞍上となった。
レースは大方の予想通りアエロリットが淀みない逃げを打つ。1000m通過が56秒1と超高速馬場の2019年府中競馬場といえどもハイペース。ノームコアはといえば若干出が弱く中団から競馬を進め、直線に入って徐々に外へと進路を求め、馬場の真ん中から追い込んで一気に脚を伸ばす。先頭に躍り出ると更に外から追い込むプリモシーンを振り切ってゴール。タイムは1分30秒5と従来のレコードを0.2秒更新する世界レコードを記録。長く馬主を続けた池谷誠一は19回目の挑戦でGⅠ初制覇、ダミアン・レーンもJRAのGⅠ初制覇となった。しかしこの激走の代償か、レース後剥離骨折を発症。休養する事となった。
秋の復帰戦は富士Sを選択。ここにはNHKマイルカップ勝ち馬アドマイヤマーズが出走し、ノームコアはそれに次ぐ2番人気に推される。鞍上にはルメールが戻ってきた。稍重馬場の富士Sでノームコアは道中後方から進め、直線で大外に持ち出して一気の末脚を披露。半馬身抜け出して牡馬混合重賞初勝利となった。なお牝馬による富士S勝利は99年のレッドチリペッパー以来20年振りである。
その後マイルCSではなく香港マイルへと出走。中団後方からレースを進めて直線外から伸び、アドマイヤマーズ、Waikuku、Beauty Generationには及ばずも4着に入った。
5歳
明けて5歳となり、初スプリント戦である高松宮記念に出走。ルメールがドバイへ遠征した為横山典弘に乗り替わった。8番人気で迎えたレースでは道中中団から徐々にポジションが下がり、後方から全く伸びず15着に敗れた。
その後ヴィクトリアマイルへと出走。アーモンドアイが1番人気となり、前年覇者の本馬は単勝17.4倍の5番人気と割と低評価。レースでは若干出負けするも徐々にポジションを上げて中団を追走。直線に入って脚を伸ばし、一頭異次元の馬がいたものの2着サウンドキアラにクビ差の3着に入った。
春3戦目に安田記念を選択。アーモンドアイやインディチャンプといったマイルの優駿が揃い、その中で7番人気(単勝49.9倍)と人気を落としたものの、レースでは後方集団から進め、直線で大外に持ち出してから猛然と追い上げて3着とクビ差の4着に入着した。
その後札幌記念へと出走。愛知杯(2着)以来となる2000m戦となり、ここではラッキーライラックが単勝2倍を切る1番人気で、ノームコアは3.7倍の2番人気であった。レースでは11頭立ての中団から進み、4コーナー辺りから馬群の中からポジションを上げて脚を伸ばし、直線では抜け出したラッキーライラックを残り100mで交わし、ペルシアンナイトの追撃を1馬身振り切ってゴール。重賞4勝目を挙げた。
札幌記念後、2年ぶりとなるエリザベス女王杯へと出走。1番人気こそラッキーライラックに譲ったが、差の無い2番人気に支持された。レースではスタートを決めて阪神の長い直線での先行争いを制し、なんとハナを切って逃げる展開となる。向こう正面に入る頃には後続を5馬身差付けて逃げたが、徐々に差が詰まって最後の直線では残り300mで万事休す。16着に敗れた。
次走に香港カップを選択。日本からは本馬の他前年優勝馬であるウインブライトとダノンプレミアムと共に遠征し、8頭立てとなったが欧州中距離の名牝Magical、重馬場巧者Skalleti、復調傾向の香港二冠馬Furoreなどが出走。当初クリストフ・スミヨンが騎乗予定も検疫の関係で騎乗できなくなり、香港の名騎手ザカリー・パートン(香港カップ空いてたのにびっくりだよ)に乗り替わった。
レースでは3番枠からスタートし道中6番手、ウインブライトの後方、Magicalの真横につける。道中折り合いがつき、4コーナーでも外へ持ち出されて手応え良く進み、最後の直線では競り合うウインブライトとMagicalを外から交わしてゴール。GⅠ2勝目となった。
翌年の1月5日に引退を発表。先述の香港Cの勝利でラストランに花を添える事となった。
今後はノーザンファームにて繁殖入りする予定。
血統表
*ハービンジャー 2006 鹿毛 |
Dansili 1996 黒鹿毛 |
デインヒル | Danzig |
Razyana | |||
Hasili | Kahyasi | ||
Kerali | |||
Penang Pearl 1996 鹿毛 |
Bering | Arctic Tern | |
Beaune | |||
Guapa | Shareef Dancer | ||
Sauceboat | |||
クロノロジスト 2003 芦毛 FNo.20-a |
*クロフネ 1998 芦毛 |
*フレンチデピュティ | Deputy Minister |
Mitterand | |||
*ブルーアヴェニュー | Classic Go Go | ||
Eliza Blue | |||
インディスユニゾン 1997 青鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
*ラスティックベル | Mr. Prospector | ||
Ragtime Girl |
クロス:Northern Dancer 5×5
関連動画
関連項目
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