セレクトセールとは、日本競走馬協会が主催する日本最大の競走馬セリ市である。
概要
1998年から毎年7月中旬にノーザンホースパークで2日間の日程で行われる日本最大の競走馬のセリ市である。セレクトセールの名前の由来は主催者側が上場する馬をセレクト(厳選)しているということを意味している。セリ会場には馬主、調教師、騎手、生産者などの競馬関係者以外は入場できず、一般の競馬ファンの見学は原則不可能であるが、その代わりグリーンチャンネルやニコニコ生放送等でセリの生中継がされている。2020年からは新型コロナウイルス感染症対策の一環から電話でのセリ参加も可能となった。
その名の通り選りすぐりの良血馬、素質馬が上場されており、創設から2023年5月現在に至るまで出身馬が積み上げてきたG1・JG1級勝ち鞍は123を数え、日本最高級のセリ市としての立ち位置を確固たるものとしている。
特徴
まず最大の特徴は当歳(0歳)馬のセリがメインイベントとされている事だろう。当歳馬セリがメインのセリ市は世界的に見ても大変珍しく、またその中でも特に良質な当歳馬が上場されるため当歳馬セリでの最高落札価格がその年の当歳世界最高取引価格になることも珍しくない。そういったことから世界的にも「世界最高級の当歳馬のセリ市」と認知されている。
もう一つは高額な落札価格、2017年の平均落札価格(税込)は当歳馬セリで4941万円、1歳馬セリで4317万2500円と国内セリではダントツのワンツーである。(3位は北海道セレクションセール1歳馬セリの1690万5521円)
最高額を見るともっと圧倒的である。2017年の最高落札価格(税込)は1歳馬セリでは2億9160万円、当歳馬のセリではなんと6億2640万という桁外れの金額である。(3位は北海道トレーニングセール2歳セリの5508万円)
またセレクトセールに上場できるような良血馬を生産できる生産者は限られているため、高額落札馬の多くが日本最大の生産者団体である社台グループの生産馬なことやセレクトセール自体が社台グループが保有するノーザンホースパークで行われることから「社台のセリ市」と一部では呼ばれている。
主な落札馬
五十音順
セレクトセール出身馬のGⅠ成績
2023年現在、セレクトセールの出身馬がまだ勝利していない中央GⅠは中山大障害。地方Jpn1はかしわ記念、帝王賞、JBCクラシックの3つが未勝利。意外にも桜花賞はデアリングタクトが勝つまで未制覇だった。特に勝利数が多いGⅠ競走に関しては、
- 8勝:天皇賞(春)、NHKマイルカップ
- 7勝:菊花賞
- 6勝:宝塚記念
- 4勝:高松宮記念、東京優駿、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ、ジャパンカップ、有馬記念
- 3勝:ヴィクトリアマイル、優駿牝馬、天皇賞(秋)、チャンピオンズカップ[1]、朝日杯フューチュリティステークス、香港ヴァーズ
と、競走距離、競馬場、国内外を問わず優れた成績を現在まで維持している。
主な購買者
主な購買者は国内の馬主だが、繁殖入りを見据えて良血の素質馬を確保しようとするブリーダーや近年では日本馬の海外における目覚ましい活躍を受けて香港、UAE、オーストラリア等の馬主やその代理となるバイヤーの参加も急増している。
- 金子真人
説明不要の大馬主、金子真人ホールディングス代表。セレクトセール最大の大物でディープインパクトを落札したのもこの人である。
主な落札馬:ディープインパクト、キングカメハメハ、カネヒキリ、ユートピアなど - 近藤利一
金子真人と並ぶ古くからのセリの常連、アドマイヤの冠名で有名。多くのGⅠ馬を掘り当てており相馬眼も一流だったが、2019年に死去。
主な落札馬:アドマイヤムーン、アドマイヤグルーヴ、アドマイヤマーズ、アドマイヤジュピタなど - 島川隆哉
トーセンの冠名でおなじみの馬主。金子真人、近藤利一と並ぶ古くからの常連。高額の良血馬を多く落札していることで有名。
主な落札馬:トーセンジョーダン、トーセンホマレボシなど - 里見治
サトノの冠名でおなじみ。セガサミーホールディングスの会長としても有名だが馬主としても複数のG1馬をセレクトセールで発掘しており、近年ではセレクトセールの有力購買者の一人となっている。
主な落札馬:サトノダイヤモンド、サトノクラウン、サトノアラジン - 野田順弘
(株)ダノックスの中の人と言えば大体の人はわかるはず。フォーブスの長者番付にランクインするほどの資産力を生かし、多くのG1馬を購買している。
主な落札馬:ダノンシャーク、ダノンファンタジー、ダノンザキッド - 関口房郎
フサイチの冠名でおなじみ。十数年前まではセリの常連だった人、「高い馬ほどよく走る」という独特の持論を持っており、一声でセリ値を億単位で上げたりとセリをよく賑わせていた。しかし2007年を最後に参加しておらず、経済的困窮で馬主業からも撤退している。
主な落札馬:フサイチリシャール、フサイチパンドラ - 藤田晋
「ウマ娘 プリティーダービー」を手掛けたCygamesの親会社、サイバーエージェント社長。2020年の千葉サラブレッドセールから本格始動した新興馬主だが、2021年のセレクトセールで初年度からいきなり1歳及び当歳馬を18頭、23億円の爆買いで一躍話題に。今後30年間に向けた土台作りのための多額投資だが、この中から優秀な成績を修める競走馬が現れるのかが注目されている。
関連項目
脚注
- *ジャパンカップダート時代も含む。
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