マスターフェンサー(Master Fencer)とは、2016年生まれの日本の競走馬である。
主な勝ち鞍
2020年:名古屋グランプリ(JpnⅡ)、マーキュリーカップ(JpnⅢ)、白山大賞典(JpnⅢ)
2021年:マーキュリーカップ(JpnⅢ)
概要
父ジャスタウェイ、母セクシーザムライ、母父Deputy Ministerという血統。父はレーティング世界1位にも輝いたGI3勝馬でマスターフェンサーはその初年度産駒。母はアメリカ産馬で、日本に競走馬として輸入されて中央と地方で各1勝。母父は大種牡馬であるが、どちらかというと2016年生まれの母父でありながら1979年生まれなことに目が行くかもしれない。
命名由来は母名からであろう「剣豪」で、母と同じ吉澤克己[1]の所有馬として2016年2月21日に三嶋牧場で誕生した。
2歳(2018年)
角田晃一厩舎に入厩し迎えた9月の芝2000mの新馬戦は酒井学鞍上で4番人気に支持され、2番手に付けるレースとなったが、外から突き抜けてきた1番人気グランデストラーダに敗れて2馬身半差の2着となった。
10月の芝2000mの未勝利戦は取消となり、12月の芝2000mの未勝利戦も横山武史鞍上で4着に終わった。
同月の次走はダート1800mの未勝利戦。浜中俊を鞍上に2番人気で迎え、上がり最速で3馬身半差を付けるという快勝で初勝利を飾った。
3歳(2019年)
3歳初戦は1月のダート1800mの500万下。浜中俊を鞍上に単勝1.5倍の1番人気に支持され、手前が反対だったり、直線でモタれたりと幼いところはありつつも、上がり最速を出し1馬身半差を付けて勝利。このレースの後にアメリカ三冠競走やUAEダービーへの予備登録が行われたことが発表された。
続いて2月のダート1600mのリステッドであるヒヤシンスステークスに出走し、岩田康誠を鞍上に最後方からの競馬で上がり最速となったものの4着。
3月にはダート1800mのOPである伏竜ステークスに出走。内田博幸を鞍上に3番人気に支持され、最後方からの競馬で上がり最速となったものの、1番人気デアフルーグに敗れて1馬身半差の2着に終わった。
カトレア賞、全日本2歳優駿、ヒヤシンスステークス、伏竜ステークスの5着以内に与えられるポイントによって日本からケンタッキーダービーへの出走権を獲得できるJAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBYでは4位に終わったが、上位3頭が回避したため出走権を獲得した。
陣営は5月に行われるケンタッキーダービー(GI)への挑戦を決定。ケンタッキーダービーへの出走は1995年のスキーキャプテン(14着)、2016年のラニ(9着)に続く3頭目であり、日本産馬としては史上初となった。ジュリアン・ルパルー騎手を鞍上に最後方からの競馬で直線で伸びたものの7着…かと思いきや1位入線のマキシマムセキュリティが降着して6着となり、2019年までに出走した日本馬の中では最先着となった。
アメリカクラシック三冠の2戦目であるプリークネスステークスには参加せず、次走は3戦目の6月に行われるダート2400mのベルモントステークス(GI)。後方で脚を溜めて直線で追い込んだが5着。
帰国予定の便をキャンセルし、続いて挑戦したのはアメリカの芝2000mのレースで7月に行われるベルモントダービー招待(GI)。浜中俊を鞍上に迎えて後方からの競馬で臨んだものの、14頭立てで1頭競走中止となる中の13着と大敗。
収得賞金が未勝利と1勝クラスのものだけであったため、11月の復帰戦は2勝クラスでダート1900mの犬山特別。福永祐一を鞍上に、ここは単勝1.8倍の1番人気に応えて上がり最速で3馬身差の快勝。
12月の3勝クラスでダート1800mの摩耶ステークスも単勝1.5倍の1番人気に支持されたものの後方から伸びきらずに4着に終わった。これにより検討されていたアメリカのペガサスワールドカップへの遠征は見送られることとなった。
4歳(2020年)
2月には3勝クラスでダート2100mの金蹄ステークスに出走。川田将雅を鞍上に単勝1.8倍の1番人気に支持され、上がり最速を出して2馬身半差で勝利。
レース後には3月のドバイワールドカップへの招待を受諾し、ジョアン・モレイラ騎手を鞍上に迎えることを調整していたが、新型コロナウイルスの流行に伴い無観客競馬となることが決定し、更に検疫の問題で騎手もアンドレア・アッゼニに変更。現地到着後、最終的に競争自体が行われないことが決定したため帰国することとなった。
5月にはリステッドでダート2100mのブリリアントステークスに福永祐一鞍上で出走。2番人気となり、追い上げたもののクビ差で3番人気エルデュクラージュに敗れて2着。
6月にはリステッドでダート2100mのスレイプニルステークスに浜中俊鞍上で出走。単勝2.1倍の1番人気となり、追い上げたものの再び3番人気エルデュクラージュに敗れて2着。
7月には初の交流重賞となるマーキュリーカップ(JpnⅢ)に登録し、補欠馬となったが、上位馬の回避もあり出走決定。川田将雅を鞍上に単勝1.9倍の1番人気となると、好位の後ろでレースを進め、上がり最速を出してデルマルーヴルをゴール前で差し切り1馬身半差を付けての重賞初制覇となった。
更に9月の白山大賞典(JpnⅢ)に単勝2.5倍の1番人気で出走。好位でレースを運び、ロードレガリスとの競り合いを制してクビ差で勝利した。
JBCクラシックや浦和記念、チャンピオンズカップ、次々走としての東京大賞典なども検討されたものの、次走は12月の名古屋グランプリ(JpnⅡ)。ダートとしては長距離である2500mのこのレースに単勝1.4倍の1番人気で出走し、好位追走から4コーナーで先頭に立って上がり最速でロードゴラッソに2馬身差を付けて勝利。重賞3連勝となった。
5歳(2021年)
5歳初戦は1月の川崎記念を予定し、更にサウジカップ遠征も検討されていたものの外傷を負った影響で見送りとなった。
3月のドバイワールドカップへの招待も辞退し、同月のダイオライト記念(JpnⅡ)に松山弘平鞍上で参戦。ダート長距離とあって単勝2.4倍の1番人気に支持されたが、追走に一杯で川田騎乗のダノンファラオが勝利する中で4着に終わった。
5月には平安ステークス(GⅢ)に出走したものの、6番人気11着に終わった。
帝王賞も検討されたものの収得賞金の関係で見送られ、7月はマーキュリーカップ(JpnⅢ)に出走。単勝5.8倍の4番人気となったが、2番手でレースを進め、上がり最速を出して1番人気バンクオブクラウズ[2]を直線で突き放し2馬身差で連覇となった。
前年に引き続き9月の白山大賞典(JpnⅢ)に出走。他の馬より3㎏以上重い斤量58㎏を背負いながらも単勝3.0倍の1番人気に支持されたが、不良馬場となる中で4着に終わった。
収得賞金的にJBCクラシック出走は厳しい状況となる中、左前脚の骨折が判明。
6歳(2022年)
4月30日付で競走馬登録が抹消され、種牡馬入りが発表された。
アメリカからの帰国後はGI級のレースに出走する機会を得られなかったものの、21戦8勝、交流重賞4勝という戦績で引退となった。
種牡馬入り
ジャスタウェイ初の後継種牡馬としてイーストスタッドに繋養され、20万円と安価な種付け料が設定されたもののやはり実績不足なところは否めず、初年度の2023年は17頭の種付けに留まった。
ジャスタウェイ産駒からは翌年に芝GI馬ダノンザキッドが種牡馬入りしたほか、ダートでもJBCレディスクラシックを勝利したテオレーマや重賞馬ヤマニンウルスなどを輩出している。
厳しい状況ではあるがマスターフェンサー産駒の活躍も期待したい。
血統表
| ジャスタウェイ 2009 鹿毛 |
ハーツクライ 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
| Wishing Well | |||
| アイリッシュダンス | *トニービン | ||
| *ビューパーダンス | |||
| シビル 1999 鹿毛 |
Wild Again | Icecapade | |
| Bushel-n-Peck | |||
| *シャロン | Mo Exception | ||
| Double Wiggle | |||
| *セクシーザムライ 2004 栗毛 FNo.5-h |
Deputy Minister 1979 黒鹿毛 |
Vice Regent | Northern Dancer |
| Victoria Regina | |||
| Mint Copy | Bunty's Flight | ||
| Shakney | |||
| Powder 1998 鹿毛 |
Broad Brush | Ack Ack | |
| Hay Patcher | |||
| Charette | Chief's Crown | ||
| Northern Sunset |
関連項目
脚注
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