ルウク・スカイウォーカー(Luuke Skywalker)とは、「スター・ウォーズ」サーガの登場人物である。
「レジェンズ」作品群の登場人物。
概要
ルウク・スカイウォーカーは、ルーク・スカイウォーカーのクローン体である。映画『エピソード5/帝国の逆襲』において、ダース・ヴェイダーに切り落とされたルークの右腕の細胞をもとに生み出された。ルークがLukeであるのに対し、ルウクはLuukeである。
ティモシイ・ザーンによるスピンオフ小説シリーズ「スローン三部作」の第三作『スター・ウォーズ 最後の指令』(1993年)において初登場した。
登場
ルウクを生み出したのは、惑星ウェイランドのタンティス山に皇帝パルパティーンが築いた秘密保管庫の守護者、ダーク・ジェダイのジョラース・シボースである。秘密保管庫には、スパーティ・クローニング・シリンダー(クローン作成装置)や数々の新兵器とともに、惑星ベスピンのクラウド・シティから回収されたルーク・スカイウォーカーの右腕も保管されていた。
ジョラース・シボース自身もまた、皇帝が旧共和国時代のジェダイ・マスター、ジョラス・シボースを原形に、保管庫の守護者として作り出した狂気のクローンであった。エンドアの戦いで皇帝が死んで5年後、帝国軍残党を指揮するスローン大提督の接触を受けたジョラースは、スローンと協力関係を結び、保管されていたクローニング・シリンダーや新兵器を提供した。そしてジョラースは、強力なフォースを持ち、彼に忠実な傀儡、意思の薄い怪物としてルウクを作らせたのである。
やがてオリジナルのルークは、ハン・ソロやレイア・オーガナ・ソロ、そして皇帝の秘密エージェント“皇帝の手”だった過去を持つ密輸業者マラ・ジェイドを伴い、ジョラースとクローニング・シリンダーを探し求めてタンティス山へとやってきた。ルウクはアナキン・スカイウォーカーのライトセイバーを手にルークの前に立ちはだかる。クローンとオリジナルの戦いは激しく続いたが、そこにマラが介入した。頭の中で響く「ルーク・スカイウォーカーを殺せ」という皇帝の声に悩まされていた彼女は、そのクローンを殺すことで因縁を断ち切ったのだった。
その後
だが、この時マラが斬り倒したのは、実際にはオリジナルのルークのほうだった。おそらくそれは単なる致命的な間違いの結果だったが、いずれにせよ事前にスローン大提督からルークに成り代わるよう指令を受けていたルウクは、以来「ルーク・スカイウォーカー」として活動するようになった。
ルーク・スカイウォーカーとなったルウク・スカイウォーカーは、オリジナルとの飲み物の好みの違いに悩まされたりしながらも、ジェダイの長、反乱同盟軍の英雄としてジェダイ・アカデミーをつくり、ブラック・フリート危機に対処し、カーマス・ドキュメント危機を収拾し、ユージャン・ヴォングとの戦いに身を投じた。彼の演技によって、銀河のヒーロー、ルーク・スカイウォーカーは活躍を続けた。
一方、ルウクはスローンの手先としての活動も続けていた。スローンは古代のシス卿エグザ・キューンや旧共和国時代のジェダイ騎士カリスタのクローンを作りたがったが、エグザ・キューンは霊体、カリスタも精神だけになって他人の身体を使っているために遺伝子を採取できず、結局プリンス・シゾール(犯罪組織ブラック・サンの首領)とダーガ・ザ・ハット(ハットの犯罪王)のクローンで妥協された。
やがてルウクは老化が進み、新たなクローンに後事を任せて引退することを考えるようになる。だが彼は、いつのまにかスローンが狂気に陥っているという恐るべき事実に気づいてしまった。銀河の厳しさのために彼はとうにクローン体に置き換えられてスロオン(Thraawn)かスローオン(Thraaawn)になっているのだろう、とルウクは語るが、いずれにせよスローン(たぶん実際にはスロオンかスローオン)の目的は、かつてスローンとルウクが目指した銀河の平和と安定ではなく、銀河の英雄たちのクローンを揃えること、そしてそれを本物と入れ替え、オリジナルを彼の秘密要塞に収集することになっていた。
ハンとレイアの次男アナキン・ソロはアナーキン(Anaakin)に入れ替えられた。続いてマラ・ジェイドはマーラ(Maara)に、アナキンの兄ジェイセン・ソロはジェーイセン(Jaacen)になった。残存帝国軍の最高司令官ギラッド・ペレオンはギラード・ペレオン(Gilaad Peraeon)に、銀河同盟元首ナタシ・ダーラはナターシ・ダーラ(Nataasi Daala)になり、帝国の元首に選ばれたジャグド・フェルも実はジャーグド・フェル(Jaagged Fell)である。それどころかボバ・フェットは死にすぎてボオーバ(Boooba)かボオオーバ(Booooba)くらいになっていた(最初からクローンなのに)。銀河はクローンだらけで、ルウクが把握する限り、確実にオリジナルなのはハンとレイアの夫婦くらいのものだった。
ルウーク(Luuuke)に後を継がせたルウクは、スローン(きっとスロオンかスローオン)の秘密要塞へと最後の旅に出る。銀河をスローン(おそらくスロオンかスローオン)の狂気に巻き込んでしまったことに深い後悔を抱きながら。
さらば、そして茶ア番劇とともにあらんことを。
(Farewell, and may the Faarce be with you.)
物語は続く
『最後の指令』でルーク・スカイウォーカーは死に、その後の姿はすべてクローンの演技だった……この衝撃的な事実が初めて表に出たのは、ルウク登場からちょうど19年を経た2012年4月1日に発表された、ルウクの生みの親ティモシイ・ザーンによる短編小説「An Apology(謝罪)」(未邦訳)でのことである。同作は、当時完結したばかりの「Fate of the Jedi(ジェダイの運命)」九部作のエピローグとなる。
「An Apology」は、「Fate of the Jedi」九部作に続く小説新シリーズ「The Clone Wars 2(クローン・ウォーズ2)」への橋渡しを構成する。「拡張世界(Expanded Universe)」と呼ばれるスピンオフ展開が始まった頃から20年の長きにわたり「Son of Clone Wars(クローン・ウォーズの息子)」の仮タイトルで計画されてきたこの壮大な新シリーズのために、「スター・ウォーズ」拡張世界のクリエイターたちは一切をルーク・スカイウォーカー本人の活躍として描写しながら、読者にはよくあるちょっとした矛盾と片付けられてしまうような、巧妙な伏線を作中に残していたのである。
この新たな「Clone Wars 2」シリーズの開始は「An Apology」の発表にあわせて明らかにされた。この発表では、大長編の始まりとなる第1作と第2作のあらすじと表紙イラストも公開され、「An Apology」の直後となる第1作『Luuuke(ルウーク)』ではルウークが銀河の人々のクローンを結集させて銀河の征服を始め、第2作『Woookie(ウウーキー)』ではハンがチューバアッカ(Chewbaacca)と大量のチューバッカクローンの軍隊に直面する(彼は親友チューバッカの尊厳のために無数の親友の複製を殺す必要があり、同時にその中にいるかもしれない本物を探さなくてはならない)ことが明らかになった。
シリーズの完結は未定(「クローン・ウォーズ2は終わりのないシリーズであり、クローンが存在する限り物語はある」)ながら、少なくとも第17作までは予定されている。この第17作では、ルウークがクローン戦争時代にタイムスリップする。アナキン・スカイウォーカーの共和国クローン軍と未来から来たルウークのクローン軍が激突し、クワーイ・ガン・ジン(Quui-Gon Jin)とオビ=ワーン・ケノービ(Obi-Waan Kenobi)が初登場するとのことで、さらに全十七部作の外伝シリーズの分岐が期待されている。
これからも、スター・ウォーズの偉大な物語は、遥か彼方まで永遠に続いてゆくだろう……
* * ノン・カノン
* + う そ です
n ∧_∧ n
+ (ヨ(* ´∀`)E)
Y Y *
ヴォレン・ナル
(銀河自由同盟歴史評議会
記録保管担当名誉教授)
An Apology
「An Apology」(と「The Clone Wars 2」)は、4月1日という発表日から自明なように、SW公式側(厳密にはアメリカ合衆国でSW書籍出版を担うRandom House社の公式ウェブサイト)のエイプリルフールネタである。すなわちノン・カノン、当時のSWスピンオフ作品群(「レジェンズ」)における「非正史」に分類される話であって、本編のルークはちゃんとルークのままである。生きてるよ。
もちろん嫌な予感しかしない「クローン・ウォーズ2は終わりのないシリーズであり、クローンが存在する限り物語はある[1]」とかいう豪語も、クライトス・ウイルスを発症した夜の悪夢みたいな「The Clone Wars 2」シリーズも同じエイプリルフール記事で発表されたネタなので安心してほしい。
ただし「ノン・カノン」扱いとは非公式という意味ではなく「公式にして非正史」ということである。一応「インディ・ジョーンズがサスカッチを追って入った森で墜落した宇宙船を見つけ、中でなぜかやたら親近感のある骸骨に出会う」(コミック「Into the Great Unknown」)とか「ライトサイドに立ち返ったアナキンが真っ白なダース・ヴェイダーの装甲服で反乱同盟軍に加わる」(コミック『Star Wars Infinities: Return of the Jedi』。公式フィギュア化済)くらいにはSW公式の話と扱われている。
一方で、この記事の「その後」の見出しより上、ルウクがマラ・ジェイドに倒されるまでの記述については一切ノン・カノンではなく、まぎれもなく『スター・ウォーズ 最後の指令』のストーリー、レジェンズの正史である。レジェンズにおけるスローン三部作のクライマックスを飾る敵であり、ルウク(Luuke)という安直な名前も含めて正式なレジェンズの本流そのものである。「レイアそっくりで目からビームを撃つドロイド“レイアII”」(小説「ジェダイの王子」シリーズ)とかといっしょ。
クローニングされる母音
ルーク(Luke)がルウク(Luuke)になったような「クローンになると名前の母音が増える現象」は、「An Apology」が最後までこれでもかと擦り倒していることからもわかるように、スローン三部作以来SWスピンオフファンにはそれなりに知られたネタである(「An Apology」ではJagged FelのクローンだけJaagged Fellと姓のlまで増えているが、たぶんただのTypo)。
これはルウクの存在に加え、ジョラス・シボース(Jorus C'baoth)のクローンがジョラース・シボース(Joruus C'baoth)を名乗り、かの天才スローン大提督自身が名乗りの発音の違いをジョラースがクローンである証拠として挙げたことがきっかけになっている(ちなみにジョラースは自分がクローンではなくジョラス本人だと信じ込んでいるが、ルウクのことはちゃんと「ルウク」と呼ぶ)。
英語圏ネットメディアの記事でも、「レジェンズじゃ『ルウク』みたいにクローンには追加の母音が名前につくことが多いけどさ[2]」と言われたり、カノンになってからパルパティーンに「シーヴ(Sheev)」というファーストネームがようやく設定されたことまで「母音がふたつある!怪しい!」とネタにされたり疑われたり[3]している。
そうはいっても、「An Apology」関係を除いてしまえば、SW世界広しといえども名前の母音が増えているクローンはジョラースとルウクくらいのものである(都市伝説なんてそんなものだ)。例えば、帝国の秘密情報部長官イセイン・アイサードのクローンはジョラース同様に自分がオリジナルだと思い込んでいたが、名前の母音が増えたりはしていない。
だいたい、ザーン自身も後のハンド・オブ・スローン二部作でもクローンの個体を登場させているが、スーンティア・フェル(Soontir Fel)のクローンはスウーンティア(Sooontir)ではなくケイリブ・デヴィストを称したし、グロディン・ティアス(Grodin Tierce)のクローンはグローディン(Groodin)ではなく正しくグロディンと名乗っていたのである(ただし、両者とも自身をクローンと自覚してはいた)。
関連リンク
- Suvudu.comに掲載された「An Apology」全文と新シリーズ告知(STAR WARS: FATE OF THE JEDI news and exclusive Epilogue by Timothy Zahn - Suvudu.com)(アーカイブ)
- Luuke Skywalker - Wookieepedia(英語版)
関連項目
- スター・ウォーズ
- スター・ウォーズの関連項目一覧
- スローン三部作
- ルーク・スカイウォーカー
- ジョラース・シボース
- スローン大提督
補遺
最後に、この記事で使っている「An Apology」関係のクローンキャラクターの日本語表記は、作品が未邦訳であり日本語の公式表記もないと考えられる都合上、すべてニコ百記事編集者の私訳である(逐一、原語表記を付しているのはこのためもある)。
スローン三部作における、「Luke → Luuke」が「ルーク → ルウク」、「Jorus → Joruus」が「ジョラス → ジョラース」(改訳講談社版に基づく)となる2例に基づいて表記を充てたが、もとの英字名をカタカナ転写するというよりも、オリジナル(クローン元)の名前のカタカナ表記からもっともらしく改変することに重点を置かせていただいた。このため翻訳規則に一貫性を欠く部分もあることはご理解願いたい。
脚注
- *SW: TCW2 will be a series with no end, as long as clones are available there are stories to tell.
- *In Legends canon, a clone would often be named using an extra vowel, like “Luuke Skywalker,”…
- *Palpatine’s first name is suspiciously “Sheev” (two vowels!), but that alone isn’t proof that the version of him we see in the prequels is a clone.
「パルパティーンのファーストネームはめっちゃ怪しいことに“シーヴ(Sheev)”(母音が2コ!)だけど、それだけじゃウチらが新三部作で観てたパルパルがクローンだって証拠にはならんわけよ」。
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