円形劇場くらよしフィギュアミュージアムとは、鳥取県倉吉市にあるテーマ型博物館である。
円形劇場くらよしフィギュアミュージアムとは?
2018年4月7日、鳥取県の新しい観光名所としてオープン。日本初、フィギュアをテーマとした博物館である。「円形劇場」と名を冠している通り、建物が3階建ての円柱構造となっている。中心部にはらせん階段が配置され、この階段を使って各展示ゾーンへ行き来することができる。[1]
この博物館には約2000点のフィギュアが展示されており、各階層によってテーマ別に展示されている。この中にはニコニコでも人気のあったアニメキャラクターのねんどろいどや、初音ミクのフィギュアなどが展示されている。ほかにもミリタリー系や恐竜、動物、シルバニアファミリーなどフィギュアのジャンルを問わずに展示されている。
また、展示室以外にらせん階段の隠れたスペースや廊下の隅、天井の配線の上など、「えっ、こんなところにフィギュアが!」と思わず驚いてしまうような場所にフィギュアが展示されている。
さらにフィギュア以外にも、倉吉市が聖地となっている「ひなビタ♪」のギャラリーや、円形劇場の建物に関する貴重な資料や竣工までの歩みなどが展示されている。
円形劇場の建物について
くらよしフィギュアミュージアムのイメージにもなっているこの円柱型の建物は、もともと倉吉市立明倫小学校だった建物で、1955年(昭和30年)に建てられ、1976年(昭和51年)の小学校移転まで校舎として使われた。ちなみに、現存する円形校舎としては日本最古の校舎であった。移転後は公民館や事務所などとして利用されたのだったが、老朽化を理由に2006年(平成18年)に閉鎖。2009年に明倫小学校創立100周年を記念し、記念写真展会場として一時的に開放されるも2014年に倉吉市議会で老朽化と危険性を理由に解体が正式決定。解体費用拠出も可決されたのであった。
ただ、当時策定予定だったまちづくり計画「倉吉市中心市街地活性化基本計画」の中で、円形校舎の活用方法がないか再検討を加えるまで予算の執行を凍結する付帯決議も同時可決された。これにより、年度内をめどに早急に利用計画を立てる必要が出たのである。
時を同じくして、大手フィギュアメーカーの1つである海洋堂に円形校舎の活用について力を貸してくれるよう市側から打診。実際に海洋堂社長(当時)であった宮脇氏が円形校舎を視察し、「面白い建物だからフィギュアのミュージアムにするとお客様を呼べるのではないか」と提案。そこに鳥取からポップカルチャーを発信している企業である米子ガイナックスも加わり、さらにはちょうどこの頃にグッドスマイルカンパニーの楽月工場が稼働開始した機会もあったため、フィギュアを生かしたまちづくりが行われることとなった。
最終的には約7000名の倉吉市民が円形校舎の活用を求める署名が集まり、市役所、市議会、住民による2年間の話し合いを経て、当時の市長である石田耕太郎氏が無償譲渡を決断。2016年7月1日に現在のミュージアム運営会社となっている株式会社円形劇場に譲渡されたのであった。のちにミュージアム化構想は、国の補助事業にも認定され、絶好の追い風となった。
そして、約2億3000万円の予算をかけて円形校舎のリノベーション工事に着手。こうして日本最古とうたわれた円形校舎は鳥取の新名所として生まれ変わり、2018年4月7日に円形劇場くらよしフィギュアミュージアムが無事オープンしたのである。
各フロアの展示ゾーンについて
円形劇場くらよしフィギュアミュージアムは、3つのフロアと1つのロフトスペース+屋上で構成されている。フロアによって展示ジャンルやテーマが変わり、それぞれ違った雰囲気を体験できる。こちらではその展示ゾーンについて詳細に解説する。
1st froor イベント&ショップフロア
このフロアでは、企画展系のフィギュアを軸とした展示ゾーンとなっている。過去開催された人気の企画展を挙げると、1階フロアだけでねんどろいどを1000体集結させて展示した「くらよしフィギュアミュージアムに、ねんどろいどが1000体やってきた!
」という企画展や、「宇崎ちゃんは遊びたい!」とのコラボレーション企画展「宇崎ちゃんは鳥取で遊びたい!
」や、動物、恐竜系のフィギュアを手掛けるSchleich(シュライヒ)製のフィギュアを集結展示した「~超アニマルワールドin円形劇場~ Schleichフィギュアの全てがここに
」などがある。いずれも圧巻の展示数とバラエティに富んだ内容となっている。
またこのフロアではミュージアムショップを併設しており、入場券を購入しなくても入店ができる。こちらでは、鳥取の定番のお土産のほか、くらよしフィギュアミュージアム限定のオリジナルフィギュアやひなビタ♪のミュージアム限定グッズなどが購入できる。また博物館入り口には、ミニチュアフィギュアが景品となったガチャガチャが多数設置している。
| 円形劇場 ミュージアムショップ | 円形劇場 ガチャガチャコーナー |
2nd floor 展示フロア
このフロアでは、常設展系のフィギュアの展示ゾーンとなっている。5部屋の展示室があり、展示室ごとに5種類のフィギュアが展示されている。
2A展示室では恐竜系、その隣の2B展示室では動物のフィギュアを展示している。大きさもミニチュアなものから自分の背丈ほどある大きなものまで、さまざまなフィギュアを取り揃えている。企画展でも人気だったSchleich製のフィギュアもこちらの2つの展示室に多く展示されている。
2C展示室では、ミリタリー系のフィギュアが展示されている。ミリタリーと言っても戦車や戦闘機など実在する戦機のフィギュアのほか、SF系や特撮系のフィギュアも含まれている。この中には「新世紀エヴァンゲリオン」関連のフィギュアだったり、「ガールズ&パンツァー」関連のフィギュアなども展示されている。
2D展示室では、アニメキャラクターなどいわゆる"萌え"系のフィギュアが展示されている。博物館参加企業の1つで倉吉に工場を構える「グッドスマイルカンパニー」のフィギュアブランドとなっている「ねんどろいど」や、過去人気を博したアニメキャラクターのフィギュアが展示されている。アニメ以外にも初音ミクなどニコニコ動画とゆかり深いキャラクターも展示されている。
2E展示室では、「日本文化」と題して仏像や妖怪など日本由来のキャラクターフィギュアの展示している。この中には、鳥取県の観光資源として人気の「ゲゲゲの鬼太郎」関連のフィギュアも展示している。
3rd floor コミュニケーションフロア
このフロアでは、フィギュアとの交流や体験を軸とした展示ゾーンとなっている。フィギュア専用のジオラマ撮影スタジオがあり、こちらで自分のお気に入りのフィギュアを持ち込んで、自由に撮影することができる。また、実際に展示してあるフィギュアを触れて体験する展示室や、フィギュア制作体験のワークショップが行われている展示室がある。
このほか、元校舎であることを生かし、展示室一室をまるごと教室を再現したセットを展示し、壁面には小学校時代に関する写真資料や当時の児童が実際に作成した自由研究のレポートパネルが展示されている。このレポートパネルは、ミュージアム建設工事で黒板を取り外した際に実際にその中から出土したもので、円形校舎がまだ現役だった当時を知ることができる貴重な現物資料となっている。ちなみにこの自由研究は、1959年(昭和34年)当時の5年生の生徒が実際に作成したもので、下記写真を拡大して見るとこの中には、「戦後のふえた輸出品」テーマにした自由研究レポートや電気製品の使用状況を調査した自由研究レポート(写真を見るとテレビではなくラジオが圧倒的数値となっている)や、グラフの国名に「西ドイツ」が含まれているなど、時代を感じさせる自由研究がいくつか展示されている。
加えて、展示物として教室内に設置してある学習机には実際に座って触れることができ、当時の面影を体験することができる。
| 再現教室にある自由研究展示資料 | |
2019年6月8日からは、展示室の一角をジャックして「ひなビタ♪ギャラリー」がオープン。「ひなビタ♪」や「ここなつ」に関するグッズや貴重なラフ画、メンバーが使用していた楽器、「ひなビタ♪」のこれまでの歩みが記された資料が展示されている。さらにファンアートコーナーがあり、ひなビタ誕の際に募集したファンアートや誕生日祝いのコメントが掲示されている。
さらに、オープンを機に倉吉市役所北庁舎にあった久領堤纒[2]デスクがひなビタ♪ギャラリー前に移動。合わせて纒さん(パネル)の勤務地もこちらへ異動となった。
| ひなビタ♪ギャラリーの展示物 | 久領堤纏デスク |
4th floor 屋上フロア
4階はロフトスペースと屋上エリアとなっている。ロフトスペースでは、ミュージアムの工事の様子の写真パネルが展示されている。さらに、2019年11月からは、八犬士コラボ衣装のひなビタ♪登場キャラクターのパネルが設置された。霜月凛を皮切りに各キャラクターのひなビタ誕開催ごとに順次設置され、2020年9月開催のまり花誕をもって全てのキャラクターの設置が完了した。
屋上エリアは出入り自由となっており、展望スペースとなっている。そこからは、白壁土蔵群の街並みを一望することができる。また、打吹山方面を見ると、山の中腹ほどに火の神様の秋葉大権現を祀る祠がみえる。さらに手前には、相性占いのパワースポットとなっている満正寺が見える。
| 屋上ロフトスペースの展示 | 屋上の眺望 (白壁土蔵群方面) |
くらよしフィギュアミュージアムの参加企業
くらよしフィギュアミュージアムでは、ミュージアム立ち上げに関わった海洋堂、グッドスマイルカンパニー、米子ガイナックスをはじめ、多数の大手フィギュアメーカーや地元鳥取とゆかりのある企業が参加し、展示物を提供している。こちらではその参加企業を記す。
「宇崎ちゃんは遊びたい!」の聖地として
開業してまもないくらよしフィギュアミュージアムであったが、実は既にある作品の聖地巡礼地として人気を呼んでいる。それが2020年7月~9月にかけて放送されたアニメ「宇崎ちゃんは遊びたい!」で、第10話の「鳥取で遊びたい!」の回
で建物やフィギュアなどが登場している。(ちなみに入り口に設置してある星見日向[3]のパネルまで登場する再現度となっている。)
| 入口に立つ星見日向パネル。 これがアニメでも登場する。 |
【プレゼント企画】Find JK!謎の女子高生フィギュアを探せ!
円形劇場くらよしフィギュアミュージアムでは、フィギュアの展示以外に来館者が気軽に楽しめる企画が用意されている。その企画というのが、「Find JK!謎の女子高生フィギュアを探せ!」というプレゼント企画である。
ルールはいたって簡単で、円形劇場スタッフが設置した上記の女子高生フィギュアを探し当てるゲームである。設置場所はトイレと展示室以外の場所で、発見してスタッフに報告すると円形劇場オリジナルグッズがその場でプレゼントされる。発見されると、翌日から設置場所が変更される。また、プレゼントはキャリーオーバー制となっており、見つからないまま日を重ねるごとに景品がグレードアップしていくシステムとなっている。さらに公式Twitterで経過状況が毎日ツイートされている。
一見、簡単に発見できそうだと思われがちだが、フィギュアの大きさが小指の指先くらい小さなもので、特徴・展示概要の項目での記述の通り、らせん階段の隠れたスペースや手すりの間、天井の配線の上や床の隅っこなどなど、「こんなところにフィギュアが!」とビックリする場所にフィギュアが設置してあるため、これがカモフラージュとなって発見するのが非常に難しくなっている。
2021年4月現在、女子高生フィギュアが発見された回数は、38回である。来館した際は、ぜひ参加して探し当ててみてほしい。
円形劇場 × ひなビタ♪サイクル
円形劇場では、「ひなビタ♪サイクル」というひなビタ♪コラボデザインのレンタサイクルサービスを倉吉MICE協会との協力で2020年10月31日より開始した。
円形劇場では2台用意されており、ここなつの東雲夏陽仕様と東雲心菜仕様のコラボデザインのレンタサイクルを利用できる。
利用料は、1回乗車につき500円。貸出時間は9:00~17:00(7月~9月は9:00~18:00)の間で、回数利用のため上限時間なし。当日受付制で、ミュージアムショップで貸出申し込みを受け付けている。
アクセス・利用案内
開館時間
年中無休で開館する。なお、閉館日がある際は公式サイトやTwitter等で事前告知がある。
入館料
アクセス
【車で】
(岡山・広島方面から)
①中国自動車道から米子自動車道を経由し、湯原インターチェンジ、または蒜山インターチェンジより40分。
(鳥取・兵庫・大阪方面から)
②中国自動車道から鳥取自動車道、山陰自動車道(国道9号)を経由し、はわいインターチェンジより17分。
【公共交通】
JR倉吉駅から日本交通バス市内線(赤瓦・白壁土蔵群経由西倉吉行き)に約12分乗車。「広瀬町」バス停で下車し、徒歩5分。
展示物の撮影及びSNSへの投稿利用について
円形劇場内の撮影は、運営側がごく一部の展示品を除いて全面的にOKを出している。またtwitterやInstagramなどのSNSへの投稿も全面的にOKを出している。さらにTwitterに投稿すると、公式Twitterから逆にエゴサーチされてたびたびリツイートされるので、お気に入りの展示フィギュアをどんどん撮影して気軽に投稿してみよう。
| 円形劇場受付にて。 「展示物撮影自由」と掲示がある。 |
関連動画
関連コミュニティ・チャンネル
関連項目
- 鳥取県 / 倉吉市
- フィギュア
- 玩具の一覧
- 玩具メーカーの一覧
- グッドスマイルカンパニー
- 海洋堂
- 観光スポットおよび祭り・イベントの一覧
- ひなビタ♪ / ここなつ
- ひなビタ誕
- 倉吉ひなビタ♪応援団
- 小学校
- 白壁土蔵群・倉吉銀座商店街
関連リンク
脚注
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