少女漫画とは、少年漫画の反対で少女を対象に描かれた漫画である
少女コミックともいうが、漫画雑誌に「少女コミックス」(現「sho-comi」)がある。
概要
少女漫画自体は『どりちゃん バンザイ』『くるくるクルミちゃん』が走りであった。本格的なストーリーが導入された漫画は手塚治虫の『リボンの騎士』が最初であるとされている。少女向け漫画雑誌の走りは『それいゆ』と『ひまわり』が最初であるとされている。そして、少女漫画は宝塚歌劇団や少女画に影響され、独自のカラーを形成していった。さすがに女性漫画家が少なかった1960年代は男性作家が書くことが多かったが、水野英子らの登場から、少女漫画は新たな道を作ることになった。1970年代になると所謂24年組や、柴田昌弘、魔夜峰央、和田慎二ら男性作家が現在の少女漫画に多大な影響を与えている。以後、等身大の少女を描いた作品や深い心理描写を軸に据えた作品が増えていった。
が、華やかな画風はここまで。1980年代に突入すると紡木たく、吉田秋生らの登場によりシンプルな画風が少女たちに受け入れられていき、華やかな画風は典型例として残ることになった。
多くの女性漫画家が少女漫画誌だけでなく、その巧みな心理描写やストーリーテリングを生かして青年漫画へ移行する中、少女漫画は今でも少女達に姫やかな楽しみを与え続けている。
少女漫画は女だけのもの?
少年漫画に比べターゲットを絞った雑誌なためアニメ化、ドラマ化されたものから入る男性読者から偏見を持たれやすい、というか生理的に受け入れられない人が多い(この理由について、つまびらかに分析した話がこち亀にあるが、『こんな男いねーよ!』というタカラヅカの延長線のような男性が、同性として生理的に受け入れられないという意見が多い)。特に姉や妹がいない家族ほど少女漫画が毛嫌い、食わず嫌いされる傾向は続いており、少女漫画界隈において、男性読者をターゲットに取り囲むことは一つの至上命題にもなっていた。
その手法の一つとしてアニメ化によって癖の強い絵柄や作風をマイルドにして、対象ターゲットを下げる方法があり、これにより『パタリロ!』は男性読者を大幅に増やした。また、淡白なデザイン化と濃密なストーリーで男性読者を多く獲たのが吉田秋生の『BANANA FISH』やCLAMPの『ぼくの地球を守って』などである。また、90年代は少女漫画のアニメ化が盛んに行われ、それに伴う男性読者のファン開拓が盛んに行われた。
少女漫画を読む男性は増えてきているとされている。性別を問わない題材を上手く利用した作品が増えたためである。プロオーケストラというあまり世に知られていなかったジャンルを題材にして、淡白な描写とそれとは対象的な濃密なストーリーを盛り込み、ドラマ化によって社会現象にまでなった『のだめカンタービレ』、ロックミュージシャンの世界を描いた『NANA』、少年漫画、特にスポーツ漫画の技法をふんだんに採り入れた『ちはやふる』、ほかにも耽美と見せかけてギャグを多くちりばめた『桜蘭高校ホスト部』、下品な作風で男性ニコ厨を唖然とさせた『おるちゅばんエビちゅ』(コレについては現在青年男性誌に連載されている)などが代表的。
もちろん、緻密な心理描写という少女漫画の特長を生かし切った作品も支持されている。これらはリアリティを持ち味にした作品はもちろん、ホラー漫画にも生かされている。容赦無く腹筋をいじめる作品も少女マンガから生まれることが多く、作者で言えば岡田あーみんや新井理恵、にざかな、美川べるのらが有名。
また、通販や電子書籍などによって気兼ねなく男性が少女漫画を購入できるようになったのも大きく、男性読者は大きく増えている。そのため、今度はバリバリの少女漫画を描いていた作家が青年誌に載せたり(『ハチミツとクローバー』で知られる羽海野チカの『3月のライオン』など)している傾向もある。
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関連項目
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