IT(映画)とは、スティーブン・キングの同名のホラー小説を原作とする映画である。
1990年アメリカ製作。別題は『イット 恐怖の殺人ターゲット・復讐の悪魔』。
2017年に小説の前半部分がリメイク。タイトルは『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』全米興行収入は3億2千万ドルを突破した。
2019年に続編『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』が公開。日本公開は2019年11月1日。
この項では主に1990年版の映画を中心として記述し、2017・19年版は補足として説明する。
概要
不気味なピエロに扮した正体不明の存在「ペニーワイズ」に翻弄される人々を描いた作品。
ジャンルとしてはホラーだが、前半は回想となっており『スタンド・バイ・ミー』のような青春ものでもある。後半はそれから30年後となる。2019年版では、劇中の周期に合わせ27年後となる。
ニコニコ動画ではペニーワイズの姿がドナルド・マクドナルドに似ている事もあり、ドナルド関連の動画に出ることが多い。これに限らず、顔を白く塗ったピエロ風の人物は総じて風評被害に遭っている。
ただしペニーワイズのみが原因というわけではなく、『バットマン』のジョーカーや『キラークラウン』ことジョン・ウェイン・ゲイシーなどの影響もある。
サーカスやパーティーの出張サービスなど、比較的ピエロに接しやすい欧米では道化恐怖症(コルロフォビア)という恐怖症もあり、著名な所ではジョニー・デップもその一人である。
あらすじ
1990年版
アメリカ、メイン州デリー。1990年。
小さな田舎町で子供の連続殺人事件が発生するが、何故か警察の対応はおざなりだった。
今から30年前、デリーでは同じように児童連続殺人が続いていた。
この町に住む7人の少年少女、通称「ルーザーズクラブ」は不気味なピエロ・ペニーワイズと遭遇。恐怖体験を通じ団結し、ペニーワイズを「IT(ヤツ)」と呼び、倒そうとする。
それぞれに問題を抱え、学校ではスクールカーストの最底辺としていじめられたり無視される立場の彼らは、自分達以外には知覚できない「IT」に対し、勇気をもって立ち向かおうと考えた。
「IT」は下水道を通じて被害者の許に姿を現す。それに気づいた7人は下水道へと向かい、恐怖と戦いながら「IT」を撃退する事に成功した。だが本当に倒せたかどうか確信を持てない彼らは「もしまた現れたら皆で集まろう」と誓い合う。
それから時は流れ、1990年。
一人を除き「ルーザーズクラブ」はデリーを離れ、それぞれ成功を収めていた。そんな彼らの許に、唯一町に残って図書館司書をしていたマイクから連絡が入る。マイクは、再び起き始めた児童連続殺人が「IT」の仕業だと気づいたのだ。
懐かしくも忌まわしい故郷に、かつての少年少女は戻って来る。待ち合わせ場所に集まったのは、しかし6人だった。メンバーの1人は知らせを受け、恐怖から自殺を遂げていたのである。皆が30年間忘れていた「IT」は、そんな彼らを追い返そうと姿を見せて脅しにかかる。
しかし彼らは再び勇気を振り絞り、あの日の下水道へと潜る事を決意。そして大人になった子供達の前に、遂に「IT」の真なる姿が露わになる……。
2017・19年版
大筋は同じだが、主人公達の子供時代は1989年、27年後の大人時代は2016年という設定になっている。
登場人物
ルーザーズクラブ
- ビル・デンブロウ
「ルーザーズクラブ」のリーダー。吃音症で内気な性格。弟のジョージーを「IT」によって殺害されており、悲しみから家庭が荒れている。
30年後はイギリスに移住。結婚し、ホラー作家として成功している。 - ベバリー・マーシュ
「ルーザーズクラブ」の紅一点。父子家庭で、束縛気味の父親から虐待を受けている。1990年版ではパチンコの腕前はメンバー1。
30年後はシカゴでファッションデザイナーとして活躍。彼氏(上司)に暴力を振るわれていたが…… - リッチー・トージア
ビルの親友。眼鏡が特徴の、早口のお調子者。素の自分を知られる事を極端に恐れている。
30年後はロサンゼルスでコメディアンとして名を馳せる。トークが持ち味の売れっ子。 - ベン・ハンスコム
読書を愛するふとっちょボーイ。ベバリーに片思いをして俳句(映像版では詩)を送るおませさん。
30年後はニューヨークで建築家として大成。痩せてイケ親父になっている。 - エディ・カスブラーク
薬が手放せない少年で、喘息の吸入器を持ち歩く。過保護な母親によって病弱だと思い込まされている。
30年後はニューヨークでセレブ専門の送迎サービス会社を経営。
2019年版では、リスク分析家となって、大手保険会社を顧客に活動している。 - スタンリー・ユーリス
ユダヤ人の少年。几帳面な性格で、疑り深い。モディリアーニの絵の女が怖くて直視できない。
30年後はアトランタで法律事務所を経営。 - マイク・ハンロン
黒人の少年。火事で両親を失い、祖父と暮らしている。
30年後はデリーの図書館司書を務める。
2019年版では図書館の上階に暮らしていた。メンバーで唯一「IT」の記憶を保持している。
その他
- ジョージ・デンブロウ
ビルの弟。愛称はジョージー。雨の日に兄に作ってもらった新聞紙の船で遊んでいたが、ペニーワイズに殺害された。2017・19年版では行方不明扱いになっている。 - ヘンリー・バウワーズ
「ルーザーズクラブ」をいじめていた不良のリーダー。ペニーワイズよりも現実的な「敵」。
下水道に潜った「ルーザーズクラブ」を追いかけるが、子分達がペニーワイズに殺されるのを目の当たりにして発狂。精神病院に入れられた。
30年後、ペニーワイズに操られて脱走。帰ってきた「ルーザーズクラブ」を襲撃、殺害しようとする。 - ペニーワイズ
ピエロの姿をした正体不明の存在。「IT」。詳細は個別記事を参照。
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関連項目
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