Lyceeとは、Silver Britzより発売されているトレーディングカードゲームである。同社の商業活動終了に伴い商品展開およびサポートが2014年12月26日を以って一度終了。その後ムービックより、team.SILVERBLITZブランドで『Lycee Overture』のタイトルで2016年12月1日よりサービスが再開された。
概要
タイトルのLyceeはフランス語であり、正確に表記すると1つ目のeに「`」が付く。直訳すると国立高等中学校。
また、メイン属性5種類の由来は宝塚歌劇団の組名である事を公式ファンブック「リセペディア」で明かしている。
様々な美少女ゲームブランド(一部例外あり)の作品に登場するキャラクターを3×2マスの自陣に配置して対戦する。
発売後1年は初期御三家(Leaf/Visual Art's/アリスソフト)の追加パックのみを製作していたが、翌年春のTYPE-MOON・オーガストを皮切りに様々な人気ブランドを取り入れることによって多くのプレイヤーを獲得することに成功しており、「版権モノ美少女TCG」というジャンルを開拓した。プレイヤーにも愛されており、コミックマーケットでは有名プレイヤーによる考察本等が頒布されたりもしていた。
ゲームシステムとしては非常に奥が深く、ハンドアドバンテージに重きを置くという(当時としては)非常に珍しいカードゲームだったためプレイヤーからの評価は高いが、その一方でMTGやアクエリアンエイジのような「ローテーション」や遊戯王のような「禁止・制限カード」に相当するカードプールの増加に伴う外部からの環境調整が諸般の事情で行えないため、1ショット・1キルデッキや、テキスト不備・調整不足に伴う厨カードの登場などで環境が破壊されたりする事が稀によく発生する上、開催イベントにおける不始末などでブランドイメージは下がる一方である。
後に東方Projectを題材とした「東方銀符律」を発売。同じカードシステムを流用した別タイトルを立ち上げるのは前衛であるTI東京時代に発売された「KanonTCG」「AIRTCG」に続いて2回目。ただし同作品の二次創作ガイドラインに則り、商業作品である今作のカードと一緒にデッキを組む事はできない。詳しくはそちらを参照。
カードイラストは多くの外部のイラストレーターに依頼する形を取っているが、参戦作品によってはオフィシャルイラストレーターの描き下ろしもある。また、プロモーションカードとしてゲームの立ち絵が使用されることもある。
各属性の特徴
月
優秀なハンデス・キャラクターのコントロール奪取・カウンターと、条件さえ整えば強力なドローソース(手札が0枚なら2枚ドロー、ゴミ箱のカードを10枚以上除外できれば3枚ドローなど)に恵まれている。
が、最初期から数年間、前述の強力なドローソースがほとんどなかったため、同じくハンドアドバンテージを盤面に還元する雪と比べて足回りがかなり悪く戦闘能力も高くないため不遇の扱いを受けていた。が、2011年冬季から大幅なテコ入れが行われ優秀なドローソースを立て続けに獲得し、持ち味を活かしたデッキが猛威を振るった。
雪
ドローソースとキャラクター除去というゲームシステム上最強の要素を兼ね備えた属性であり、黎明期から常に環境を支配していた事で有名。にも関わらず追加パックが出るたびに多かれ少なかれ優秀なカードを獲得していき、後に強力カードにエラッタを受けながらも弱いと言われていた時代はほとんどなかった事からもこの属性の強さがうかがえる。
花
このゲームの花ともいえるサポートに重きを置いた属性で、他の属性も羨む優秀なスペック・効果のカードを持つ一方でそれら単体では機能し辛いという致命的な欠点を抱えている非常にデリケートな属性。その特性上、雪を絡めたデッキ相手に対等に渡り合うためにはかなりのプレイングを要する。
月と同じく黎明期は不遇の属性であったが、Leaf2.0~TYPE-MOON1.0のテコ入れにより、その当時最強と名高かった日雪コントロールと唯一五分を取れるデッキと呼ばれるまでの強属性にまで登りつめた。
宙
黎明期最強とも呼ばれた戦闘のプロフェッショナル。コストの高いキャラが主軸となるものの、それら単体が高スペックを保持しており、額面以上に少ない手札消費で打点を稼ぐ事ができる。ある意味で花とは対となる存在だが、こちらも平均的な消費コストの観点から除去に滅法弱い。
黎明期にメーカーが意図的に強カードを出し、その翌年には大規模なエラッタがかけられた事は当時始めていなかったプレイヤーの間にも浸透しているほど有名。
エラッタ後は他の属性の段階的なテコ入れもあって長きに渡って不遇であったが、現在は「後述する「三種の神器」の存在がある限り、どんなに強力なカードが他の属性に追加されようとこの属性には総合的な面で敵わない」とまで言われ、見事最強属性に返り咲いた。
日
瞬間的なドローソースとコストパフォーマンスの良い攻めに特化した中型キャラクター・小型キャラクターを使い、ありとあらゆる方法で相手に打点を通す事に特化した速攻を持ち味とする属性。
カードの効果で自壊できるキャラや、それによって再攻撃・バーンを誘発する効果を持つキャラクターを数多く保有しており、環境上位に位置していた時には1ターンでデッキの1/3を削り去る事すら可能であった。
星(無)
所謂オールマイティーカラー。星のコストはどの色のコストでも支払えるため、理論上どんなデッキにもカラーバランスを無視して投入する事ができる。そのため、カード自体の効果はかなり控えめ。
なのだが、このゲーム最強のリセットスイッチであるイベントや、それらをサポートするカード、果てにはまさかの他属性もびっくりな打点効率を誇るキャラまで保有しており、メーカーやテキスト上では無属性扱いだが、それらをコンセプトに組み込む場合、プレイヤーからは星属性と呼ばれる事が多い。
これらについては後述を参照されたし。
主な歴史上の狂カード
御三家1.0においてエラッタを受けた宙のカード
システム上盤面に存在するだけで相手にプレッシャーをかけられるハクオロや、「出るか出ないかだけで勝負が決まる」とまで言われる柏木千鶴など、もうなんか言い出したらキリがないくらい神の領域に両足を突っ込んだカードが多かった。
関真理恵(Visual Art's1.0)
Lycee史上二度とあってはならないとまで言われる最強のドローエンジン。
このキャラに隣接したキャラクターがバトルに参加するたびに1枚ドローという非常にぶっ壊れたテキストであり、黎明期はこのカードのEXが2であった(効果やスペックから見ても、査定的にEX1あるいは0でも妥当)。
そのドロー量たるやゲームバランスを根底から破壊するに十分事足りたにも関わらず、後に発売されたアリスソフト3.0にて自身をコストに相手キャラを1体除去するというイベントを得たために唯一の良心たるドロー死というデメリットすら克服してしまった。
2度目のエラッタで完全にお役御免となり、当時トップメタであった日雪コントロールは安定力を大きく欠く事となった。
神尾観鈴(Visual Art's2.0)
Lycee史上二度と(ry
純粋なドロー効率は上述の関真理恵と同等で、加えてこちらはデッキの上から2枚のうちどちらかを手札に加えるというピーピング効果まで保持している。その分デッキの減少量も倍だが、的確に必要なカードを引きこめるという安定性がデメリットを大きく上回っているため問題なかった。(当時の日雪コントロールは回る=相手の盤面と手札が空になると同意義だったため)
るーるーダンス(Leaf2.0)
汁鰤語という迷言集を生み出すきっかけとなったイベントカード。
効果は味方キャラを好きなだけタップし、その数だけ相手のデッキを1枚破棄するというバーンカード。なのだが、なんとこのLyceeというゲームはタップしたキャラクターをさらにタップできるという謎裁定が出されたため、このカードを終盤複数枚握るだけでゲームが終了するという極悪カードに進化してしまった。この裁定は後に様々な謎裁定を生み出す発端ともなる。
ひき逃げ(Visual Art's2.0)
同エキスパンションにて導入された特定の属性のキャラクターを無条件で除去できる属性サイクル型のメタカードの1枚。そのコストはたったの1。つまり手札消費2枚で宙の強力なキャラクターを雪の除去イベントを使わずに除去できてしまう。ぶっちゃけた話、このカードが登場した時点からエラッタがかかるまでの間、宙という属性はゲームに参加させてもらえなかったと言っても過言ではない。
事実そうだった。
不幸(アリスソフト3.0)
関真理恵のデメリットを完全に排除するだけでなく、アドバンテージに昇華してしまった強力な除去イベントカード。間接的に関真理恵を環境から退陣させた要因とも噂される。
効果もさる事ながら、Visual Art's1.0に収録されている絶望のキャラの1人・紫苑が、このイベントの代替コストを満たしており、しかも自身のコストが星4コストで場からゴミ箱へ置かれた際に2枚ドローという効果を持っていたため、事実上あらゆるデッキでアドバンテージを度外視した除去を撃つ事が可能になってしまった。ゲームバランスどころか属性の役割まで崩壊させかねないシナジーであったため、エラッタによって登場コストに1点以上雪属性を含んでいなければ代替コストを満たせなくなった。
魔法少女カレイドルビー(TYPE-MOON2.0)
まず彼女自身の性能は当時でも全属性中最強クラスを誇り、コンバージョンという特定のキャラ(この場合は遠坂凛)との入れ替わりという特殊な登場条件を除いてもなお余りある。しかも凛自身もゲーム中唯一星3コストを発生できるアリスを使えば手札2枚で登場できる事も書いておく。
特筆すべきはその効果であり、エラッタ前は無属性のキャラを手札が許す限りバーンに還元できるという誰でもちょっと考えればおかしいとわかるレベルのテキストで、同時期にテコ入れされて強化された日属性、そして上述の通称・紫苑不幸と合わせて各地で猛威を振るった。
現在は1ターンに1回の制限がかけられているが、それでもこのカードの性能は無属性としてはあまりにも狂っている。
バランス(Leaf3.0)
MTGの有名なリセットカード・天秤/Balanceのパロディカード。
発売当時はそれほど注目されていなかったが、1ターン目に宙の登場コストを1点軽減するエリア・るーと3コストのキャラ登場→手札をすべて消費してバランス→お互い手札空っぽというお手軽クソゲーを量産した壊れカード。そうでなくても、個々のスペックが高い宙属性がリセットスイッチを保有するなどもっての他であり、トーナメントシーンが宙単るーバランスで埋め尽くされた時期が長く続いた。
渡良瀬準(ぱちねす!)(うぃんどみる1.0)
上述のカレイドルビーと同様、準にゃんからコンバージョンする事で登場するキャラクター。
スペック自体は彼女に遠く及ばないが、保有する効果がキャラクター1体をタップするかアンタップする代わりにそのキャラクターの元のSP値ぶんデッキを1枚破棄するというもの。まずこの時点で、SPが1以下の相手キャラは少ない損害で攻撃・あるいは防御を阻害され、同じ条件の味方キャラは少ないリスクで打点を簡単に増やせるという状況が発生する。このキャラ1体が生み出す戦況効果はあまりにも強大かつ甚大であり、ゲームバランスはまたたく間に音を立てて崩壊した。
南条蘭(アリスソフト4.0)
効果は手札1枚で相手を一方的に除去するという上述の準にゃんよりもえげつないもの。ちなみにこの「一方的に」というのは効果解決中に除去するキャラクターの指定・除去を行うため、対戦相手が対応宣言を一切はさめないからである。そういう意味では、Lycee史上最強クラスの除去カードといっても過言ではないだろう。
デメリットもそれほど大したものではなく、これがなくとも雪は逮捕・不幸という二大除去イベントがあるためさして問題はない事も問題視される大きな要因であった。
シャイニング・トラペゾヘドロン(ニトロプラス1.0)
名状しがたいLycee史上二度とあってはならないもの。
効果は手札2枚消費でデッキの中から対戦相手が指定したキャラクター1体を登場コストを踏み倒して登場させるというもの。つまり、狙ったキャラクターを登場させるためには専用のデッキを組む必要がある。
初期段階では変わった戦い方ができる面白アイディアカードだったのだが、公式が何を勘違いしたのかその後も次々にこのトラペゾデッキを支援するカードを作成。最終的にはこのカードで呼び出してくださいと言わんばかりの某ゲームマスターまで世に輩出してしまい、ゲームバランスどころか美少女ゲームのキャラクターを盤面に並べて戦うというゲームコンセプトそのものを破壊した戦犯とも呼ぶべきイベントカードである。
全盛期には自分のキャラクターが盤面に出る事すら許されず、仮に登場できたとしても今度はテラーのマテリアルというアイテムを装備させられて投了するか死ぬまで一生相手の場から自分を殴りつけてくるというソリティアが始まり、あまりのひどさにこのカードの使用と同時に投了を訴えるプレイヤーが全国各地で頻出した。
この時代は多くのプレイヤーが不満の声を上げた(実際に公式大会で使用し、公の場でこのカードの危惧性を訴えた)にも関わらず約2年も続き、公式のブランドイメージを完全に失墜させる大きな原因となった。
宙三種の神器(ゆずソフト2.0/戯画1.0)
該当キャラは雲雀丘由貴・水無月空(世界0)・花鳥玲亜(完璧主義)の3人。
それぞれ攻撃とドローソースの両面を自身のみでカバーできるというこのゲームで一番作ってはいけないキャラクター群であり、あまりの強さゆえにプレイヤーからは「公式オリカ」と蔑称されるほど。
今日まで宙属性と他の4属性の間に絶対的な壁を作り出したカード達であり、このカードのせいでLyceeというカードゲームが完全に破綻したと嘆くプレイヤーも少なくはない。というか大半がそう思っている。
参加ブランド
- Leaf
- Visual Art's
- ALICE SOFT
- TYPE-MOON
- AUGUST
- Navel
- ういんどみる
- ニトロプラス
- キャラメルBOX
- 京都アニメーション
- 07th Expansion
- プロダクション ぺんしる
- あかべぇそふとつぅ
- ユニゾンシフト
- minori
- NEXTON
- ぱれっと
- ゆずソフト
- みなとそふと
- Lump of Sugar
- 5pb
- ウィルプラス
- AXL
- 戯画
ブランドではなく作品単体で参加しているもの
関連動画
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関連外部リンク
関連項目
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