「まだ戦える」
Sandyで十分おじさんとは、intelのCPU「Sandy Bridge」(2011年発売)が今も性能や使い勝手の点で十分と信仰し、そしてメインPCで使用し続ける、非常に物持ちの良い紳士である。
概要
Sandy Bridgeおじさん、Sandyおじさんとも。
おじさんとは言うものの年齢は問わず、何ならネット上の自称他称なので性別も不問で、老害までは行かなくとも「懐古厨」を気持ちマイルドにしたニュアンス程度でよく使われる意味の言葉である。
自作PCの世界では、PCの性能に大きく関わるパーツである「CPU」の性能が重要視される。
2011年に発売されたCoreシリーズ第二世代「Sandy Bridge」特にその最上位である「Core i7-2700K」は発売当時その性能と省電力性、(円高による)安さで一躍注目を浴びた、「高性能CPU」の代名詞であった。
しかしそれも今は昔。
intel製CPUである「Core i」シリーズはおよそ1年ごとに新しい世代が発売されるため、Sandy Bridgeはすでに陳腐化が著しい。
当時最高性能のi7-2700Kをもってしても、PassMarkやCinebench R20といったベンチマークにおいて第10世代(2020年発売)のCoreシリーズ最廉価グレードであるi3-10100Tにさえも到底及ばないスコアとなっている。
それでも過去の栄光を忘れらず、頑なにPC更新を拒みSandy Bridgeを使用し続けるのが「Sandyで十分おじさん」である。
本当に十分なのか
Sandy Bridgeの性能が十分というのは、一面的には真実である。ネットやデジタルイラストにExcelといった通常の用途には特に不自由せず、何なら2020年時点の最新ゲームでもi7-2600程度の性能ならまあまあ遊べないわけではない。タイトルとグラボと画質設定次第だが、フルHD解像度程度であれば30~60fpsで安定してのプレイも可能である。つまりSandyおじさんの定型句である
まだ戦える
も噓ではない。
流石に起動ディスクが当時主流だったHDDのままでは快適とは言い難いが、それでもSSDに換装すればSandy Bridgeでも十分に早くなる。
ゆえにSandyで十分おじさんは今も「Sandy Bridgeで十分」と主張可能なのである。
しかしCPUの性能は日進月歩。
少なくともメインPCとして十分でなくなる日が遠くないことは確定した運命と言えるだろう。
なぜSandyで十分おじさんは生まれたか
一般に精密機器というのは故障や経年劣化に弱いというイメージがあり、そしてそれは概ね事実と言えるが、CPUはその中にあって例外的に飛び抜けて寿命の長いパーツの一つとされる。中古で購入しても比較的安全なPCパーツの筆頭には大体CPUが挙げられるほどである。
つまりSandy BridgeのCPUの使い始めから10年以上、丁寧に使用してきたなら故障なしなのも全くおかしな話ではない。
一方マザーボードというCPUを乗っけるパーツは、CPU世代交代に伴い頻繁に仕様変更される。これにより、新世代へのCPUの買い替えはほぼイコールでマザーボードも買い替え・交換になってしまう。 単純により多くの出費となるのに加え、経験者ならご存知のことだろうがマザーボードの交換は恐ろしいほどの手間がかかる。
この面倒臭さと上記のCPUの長持ち度合いとにより、「Sandyが動いてるからいちいち買い換えなくていいや」という心理が誘発されてしまうのだ。
また、Sandy Bridgeが前世代からジャンプアップ的な大幅な性能上昇を果たし時代を作った名機であり、加えてその後の後続機がシェアを席巻したintelの殿様商売のせいでいささかパッとしなかった事もユーザー心理を「Sandyで十分」で固定化した原因の一つだろう。
性能は普段使いには十分。
Windows10がSandyで問題なく使用可能なのもある。
単純に高い金出して買った夢の機械をより長く使いたい、という思いもあるかもしれない。
SandyがハイエンドCPUを2万円台で購入できた奇跡の世代である故の金額的な躊躇もあるだろう(たとえば、第13世代のハイエンドCPUは10万円以上する)。
こういった数々の事情と自分自身の内心により発生した
「ハードウェアアップデート拒否圧」に耐えられなかったのが
Sandyで十分おじさんなのだ。
だが、次なる性能ジャンプアップの時代が来てしまった。
強力なライバルが現れ慌てたintelが行ったテコ入れ、すなわちプロセスの微細化、コア数増加というCPU性能に最大の影響を与える大波が押し寄せたのである。
Sandy Bridgeのますますの陳腐化は避けられないだろう。
Sandy Bridgeの使い途
前述の通り普通に使用可能な性能はあったが、2020年代に入ると各種能力はスマホよりは劣るようになってしまい、存在意義が薄れつつ有る。(もちろんcorei5・corei7基準での話)なので今まで使っていたものを使い続けるならともかく、新規で組み上げるにはあまりにも心許ない性能だ。しかもWindows10が2025年にサポート終了、かつ後継のWindows11はSandy Bridge非対応(アプデは出来なくはないがいつまで使えるか不明)であり、趣味のオモチャとしてならともかく実用機としては選択肢ではないと言い切っていいレベルである。(M.2も付いてないしマザーボードもUSB3.1どころか3.0もまともに揃っていない状態である。更にマザーボードがBIOSの場合、最新のUEFI搭載のグラボが認識されない。)
何なら最新のi3やRyzen3の中で一番安いのでも上述通りi7-2700K以上の性能でありながら新品でも圧倒的安価なので…あれ、Sandyの用途を考える意味…
※なおこの記事を最初に書いた人は中古で購入した一体型のSandy搭載機で書かれております※
※ニコニコ動画とYouTubeの再生負荷の差が感じやすいスペックと申し上げておきます※
Ivyおじさん、Haswellおじさん
同じようにSandy Bridgeより多少新しい世代のIvy Bridge、Haswellから長年買い換えない人もいる。Sandyの衝撃がなくとも今も十分に使えるCPU、代を追うごとに高騰し続けるCoreシリーズ、交換の面倒すぎるマザーボードと買い替えに対して後ろ向きになる理由は十分に揃っているのである。
Windows10はSandyおじさん卒業推奨仕様?
マザーボードの換装の面倒さはドライバーやコード抜き差しと言った物理的作業以上に、OSをクリーンインストールする羽目になってゼロからの環境の構築のし直し、さらにライセンスが外れて電話認証になる不安が多くのウェイトを占める。
しかし現在のWindows10は、予め自身のMicrosoftアカウントでのログインが可能な様に紐付けしておく必要はあるものの intel ↔ AMD 間の換装後でさえも電源を入れればそのまま立ち上がる。
さすがにOSのライセンスは外れるが、現在使用しているプロダクトキーがあればすぐに再びライセンス認証可能となっている(そのためにアカウント紐付け作業が必須)。
安定性の面で安心したいならクリーンインストールのほうが良いだろうが、Sandy Bridgeのような古いCPUから乗り換える上での大きな障壁が一つ無くなったことは確かである。
Windows11で無事非対応
発表前からIvy以前の世代──つまりSandy Bridgeも含む──はWindows11非対応では?と噂されていたが、正式発表されたハードウェア要件ではやっぱり非対応であった。
具体的にはTPM2.0を満たせないのである
(これはHaswell以降搭載となっているが、Haswell/Broadwell/Skylake/KabylakeはWindows11では正式サポートにはなっておらず、Coffee Lake以降と厳しめの要件となっている)。
流石にもう戦えない
それ以降もSandyおじさんであり続けるためにはOSをLinuxに乗り換える等の対応が必要となるのだが…それは骨董品となったPCという機械の延命であって、Windows機としての継続使用の可能性を意味はしないのである。
もしくは上記の換装を利用しWindowsライセンスとCドライブ、その他流用可能パーツ分安く済む新PCを組むという選択肢もある(認証が通らない可能性もあるので自己責任)。言うまでもなくその場合は完全にSandyとお別れになる。なお2024年に入りDDR3メモリの製造を終了するメーカーも増えだしているのでSandyおじさんを貫くならここからが本番である。
関連動画
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関連項目
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