ダハール(Dahar)は、1981年アメリカ生まれの競走馬・種牡馬。
超良血に恥じずGI4勝の成績を残し、日本では七冠馬シンボリルドルフの最後のレースとなったサンルイレイSを勝利したことでも記憶される馬。
父Lyphard、母Dahlia、母父Vaguely Nobleという血統。父リファールは1978・79年にフランスリーディングサイアーを獲得し地位を確立していた名種牡馬、母ダリアは45戦13勝・GI10勝の成績を残した名牝、母父ヴェイグリーノーブルは自身も凱旋門賞馬であるほか種牡馬として大成功し1982年の英愛リーディングブルードメアサイアーを獲得することになるという超良血馬である。
本馬は母の生産所有者であったネルソン・バンカー・ハントの牧場であるブルーグラスファームで生産され、彼と親交のあった実業家のブルース・マクナルの所有馬として、母と同じくフランスのモーリス・ジルベール師に預けられた。
2歳時は10月に1戦のみして5着だった。7ヶ月の間を空けて3歳5月にサンクルー競馬場の2400m戦で復帰するとここを勝利し、返す刀で中11日のリュパン賞(GI・2100m)も勝利してトントン拍子にGI馬となった。
続くジョッケクルブ賞(当時2400m)では初勝利後にGII3連勝を挙げていたDarshaanの10着、アイリッシュダービーではEl Gran SenorとRainbow Questの争いに全く加わることが出来ずEl Gran Senorから6馬身差の3着、キングジョージVI世&クイーンエリザベスダイヤモンドSでは前年の英ダービー馬Teenosoの7着、アメリカに遠征して出走したバドワイザーミリオン(GI・10ハロン)では9歳にして二度目の全盛期を迎えた老雄John Henryの9着とリュパン賞の後は完敗が続き、バドワイザーミリオンの後にそのままアメリカのチャールズ・ウィッティンガム厩舎に移った。
西海岸を拠点として新たなキャリアをスタートさせた本馬だったが、移籍初戦のサンタアニタパーク競馬場の一般競走(9ハロン)では3着、分割競走となった翌月のハリウッドダービー(GI・9ハロン)ではフォレ賞を勝ってフランスから遠征してきたProcidaらに敗れ4着、年末のハリウッドターフカップ招待S(GI・11ハロン)でも前年のウィリアムヒルフューチュリティS(英GI)の勝ち馬であるAlphabatimの5着と勝利を挙げることが出来ず、結局3歳時は最初の2戦を勝っただけの9戦2勝に終わった。
4歳時は年明け早々、1月5日のサンガブリエルH(GIII・9ハロン)をハナ差で勝って移籍後の初勝利を挙げた。22日後のサンマルコスH(GIII・10ハロン)でもAlphabatimらを破って勝利したが、続くシエラネバダS(GIII・10ハロン)とサンルイレイS(GI・12ハロン)はいずれも3着だった。
5月のセンチュリーH(GI・9ハロン)では、前年のハリウッドターフカップ招待Sで本馬に先着する3着同着となったBoth Ends Burningに2馬身半差をつけ勝利し、移籍後のGI初勝利をマークした。ハリウッド招待H(GI・12ハロン)でもBoth Ends Burningの3/4馬身差2着となったが、アメリカンH(GII・9ハロン)ではセンチュリーHで5着に破ったTsunami Slewの5馬身1/4差3着と完敗、続くエディ・リードH(GII・9ハロン)ではTsunami Slewが勝った一方で本馬は7頭立ての6着と大敗を喫した。
その後、アーリントンミリオンではイギリスから遠征してきたTeleprompterの9着、ターフクラシックS(GI・12ハロン)[1]では最低人気の3歳馬Noble Fighterが単勝56倍の大穴を開けるのを遥か後方から見るブービー11着と敗れシーズン終了となった。4歳時は10戦3勝だった。
5歳時は2月のサンタアニタパーク競馬場の一般競走(9ハロン)から始動したが、前年のサンマルコスH以来約1年ぶりの出走であったAlphabatimに半馬身差で敗れ2着となった。続けてサンタアニタH(GI・ダート10ハロン)で初のダートに挑戦したが、前年にGIを二度レコード勝ちし芝でもアーリントンミリオンを含む二度のGI2着があったGreintonの11着と大敗した。
ダート挑戦はひとまずここで切り上げ、続いては芝に戻ってサンルイレイSに出走した。ここでは世界を駆け回りこの時点でGI6勝、この年から本馬と同厩になっていたStrawberry Roadや日本から遠征してきた七冠馬、「皇帝」シンボリルドルフを相手に、決して好調とはいえない近走成績ながら1番人気に推された。
このレースはStrawberry Roadがハナを奪って直線でも逃げ込みを図ったが、インコースから本馬がこれを交わし1馬身3/4差で優勝。7頭中6着でゴールした後に岡部幸雄騎手が下馬したシンボリルドルフは左前脚繋靭帯炎との診断が下りそのまま現役引退となった。
本馬の方は、続けてサンフアンカピストラーノ招待H(GI・14ハロン)に出走。ここではStrawberry RoadやサンタバーバラS(GI)を含む3連勝中の牝馬Mountain Bearらと対戦したが、Mountain Bearを半馬身差で下しGI連勝を挙げた。続くハリウッド招待HではFlying Pidgeonのクビ差2着、サンセットH(GI・12ハロン)では前年のハリウッドターフカップ招待Sを勝ったZoffany[2]の3/4馬身差2着となった。
ブリーダーズカップへ向けて陣営は今一度ダート適性を再確認しようとしたようで、秋の始動戦はヤンキーヴァローS(ダート9ハロン)となった。格付けなしとはいえ前年のエクリプス賞最優秀短距離馬Precisionistや同最優秀2歳牡馬Tasso、この年のメトロポリタンH(GI)まで重賞5連勝を決めていたGarthornなどそれなりにメンバーが揃った一戦だったが、Precisionistから8馬身差をつけられた4着に終わった。この結果を受けてブリーダーズカップ・ターフに出走することになった。
ブリーダーズカップ・ターフでは、2000ギニー・エクリプスS・キングジョージVI世&クイーンエリザベスダイヤモンドS・凱旋門賞を勝った*ダンシングブレーヴ、GI2着が3回あり翌年に覚醒を迎えることになるTheatrical、アーリントンミリオンを含むGI5勝を挙げている牝馬Estrapade、GI2勝を含む重賞5連勝中のManilaといった強豪が相手となったが、勝ったManilaから10馬身1/4差の5着に終わり、現在でも様々な敗因が取り沙汰されるほど消化不良の敗戦を喫した*ダンシングブレーヴ(4着)からも3馬身半差を付けられた。
続くハリウッドターフカップ招待Sでは、ブリーダーズカップ・ターフで2着だったTheatricalと3着だったEstrapade、ブリーダーズカップ・クラシックを勝って芝に矛先を向けたSkywalkerといったメンバーが集まった。本馬はこの3頭には先着したが、サンルイレイSで3着に破ってからダートを主に使っていたAlphabatimにまたしても敗れアタマ差の2着となり、シーズンを終えた。5歳時は9戦2勝だった。
6歳時はシドニー・J.ワターズJr.厩舎に移って現役を続行するプランがあったが、結局1戦もせず引退し、この年から種牡馬入りした。通算成績は29戦7勝・GI4勝だった。
1987年からアメリカで種牡馬入りしたダハールは、1990年からニュージーランドにもシャトルされるようになり、オセアニアで4頭のGI馬を出した。それらの産駒のGI勝利と前後する1994年に日本に輸入され、CBスタッドで供用された。CBスタッドの母体である早田牧場においては前年に本馬の弟である*リヴリアが皐月賞馬ナリタタイシンなどを含む5世代の産駒のみを残して急死しており、その代替としての役割も期待された可能性は少なからずありそうである。
さて、ダハールの種牡馬成績はどうだったかというと、輸入1年目となる1994年の種付け頭数は*サンデーサイレンスと並ぶこの年の4位タイの118頭、その後も初年度産駒がデビューする1997年までは50頭ほどの種付け頭数を確保していた。ところがこの年にデビューした初年度産駒が不振だったことから翌1998年は7頭と一気に落ち込むと、1999年の20頭を除いてその後は1桁頭数が続いた。海外でも散発的にGI馬は出たものの再輸出の決め手になるような大物は出ず、日本では準オープンからの格上挑戦で2000年の京成杯AHで3着となったヴァイタルトラックや2001年のエンプレス杯で3着だったラブリーダハールが目立つ程度でオープン馬ゼロ、日本サイアーランキングも2000年の99位が最高と、全体的に見ると失敗と言わざるを得ない成績に終わった。2003年3月14日に22歳で死亡した。
Lyphard 1969 鹿毛 |
Northern Dancer 1961 鹿毛 |
Nearctic | Nearco |
Lady Angela | |||
Natalma | Native Dancer | ||
Almahmoud | |||
Goofed 1960 栗毛 |
Court Martial | Fair Trial | |
Terlingua | |||
Barra | Instantaneous | ||
La Favorite | |||
Dahlia 1970 栗毛 FNo.13-c |
Vaguely Noble 1965 鹿毛 |
*ヴィエナ Vienna |
Aureole |
Turkish Blood | |||
Noble Lassie | Nearco | ||
Belle Sauvage | |||
Charming Alibi 1963 栗毛 |
Honeys Alibi | Alibhai | |
Honeymoon | |||
Adorada | Hierocles | ||
Gilded Wave | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Nearco 4×4(12.5%)、Hyperion 5×5×5(9.38%)
掲示板
掲示板に書き込みがありません。
急上昇ワード改
最終更新:2025/03/08(土) 15:00
最終更新:2025/03/08(土) 15:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。