がんばれ!!タブチくん!!とは、阪神タイガースと西武ライオンズで活躍した稀代のホームランアーチストである田淵幸一氏らをモデルに、いしいひさいち氏が描いたプロ野球4コマ漫画である。
概要
双葉社の「漫画アクション」にて、70年代後半に連載された。元々は独立したタイトルではなかったのが、評判が良かったので独立したタイトルとして連載が続いた。単行本は1979年に全3巻で発売された。連載終了後も「プロ野球4コマ」を集めて「タブチくん」で単行本がでていたりもする。
この漫画の成功が「4コマプロ野球漫画」と言うジャンルを作り上げたと言っても過言では無いと思う。
しかしその後継者はというと・・・・。そこら辺は皆さんの判断にお任せしたい。
この漫画に関して田淵幸一氏本人は、「不満などなく、むしろ感謝している」とテレビ番組内で語っている。
いしいひさいち氏がヤクルトスワローズファンなのでスワローズの選手が結構登場する。
その中で一番登場していたのが安田猛投手がモデルの「ヤスダ」。彼の魔球ネタは安田猛投手が変化球を駆使する技巧派投手のイメージから来ていると思われる。原作にある「契約更改のとき同情を買おうと娘を連れて行く」というネタは、実際に娘ではないが自分の家族を連れて行った選手がスワローズにいたことから来ている。
登場人物
- タブチくん(CV:西田敏行)
主人公。腹の突き出た肥満体のプロ野球選手。ポジションはキャッチャー。
所属チームは初期はタイガースで後にフルサワくんと一緒にライオンズに移籍する。
その体型から「タブタ」「ブタマン」という蔑称で呼ばれる事も。
短気な性格で、良くカッカして三振を喫しているが、当たればホームランをよくかっ飛ばす。
モデルは言うまでもなく田淵幸一。 - ミヨコさん(CV:二木てるみ)
タブチくんの妻。美人だがキレると過激な行動と言動を取る性格で、
駄作映画を見た時にタブチくんに「スクリーン破いてきなさいよ」とけしかけたり、
それを注意した隣の男性に「チンケな鼻してでっかい口きくんじゃないわよ!!」と怒鳴ったり、
また、浮気を疑ったタブチくんにキレてゴキブリの炒め物を無言で食わせようとしている。
モデルは田淵氏の最初の奥さん。(ただし、名前はミヨコではない。) - フルサワくん(CV:富山敬)
タブチくんの相棒。地味。帽子を深く被っていて目を見せない。ポジションはピッチャー。
所属チームはタブチくん同様タイガースで、後にタブチくんと一緒にライオンズに移籍する。
比較的常識人だが、トレードに納得できずタブチくんと同様に置石をしようとしていた。
モデルは現在ドミニカカープアカデミーコーチの古沢憲司。 - ヤスダくん(CV:青野武)
タブチくんのライバル。タブチくんほどじゃないが太っている。ポジションはピッチャー。
所属チームはスワローズ。作中ではペンギン呼ばわりされている。つば九郎の先輩かな?
魔球開発が大好きで、奇妙な(大半はルール違反の)魔球を開発してはオーヤくんに怒られている。
投手にサヨナラHRを浴びるなど致命的なミスをよくやらかしている。
基本的に貧乏暮しで妻に逃げられたり、子供を連れて飯をたかりに来たりすることがある。
元ネタは70年代のヤクルトの投手だった安田猛。 - オーヤくん
ヤスダくんの相棒でスワローズの捕手。ヤスダくんの魔球開発趣味に付き合わされるかわいそうな人。
モデルは当時のヤクルトの捕手で後に横浜ベイスターズの監督を二度務めた大矢明彦。 - ネモト監督(CV:内海賢二)
ライオンズの監督。タブチくんを始めとするライオンズの選手の奇行とだらしなさに頭を悩ませている。
モデルは『球界の寝業師』根本陸夫。田淵を獲得したのも彼の手腕が成し遂げた功績の一つである。 - ヒロオカ監督(CV:羽佐間道夫)
スワローズの監督。普段はクールな知将だが、その実かなり短気な性格で、
キレて自宅で大暴れして家具を破壊しまくったり、ヤスダくんに鉄拳制裁を加えることも。
モデルはヤクルトや西武で監督を務め、ロッテで日本初のGMに就任した広岡達朗。 - オカダさん
スワローズ応援団長。外野最前列の席でフライパンを叩きながら応援している。
が、彼の登場する話では大抵スワローズが負けている。家業は八百屋。
モデルはヤクルト応援団「ツバメ軍団」団長だった岡田正泰。
劇場版アニメ映画
アニメ映画は、1979年から1980年にかけて全3作が制作された。
原作では阪神時代の田淵選手のエピソードの方が多いのだが、現実の田淵選手は1979年より西武ライオンズに移籍しており、アニメ映画の舞台も西武移籍後のものとなっている(トレードのトラウマに苦しむ話が出てくるなど、阪神在籍時代が抹消されているわけではない)。
漫画では西武にトレードが決まって「所沢ってどんな場所なんだ」と所沢市民大激怒の想像をするタブチくんというネタがあったりする。
原作ではタブチくんの好物がたこ焼きのため、たこ焼きが何故か小手指名物になってたりする(現実にはこんな話はない)。
タブチくんのパ・リーグへの移籍でヤスダとの対戦機会はほとんどなくなったが、アニメ映画ではヤスダが事実上の準主役である(「1回裏」「2回表」といったサブタイトルの付くオムニバス形式のため、全話がタブチくん主役というわけではない)。
本作品のヒロインであるミヨコ夫人は架空の人物であるが、田淵氏の前妻がモデルとされている(現夫人はジャネット八田)。ちなみに、田淵氏はラジオで「前妻がネタを原作者に売っていた」と語っている。
1983年と1984年に、続編的作品の「プロ野球を10倍楽しく見る方法」が公開されている。こちらもオムニバス形式なのは共通であるが、がんばれ!!タブチくん!!とは違い、実写パート(珍プレー好プレー集)とアニメパートが混在したものとなっている。
本作品の原作は江本孟紀氏のベストセラーであるが、内容は原作本とはかけ離れたものとなっている。
がんばれ!Victory
2016年1月27日に発売された、ポニーキャニオン所属のガールズバンド、がんばれ!Victoryの3rdシングル「青春!ヒーロー」のMVに、「がんばれ!!タブチくん!!」が登場して話題を呼んでいる。原作者いしいひさいち氏が27年ぶりにイラストを描き下ろしており、しかもモデルとなった田淵幸一氏もコメントを寄せている正真正銘の公認である。
関連動画
関連項目
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