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ゴルディコヴァ

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ゴルディコヴァ(Goldikova)とは、2005年アイルランド生まれ・フランス調教の競走馬・繁殖牝馬である。

欧州競馬史上最多のGI 勝利を積み上げたマイルの名牝。

概要

父は短距離馬として名を馳せたDanzig 産駒 Anabaa、母 Born Gold、母父は名種牡馬 Blushing Groom。曾祖母 Gold Riverは凱旋門賞馬、祖母Riviere d'Orと伯母 Gold Spl ashもGI 馬という一流牝系の出身で、半妹にもGI ヴェルメイユ賞を勝ったGal ikovaが出ている。

馬主のヴェルテメール兄弟(シャネルのオーナー)と父の代から縁のあるヘッド一家の息子で、名騎手でもあったフレディ・ヘッド調教師に預託され、生涯オリビエ・ペリエが手綱を取った。

2歳戦を2戦連続楽勝で終え注目を集めたが、3歳初戦は不良馬場で競馬にならず2着に敗れる。まあ、このレース59.5kg背負ってるし……(勝ったAz abaraは56kg)。3歳牝馬に背負わす斤量じゃねえよ。
力負けじゃないってことで、プール・デッセ・デ・プーリッシュ(仏 1000ギニー)は3番人気。しかしレース直前に鞍上のペリエを振り落とすなど、明らかに機嫌が悪かった。それでも直線一度は先頭に立つが、外から飛んできたシャドーロールにバッサリ差し切られ2着。ディアヌ賞(仏オークス)もシャドーロールにバッサリやられて3着。結局クラシックは無冠で終わってしまう。まあ、そのシャドーロールってのが後の凱旋門賞馬 Zarkavaなんですけどね。両レースともZarkavaが単勝1.3倍台のグリグリだったし、相手が悪いよ相手が……。

ディアヌ賞の敗戦で距離が長いと見た陣営は中距離戦線を捨て、マイルに舵を切る。GIII クロエ賞を3馬身差でひょいと勝ち、GI ロートシルト賞で前年にGI3勝を挙げた実力馬 Da rjinaらを破りGI初制覇。返す刀で牡馬も出てくるムーラン・ド・ロンシャン賞に挑みここもDa rjinaを退け優勝、GI2勝目を挙げた。
なお、Da rjinaはこの次のレースも2着になり、この年GI6連続2着というステゴもびっくりの記録を作ってしまうがそれは別のお話。

ゴルディコヴァは欧州を飛び出しBC マイルに遠征。1番人気に支持され、馬群を上手く抜け出し見事優勝。史上4頭目の3歳牝馬による勝利を果たす(意外と多かった)。この年GⅠ3勝と素晴らしい成績を上げたが、カルティエ賞最優秀3歳牝馬は無敗で凱旋門賞まで勝ったZarkavaに持ってかれてしまった。しゃーない。ついでにエクリプス賞最優秀芝牝馬もBCフィリー&メアターフを含むGI3勝を挙げたForever Togetherに持ってかれた。

翌年はGI イスパーン賞(1850m)から始動。圧倒的1番人気に支持されるが、直線で失速し生涯ただ一度の複勝圏外となる7着に敗れてしまう。原因はやっぱり不良馬場と距離だったらしい。だがマイルならと言わんばかりにファルマスSを59.5kg背負いながら根性で粘ってGI4勝目。ロートシルト賞は重馬場を克服し、最後緩める余裕で同競走史上初の連覇を挙げ、GI5勝目。さらにフランスのマイル頂上決戦であるジャック・ル・マロワ賞に単勝1.5倍という圧倒的人気で登場し、並み居る牡馬をちぎり捨ててなんと6馬身差で圧勝。しかもレースレコード。映像を見てもらえばわかるが、バケモノじみてる。ヘッド師は「今やMiesqueより上だ」と言ったという。ちなみにMiesqueはヘッド師が騎手時代に乗っていた牝馬で、BC マイル連覇など欧州史上最多のGI10勝を挙げたマイルの超名牝である。

その後フォレ賞はハイペースに巻き込まれ3着と敗れるが、BC マイルは後手を踏んで大外を回される苦しい展開ながら最後の最後で前を差し切り史上3頭目の連覇を達成。GI7勝目。この年は6戦4勝(全部GⅠ)の成績でカルティエ賞最優秀古馬(とエクリプス賞最優秀芝牝馬)に選ばれる。ただカルティエ賞年度代表馬はこの年6戦無敗で英ダービーや凱旋門賞を勝ったSea the Starsに持っていかれた。しゃーない。

こんだけ勝ったらそろそろ繁殖入りを考える頃なのだが、ゴルディコヴァはまだまだ現役続行。ゴルディ古馬。翌年も懲りずにイスパーン賞から始動。しかし今年は良馬場だったのがよかったか、直線で1頭だけ迫ってきたBywordとの接戦をレースレコードで半馬身凌ぎ切りGI8勝目。前年の雪辱を果たすと、続くクイーンアンSは迫りくるP aco Boyをクビ差振り切りGI9勝目。こうなると牝馬限定戦のロートシルト賞に出るなんてのは最早弱い者いじめも同然。当然のように3馬身差圧勝しこのレース3連覇、GⅠ10勝目を挙げMiesqueの欧州記録に並ぶ。堂々とジャック・ル・マロワ賞に挑み記録更新……と思ったがまたも重馬場に祟られ、Dubawiの初年度産駒の英2000ギニー馬Makfi(*マクフィ)の2着に敗れてしまう。

続くは前年敗れたフォレ賞。珍しくペースメーカーを出さなかったこともあって重馬場の中を逃げる展開になり、直線で一度はかわされるが根性で差し返し、最後はまたも追ってきたPaco Boyを振り切って勝利。これで欧州史上最多のGI11勝目。勢いに乗って出走したBC マイルでは、芝GⅠ6勝の強豪 Gio Pontiと対決。しかしペースが緩くなったこともあり、後方から追い上げようとしたGio Pontiを置き去りにして快勝。史上初のBC 平地競走3連覇を挙げ、GI12勝目(障害だとMcDynamoが2003 ～07年に5連覇している)。
この年は前年の2タイトルに加え、ついに念願のカルティエ賞年度代表馬を射止める。Workforce(英ダービー、凱旋門賞)とSnow Fairy(英愛オークス、エリザベス女王杯、香港カップ)が泣きを見たが、ゴルディコヴァは6戦5勝(全部GⅠ)だししゃーない。

もう引退させるやろ……と思いきや、なんと6歳になっても現役続行。これはBC マイル4連覇という明確な目標があってのことだった。初戦はやっぱりイスパーン賞を選択し、JCにも出てきたCirrus des Aigles(シリュスデゼーグル)をクビ差競り落とし連覇、GI13勝目。クイーンアンSはペリエが負担重量を2ポンド(約1kg)超過するというミスを犯したことが祟ったか2着。牝馬相手のロートシルト賞は鞭も入れずに勝利しGI14勝目。なんと同一GI4連覇という凄まじい偉業を達成する(当時欧州で他に達成したのは愛セントレジャー4連覇のVinnie Roe、ゴールドカップ4連覇のYeatsのみ。後にSt rad ivariusがグッドウッド C4連覇で達成している)。ただし着差はかなりギリギリだった。

その後ジャック・ル・マロワ賞で牝馬Immo rtal Verseの2着に敗れて1年10ヶ月ぶりに牝馬の後塵を拝し、フォレ賞でも快速馬 Dream Aheadの2着に敗れ、Zarkavaにやられたクラシック以来の連敗を喫すると、4連覇を賭けて挑んだBC マイルは最後の最後に後方待機していたCourt Visionに出し抜かれ、マイルでは初めて連対を外す3着に敗戦。ここに及んでゴルディコヴァが塗り替えるべき目標もなくなり、ついに引退。最優秀古馬はイスパーン賞の後重賞5勝を挙げたCirrus des Aiglesの手に渡った。でもあっちはGⅠ1勝だし、しゃーないとはなんとなく言いづらい……。

通算27戦17勝。GⅠは欧州史上最多の14勝(世界記録はWinxの25勝、米国ではJohn Henryの16勝が最多)。2着6回、3着3回で複勝圏外は1回のみ。マイル史上最高の馬とすら言えそうな成績である。BC マイル3連覇は、BC全体でも30年以上の歴史の中でただ1頭しか成し遂げていない。実際には案外着差のないレースが多いし、3歳下の怪物 Frankelとかがいるのでマイル史上最強かどうかは意見が分かれるだろうが、牝馬にありがちな末脚出し抜けではなく、先行策から押し切るという王道の競馬でそのほとんどを勝っているのである。というか、一度崩れたらそのまま終わってしまうことも多い牝馬が6歳まで牡馬とガチンコできる時点で怪物である。もう最強牝馬でもいいんじゃないかと思うが、そもそも同期にZarkavaがいるしなぁ……。

引退後は故郷のアイルランドで繁殖入りした。初年度産駒のGold iko vicは未勝利だったが、2年目の牝馬 Terra kovaはデビュー戦を楽勝しており、3歳時にはクレオパトル賞(仏 GIII)を制しディアヌ賞で3着している。

2021年 1月、16歳で急死したことが報じられた。生涯比較され続けたMiesqueは母としても名種牡馬 Kingmambo、フランス牝馬二冠のEast of the Moonを送り出す大活躍を見せたが、ゴルディコヴァの残された仔たちは果たして……?

血統表

Anabaa 1992 鹿毛	Danzig 1977 鹿毛	Northern Dancer	Nearctic
			Natalma
		Pas de Nom	Admiral's Voyage
			Pet iti oner
	Balbonella 1984　鹿毛	*ゲイメセン Gay Mecene	Vaguely Noble
			Gay Missile
		Bamieres	Riverman
			Bergam asque
Born Gold 1991 栗毛 FNo.22-d	Blushing Groom 1974 栗毛	Red God	Nasrullah
			Spring Run
		Runa way Bride	Wild Risk
			Aimee
	Riviere D'or 1985　鹿毛	Lyphard	Northern Dancer
			Goo fed
		Gold River	Riverman
			Glaneuse