プレイヤーキラー(Player Killer 通称PK,PKer)とは、MMORPGやMORPGにおいて、他のプレイヤーが操作しているキャラクター(PC)を殺害する人及びプレイスタイル、またはそれを含めた対人戦闘システムの総称のこと。多くは一対一の戦闘を指す。
他人のキャラクターを攻撃・殺害する行為そのものは「プレイヤーキル」「プレイヤーキリング」と呼ぶが、文脈上では区別されない。
本記事では「プレイヤー同士が戦うシステム」を対人(戦)とし、その中でも実利のために他人を攻撃する行為をPKとする。
概要
PKの発祥はオンラインゲーム黎明期に隆盛したMORPG「ディアブロ」に遡る。初期ディアブロでは他のPCが放ったいかなる攻撃も味方PCに当てて殺害することができ、そうして死亡したPCは所持品を周囲に撒き散らすため、PCを殺して所持品を奪うPKが少なからずいた。
その代わりPKが返り討ちに遭う確率も低くなく、また失ったアイテムのほとんどは短期間で集められるため、ディアブロでのPKは一種の自浄作用を併せ持っていた。PKを専門的に狩る「PKK(プレイヤーキラーキラー)」の出現もディアブロが発祥である。
このPKにまつわるシステムは世界初の"M"MORPG、ウルティマオンライン(UO)にも取り入れられ、特にトランメル(PK禁止次元)が実装される前は町中以外でのPKが容認されていたため、Massiveの名の通り多様なPKが現れた。特にUOは大々的に生産システムを実装して発売されたため、鉱夫が重い鉱石を軽いインゴットに変えた時点で襲撃し、インゴットだけを奪い去る強盗PKも少なからずいたという。
年が下るにつれ、新たに発売されたオンラインゲームではPKに対する締め付けは厳しくなっていき、それに伴って対人戦は一種のスポーツ的要素を含みだす。「PvP(Player vs Player,両者が同一のルールに基いて行う対人戦)」や「GvG(Guild vs Guild,ギルド間対人戦)」、「RvR(Realm vs Realm,国家間対人戦)」といった形で、一意のルールに基づいてリスクもペナルティもなくなった競技的な対人戦を重視し、また他人を襲うことで得られる実利をどんどん削減していったため、実利のために他人を襲うPKシステムは、特に近年のオンラインRPGではほとんど見られなくなっているか、あるいはかなり両者の格差に配慮した形で実装されている。
「見も知らぬ一味に理由なく襲われて金品を奪われる」形のPKのイメージは、その多くがUOかディアブロに依るといえよう。
PKに対する印象や、考え方
先制的な対人攻撃が容認され、死亡すると何らかの所持品を奪われるゲームでは、PKは基本的に嫌われ者であり、上述したウルティマオンラインやディアブロでも議論の種であった。
あくまでゲームの中で、仲間と協力して冒険を楽しみたい、と言った人にとっては、PKは邪魔者でしかない。しかし、ゲームと言う架空世界の中なのだから盗み・殺人と言った"冒険"をやってみたいと考えるプレイヤーや、システムが容認しているからやる、あるいは荒稼ぎのために襲う者や武者修行転じて誰でも襲うようになったといった、様々な動機を胸にPKに臨むプレイヤーも少なからず存在していた。
システム側としても、ゲーム中で殺人を犯したPCを殺人者として手配し、街に入ると衛兵がPKを捕殺したり、システムの側から懸賞金をかけたり、PKを殺しても殺人者扱いにならなかったり、蘇生にペナルティを設けたりと、かつてのオンラインゲームではPKに対するペナルティを設けながらも、理由なく相手を殺害できるPKを容認するタイプのゲームもあった。
こうした独特の緊張感は、特に日本では生産システムがあり、かつ犯罪システムが本格的にフィーチャーされたUOで最高潮に達し、奇妙なほどに緊迫したリアリティーを演出していた。
PKは他人を殺して楽しむ。一般人はPKに殺され奪われるか、あるいは辛くも町まで逃げ戻る。名うてのPKは良くも悪くも名声と罪業に満ち、それを討つ者は尊敬される。そのためPKKは正義の炎を燃やし、あるいは名声のためにPKを追う。人が多く集まる町では自警団が組織され、資源拠点まで生産者を護衛し、経済活動が賦活されて人が集まる…。
つまり自浄作用が働いた。さらに人が集まらない過疎地や鉱山であればあるほど、ドラゴン以上に賢く恐ろしいPKが誰のためでもなく自発的に来襲し、人が集まるところでは犯罪が起きず、さらに人が集まり秩序が保たれた。
奇しくもPKによって、記号的に記された「"R"oll-Playing」、ネット上では触れ得べからざるものがゲームに持ち込まれた。PKをする/されることにより相手の感情を左右し、憎しみ・悔しみ・悲しみ・怒り・喜びがネット上を交錯し、町とそれ以外が恐怖により明確に塗り分けられ、がために現実と空想の境目が曖昧となる神秘体験を得られたのだ。
しかし、初心者がいきなり上級者に殺されてしまうようなゲームは初心者が居づらくなってしまうため、またはPKによる苦情に運営会社が対処しきれなくなったため、あるいはゲームが現実世界の精神衛生に与える影響を鑑みられたためといった様々な理由により、上述のUOやディアブロでもPKを制限・抑止する方向に走ってしまう。
こうして、PKをシステムから排除して不毛な殺し合いを廃し、対人戦に関するルールを定めて、失うものがない中で延々とPCを殺しあう競技的なゲームが主流となり、旧来からの自浄性あるPKは顧みられなくなっていったのである。
PKの派生、類似行為
システム的にPKが不可能なゲームでも、間接的な手段でPKに似た殺害行為を行うプレイヤーも存在する。
代表的なのはMPK(Monster PlayerKill)と呼ばれる行為であり、敵対的なモンスターを誘導し、目標になすりつけてPKを行う。
システム的にPKが禁止されているようなゲームでのMPKの場合、相手のやる気しか奪えず、さらにモンスターを誘導する行為は至難であることが多いため、愉快犯的なテロ行為、嫌がらせやPC間トラブルの報復、復讐などと言った意味合いが強い。
特にFF11では大々的に業者が一般PCから狩場を24時間3交代で占有していたため、その対抗策として強敵を呼び寄せて業者のいる狩場に向かわせる、「善意と正義の」MPKさえあった。
もちろん多くのオンラインゲームではMPKは禁止されており、これに違反したプレイヤーが通報された場合、ほぼやった側が処罰される。
対戦型のゲーム(主にFPS)では、味方を殺害・攻撃する行為をTK(Team Kill)・FF(Friendly Fire)と呼ぶ。これらの大半は過失による誤射だが、中には意図的にTKを行なって戦局を崩壊させる悪質なプレイヤー(荒らし)もいる。相手から実利を得るPKとは趣が異なるため、多くのFPSでは故意のTKは禁じられ、参加者の総意によってTK常習犯をそのマップから追放(BAN)するシステムが備わっている。
また、PKに類似したシステムは、別の形であるゲームに実装されている。それは村ゲーである。他人より上に立つために無辜の他人を襲う(ことが許可されている)システムという点を切り出せば、類似したシステムといえなくもない。もっとも、躍動感もなければ熱い接戦も、感情移入すべきキャラクターや反撃に向かう機会も存在しないのだが。
関連項目
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読み:プレイヤーキラー
初版作成日: 09/09/14 02:09 ◆ 最終更新日: 15/07/23 03:29
編集内容についての説明/コメント: 批判を食らいそうですがもうちょっと詳述
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