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宇宙エレベータ(軌道エレベータ)とは、地上と宇宙エレベータでつなぐ輸送機関である。

概要

宇宙エレベータ(軌道エレベータ)とは、惑星の地表から静止軌*1上のプラットフォームまでを構造物(ケーブル、レール、など。以降は便宜上ケーブルとする)で繋ぎ、そこを運搬機で上下に輸送するエレベータのことである。
エレベータの運搬機は電気を動力とし、ロケットを使用するよりも安全に低コストで物資を輸送することができると期待されている。

構造や特徴など

  • 全体(静止軌上のプラットフォームとケーブル)の遠心力重力を上回るように(プラットフォームが静止軌の同じ位置に留まっていられるように)、プラットフォームの地表とは反対側にもカウンター質量を配置して調整する。(ケーブルを伸ばしたり、重りを付けるなど)
  • 地球の直径が約12,756kmであるのに対して、静止軌が高度約35,786kmであり、さらにプラットフォームの反対側にもケーブル伸びることを考慮すると宇宙エレベータ(軌道エレベータ)の全長はかなり長いものであることが分かる。
  • 静止軌なので、地表側の設置場所も上であればケーブルにかかる力を小さくできる。
  • 現在構想中の軌道エレベータの中で最も有力なものは全長96000km、合計質量がおよそ1400トンであり、全体の規模からみると非常に軽い。ケーブルも非常に薄く、ケーブル1kmあたりの質量は僅か7kgとなる。
    このため、ケーブルが切断される事態に見舞われたとしても、SFで描かれるように破滅的な被害をもたらすのではなく、ケーブルがひらひらと舞い落ちるように落下していくだけである。結果、一部の混乱を除き、地上建造物への被害はほとんどないと考えられている。
  • 現時点ではケーブルに使用する素材の実用化を始めとして解決できていない技術的な問題がいくつもあるため、実現の見通しは立っていない。ただし、近年では実現に向けて研究する機関や団体も数を増している。

*1 静止軌
公転周期惑星の自転と同期する軌のこと。
静止軌衛星を配置すると、地上のある地点から見かけ上は常にの同じ位置に衛星があるように(静止しているように)見える。
身近な例:衛星放送用の通信衛
(衛星放送用の受信アンテナは空に向けて方向角度を合わせて設置した後は変更の必要がない。
 そのアンテナの向いた先の(見かけ上)同じ位置に常に衛星がいるためである。)

歴史

宇宙エレベータの基本となるアイディアは「宇宙旅行」とも呼ばれるロシアコンスタンティンツィオルコフスキーによるもので、上に静止軌まで届くを建てれば、その頂上では重量状態になるであろう、というものであった。1895年(19世紀!)の事である。

ただし、地上からこのようなを建てる事はまず不可能と言ってよく、当のツィオルコフスキーもこれは単なる思考実験として、ロケット推進の研究に力を注いでいる。

半世紀ほど経った1960年、同じくロシア(当時はソ連)のユーリアルツターノフが、逆に静止軌からケーブルアイディアを発表。これが現在考えられている宇宙エレベータの基本となった。

を建てるよりは現実味が増したものの、依然としては高かった。後の計算によれば要されるケーブルの強度(破断長)は鋼100倍以上。もちろんそんな素材実在しない。

強度を補助するためのテーパ構造や、いっそのこと地上との接続を諦めるアイディアなどが考えられ、また材料側でもいくらかの進展はあったものの、宇宙エレベータはしばらくの間、単なるSFガジェットとして扱われてきた。

1991年カーボンナノチューブが発見され、これがどうにか要強度に達しそうだと言うことが分かり、ようやく宇宙エレベータに実現の可性が出てきた。

その後、日本では2010年代に入ると未来の技術として紹介されるようになり、徐々に一般への認知も進んできたが、何故かそれまで使われてきた「軌道エレベータ」の語に代わり「宇宙エレベータ」という名称が使われ出した。解せぬ

とはいえ、2016年現在カーボンナノチューブもその他有望とされる新素材も、まだまだケーブルとして使えるような形にはなっておらず、実際に使えるのかどうかは不明である。今後の技術の進歩に期待したい。

フィクションの世界での扱い

1979年アーサー・C・クラークSF小説楽園』に登場させて以来、SF分野の小説アニメ漫画では割とポピュラーな題材として扱われている。
また、古くから現在に至るまでフィクションの作品に登場する場合は「軌道エレベータ」または「軌~」の名称の方が使われることが多い。

劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』で、初めて実写化された(ただし、ケーブルなどはもちろんCG)。

宇宙エレベータ(軌道エレベータ)の登場する作品

ニコニコ大百科に個別記事のある作品は、題名を太字で記載している。

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宇宙エレベータ

228 ななしのよっしん
2023/10/03(火) 09:25:30 ID: Qo9ohCy/mm
登場作品に初代遊戯王!?遊 戯 王 !?
どういうことなの・・
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229 ななしのよっしん
2023/10/07(土) 00:43:30 ID: 2DbNqsnodY
アダムって漫画見てたら軌道エレベーターバベルって名前つけてて大草原だったわ
縁起が悪すぎてギャグだよ!
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230 ななしのよっしん
2024/09/03(火) 08:19:38 ID: ixp9RX9756
>>229
軌道エレベーターバベルの塔になぞらえるのは昔からあるから…
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231 ななしのよっしん
2024/09/03(火) 08:23:43 ID: aDlGewnSbk
を飛ぶものにイカロスってつけるのも定番
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232 ななしのよっしん
2024/11/04(月) 14:49:57 ID: B561pCfvTf
言葉をえた際共同事業で建てるとなるとバベルは案外的を射ているからなあ
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233 ななしのよっしん
2024/12/26(木) 19:14:55 ID: IBKusc4iTN
>>222
軌道エレベーターって静止軌(36000km)上からるしてる構造物なので、高度が高い=根元側の方が大きな力が掛かるから先端の地表側ではあまり強度が必要ないんですよね。
それに大気圏内(~数km)の部分は人為的な原因を除いても損傷のリスクが高いだろうから補修が容易(交換可?)な構造になってる可性が高いと思う
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234 ななしのよっしん
2025/03/23(日) 16:07:36 ID: W4tZBDzDfi
どの根本側の方は重量やら地表までの大気層の圧やらで多大な負荷がかかるだろうから、よほどの技術革新でも起こらなきゃ理だろうな
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235 ななしのよっしん
2025/04/17(木) 20:17:59 ID: Gz9oQF3A5S
相当高さがある高原地帯まで鉄道
電磁マスドライバー
大気の擾乱が少ない高度までしか(上から)伸びてない、その分必要強度が低い静止軌道エレベーターか、極音速スカイフック

とやれば相当宇宙に物を持っていくのに必要なエネルギーを減らせそうだけど…
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236 ななしのよっしん
2025/06/07(土) 20:44:59 ID: YJhRxFmnye
ガイビーコン的なものを出してマスドライバーでの往来を自動化する方が現実的な気がするんだよね
わざわざ有線で繋ぐことに拘るのが既に時代遅れなような
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237 ななしのよっしん
2025/09/21(日) 16:32:11 ID: Gz9oQF3A5S
たった一つの技術なんだけどね。「コークスから無限長のカーボンナノチューブを紡ぐ」それがなぜこれほどに絶望とされるのか…

本当に宇宙普遍で、どんな文明も、絶対に不可能なのか…
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