『人類は衰退しました』(じんるいはすいたいしました)とは、田中ロミオによるライトノベル作品である。
ガガガ文庫(小学館)より刊行。2007年5月24日に第1巻が発売、最終第9巻は2014年6月13日に発売。
イラストは当初山﨑透が担当していたが、6巻発売後に戸部淑に交代して全巻で新装版が発売されている。
(7巻以降は戸部淑版のみ。)
がいよう
|
主人公の『わたし』の視点で進む、衰退した人類と新人類である妖精さんとの交流や彼らが巻き起こす騒動を描いた物語である。
ゆったりした文体で話が進むため一見癒し系な印象を受けるが、パロディやオマージュが多数織り込まれていたり、黒いネタや難解なネタがあったりと非凡な作品に仕上がっており、設定を読み解いていけば意外なほどハードなSF作品となっている。
その黒さたるや、あのバッドエンド王国民の虚淵玄をして「これほど黒いストーリーは自分の比ではない」と言わしめるほど。
一部を除き人名が登場しないのも特徴で、登場人物は見た目や役割等で呼ばれている。
刊行ペースは比較的遅く、途中からは1年に1冊のペースで刊行されていた。
2011年2月にアニメ化企画が発表。
2012年7月から9月までTVアニメが放送された。
あらすじ
小学館ガガガ文庫HP及びアニメHPから抜粋。
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は” 妖精さん ”のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。
わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の” 調停官 ”となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なのだろうとこの職を選んだのですが...。
とうじょうじんぶつ
- わたし
- (CV:中原麻衣)
- 本作の主人公であり語り手。両親を早くに亡くし、少女時代を人類最後の教育機関である"学舎"で過ごした。
卒業後は祖父と同じ仕事に就くべく彼の住むクスノキの里に戻るが、そこで妖精さんにまつわる様々な騒動に巻き込まれることになる。
年齢は10代後半から20代前半。ロングヘアで長身な風貌と穏やかな顔立ちを併せ持っており、たおやかな深窓の令嬢のような印象を受ける(本人談)。少々高すぎる身長と太めの眉は本人もちょっと気にしている。
極度の人見知りだが、緊急時ならば目的達成のために使えるものは徹底的に使う逞しい一面もある。
学舎時代に本で学んだお菓子作りが趣味で、妖精さんにも大好評。
積極的に妖精さんと接触を行なっていることもあり、妖精さんの間では有名でよくお菓子をねだられるが、彼女は彼女で妖精さんの能力を利用しているのでWin-Winな関係である。
とはいえ、妖精さんは予測もつかない行動を起こすことが多いため対応に悩まされることも少なくないのだが...。
本人は自分をインドア派と考えているが、仕事やトラブルで体を張る羽目になることも多い。
詳しくは該当記事参照のこと。 - 祖父
- (CV:石塚運昇 松本梨香(少年期))
- クスノキの里で調停事務所長を勤めている、『わたし』の祖父であり唯一の肉親。妻とは既に死別している。
人々から尊敬と信頼の眼差しを一身にうける博識な学者であるが、基本的に趣味人であり、狩猟や釣りを楽しんでいる。
相当な老齢のはずだが頻繁に野外で狩猟活動を行なっているためか、年不相応に頑健。
骨董品的な武具や機械を集めるのも好きで、里の倉庫には現在では作ることが出来ない貴重な品物が多数しまってある。調停事務所にも彼の集めた武器コレクションが一部蔓延している。
幼少時の『わたし』は厳しい彼のことを苦手に思っていたが、現在は概ね良好な関係を築いている。 - 原作2巻の会話から、名はJoshuaではないかという説がある。
- 妖精さん
- (CV:あおきさやか・ささきのぞみ・小林由美子・明坂聡美・金元寿子・小桜エツコ・新井里美 他)
- 新人類であり、現在の世界を支配している人々だが、見た目は10センチ程度のころころした可愛らしい存在。大勢の旧人類の前では基本的に姿を現さない。
記憶力に乏しく舌足らずな喋り方をするため子どもが話しているような印象を受けるが、黒い発言をすることも。
『あにめではわかりませんが』『げんさくではひらがなです』『こんなかんじですな』『ようせいさんですゆえ』
旧人類では足元にも及ばない驚異的な技術力と知能を持ち、がらくたのような素材から物理法則や常識を軽く無視している道具をごく短時間で作ることが出来る。
生命力も非常に高く、過酷な環境にも適応できる。生存に食料は必要ないが、なぜか甘いお菓子が大好物。 - ただし、その「道具」を駆使してもどういうわけかお菓子だけは作り出すことが出来ず、旧人類にお菓子で釣られる形でその力を提供したりしなかったりしている。
彼らが大事にしているのは『楽しいこと』であり、興味を引くものを見つけると他の個体も巻き込んで遊びはじめる。
その気になれば巨大な都市や文明などのとてつもないものを作り上げることも可能だが、彼らにとっては” 楽しい度 ”が価値基準であるため、早々に飽きて投げ出すことも多い。
種族としての弱点は、身の危険を感じたりびっくりしたりするとボールのように丸まって動かなくなってしまうこと、電磁波を浴び続けたり、妖精さんが密集しすぎると欝のような症状が起こることなど。
『わたし』は事ある度に彼らに山吹色のお菓子を提供しているので、非常に仲が良く、彼らが彼女のために協力することも少なくない。 - 詳しくは該当記事参照のこと。
- 助手さん
- (CV:福山潤)
- 祖父の部下として働くアロハシャツを着た小柄な少年。だがその祖父は「わたし」に仕事を丸投げすることも多いため、「わたし」の助手のようになっていることも多い。
全く喋らず、肌身離さず持ち歩いているスケッチブックや目線で意思疎通を行う。
無口なため一見暗い印象を抱くかもしれないが、珍しい道具を見てはしゃぐ男の子らしい一面もある。
情操教育を絵本で受けたため、イラストが上手。だが彼が描くイラストは遠近を意識していないものだったり、ブラックユーモアが織り込まれていたりと実に特徴的である。 - 詳しくは該当記事参照のこと。
- Y
- (CV:沢城みゆき)
- 学舎時代『わたし』と知り合った彼女の悪友。
1巻の時点で存在については触れられているが、本格的に活躍するようになるのはある程度話が進んでから。
学舎時代、当初の『わたし』は彼女と距離を取り合っていたが、ある事件をきっかけにつるむようになる。
卒業後は国連関連の仕事をするため学舎に残っていたが、しばらく経ってから仕事の関係でクスノキの里に越してきて『わたし』を厄介事に巻き込んでいく。
頭が良く行動派なものの、遊び好きで不真面目な点が目立ち、やる気にムラがあるのが難点。
秘密の趣味があるらしいが、お察し下さい。
てれびあにめ
ニコニコチャンネルでは、TV最速放送のあった週の金曜日から一週間までの最新話と第1話を無料で視聴できた。
キャラクターデザインは原作新装版準拠である。ただし、妖精さんのデザインはほとんどアニメオリジナルと言える。
エピソードの放映順は、「視覚的にインパクトのある話を先に持ってくる」という監督の意向によって時系列がシャッフルされており、原作のそれと異なっている。
そのため、アニメでは前後する描写(「わたし」の髪の長さなど)がある。放映順に対する原作の収録巻についてはこちらを、原作に対する放映順についてはこちらを参照。
すたっふ
うた
- オープニングテーマ「リアルワールド」
- 作詞:きみコ / 作曲:佐々木淳/ 編曲・歌:nano.RIPE
-
本記事掲示板>>1196より (キー+2) - エンディングテーマ「ユメのなかノわたしのユメ」
- 作詞:畑亜貴 / 作曲・編曲・歌:伊藤真澄
えぴそーどしょうさい
話数 | サブタイトル | 原作 | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 配信日 | 動画 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 妖精さんの、 ひみつのこうじょう |
episode1 | 4巻 前章 |
上江洲誠 | 小坂春女 | 野崎麗子 寺尾憲治 |
2012 7/6 |
||
第2話 | episode2 | 田口智久 | 山下英美 斎藤真由 |
7/13 | |||||
第3話 | 妖精さんたちの、 さぶかる |
episode1 | 6巻 後章 |
綾奈ゆにこ | 江上潔 | 山内則康 | 7/20 | ||
第4話 | episode2 | 森義博 | 小澤 円 梶浦紳一郎 |
7/27 | |||||
第5話 | 妖精さんの、 おさとがえり |
episode1 | 3巻 | 熊谷純 | 大畑晃一 | 黒瀬大輔 | 亀谷響子 石動仁 神田岳 |
8/3 | |
第6話 | episode2 | 小林孝志 | 川島尚 | 8/10 | |||||
第7話 | 妖精さんたちの、 じかんかつようじゅつ |
episode1 | 2巻 後章 |
熊谷純 | 小坂春女 | 笹原嘉文 | 宇佐美皓一 山田有慶 |
8/17 | |
第8話 | episode2 | ひいろゆきな | 山内則康 | 8/24 | |||||
第9話 | 妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ | 4巻 後章 |
綾奈ゆにこ | 田口智久 | 鈴木芳成 | 廣瀬智仁 | 8/31 | ||
第10話 | 妖精さんたちの、ちきゅう | 1巻 前章 |
上江洲誠 | 李カンミン | 小坂春女 | 高橋猿吉 斉藤真由 沼田誠也 |
9/7 | ||
第11話 | 妖精さんの、 ひみつのおちゃかい |
episode1 | 5巻 前章 |
上江洲誠 | 小坂春女 | 森義博 | 小澤円 梶浦紳一郎 山内則康 |
9/14 | |
第12話 | episode2 | 小林孝志 | 宇佐美皓一 山田有慶 |
9/21 |
かいせつ
アニメでは各エピソードごとの世界観や設定が省略されている箇所が多い。そのため、有志による作品の解説がなされている。以下にそれを紹介する。
当然ながら激しくネタバレなので、未見の方は注意。
以下の記述は記事編集者及び動画投稿者の解釈によるもので、原作者の意図した作品内の事実と合致しない可能性があります。
妖精さんの、おさとがえり(原作3巻、アニメ5・6話)
「このさき、ねたばれですゆえ」 |
Q.結局あのドーム状の都市遺跡はなんだったの?なんで電磁波が遮断されてたの?
A.かつて隕石を迎撃するために核兵器を使用していたが、撃ち漏らしたものを大気圏ぎりぎりで処理せざるを得ずEMP(電磁衝撃波)が継続的に降り注いだため、電磁波シールドを施したシェルター状都市に引きこもった。
ちなみに、この時シールドされてなかった電子機器は軒並みパーになった。これが過去の情報大断絶の原因の一つ。
Q.あのスライムたちは何?
A.かつて家電メーカー・ニチリツによってリリースされたコードレス掃除機「くりーちゃん」。
性能は良かったがそのキモい見た目と「クリーチャー」を彷彿とさせる名前が仇となり、発売当初は一日五千件の苦情が殺到したとか。ただ、スクリプトでかなり自由にカスタマイズできたため、マニア受けは良かったらしい。
Q.パイオニア計画・ボイジャー計画って何?
A.1970年代に実際に行われた、NASAの惑星探査計画。ぴおんとオヤゲは、その時打ち上げられた探査機本人…もとい、本機ということになる。
Q.ぴおんやオヤゲが人型になってるのはなぜ?あれ普通の探査機だよね?
A.キャッチアップ機(後から追いかけて修理や補給を施すために打ち上げられた機体)により合計8回の改修を受け、電磁流体金属(プログラミングで自在に形を変えることができる金属)や塩基計算機(脳の思考機序を真似ることができるもので、見せかけの「魂」を与えられる)が加えられたことによるもの。
ちなみにこれらは全て人間の技術。衰退したとはいえ、旧人類も結構すごかったのである。
Q.わたしちゃんはなんで受電施設を破壊したの?
A.探査機たちが嫌がっていた、再び宇宙へ旅立つ任務を不可能にするため。電磁波に弱い妖精さんたちを呼び戻すためでもある。
正式な手続きを踏んでいると何ヶ月もかかってしまうため、それでは次の日に旅立つ予定だった探査機を引き止めることが出来なかった。やむを得ない面もあったとはいえ重大な越権行為であり独断専行でもあったため処罰を受けたのは描写の通り。ちなみに原作では、断髪の他に減給や奉仕作業、始末書等のフルコースに加え、文化局長にネチネチなじられたため泣いて2日ほど寝込んでいる。「ひみつのこうじょう(アニメ第二話)」での局長への言葉攻めはそのちょっとした意趣返し。
Q.最後のハンドル付いたモノリスは何?
A.「たまには運動できるように」とのことで発電用の手回しハンドルをつけた。ハンドル回し1時間につき1分間、人型になった彼らがなにか仕事をしてくれる。なお原作7巻にて、ぴおんが再登場している。
妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ(原作2巻後章、アニメ7・8話)
「このさき、ねたばれですゆえ」 |
Q.あのバナナの効能は?
A.食べたわたしちゃんを「優しい空間」に送り込んだ後、スリップさせて食べた付近の時間に送り返すもの。初期のバージョンは食べた時点からずれて戻ってしまうためタイムパラドックスが発生してしまうが、その度にその矛盾は犬(タイムパラドッグス)の形になって精算されている。
Q.あの生首サッカーは何?
A.わかりません。原作にはボール遊びをしている、としか書かれておらずアニメオリジナル。別のエピソードで、丸まった妖精さんをボールにしてピンボールを楽しんでいた描写はあるが…
Q.繁殖少年ははっちゃけちゃった助手さんなの?
A.助手さんではなく過去のおじいさん。「新型バナナ」は食べてすぐ滑るがかなり遠い過去まで飛ばされてしまうバグがあったため、たまたま彼がクスノキの里に赴任してきた時代に飛んだ。ここで彼に奪われた腕日時計が、おじいさんの言う「ずっと昔に美しい女性からもらった腕日時計」になる。
Q.あの腕日時計は、結局どこから来てどこに行くの?
A.わたしちゃんとリンゴ・キッドの間を永遠にグルグル回り続けるため、どこからも来ていないしどこにも行かない。
タイムスリップモノに付き物のパラドックス的アイテムのひとつ。
Q.助手さんはあの林で何をしてたの?
A.自分に関する噂を集めていた。助手さんは「個性」に乏しかったため、自由な発想で自分探し=自分についてよく知っている未来のわたしちゃんがたくさん集まるあの「優しい空間」を利用して自分の個性を確立しようとした。詳しくは記事「助手さん(人類は衰退しました)」参照。
Q.各周回は平行世界ってことでいい?
A.平行世界ではなく、あくまで一本道。一本道のいろんな場所からわたしちゃんを集めて「優しい空間」に送り込んでいる。ドラえもんの人気回「ドラえもんだらけ」と同じだと思えばわかりやすい。
Q.6周しかしていないのにわたしちゃんが大増殖したのはなぜ?
A.アニメではまるまるカットされてしまったのだが、原作では、助手さんを迎えた後に調停事務所の外に「最新型」のバナナが植えられる。最新型バナナも同じく食べたわたしちゃんを「優しい空間」に引っ張りこむが、「ズレなく、ちゃんと元に戻り、超OK」、つまり食べた時刻に正確に戻り、「優しい空間」内の記憶もないため、主観的には食べても何も起こらないように見える。この最新型バナナはその後ちょくちょく食べられているため、その回数分のわたしちゃんが「優しい空間」に集まった。そのため、原作ではあのわたしちゃんの大群には妙齢のわたしちゃんやおばあちゃんとなったわたしちゃんもいる。
妖精さんの、ひみつのおちゃかい(原作5巻前章、アニメ11・12話)
「このさき、ねたばれですゆえ」 |
Q.わたしちゃんは、入学当初からなぜあんなにひねくれてたの?
A.両親に早々に先立たれた上、なんだかんだで信頼していた唯一の肉親のおじいさんからも厄介払いされた(と思い込んでいた)から。その上、自分が編入されるクラスは年下の子ばかりで馴染めないのがわかりきっていた。
Q.巻き毛は結局黒幕なの?
A.不明。どちらにも解釈できる。ただ、どちらにせよ彼女の言動が周囲のわたしちゃんへの妬みを加速させていた感はある。
Q.Yはイジメに加担してないの?
A.少なくとも集団的なイジメには関わっていない。彼女もわたしちゃんと同じく孤立していた。ただ、彼女がわたしちゃんの部屋の鍵を隠したことがわたしちゃんの他の生徒への不信を決定的なものにしたため、イジメの遠因の一つが彼女であるとは言えるかもしれない。
Q.ボウリングのシーンでよく「クリケット」ってコメントされるんだけど何?
A.原作に登場したギャグ。原作小説では「クリケット」というスポーツについて「アンダースロー」「ストライク」など違和感のない単語で描写されるのだが、徐々にクリケットにはありえない描写やキーワードが出現し、最後に「我々が200年間クリケットだと思っていたスポーツは、実はボウリングというそうだ!」という校長のセリフでオチる。いわゆる叙述トリックだが、アニメでは最初からバレバレでギャグとして成立しないためオチはカットされた。
Q.巻き毛のアレやばくね?卒業まで大丈夫だったの?
A.成長するにつれわたしちゃんへの依存も徐々に薄くなり、卒業する頃には健全な関係になった。卒業後はYと交流があるらしく、わたしちゃんとも、わたしちゃんが3通の手紙を書く間に、たった100通しか手紙を出さない健全なつきあいが続いている。
Q.のばら会とはその後どうなったの?
A.一歩引いてはいたものの、描写の通りその後の手打ち式により以前のような関係に戻った。花先輩と魔女先輩の卒業の際には、わたしちゃんとYにのばら会会長を引き継ぐ程度には親密な関係に。
なお生徒数減少の影響もあるが、その頃にはわたしちゃん・巻き毛・Yの3人が相部屋になっている。
Q.いつの間にかAB先輩(のばら会の双子みたいな二人の先輩)がいなくなってるんだけど?
A.成績は優秀だったが、実家の都合により中退。
Q.学舎はどうして廃校になっちゃったの?
A.生徒数の減少。わたしちゃんの入学時は生徒数は88人だったが、卒業時は十数人にまで減っていた。学舎は通常5~6歳で入学するが、このとき最年少の生徒は12歳。つまり5年以上新入生がいなかったことになる。あの世界に子供がもういないわけではないが、親が高等教育に価値を見出していないということ。人類はそれだけ衰退しているのである。
Q.コメントで出てくる「つい消滅」って何?
A.物質と反物質の反応…とは全く関係なく、妖精さんは伝承や神話の中に消えることができる。これが「つい消滅」。記憶も神話の一種とみなされる。原作では、学舎で遭遇したあの妖精さんが「つい消滅」によってわたしちゃんの中に溶け込んだ。
Q.卒業時にわたしちゃんがRYOBOを誘うシーンで原作厨がなんかうるさいんだけど?
A.アニメではRYOBOはそのシーンでもテンプレ返答しか返さないが、原作では「その後、ご学友はできましたか?」「妖精の加護がありますように」と返し、わたしちゃんを驚かせる。わたしちゃんが孤立していた入学初期に、RYOBOに話しかけていたことに対応するシーンなのだが、「妖精のお茶会」がRYOBOの中で行われていた描写が削除された影響によりアニメではカットされてしまったのだろう。そのため原作ファンからの不満が噴出した。
Q.あの妖精さんは結局何をしてくれたの?
A.原作とアニメとで解釈が異なる可能性がある。
原作では「つい消滅」によりわたしちゃんの意識に溶け込んで、孤独感を打ち消しわたしちゃんに少しの自信を与えた。この妖精さんは見えなくなり記憶からも消えてしまったが、文字通りずっとわたしちゃんと一緒にいた事になる。原作には現在のわたしちゃんの部屋に住み着いた妖精さんたちが「ちょうないかいりょこう」に旅立つ描写があるのだが、その行き先はわたしちゃんの記憶。妖精さんがそこに一人でもいれば他の妖精さんが遊びに行く事ができるため、私ちゃんの中の妖精さんを訪ねることでわたしちゃんの過去を観光することができた。「おひとりさま」だった妖精さんも、わたしちゃんの意識に住み着くことで他の妖精さんが訪ねてくるようになったため、賑やかに楽しく生活していたのだろう。Win-Winの関係である。
最後のシーンで、わたしちゃんは夢の中であの妖精さんと会い、ずっと一緒にいてくれていたことを知る。もっとも、目覚めれば全て忘れてしまうのだが…
アニメでは緑の妖精さんはRYOBOに住み着き、卒業までずっとわたしちゃんを見守っていたことになる。
しかしこの場合、RYOBOに移住する必要が特にない(元からずっとわたしちゃんの側にいたので)、わたしちゃんの妖精さんに関する記憶が消えた理由が説明できない、わたしちゃんが卒業してからYがRYOBOを持って訪ねてくるまでは離れ離れだったということになり「ずっと一緒だった」というセリフに矛盾が生じる、等の疑問点が残る。
Q.「妖精のお茶会」って結局何?
A.これも原作とアニメとで解釈が異なる可能性がある。
原作では、RYOBO230rのメモリ内に「つい消滅」した妖精さんたちによりお茶会が開かれていた。RYOBOが妙な知性を持ってしまったのもその影響だと思われる。隠し部屋に安置された同型機たちも同じように妖精さんたちのお茶会の会場だったものの、「ごりんじゅう」で動かなくなってしまったのであろう。
また、わたしちゃんや他人の頭の中でも互いに行き来して活発に「お茶会」が開かれていたようである。「せんきゃくばんらいですからー」
アニメ版は「つい消滅」自体の説明も描写もないため、結局「妖精のお茶会」なるものは伝説上の代物で、のばら会の活動目的(「妖精のお茶会の究明」に名を借りたレクリエーション活動)以上の意味は無さそう。
最後のわたしちゃんの夢も文字通り夢で、「せんきゃくばんらいですからー」のセリフも特に意味を持たない、ということになる。
ちゃんねる
どうが
らいぶ
ぶっく
げんさく(にゅーたいぷ/むかしながら)
イラスト担当が刊行途中で変更されたため、戸部版(新装版)と山崎版(旧版)がある。7巻以降は戸部版のみ。
アニメ版は基本的に新装版に準拠している。
1巻
2巻
3巻
4巻
5巻
6巻
7巻
- 『妖精さんたちの、ちいさながっこう』
- 『人類流の、さえたやりかた』
8巻
- 『妖精さんたちの、ゆめであえたら』
9巻
短編集(平常運転)
- 『はたらく妖精さんたちの、べんちゃーびじねす』他
まんが
3度のコミカライズが行われている。
えんばん
えいぞう
BD・DVDの各巻タイトルには巻数が振られておらず、エピソードの題名をタイトルとしている。各巻2話収録、全6巻。
映像特典として、『人間さんの、じゃくにくきょうしょく』が6つに分けられて各巻に収録されている(BD・DVDオリジナル)。同じく各巻の特典である原作者による短編小説では、本編完結後の「わたし」の話が語られている。
おと
かんれんあーてぃくる
りんく
- 49
- 0pt