宇宙海賊ミトの大冒険とは、天野原町を舞台として宇宙規模の騒動が発生し、母子の絆が描かれるSFアニメである。
第2期『宇宙海賊ミトの大冒険 2人の女王様』の内容についても扱う。
概要
1999年に放映された渡部高志監督によるSFアニメというかSFテレビまんがと言った方がしっくりくるかも。深夜アニメではあるものの、母子の絆が中心に据えられているなど夕方放映の子供向けアニメと言われても違和感の無い作風を持っている(ただしドラマCDなどでは深夜アニメらしい濃ゆいネタも多く含まれている)。二期として『宇宙海賊ミトの大冒険 2人の女王様』も制作された。
ストーリーは一言で言うなら人情味溢れる町内SFコメディであり、基本的に舞台となる田舎町、天野原町の中で進行する。しかしそれでも宇宙レベルの危機を解決したり、人情ドラマがあったり、名作SFのパロディー(スペースコロニーの住人が新人類を名乗って独立戦争を仕掛けてくる等)があったりなど盛り沢山である。
デフォルメの効いたデザインなど全体的にコミカルな仕上がりではあるが、内容としては結構ハードであり、ハードSFちっくな用語が飛び出したり隠喩とはいえ残酷なシーンがあったりと、その絵柄やノリの割に内容が濃厚で結構侮れない。
また、80~90年代にかけて細かくなりすぎた絵を簡略化しようという動きの見て取れる、萌え絵とは一線を画したデフォルメの成された独特なキャラデザや、主演の川上とも子以下、笠原留美、南央美 千葉千恵巳、小西寛子といった当時の第一線級&売れ線の声優で主要どころのみならず脇役まで固められていたりと、制作サイドの力の入りようも見て取れる(「質感の違いから浮いちゃっているあからさまな3DCG」や「作画に韓国人名がズラズラ並んだり」と言った、この時期の深夜アニメならではの特徴も見受けられるが)。記事執筆者としてはとりあえず見てみて欲しいと言いたい。
作中で舞台となっている天野原町は栃木県塩谷郡喜連川町(合併後はさくら市)と神奈川県小田原市が主要なモデルとなっており、特に喜連川町についてはさくら市となった現在でも市の公式HPから本作の舞台となった場所を紹介しているサイトにリンクが張られてる。今で言うところの聖地のはしりと言えるかもしれない。 近年のアニメではスタンダードになりつつある分割2クールを日本で初めて取り入れた、アニメ制作事業の時代を先取りした作品でもある。
主な登場人物
- ミト/光国美都(CV:川上とも子)
宇宙海賊のキャプテンであり、葵の母親。表向きはスーパーモデルという事になっている。その正体は銀河星王家の王女(宇宙人)。普段はメイルスーツという着ぐるみで大人の姿をしているが、種族的にネオテニーであるため本当は小学生位の外見である。でも12010歳(続編では12011歳)の未亡人。あと眼鏡っ子。宇宙戦艦「中納言」と高速連絡艇「少納言」を駆る。 - 光国葵(CV:保志総一朗)
ミトの息子。宇宙人と地球人のハーフでもあるが、天野原で普通の中学生として暮らしていた。『伝家の砲塔』と呼ばれる超兵器の鍵を握るとされ、銀河パトロールに狙われるようになる。とある事情から第一期終盤以降女の子になってしまうものの中の人はそのまま。 - 双房(CV:玉川紗己子)
ミトの母親で葵の祖母。かつての銀河星王家の1259代女王で、死後魂を三種の神器の一つでアダムスキー型UFOの様な形状である「鏡」の最後の一つに移してミト達を見守っている。
第2期の終盤で鏡の力を使用した際にホログラムで生前の姿を見せるが、ミトやランバンとは異なりネオテニーでは無く、薄紫色の髪色の成人女性の姿であった。 - ランバン/爛磐(CV:笠原留美/堀秀行)
星王家に代わって銀河を支配する銀河パトロールの局長。銀河星王家の持つ『伝家の砲塔』を狙い、ミトを追い求める球状の漆黒の仮面とマントの人物。両性具有であり男声と女声を自由に使えることもあって、男の姿(仮面姿)と女の姿(メイルスーツ姿)を使い分ける。 - 年賀睦月(CV:柊美冬)
本作のヒロイン。銀河パトロール所属。ミトをおびき出す潜入調査のため葵のクラスメートとなる。窒素呼吸生物である彼女は、本来予防接種が必要な惑星である地球に降り立つ際に予防接種を受け忘れたことから、地球のキノコと相性が良すぎて気を抜くと頭にキノコが生えまくる。
第2期においては、葵の正式なフィアンセ兼女王警護役となるも陽怒によってとんでもないことに・・・・。 - 年賀正月(CV:小林由美子)
睦月の弟であり父の汚名を晴らすために手柄を立てることに躍起になっている少年。「ミトの息子の探索」という任務を命じられた際に、探索だけでそれ以上の行動を禁止されていたにもかかわらず、ミトの直接捕縛に拘り、姉を葵たちの学校に送り込んで葵を人質にミトを捉えようとしていた。
「改造くん」という専用アイテムを持ち、ソレを地球のメカに寄生させて作り出した戦闘メカでのバトルが中盤までの定番であった。
基本的には単なるシスコン弟であり、親バカなミトと共に、葵と睦月の恋のお邪魔虫的立場にあった。
第2期では姉と共に女王警護役を務めており、「改造ちゃん」というアイテムを使用するが、相変わらず弱い。 - 陽怒(ひかり)(CV:小西寛子)
第2期より登場。混血の女王である葵を疎んだ神官達の儀式によって突如目覚め復活した銀河星王家初代女王。銀河星王家1260代女王となった葵の前にその強大な力を持って立ちはだかる。その目的の為にかつて宇宙創造のために使用した三種の神器の回収を目指す。
宇宙の創造者たる絶対存在であるが故に気まぐれかつ我が儘な性格をしており、神官達の求めに応じて葵たちにちょっかいを出すのも元々は気まぐれから。ギャル言葉めいた言葉遣いが特徴的。
ちなみに本来の姿はむちゃくちゃ巨大だが人間サイズになることも出来る。そもそもが宇宙の創造神とでもいうべき存在なので、無茶苦茶強大な存在である。
用語
- 銀河星王家
宇宙を創造した高位存在である陽怒を初代とする宇宙を統治する政体。宇宙開闢から続く王朝。
王家の人間は数万年もの寿命を持ち、肉体構造や組成の異なるいかなる生物とでも子孫を残すことが可能。
幼少期~成人(1万歳)までの間、性別が不安定であり、男にも女にもなれるが、成人して尚性別が確定していない場合は、風習に従って王位継承権が剥奪される。 - 銀河パトロール
ランバンが宇宙統治のために作り上げた銀河星王家に代わる宇宙統治機構。
2千年ほどの歴史を持ち、銀河星王家の残党を海賊と呼び習わし、激しく対立している。
構成員はエリートである上級職員とその手足として活動する下級職員から成る。 - 伝家の砲塔
一言で言えば三種の神器の一つである「剣」であり、銀河最強の力。
使用には「印籠」が必要でアリ、ランバンはコレを求めていた。 - 三種の神器
力たる「剣」肉体たる「鏡」魂たる「勾玉」の3つからなり、陽怒が宇宙創造以前に一番最初に作り出した物。
「剣」は後に改造されて儀式船「大納言」に改造されており、少納言は「剣」としての「目釘」に相当する。
「鏡」は大量に存在したが、現在では双房の使用している物しか残っていない。
「勾玉」は「陽怒珠」と「陰珠」の二つが存在しており、前者は他の2つと共に初代女王復活の儀式のためのアイテムである。
関連動画
関連項目
外部リンク
銀河の首都天野原町観光案内 https://www.studio-tokito.com/tokito/amanohara/
- 2
- 0pt