講談社ノベルスとは、講談社が発行する新書サイズの小説レーベル。主に推理小説を刊行する。
概要
1982年に創刊。1987年の綾辻行人のデビューを皮切りに、歌野晶午、法月綸太郎、我孫子武丸、西澤保彦らを送り出し、「新本格」という用語を生み出して本格推理小説の再興に寄与した、新本格の総本山。
また京極夏彦のデビューをきっかけにメフィスト賞を創設し、森博嗣、清涼院流水、乾くるみ、浦賀和宏、殊能将之、古処誠二、舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新、北山猛邦、辻村深月、古野まほろ、深水黎一郎、早坂吝、井上真偽など一癖も二癖もある作家を多数発掘した。
担当しているのは講談社文芸図書第三出版部、通称「文三」。雑誌「メフィスト」を編集しているのもここで、メフィスト賞受賞作は講談社ノベルスから出ることが多い。文庫レーベルの講談社タイガは兄弟レーベルという位置づけ。
作品は推理小説が多いが、ライトノベル的なファンタジーや、伝奇小説なども出る。内田康夫や西村京太郎のトラベルミステリーが紛れ込むこともあるが、基本的には若者向けのレーベルで、ライトノベルと一般文芸の中間層あたりが主な読者層。西尾維新のデビューあたりから明らかに装丁などがライトノベル寄りの作品が多くなった。書き下ろしが多いが、ハードカバーで出た作品が文庫化の前にノベルス化されることもある。
2013年ぐらいまでは年間40~60冊程度が刊行されていたが、その後じわじわと刊行数が減っていき、2017年からは新刊の出ない月も珍しくなくなった。
ノベルスという判型自体が既に架空戦記以外ではほぼ滅亡寸前で、講談社ノベルスはミステリー系ノベルスの事実上最後の砦として踏ん張っていたものの、世の流れには抗えず刊行数は減少を続け、現在は他社のノベルスと同様、一部のシリーズ作の新刊のためだけに存続しているに等しい状況である。
大百科に記事のある講談社ノベルス刊行作品
- 宇宙海兵隊ギガース(今野敏)
- 神様ゲーム(麻耶雄嵩) ※初刊はミステリーランド
- 空の境界(奈須きのこ) ※初刊は同人誌
- QED(高田崇史)
- 虚構推理 鋼人七瀬(城平京) ※続刊は講談社タイガ
- コズミック 世紀末探偵神話(清涼院流水)
- 戯言シリーズ(西尾維新)
- 地獄堂霊界通信(香月日輪) ※初刊はポプラ社
- 十角館の殺人(綾辻行人)
- 新世界より(貴志祐介) ※初刊は講談社単行本
- 新本格魔法少女りすか(西尾維新)
- 世界シリーズ(西尾維新)
- 戦地調停士シリーズ(上遠野浩平)
- タイタニア(田中芳樹) ※3巻までの初刊はトクマ・ノベルズ
- 伝説シリーズ(西尾維新)
- 夏と冬の奏鳴曲(麻耶雄嵩)
- 七回死んだ男(西澤保彦)
- 人間シリーズ(西尾維新)
- 百器徒然袋(京極夏彦)
- 百鬼夜行シリーズ(京極夏彦)
- フェンネル大陸シリーズ(高里椎奈)
- 薬師寺涼子の怪奇事件簿(田中芳樹) ※カッパ・ノベルス、ノン・ノベルでも刊行
講談社ノベルスで活動する主な作家
大百科に記事のある作家のみ。現在は講談社ノベルスで書いていない作家も含む。
- 浅暮三文 (殺しも鯖もMで始まる、ほか)
- 綾辻行人 (館シリーズ)
- 有栖川有栖 (国名シリーズ)
- 乾くるみ (Jの神話、匣の中、ほか) ※他社移籍
- 歌野晶午 (長い家の殺人、密室殺人ゲームシリーズほか)
- 浦賀和宏 (安藤直樹シリーズ、松浦純菜シリーズ)
- 上遠野浩平 (事件シリーズ)
- 北山猛邦 (城シリーズ)
- 京極夏彦 (百鬼夜行シリーズ)
- 黒田研二 (ウェディング・ドレス、ほか)
- 古処誠二 (UNKNOWN、ほか) ※他社移籍
- 今野敏 (ST 警視庁科学特捜班、宇宙海兵隊ギガース、ほか)
- 佐藤友哉 (鏡家サーガ)
- 島田荘司 (御手洗潔シリーズ)
- 殊能将之 (ハサミ男、石動戯作シリーズ)
- 清涼院流水 (JDCシリーズ)
- 田中芳樹 (創竜伝ほか)
- 辻村深月 (冷たい校舎の時は止まる、凍りのくじら、ぼくのメジャースプーン、ほか)
- 西尾維新 (戯言シリーズ、人間シリーズ、新本格魔法少女りすか、ほか)
- 法月綸太郎 (法月綸太郎シリーズ)
- 早坂吝 (援交探偵・上木らいちシリーズ)
- 東野圭吾 (どちらかが彼女を殺した、十字屋敷のピエロ、ほか) ※現在は書いていない
- 深水黎一郎 (ウルチモ・トルッコ、芸術探偵シリーズ)
- 古野まほろ (天帝シリーズ、探偵小説シリーズ) ※他社移籍
- 舞城王太郎 (奈津川家サーガほか)
- 麻耶雄嵩 (翼ある闇、夏と冬の奏鳴曲ほか)
- 汀こるもの (THANATOSシリーズ)
- 森博嗣 (S&Mシリーズ、Vシリーズ他多数)
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 3
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