浅暮三文(あさぐれ みつふみ)とは、日本の実験小説家。愛称は「グレさん」。
代表作に『ダブ(エ)ストン街道』『石の中の蜘蛛』『似非エルサレム記』『10センチの空』、そして『実験小説 ぬ』など。
概要
元コピーライターで、デビュー前はコピーライターとして十数回の広告賞を受賞している。現在は専業作家(?)。ペンネームの由来は「早起きは三文の徳」から。
第8回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作の『ダブ(エ)ストン街道』で、第8回メフィスト賞を受賞し98年にデビュー。メタフィクション的なファンタジーで、メフィスト賞受賞作としては初めてハードカバーで出版された。が、部数が少なく売れなかったため間もなく品切れとなり、2003年に文庫化されるまでは「メフィスト賞で最も入手困難な作品」と言われていた。ちなみに文庫版も現在は品切れ中である。
徳間デュアル文庫で『夜聖の少年』というライトノベルを書いたりしつつ、「嗅覚」ネタの『カニスの血を嗣ぐ』、「視覚」ネタの『左眼を忘れた男』と「五感」を題材にした作品を続けて発表。「聴覚」ネタの『石の中の蜘蛛』で第56回日本推理作家協会賞を受賞するが、授賞式では「これからも、バーセルミやスラデック(どちらも奇想小説家)のような小説を書いていきたいと思います」とスピーチ、審査員には全く通じなかったらしい。なお五感シリーズはその後、『針』(触覚)、『錆びたブルー』(第六感)、『ポルトガルの四月』(味覚)と刊行されている。
ほか、ミステリー、クライムノベル、青春ファンタジーなどを執筆しているが、基本的には『似非エルサレム記』や『実験小説 ぬ』のような奇想小説が本業である。浅暮作品としては驚くほど真っ当な青春ファンタジーである『10センチの空』は2006年に中学校の国語の教科書に採用されたりしているが、基本的には売れていないようで、作品は『ダブ(エ)ストン街道』、『石の中の蜘蛛』、『10センチの空』、『クリスマスにさようなら』しか文庫化されていない。他の文庫は全て文庫オリジナル作品。
2011年の『やや野球ども』以降しばらく沈黙していたが、2015年にまさかの文庫書き下ろし警察小説で復活。集英社文庫、光文社文庫、徳間文庫、新潮文庫など複数の出版社から警察小説を刊行しているが、『百匹の踊る猫』から『誘拐犯はカラスが知っている』までの全作品に「ハシゲン」こと土橋刑事が登場しており、同一世界観で展開されている(集英社文庫の『困った死体』シリーズには土橋刑事は出てこない)。
作品リスト
- ダブ(エ)ストン街道 (1998年、講談社→2003年、講談社文庫)
- カニスの血を嗣ぐ (1999年、講談社ノベルス)
- 夜聖の少年 (2000年、徳間デュアル文庫)
- 左眼を忘れた男 (2002年、講談社ノベルス)
- 石の中の蜘蛛 (2002年、集英社→2005年、集英社文庫)
- 殺しも鯖もMで始まる (2002年、講談社ノベルス)
- 似非エルサレム記 (2003年、集英社)
- 10センチの空 (2003年、徳間書店→2010年、徳間文庫)
- 針 (2004年、ハヤカワSFシリーズJコレクション)
- ラストホープ (2004年、創元推理文庫)
- 嘘猫 (2004年、光文社文庫)
- 悪夢はダブルでやってくる (2005年、小学館)
- 実験小説 ぬ (2005年、光文社文庫)
- 錆びたブルー (2006年、角川春樹事務所)
- ペートリ・ハイル! あるいは妻を騙して釣りに行く方法 (2006年、牧野出版) - エッセイ
- ポケットは犯罪のために 武蔵野クライムスト-リ- (2006年、講談社ノベルス)
- 異人類白書 (2007年、ポプラ社)
- 夜を買いましょう (2007年、集英社文庫)
- クリスマスにさようなら (2007年、徳間書店→2010年、徳間文庫)
- 広告放浪記 (2008年、ポプラ社)
- ぽんこつ喜劇 (2008年、光文社)
- ポルトガルの四月 (2009年、早川書房)
- 再びラストホープ パリと悪党たち (2010年、創元推理文庫)
- 五感集 (2010年、講談社)
- やや野球ども (2011年、角川書店)
- 百匹の踊る猫 刑事課・亜坂誠 事件ファイル001 (2015年、集英社文庫)
- セブン 秋葉原から消えた少女 (2016年、光文社文庫)
- 無敵犯 刑事課・亜坂誠 事件ファイル101 (2016年、集英社文庫)
- セブン opus2 古い街の密かな死 (2017年、光文社文庫)
- ロック、そして銃弾 私立警官・音場良 (2017年、徳間文庫)
- 誘拐犯はカラスが知っている 天才動物行動学者 白井旗男 (2018年、新潮文庫)
- 困った死体 (2018年、集英社文庫)
- おつまミステリー (2019年、柏書房) - エッセイ
- 困った死体は瞑らない (2020年、集英社文庫)
- 七転びなのに八起きできるわけ (2021年、柏書房) - エッセイ
- 我が尻よ、高らかに謳え、愛の唄を (2022年、河出文庫)
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関連項目
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