『コミックボンボン』とは、少年少女を狙ったはずだが、かなり狙ったところから外れた偉大な雑誌である。
概要
講談社が1981年から2007年まで発行していた小学生向け月刊漫画雑誌である。愛称は『ボンボン』。当時のライバル誌『コロコロコミック』と同様、主にゲームメーカーや玩具メーカーとのタイアップ作品を中心とした雑誌構成が特徴。『コロコロ』が藤子プロや任天堂、スクウェア等人気作家や人気企業を独占していたのに対し、『ボンボン』ではBANDAIのガンダムシリーズをはじめ、アトラス、SNK、KONAMI、ハドソン等、コロコロから漏れたような企業の作品とタイアップしていた事が特徴。
ただしその内容は、あからさまに小学生向けではないものも多かったりする、独特の『コミックボンボン臭』を持つものが多かった。
ガンダムとのタイアップ先として有名な雑誌ではあるが、かつてはマリオやミニ四駆も連載していた時期があり、1990年代前半頃には『コロコロ』に売り上げ部数で肉薄した。これはタイアップ先に恵まれていた情勢に加え、オリジナルの掲載作でも「Oh!MYコンブ」等がヒットしたことで売り上げが伸びたことか大きい(このときに生まれたのが「キュウリにハチミツをかけるとメロン味」の法則である)。
しかし『コロコロ』は、「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」でミニ四駆再ブームを再燃させ、更に当時の小学生の必需品とまで揶揄された「ポケットモンスター」の社会現象を独占し再び人気を引き離した。その上、マリオ、ミニ四駆、90年代末期にはロックマン等、『ボンボン』でも掲載していた人気作のタイアップを次々と独占していった。
一方で『ボンボン』は同時期に「おきらく忍伝ハンゾー」や「王ドロボウJING」などの人気作品を次々に打ち切ってしまった上、90年代後半になると頼みのガンダムシリーズも停滞期になりつつあった。それでも、ポストポケモン作品とタイアップして「メダロット」「新女神転生デビルチルドレン」「ロボットポンコッツ」等は一定の評価を得ていたり、「サイボーグクロちゃん」等僅かにオリジナルのヒット作も生み出すことが出来た為に、何とか看板作品を立てて一定層を維持することは出来た。
また「コミックボンボンスーパーキャラクターフェスティバル(東京池袋サンシャイン会館)」のようなイベントもこの頃までは毎年開催することが出来ており、ゲーム大会やサイン会のほか「クラッシュギア」の大会が催されるなど、かつての勢いこそ完全に失ったものの、00年代初頭までは辛うじて勢いが保たれていたと言える。
しかし一方で00年代に入ると、編集部は「∀ガンダム」のセールスが宜しくなかった影響か、前述のロックマンのみならず、なんと独占タイトルで主力だったはずのガンダムにまでとうとう見切りをつけてしまい、平成ガンダムの主力作家だったときた洸一が角川の『ガンダムエース』に移籍するという事態に発展。そして2002年に「機動戦士ガンダムSEED」が好調なセールスを記録し、ときたがコミカライズした派生作品まで盛り上がっていた当時、ボンボン側は全く波に乗ることができず、慌てて高山瑞穂を担ぎ出しコミカライズに出遅れる事態に発展した。この頃になると「メダロット」「クロちゃん」も終了し始め、SDガンダムはあずま勇輝と一式まさとらの連載が辛うじて続いた。
こうした失態からガンダムシリーズと疎遠になり始め人気だった看板作品も急速に失い、辛うじて保っていた勢いが一気に失速。前述の「SEED」の反省から2004年の「SDガンダムフォース」の放送開始時は、一転してTVCMまで流すなどかなりのタイアップを組んだものの、この作品も商業的には不振で結果的に不発に終わるという不運にも見舞われる。
そして2005年下半期以降はとうとうこれまでの作家を大量解雇し「ネギま!」を始めとしたマガジン出身の作家が大量に流入、看板作品は「デルトラクエスト」「ゲゲゲの鬼太郎」など、素人目に見ても最早迷走としか思えないような方向へ変化していき、遂に2007年に休刊となった。
その後、復活ボンボンシリーズにていくつかの作品が復刊。書き下ろしを掲載しているものもある。これが見たかったと思った読者は今すぐチェック。
読者層のカースト
コロコロとは対になる掲載作が多く、読者層もどことなくひねくれており
というカーストが小学生の時分から存在したとかしないとか。
藤異秀明「ボンボンなんか読んでたからそんな歪んだ性癖になっちまったんだよ!」
昭和末期~平成初頭まではコロコロとタイアップ先を共有していた企業もあったのだが、編集部の方針により1994年頃からは掲載作品の差別化が特に顕著になっていったことも起因しているとされる。
カオスな誌面
幼年誌で特集する映画は普通年齢相応のものであるのに、ボンボンではなぜか「エイリアン」、「プレデター」など大人向きでしかもマニア向きな映画を特集していた。
エヴァンゲリオンの放映が始まってすぐにエヴァ特集を組み、各話の紹介したり、明らかに高年齢向けのOVA作品を広告欄を出していたりするなど、対象年齢は一体何歳なのかと言わんばかりのことをやっていた。
また当時では珍しいスパロボのタイアップ漫画が掲載されていたこともあるが、いろいろとカオスだった。
『シナリオ追従のストーリーかと思ったら、最初の数話で終わる』、『その後に掲載された短編が一般人の子供が見たスパロボ世界での戦争』、『同時に連載されていた短編(4コマ)漫画の謎のガンタンク推し』…(ry。
コロコロコミックでポケモンが大流行した後にはポストポケモン作品を連発したり、明らかにコロコロを後追いしたおもちゃを特集したりと、タイアップの露骨さが目立ったことも有名。
パテなどで
ボンボンを代表するフレーズ。
幼年誌で子供に無理なことを勧めるときは『大人にやってもらおう』と書くのが普通である。
ところがボンボンではこうしたことは一切書かない。
ガンプラの継ぎ目消しやフルスクラッチで1から作る…など小学生には不可能な改造でも『パテなどでやってしまおう』と一言で済ましてしまう。できた小学生いるんですかね…
掲載漫画の特徴
『コロコロ』が良くも悪くも王道の幼年誌として多くの読者を獲得したのと比べ、斜め上な方向に突き進んだ漫画を多数出している。
代表的なのはボンガロの名で親しまれる「ボンボン版餓狼伝説」や、「ボンボン版Vガンダム」だろうか。
途中で打ち切ることが多く、最終巻が出ない漫画が多い。途中で打ち切ったために未収録回が存在し、「ロボットポンコッツ豪!」等、20年近く経ってからようやく復刻版で未収録回を収録した漫画もある。そもそも出荷数が少なかったので、入手が困難だったものもあり、現在ではプレミア価格が付いているものもある。
ただ、単に『濃い』『エッチ』というだけではなく、ストーリーや画力がしっかりしていた漫画家も多く、ハードな展開はしっかり大迫力で描かれるものもあるなど熱烈なファンが付いている作品も多く存在する。こうしたファンの働きかけにより、偶に漫画が復刊されることがあるので、アマゾン等で探してみると懐かしい作品に出会えるかもしれない。
青年誌でやれよ
題材は小学生向きなのに、内容は明らかに中学生以上の年齢層を対象にした漫画が多かった。
ハードすぎる内容でオイル血が飛び交うロックマンX、「その腕がもがれようとも(物理)、大切な人を取り戻したい!!」というキャッチコピーが新装版の帯で付いた真・女神転生 デビルチルドレン。E・本田の腕が飛び、ガイルの胸が貫かれるなどグロ描写多数のストⅡV列伝…と挙げだしたらキリがない程である。
王ドロボウJingに至っては初期は幼年誌に合った画風だったのに、次第に絵画のような画風に変化。更には女性キャラを全裸にする、小学生にはわからないであろう名作映画や絵画のネタを漫画内で使う、幼年誌なのに同人誌を募集したりと作者の趣味全開であった。
漫画内の台詞に関してもいろいろと『凄い』ものが多く、今でもネタにされている。
以下例
①「命乞いの台詞はもっと下手に出るものだぞ若造!」
②「ピアノ・・・というものらしいな。 音の組み合わせ次第で芸術と呼び称賛するらしいな。
だが芸術と言う観念は絶対的多数の中にしか自分を見出せない者の戯言だ。
己に自信を持つ者はそんな戯言に惑わされる事は無い。 この俺が・・・そうである様にな。」
③「平和を乱す者には消えてもらう。」
④「女子柔道のYAWARAちゃんはKAWARAちゃんと改名しなければ国外追放。」
性癖開拓
巨(超)乳、触手、悪落ち、リョナ…(ryがある漫画が多く、目覚めてしまった人が多い。
獣化した上に悪墜ちまでした義理の妹、金髪縦ロールで露出過多な服装をしたおばさんお姉さん…と時代を先取りしすぎたキャラもいた。
コミックボンボンの話題では必ず『ボンボンのせいで特殊性癖に目覚めたまま、今に至ってしまった…orz』と言う人がいる。ネット界隈で確実に話題になる超乳についてはこの作者が原因。
大百科に記事のある作品(五十音順)
カッコ内は作者名。記事が出来次第、順次追加していってください。
関連動画
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関連項目
外部リンク
- コミックボンボン togetter - 主に作家同窓会など
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