雷電Ⅴとは、2016年2月25日にMOSSによって制作・リリースされた縦スクロールシューティングゲーム。雷電シリーズでは初の家庭用オリジナル作品となる。対応ハードはXbox One。
2017年9月14日に、新要素を追加した『雷電Ⅴ Director's Cut』(以下「DC」)がPS4ソフトとして発売された。
2017年10月11日にはDCのSteam版(日本語未対応)が発売。
概要
前作Ⅳから9年振りとなる作品。シリーズ25周年記念作として発売された。
これまではRFシリーズも含めて、ACからリリースされてきた雷電であるが、本作は初めて家庭用ゲーム機からのリリースとなる。
ⅠからⅣまではシンプルな縦STGとして作風がほぼ同じであったが、本作はこれまでとは大きく内容が変化している。主な特徴として、家庭向けに特化した難易度・システムになったこと、明確なストーリーが用意され、キャラクターも登場すること、そして、ネットワーク機能を活用した「チアーシステム」が採用されたことなどが挙げられる。
ストーリー
AC2080年、地球に流星群が降り注ぎ、クリスタルによって各国軍事施設の兵器が暴走する事件が発生。
この現象はクリスタル汚染と命名される。
自体を深刻視した国際連合はクリスタル討伐を目的とした国際保護防衛軍をAC2086年に設立。
さらに、クリスタルに対抗するためのファイティングサンダー計画がAC2089年に策定、各国によって新型戦闘機ファイティングサンダーが開発され、多大な成果を出す。
その後、ファイティングサンダー運用部隊としてV・C・D(対クリスタル浄化部隊)が組織される。
人類とクリスタルの戦いが始まってから17年が経過したAC2097年、防衛軍の新型巨大飛行艦が汚染される事態が発生。
V・C・D母艦ベルウェザーとファイティングサンダーに巨大兵器殲滅作戦が伝えられ、対クリスタル戦争は新たな局面を迎える。
ゲームシステム
ゲームモード
ストーリーモード
全8面1周構成のメインモード。難易度は6段階から選択可能。1Pプレイのみ(DCでは2Pプレイ可能)。
1つの面が3パートとボス戦に分かれており、それぞれのパート終了時にリザルトが表示される。
ゲーム中は作中の登場人物の会話が表示され、進行状況に応じて物語・会話が進んでいく。
マルチエンディングが採用されている他、特定条件を満たすと真ボスが出現する。
DCでは、ミッションステージ(3,6面クリア後の計2面)が追加された。内容はボーナスステージと言うべきもの。
被弾してもシールドが減らない条件下で、ボスに対してひたすら攻撃を当てて勲章を稼ぐ。成績内容に応じて、ボンバー、フェアリーが支給され、シールドが回復する。
クリアまでの所要時間はSTGとしてはかなり長く、およそ1時間。
ボスミッション
本作登場ボスと様々な条件下で対戦する。変化する条件は難易度、機体、武器、シールド、ボスHP、制限時間など多岐に亘る。
自機
3機のファイティングサンダーを使用可能。
どの機体もメインショットは共通だが、耐久力、移動速度、サブウェポンが異なっている。また、サブウェポンは各機体で固定だがパワーアップは存在せず、常に過去作で言うフルパワーアップの状態となっている。
本作は一般的な残機制ではなく、体力制を採用している。シールド残量がパーセンテージで表示され、ダメージを受けると一定量減少する。これが全てなくなるとゲームオーバー。被弾時のパワーダウンは存在せず、ボンバー抱え落ちはコンティニューした時のみ発生する。シールドの回復は、ステージクリアやフェアリーの回収によって可能。
設定上、最初に開発されたファイティングサンダーとしてロシア機が存在するが、本編中には登場しない。
また、各国1機のみしか保有していないが、8面では複数のファイティングサンダーが出撃している描写がある。
FT-00004A アズマ
日本所属。汎用的運用を想定して開発された。
外見は過去作のファイティングサンダーとほぼ同じであり、本作の主役機でもある。
バランスの取れた性能を持ち、耐久力、移動速度は中間。
サブウェポンはホーミングロケット。過去作のホーミングミサイル(H)と同様であり、低威力だが敵に対して誘導性能を持ち、素早い攻撃ができる。
サブウェポンによって防御性能が高く、道中においては安定した攻略が可能。
これと言った欠点もないため、ストーリーモードでは攻略重視でも稼ぎ重視でも活躍する。
FT-00002C スピリッツ・オブ・ドラゴン
アメリカ所属。高い攻撃力と、機動性の低さを補う頑丈な装甲を持つ。
ビックバイパーのように2本に突き出た部位が大きな特徴。
パワー寄り機体であり、耐久力が高く、移動速度が低い。
サブウェポンはオウルミサイル。過去作のニュークリアミサイル(M)と同様であり、前方しか攻撃できないが、威力が非常に高い。
ボス戦において真価を発揮する性能を有しており、ボスミッションでは機体制限がなければこの機体一択となる。
サブウェポンに敵を自動攻撃する機能がないため、他の機体以上に立ち回りを考える必要がある。
FT-00003B ムーラン・ルージュ
フランス所属。攻撃力と引き換えに優れた機動性を持つ。
前進翼を持ち、シリーズで言えばRFJのイクシオンのような外見。
スピード寄り機体であり、耐久力が低く、移動速度が高い。
サブウェポンはチェイスレーザー。最も近くにいる敵に向かって高速で発射される。貫通性能を持ち、大型の敵に連続ヒットする他、その向こう側にいる敵に対しても攻撃可能。
素早く快適な操作性を持ち、最もアドリブ力が高い機体と言える。
耐久力に余裕がなく、性能を活かすには高い弾避け技術が求められるため上級者向け。
メインショット
初期バージョンでは6種類、アップデートによって9種類まで増加した(DCでは最初から9種類)。
開始前に赤、青、紫のショットの種類を1種類ずつ選択。最初に装備する色の選択も可能。
ショットレベルは最大10段階。過去作ではショットレベルは共通だったが、本作では3色それぞれが独自のパワーアップゲージを有しており、1種類ずつしかパワーアップできない。このため、3色全て最大レベルにさせる場合はバランスよくパワーアップしていかないと苦戦の要因になる。一方で、使用するのを2色以下にして、早い段階で最大レベルにするという攻略法もある。
赤(バルカン)
ワイドバルカン
過去作に登場したものと同様のバルカン。扇状に広範囲攻撃する。
常時広範囲をカバーするため、様々な方向から出現してくる敵に先手を打ちやすく、道中で活躍する。接近して全弾撃ち込むことで高い威力を発揮するため、中型の敵に対しても有効。離れれば威力が大きく下がるため、接近を簡単に許してくれないボス戦には不向き。
道中で強いのは過去作と変わらないが、スイングバルカンがほぼ上位互換的な活躍をするため、相対的には弱体化している。また、ボス戦では運用が難しいため、1色縛りにも向かない。道中専用武器にして、ボス戦では他の色と使い分ければそれなりの性能。
スイングバルカン
左右移動で発射方向の変更が可能なバルカン。
ワイドバルカンより狭い代わりに集中的な攻撃が可能であり、離れても威力が低下しにくい。道中では左右への薙ぎ払いで十分に広い範囲を攻撃でき、ボス戦では極端に接近しなくても高い威力を発揮できる。
本作において最も汎用性が高く、最強と言っても過言ではないショット。
元々の威力が高く、離れていても並みのレーザーを超えるほど。加えてバルカンならではの広範囲攻撃もでき、操作も難しくはないため、お手軽強武器と化している。1色縛りであっても、これだけで本作の全ての状況・敵に対応可能で、欠点はほぼ存在しない。強いて言うなら、逃げている方向の逆側を攻撃できないことぐらいである。
ムービングバルカン
追加ショット。3方向攻撃を行い、上下移動で攻撃範囲の調整ができるバルカン。
ショットボタンを離すと、左右に発射される2本のバルカンを広げる・狭めることが可能。このため、ほぼ真横にいる敵を攻撃する、逆にレーザーのように運用して高威力攻撃することができる。他のバルカンと異なり、パワーアップしても発射本数は増加しない。
ボス戦にも対応できるという意味では汎用性は高い。しかし、より操作が簡単で強力なスイングバルカンがあるため器用貧乏。3方向しか攻撃できないため、範囲調整機能を考慮しても道中での性能はバルカンの中では最も低い。集中攻撃に関してはライトニングレーザーに匹敵する高威力。広範囲攻撃もできる点ではこちらが優秀だが、安定した集中攻撃がしづらい点では劣っている。
青(レーザー)
ライトニングレーザー
過去作に登場したものと同様のレーザー。純粋な前方攻撃ショット。
常に安定して高い威力を発揮し、機体から直接発射されるレーザーそのものの威力は最も高い。ボス戦では活躍させられるが、一切横側を攻撃できないので道中には不向き。
青以外で高い威力を持つショットが本作にはいくつか存在するため、前方攻撃しかできない本ショットは立場が弱くなっている。威力自体は十分高いと言えるため、立ち回りとサブウェポン次第ではある程度汎用的な運用は可能。
チャージレーザー
ショットを撃たないでいると自動的にチャージされ、次に撃った時に溜めた時間に比例して攻撃範囲が拡大するレーザー。
普通に撃った場合は従来の狭いレーザーだが、溜め動作を行ってから撃つことでレーザーの横幅が広くなる。チャージ中に最大状態になると、自機の周囲にエフェクトが発生する。チャージしたレーザーは、撃ち続けて一定時間経過するか、ショットを止めて再度撃つと元の状態に戻る。
低威力かつ運用方法に問題があるため、本作最弱と言えるショット。
単に撃つだけならライトニングレーザーの方が高威力な上、溜めを行える機会がほぼない本作では本ショットの特性を活かしきれない。また、最大チャージしても絶大な威力を持つという訳ではないため、ボス戦でさえ活躍させるのが難しい。
DCのミッションステージでは溜め撃ちでボスから大量の勲章を出現させられるため、ここだけは実用性が高い。
リフレクトレーザー
追加ショット。装備時に出現するクリスタルを介した特殊攻撃が可能なレーザー。
撃つとクリスタルが前方一定距離に飛んでそこに留まる。これにレーザーを当てるとパワーアップに応じて3~5方向にレーザーが拡散し、拡散したレーザーは風車のように回転しながら全方位を攻撃する。攻撃を止めるとクリスタルは自機に戻っていくが、その最中に再度攻撃した場合は、その場にクリスタルを固定する。
本作で最も高い威力を発揮でき、ボス戦では最強となるショット。
クリスタルを敵の近くに配置し、反射攻撃を集中的に当てられるようにすることで、ボスをも瞬殺可能となる。加えて、クリスタルによる画面全体攻撃ができるので、レーザーの苦手分野であった道中攻略にもある程度対応した作りとなっている。良くも悪くもクリスタルの配置が重要なのでアドリブ力が低く、パターン化して運用することが望ましい。
DCのミッションステージボスとも相性が良く、高ランク及び大量ボーナス獲得に最も適している。
紫(プラズマ)
ベンドプラズマ
過去作に登場したものと同様のプラズマ。左右に振ると鞭のようにしなり、当たった敵を破壊するまで持続的に攻撃する。
これまでと同じく、1本で複数の敵を同時に持続攻撃可能。この場合、画面上でプラズマが複雑にうねった状態となる。広範囲攻撃がしやすい上、一度当てれば回避に集中できるのが利点。
道中での使いやすさは過去作譲りである。しかし、相変わらず威力が低いため、ボス戦はもとより、中型の敵が一斉に押し寄せる場面も苦手。一度攻撃を当てたら回避行動を最優先にするなどの工夫が必要。ワイドバルカンと同様、ボス戦では他の色と使い分けた方が良い。
キャッチプラズマ
1~5方向に展開され、一定距離まで伸びるプラズマ。
延長上に敵がいるとプラズマが伸びて、破壊するまで持続的に攻撃する。1本につき持続攻撃できるのは1体のみ。自機と先端を結ぶ直線上にも攻撃判定がある。1体の敵に対して複数本のプラズマを当てることも可能。
高い汎用性に加えて、プラズマの欠点であった威力の低さを解消したショット。
全てのプラズマを集中的に当てた時の威力は凄まじく、ボスによってはリフレクトレーザーよりも短時間で撃破可能。また、複数本展開され、広範囲攻撃できることから、道中にも強い。画面上を大きく移動しながら敵を攻撃する必要のある場面や、側面の敵への対処が必要な場面では特に強力。しかし、破壊不可能箇所があるために弱点を攻撃しづらい8面ボスとは相性が悪いという致命的な弱点がある。
ホーミングプラズマ
追加ショット。連続で発射され、敵を完全自動で誘導攻撃するプラズマ。
発射されたプラズマはレイシリーズのロックオンレーザーのような軌道を取りながら敵を攻撃する。自機や敵の位置に関わらず攻撃は必ず当たるため、ベンドプラズマ以上に回避行動に集中ができる。
威力は最低レベルのため、使い分け前提となるショット。道中用武器としての性能は高いと言えるが、プラズマの軌道の関係で破壊可能弾の防御が難しい、低威力のために中型の敵の破壊に時間がかかるなど、癖の強い一面もある。ドラゴンのオウルミサイル(高威力だが前方しか攻撃できない)とは相性が良く、互いの欠点を補い合った運用ができる。
チアーシステム
本作の目玉となる新システム。ネットワーク機能を使い、同時にプレイしているプレイヤーとの応援のやり取りを行える。
ゲーム中に誰かが一定の条件(多くの敵を破壊する、勲章を沢山集める、特定アイテムを獲得するなど)を満たしたプレイを行うと、他のプレイヤーは前述したプレイヤーに対して「チアー」を送って応援・称賛することができる。自分がチアー発生条件を満たして誰かからチアーを貰うと、そのカウント数が増加する。チアーのやり取りが行われるたびに、後述するチアーアタックに必要なチアーゲージの増加が早くなる。
リアルタイムで雷電Ⅴを遊んでいるプレイヤー間で応援し合い、共闘感を味わえることが本システムの魅力。ゲームオーバー後にチアーを送った・貰った相手を確認することが可能。ゲームプレイに集中したいという場合はオフにもできる。
チアーアタック
本作における第2のボンバーとなる存在。
時間経過で画面右下のチアーゲージが増加する。チアーのやり取りによっても一定量増加する。ゲージは1本が3分割されており、1/3以上溜まった場合に発動可能となる。
発動するとランダムで3機のファイティングサンダーのいずれかをモチーフにした特殊攻撃が行われる。チアーが行われた場合は、チアー回数の多かったプレイヤーが使用していた機体の攻撃が行われる。
アズマはホーミングロケットで全画面攻撃、ドラゴンはオウルミサイルで前方高威力攻撃、ルージュはレーザーブレードで敵弾消去を行う。
チアーアタックは一度発動すると、ゲージを全て使い切るまで行われる。アップデートによって発動時に画面全体の敵弾消去効果が追加されたため、再利用可能ボンバーとしての価値が向上した。
使用中は敵破壊時の得点倍率がかからなくなるため、稼ぎプレイ時は封印することが推奨される。攻略重視であれば積極的に使い、極力ボンバーの使用を抑えて戦うというプレイスタイルを取ることができる。
アイテム
- ショットパワーアップ
前作と同様にショットを止めていると吸着が可能。色の切り替わりを示すリングも表示される。
前述したとおり、本作ではパワーアップできるのは3色共通ではなく1色のみ。また、サブウェポンのパワーアップは存在しない。 - ボンバー
即効性の画面全体攻撃で、仕様は前作とほぼ同じ。最大7個までストック可能。 - ミクラス
高得点アイテム。各面に1体決められた場所に隠れている。ショットを撃ち込むと出現。 - フェアリー
一部の中ボスを破壊すると出現。今回はストック式の回復アイテムとして登場。
ダメージを受けてシールド残量が低下すると自機からフェアリーが抜け出て、それを再び回収するとシールドが回復する。つまり、被弾しないと回復ができない仕様のため、瀕死状態で回収したフェアリーは使えない可能性がある。 - 空中勲章
得点アイテム。ショットを止めると、画面内に存在するものを瞬時に吸着可能。 - 地上勲章
得点アイテム。こちらは吸着不可。得点が高く設定されており、稼ぎプレイでは如何にこれを多く獲得できるかが重要。 - 金/銀/銅勲章
DCのミッションステージでボスに攻撃を当てると出現する勲章。ショット停止で吸着可能。
ステージの成績を表すポイントに関わっており、ポイントは高い順に金、銀、銅となる。出現数はその逆。
金はフェアリー獲得数、銀はシールド回復量にも影響する。
BGM
本作のBGM担当はベイシスケイプの工藤吉三氏であり、Ⅱ以降全てのシリーズ作に関わってきた佐藤豪氏から変更となった。
このため、ⅣまでのBGMとは雰囲気が大きく変わっている。
道中BGMは各面の長さ及び場面と合わせたものとなっており、ゲーム画面とのシンクロが重視されているのが特徴。シーンクリアを境に曲調が変わったり、ボス直前にBGMが終了したりするように調整されている。
中でも最終面である8面のBGM「Crystal of Abyss」は、本作のBGMの特徴が顕著に表れている。全長10分と非常に長く、壮大かつストーリー性の強い大曲となっている。
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関連項目
- STG
- STGのタイトル一覧
- セイブ開発
- MOSS
- 雷電シリーズ
- グラディウスⅤ:同じく「Ⅴ」であり、ナンバリングタイトルではシリーズ初の家庭用作品・作風の大幅変化・1時間以上となるプレイ時間など、奇しくも共通点の多いSTG。
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