高雄型重巡洋艦とは、扶桑皇国海軍の保有する巡洋艦の形式である。
この記事では、『ストライクウィッチーズ』をはじめとする「ワールドウィッチーズ」世界における高雄型重巡洋艦について記述する。
概要
扶桑皇国海軍が保有・運用する重巡洋艦で、妙高型重巡洋艦につづくものとして4隻が建造された。欧州派遣任務への充当を前提として設計されており、長距離航行時の乗員の疲労低減に注意が払われている。
妙高型がその居住空間の狭さから欧州派遣のような長距離航行には不適とみなされたことを受け、設計にあたっては上部構造物を拡大して居住性の改善を図った。あわせて指揮設備も増強されたが、特にこの時に艦橋が大型化されたことが、大型航空ネウロイの脅威が増大した後年になってからレーダー等の近代装備を設置して艦に防空指揮能力を持たせることのできる余裕ともなっている。
性能・要目
基準排水量11,490t、全長203.76mの重巡洋艦で、赤城型航空母艦と同等の133,100shpに達する機関出力により、34.2ノットの最大出力を誇る。航続距離は18ktで5,049海里。航空機は3機搭載。
兵装としては50口径20.3cm連装砲を前部3基、後部2基の5基搭載し、他に60口径10cm連装高角砲4基、40mm連装機銃8基などの副兵装を持つ(時期により変動あり)。主砲20.3cm砲もE型砲塔の採用により最大仰角70度と対空戦闘に対応していたものの、俯仰装置の問題で命中精度の低下が発生しており、のちにカールスラントからの技術供与を受けて問題の原因となっていた歯車を換えることで解決された。
この主砲の改良は、後年に扶桑がリベリオン合衆国、ブリタニア連邦両国と共同で開発したレーダー照準装置と組み合わせられたことで、中型ネウロイ規模までの遠距離撃破を可能とする新型防空システムの構築へとつながることとなる。
この他、就役時には魚雷・爆雷などの水雷兵装も搭載されていたものの、結局は対ネウロイ戦闘では不要と判断され、近代化改装の際に撤去された[1]。空いたスペースには長距離航行を前提とした改修が行われ、全ての兵員室がハンモックではなく三段ベッドが置けるように拡張されたほか、食料庫と冷蔵庫も増設されている。
これらの他、熱帯での行動を想定し、従来のラムネ製造器に加えてリベリオンのアイスクリーム製造器を導入している。これは将兵のみならずウィッチにも大好評を博し、扶桑の大型艦にアイスクリーム製造器が標準装備されるきっかけとなった。
各艦の状況
<高雄>
横須賀において建造され、5月12日進水(年不明)。竣工は5月31日。
1945年(昭羽20年)7月、ヴェネツィア上空の超巨大なネウロイの巣を破壊するオペレーション・マルスの発動に際し、戦艦<大和>を中核とする扶桑からの派遣部隊の一員となる。しかし道中アドリア海で大型ネウロイの襲撃を受け、当艦も第三砲塔付近にビームを被弾、速力が低下し狙われたところをリネット・ビショップ曹長に救われている。この損傷のためか、オペレーション・マルスには不参加だった。
<愛宕>
呉にて建造され、6月16日進水(年不明)。竣工は3月30日で、<高雄>より二ヶ月早かった。
1944年(昭羽19年)9月、オラーシャ方面への遣欧艦隊にて旗艦を務める(指揮官伊東省三中将、空母<翔鶴>、夕雲型駆逐艦6隻で構成)。当時の艦長は山喜務大佐、航海長は塚原一郎少佐。10月、北極海航路をとっての行路中、バレンツ海で想定外のネウロイ編隊の攻撃を受けるが、欧州派遣のため<翔鶴>に同乗していたウィッチ、雁淵孝美中尉、雁淵ひかり軍曹の両名と第502統合戦闘航空団<ブレイブウィッチーズ>の援軍により切り抜けた。
1945年夏、オペレーション・マルスに伴う欧州支援艦隊(戦艦<大和>、空母<千歳>、<千代田>、高雄型重巡洋艦複数、秋月型駆逐艦多数で構成)の旗艦となる。ただし、中途で総司令官が負傷したため、以降の艦隊指揮は戦艦<大和>艦長杉田淳三郎大佐に移譲された。当艦もオペレーション・マルスには参加しなかった。
<摩耶>
神戸にて建造された。
1945年夏のオペレーション・マルスに参加したようである。事前に決定された作戦時の陣形では、作戦の中核となる戦艦<大和>と空母<天城>が位置する中央列の後方、秋月型駆逐艦の次位にあり、左右後方に配される空母<千歳>、<千代田>の前衛にあたる位置を占めた。
<鳥海>
長崎で建造された。
1938年(昭羽13年)、扶桑海事変末期の巨大怪異侵攻を受けた挺身作戦において、怪異を誘導する囮艦隊に所属。戦闘中、直撃弾を受けて右舷に大傾斜し、戦列から落伍している。
その後1942年(昭羽17年)には扶桑海軍第八艦隊(司令長官井川中将)にて旗艦を務め、同年に実施されたネウロイ封鎖下のマルタ島への救援作戦に従事。ネウロイとの夜間戦闘で損傷を受けながらも敢闘し、輸送船団をマルタ島まで送り届けることに成功している。なお、この時点では前述のレーダー照準射撃装備は未装備だった。
この作戦では、井川中将の指揮のもと、重巡洋艦<青葉>、<衣笠>、<加古>、<古鷹>、軽巡洋艦<天龍>、<夕張>、駆逐艦<夕凪>、<神風>を率いてF部隊(作戦部隊)中で輸送船団の護衛を担うZ部隊に参加。ブリタニア艦隊やリベリオン海軍第62任務部隊(司令官ターナー少将)とともにF部隊(司令官はブリタニア海軍のサイフリート中将。Z部隊指揮官を兼任)を構成した。スカパ・フローを出航後、クライド湾で輸送船団と合流しジブラルタルを経て地中海に進入。チュニス沖のスカーキ・バンク以降で護衛を引き継ぐ予定のヴェネツィア艦隊がネウロイの邀撃により来援不能となったため、<鳥海>以下第八艦隊と第62任務部隊が抽出されてマルタ島まで護衛を続けることとなった。
以降の配置は艦隊右翼。スカーキ・バンクでの夜間戦闘では、序盤に主砲でネウロイ一機を撃破する活躍を見せたものの、矢面に立った第62任務部隊や輸送船団が損傷・離散しネウロイの攻撃が扶桑艦隊に向くと、<鳥海>も最初の攻撃で作戦室とマストを喪失、次の攻撃で一番砲塔に被弾した。それでも機関に損害はなく全速で戦闘を続行していたが、輸送船団の直衛部隊(X部隊)指揮官バロー少将(ブリタニア海軍)が井川中将に以後の船団直衛を委ねたため、輸送船を再集結させ戦場を離脱した。やがてウィッチが救援に駆けつけると、エディタ・ノイマン少佐とヴェンデリーン・シュレーア中尉が<鳥海>をマルタ島到着まで一時的に休息地としている。船団のマルタ島到着後は、離散ないし損傷して後に残された艦艇・船舶を探すべく部隊とともに船団から離脱した。
登場
アニメでは『ストライクウィッチーズ2』からの登場。出演にあたり、CGの魚雷発射管部分にわざわざ蓋をする処理がなされていることが、鈴木貴昭氏より言明されている。
『ストライクウィッチーズ2』8話にて、扶桑艦隊を構成する艦のなかに高雄型が登場。<高雄>が第三砲塔付近にネウロイのビームを受けて各所に爆発が起き速力を落としたほか、他の同型艦も別カットで登場している。その後、オペレーション・マルス時の作戦陣形図にも<摩耶>の名があるが、作戦中の登場シーンは無かった。最終話では、ラストで横須賀に帰港する扶桑艦隊のなかに高雄型一隻の姿がある。
アニメ『ブレイブウィッチーズ』でも、遣欧艦隊の旗艦として<愛宕>が登場し、のちに“グリゴーリ空母部隊”参加のため派遣された扶桑艦隊の中にも高雄型の姿が見える。10話冒頭の航海中のシーンに映るのは一隻のみだが、ムルマン港でのシーンには二隻が停泊している。こちらの艦名はいずれも不明。
なお、艦艇の詳細設定は両作品のBD/DVD特典(『SW2』における艦型解説はBD/DVD第4巻特典『全記録弐 第四集』、『BW』における艦型解説はBD/DVD第1巻特典『全記録 第一集』収録)に掲載されており、『SW2』全記録においては、扶桑艦隊の指揮官だった人物が途中で旗艦<愛宕>にて負傷したことが触れられた。
ドラマCD『秘め話CD』所収の「後日談「扶桑へ」その1」では、山川美千子が浮かぶ雲を見て「高雄型の艦橋みたい」と漏らしたことで土方圭助兵曹との海軍力の高い会話がはじまっている。会話中では、<高雄>より<愛宕>が先に竣工したにも関わらず前者がネームシップとして扱われる理由は<高雄>のほうが進水日が早かったからではないか、として両艦の進水日と竣工日が挙げられている。ちなみに土方は横須賀で造られた<高雄>には思い入れがあるとか。
この他、コミック『ストライクウィッチーズ零 1937扶桑海事変』2巻では<鳥海>が被弾時の台詞にのみ登場。ノベル『ストライクウィッチーズ アフリカの魔女 ケイズ・リポート』では、2巻で描かれたマルタ島支援作戦において第八艦隊旗艦として同じく<鳥海>が登場した。この時の<鳥海>の被弾は、ペデスタル作戦と並んでこの作戦のモデルになっていると考えられる二次大戦時の戦闘、第一次ソロモン海戦における日本海軍第八艦隊(司令長官三川軍一中将)旗艦<鳥海>の損害と同様のものとなっている。
関連動画
関連項目
- ストライクウィッチーズ
- ワールドウィッチーズ
- ストライクウィッチーズ2
- ブレイブウィッチーズ
- ストライクウィッチーズの関連項目一覧
- 扶桑皇国
- 大和型戦艦(ワールドウィッチーズ)
- 蒼龍型航空母艦(ワールドウィッチーズ)
- 天城(航空母艦)
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 穴拭智子
- 犬房由乃
- 加東圭子
- 角丸美佐
- 雁淵孝美
- 雁淵ひかり
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- 川滝航空機工業
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- 蒼龍型航空母艦(ワールドウィッチーズ)
- 竹井醇子
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