(画像引用元)
北野天満宮とは、京都市街地の北西部にある、菅原道真を祀る神社である。
曖昧さ回避
他、全国に同名の神社がある。当記事では、それらの総本社である京都の北野天満宮について述べる。
概要
福岡県の太宰府天満宮と並び、日本全国にある「天満宮」「菅原神社」の総本社とされる。
現在は「学問の神様」として知られ、毎年多くの受験生が参拝する。また、「梅の花と紅葉の名所」として知られており、そのシーズンには大変混雑する。京都駅からバスで40分程度かかる場所[混んでなければ]に位置し、周辺は住宅地に囲まれている。
南側の「一の鳥居」から松並木の参道を通って入る参拝客が最も多い。25日の縁日には参道沿いに多くの露店が出ていることが多い。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/kitano_bunka/status/1232091648349224961
参道の奥にある楼門をくぐると右に手水舎があり、斜め左に進んでいくと奥に本殿がある。お守りや絵馬などは本殿の右手の建物で販売している。
主な見どころ
本殿
1607年に建てられた、権現造の建物。国宝に指定されている。
下記のように、1607年以前からここに天満宮があった。現在の本殿は新しく建て直されたものである。
祭神
祀られている菅原道真は5歳で和歌を詠み、11歳で漢詩を作るなど学問の才能があったと言われる。それに加えて勉強家でもあり、18歳のときに大学寮の文章生(もんじょうしょう)の試験に合格し、5年後にはその中で成績優秀な2人のみが選ばれる「文章得業生(もんじょうとくごうしょう)」となった。
その後も出世を続け、遣唐使に任ぜられたときには、自らの役職の廃止を進言している。50代のときに右大臣に就任したが、57歳のときに政争により太宰府に左遷され、その2年後に死没した。
しかし、死後に政敵の藤原時平が亡くなってから、京に洪水・大火・疫病など多くの災害が降りかかるようになる。これが菅原道真の祟りとされ、死後に天神として祀られるようになった。
942年、巫女の「多治比文子(たじひのあやこ)」の元に、「京の北野の地に自分が立ち寄れる場所を作ってほしい」という道真からの神託があった。さらに5年後には太郎丸という男子のもとにも同じ神託があったため、それをもとに社殿が創建され、現在の北野天満宮になったと言われる。
その後、北野天満宮は農耕神・芸能神・厄除けの神として広く信仰を集めるようになった。江戸時代ごろからは、学問の才能と勉強家のエピソードなどから、学問の神様としても扱われるようになった。
牛の像(なで牛)
菅原道真が丑年生まれだったことから(諸説あり)、牛は天満宮では神の使いとされている。境内のいたるところに牛の像が置かれている。触った牛の場所のケガ・病気が治るとされ、頭をなでると、なでた人の頭が良くなるとも言われる。
梅苑
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/kitano_bunka/status/1228150517110435840
境内には1500本の梅の花が植えられており、2月~3月にかけて梅の花が咲く。境内に梅苑があり、期間限定で公開される。20時までライトアップが行われる時期もある。入苑料(茶菓子つき)は2020年時点で大人1000円、子ども500円。
ちなみに梅干しも作っており、梅雨明けの頃に本殿の前で干している。この梅干しは12月13日~25日ごろまで参拝者に授与される。
もみじ苑
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/kitano_bunka/status/1200561497220378624
境内西側にある紅葉スポット。紙屋川(天神川)が南北に流れており、川沿いに多くの紅葉を見ることができる。毎年11月前後に公開されており、ライトアップも行われる時期がある。入苑料(茶菓子つき)は2019年時点で大人1000円、子ども500円。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/kitano_bunka/status/1266171521162260480
5月~6月ごろには青もみじを見ることもできる。赤い橋の「鶯橋」とのコントラストが美しい。この時期の入苑料は大人500円、子ども250円となっている。
なお、豊臣秀吉が京を囲む形で築いた防塁である「御土居(おどい)」の一部がここに残っている。
宝物殿
北野天満宮に伝わる多くの宝物が所蔵されている。国宝「北野神社天神絵巻」、刀剣「鬼切丸(髭切)」などが挙げられる。普段は公開されていないが、梅や紅葉の時期、縁日などに展示品を見ることができる。
年中行事
毎月25日が縁日であるほか、1年間を通じて多くの祭礼・行事が行われる。
- 歳旦祭(1月1日)
- 筆始祭・天満書(1月2日~4日)
- 初天神(1月25日)
- 節分祭・追儺式(2月立春の前の日)
- 梅花祭・梅花祭野点大茶湯(2月25日)
- 春祭(3月15日)
- 文子天満宮祭(4月中旬~下旬ごろ)
- 明祭(4月20日)
- 雷除大祭(6月1日)
- 御誕辰祭・大茅の輪くぐり(6月25日)
- 夏越の大祓(6月30日)
- 御手洗祭・七夕祭(8月)
- 例祭(9月4日)
- ずいき祭(10月1日~5日)
- 一條天皇行幸始祭(10月21日)
- 余香祭(10月29日)
- 新嘗祭(11月23日)
- 御茶壷奉献祭・口切式(11月26日)
- 献茶祭(12月1日)
- 終い天神(12月25日)
- 大祓・除夜祭・鑽火祭(12月31日)
当記事ではいくつかピックアップして紹介する。コロナ禍の影響により2020年には開催が制限されているものも多いが、ここでは2019年以前の様子を中心に説明する。
縁日(毎月25日)
菅原道真の誕生日が6月25日、薨去の日(命日)が2月25日であることに由来する。境内には露店が多く立ち並ぶほか、天満宮敷地の右横から奥の道路上では骨董市も開かれる。これは「天神市」と呼ばれており、東寺の弘法市と並んで京都の二大骨董市とされる。21時までは本殿のライトアップも行われる。
梅花祭(2月25日)
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/kitano_bunka/status/1229642280874590209
菅原道真の薨去の日である2月25日に行う。本殿では梅の小枝を挿して神前に供える祭典が行われる。
また、豊臣秀吉が北野天満宮で行った「北野大茶湯」にちなみ、野点(のだて/屋外の茶会)も行われる。天満宮の東にある上七軒の芸妓たちがお茶を入れてくれる。
御手洗祭・七夕祭(8月)
左遷後の菅原道真が、七夕で織姫と彦星が会うときに天の川にかかった「かささぎの橋」を挙げて京への思いを詠んだ和歌
にちなんで、七夕に祭が行われる。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/kitano_bunka/status/1279215582416519168
旧暦の七夕にあたる8月に行う。境内には多くの笹飾りが置かれ、五穀豊穣・無病息災を願い、神前に夏野菜やそうめん、みたらし団子を供える。
※そうめんはかつて「索餅(さくべい)」と呼ばれ、中国の故事から七夕に食べると熱病除けになるとされていた。みたらし団子は下鴨神社の御手洗祭で供えられたことが由来とされ、天満宮に隣接する上七軒地区は、豊臣秀吉からみたらし団子の専売特権を与えられたとも言われる。
また、「御手洗川足つけ燈明神事」も行われる。境内の御手洗川に素足で入り、壁のくぼみに置かれたろうそくの炎から、自分のろうそくに火をつけて奉納する。過去に行われていた祭りで、明治期から長らく中断されていたが、近年御手洗川が整備され、2016年に復活した。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/kitano_bunka/status/1156849131379290112
ずいき祭(瑞饋祭)(10月1日~5日)
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/kitano_bunka/status/1296647070770589699
五穀豊穣を感謝する祭り。菅原道真が彫った木像を随行した者が持ち帰り、祀ったのが始まりとされる。
「ずいき」とは里芋の茎のこと。ずいきなど、その年に獲れた野菜や乾物で作った神輿が街中を練り歩く。JR円町駅の北、北野中学校の裏に御旅所(おたびしょ)があり、1日にそこまで向かい(神幸祭)、4日に本殿へ帰ってくる(還幸祭)。御旅所では女子たちによる八乙女舞が奉納される。
アクセス
2020年時点。
ただし、京都駅からはかなり距離がある。あまりにもバスの混雑がひどい場合は、地下鉄今出川駅まで行って、バスに乗り換えて北野天満宮に行った方が早いケースもある。
また、場所が京都の中では少し中途半端な位置にあるので、複数の観光地を巡る場合、他の場所を見てから北野天満宮へ行った方がいい場合が多い。
以下、北野天満宮からの主な交通手段を示す。この逆を考えれば、北野天満宮への行き方になる。
B(天満宮を出て手前側)のバス停から出るバス
- 102・203
- 京都御苑(烏丸今出川バス停)・銀閣寺方面
今出川通を東に進むバス。 - 10・51
- 四条河原町・祇園(四条京阪前バス停)方面
祇園までは京都駅と同程度の時間がかかるため、先に銀閣寺などを見た方がよい場合もある。 - 50・101・111
- 二条城・京都駅方面
「急行」と書かれているバスがあるが、どっちが先に着くかは京都の複雑怪奇な道路事情により神のみぞ知る状態なので、気にせず先に来た方に乗るとよい。
A(天満宮を出て横断歩道を渡った側)のバス停から出るバス
- 10
- 妙心寺・仁和寺方面
- 203
- 阪急西院駅(西大路四条バス停)・四条河原町・祇園方面
行き先に祇園と書かれているが、渋滞が起こりやすい四条通を経由するので時間がかかることもある。 - 101・102
- 金閣寺・大徳寺方面
北野白梅町駅
天満宮を出て大通りを右へ5分ほど歩くと、嵐電(京福電気鉄道)の北野白梅町駅がある。ここから、太秦(うずまさ)や嵐山の方へ向かうことができる。
道路渋滞の影響があまりないので、太秦・嵐山へはこのルートがおすすめ。
自動車の場合
渋滞が頻発するため、基本的に京都観光で自動車は推奨されない。
北野天満宮の場合は比較的駐車しやすいので、北野天満宮だけを訪れるのであれば自動車でも問題ないこともあるが、他の観光地では駐車場の確保が困難な場合も多い。
境内に無料駐車場があるが、シーズンは満車の場合もある。25日は縁日が開かれ、骨董市のために道路敷地が使用されるため、駐車場も利用できなくなる。
周辺の見どころ
- 上七軒の街並み
- 京都の花街で、景観が保存されている。祇園と比べると小ぶりではあるが、その分観光客も少なく、落ち着いて観光できる。天満宮からは東門(本殿を見たときの右側)を出てすぐ。
- 千本釈迦堂
- 本堂は1227年建造。洛中で最も古い建造物である。春になると境内のしだれ桜が咲く。天満宮の東、上七軒の北東にある。
- 平野神社
- 京都の桜の名所。平安京遷都のころに創建されたと言われる。本殿裏の北門を出て左、徒歩1分。
- 西陣
- 北野天満宮の東側に広がる地域名。西陣織で有名。西陣織会館までは距離があるが、北野天満宮周辺にも織物産業が多く、歩いていると機械の音が聞こえてくることもある。ただし、道路が入り組んでいて迷いやすいので注意。
- 金閣寺
- 南側からは距離があるが、本殿裏の北門からは徒歩15分程度。
- 大将軍商店街
- 天満宮の南、徒歩3分ほどのところにある。京漬物や宇治茶、和菓子の他、地域の人の食料品・日用品を扱っている小さな商店街だが、秋になると妖怪が出現することがある。
関連動画
関連静画
関連リンク
関連項目
- 2
- 0pt