『スター・ウォーズ 生存者の探索』(Star Wars: Survivor's Quest)とは、『スター・ウォーズ』サーガの小説である。
「レジェンズ」作品群に属する。単巻。著者はティモシイ・ザーン。
なお、当記事における人名・役職名など固有名詞の日本語表記は、原則的に本書邦訳に基づく。
かつてスローン三部作でわずかに語られたアウトバウンド・フライト計画を主題とし、クローン大戦前に外宇宙へ去ったはずのアウトバウンド・フライトの行く末を追うルーク・スカイウォーカーたちの探索行を描いた長編小説。ハンド・オブ・スローン二部作とニュー・ジェダイ・オーダーシリーズとの間をつなぐブリッジ・ノベルである。
旅立つ当時のアウトバウンド・フライトを描いた同作者の『外宇宙航行計画』とあわせアウトバウンド・フライト二部作を構成するが、両作には作中時系列上で五十年の開きがあり、それぞれが別個の単巻小説として成立している。なお、時系列上は後になる本作が先の刊行である。
原著は長編小説単巻(ハードカバー)で2004年刊行。邦訳にあたっては同時期に展開されたクローン大戦ノベルと並行し、同年に文庫版上下巻構成でソニー・マガジンズより出版された。日本語訳は富永和子によるもので、邦訳本表紙イラストは長野剛が描いている。
本作は、アウトバウンド・フライト、スローン大提督、彼の属する未知領域の種族チス、そしてマラ・ジェイドというスローン三部作以来の様々な要素を、生みの親ティモシイ・ザーンが自ら補完するものとなっている。ルークとマラがめっちゃ惚気けあう話でもある。
帝国との講和で銀河が平和を取り戻し、ルーク・スカイウォーカーが結婚してから3年。彼と、かつての強敵スローン大提督の復活をめぐる事件で惹かれあった妻マラ・ジェイドのもとに、スローンが銀河の外縁、未知領域に作ったハンド帝国からメッセージが届く。それは未知領域のスローンの出身地チスから送られた、「アウトバウンド・フライト」の残骸への調査に同行してほしいという招きだった。
アウトバウンド・フライトは、外宇宙への銀河間調査移民を敢行した旧共和国とジェダイの計画だ。物資を積んだコアを囲んで強力なドレッドノート艦を6隻たばね、18人のジェダイが指導する5万人の植民者を載せた壮大な調査船!彼らは旅立ったきり消息を絶ったが、実は銀河を出ることもなくスローン率いるチスの前哨部隊に破壊されて姿を消し、ある小惑星に墜落していたのだった。
旧共和国のジェダイの痕跡を求めチスのもとへ赴いたふたりは、チスの高官チャフォーンビントラノ(フォーンビ)に迎えられた。さらに新共和国の大使を名乗るディーン・ジンズラー、ハンド帝国からのストームトルーパーのユニット、そしてかつてアウトバウンド・フライトのおかげで略奪種族ヴァガーリの奴隷から救われたという種族ジェルーンを加え、船は残骸のある要塞星団リダウトを目指す。
彼らは通信も届かぬ星団のなかへと分け入ってゆくが、道中なぜか起きるトラブルにストームトルーパーと共同で対処するなかで、マラは帝国で働いていた頃への懐旧を感じていく。そして彼らはアウトバウンド・フライトに辿り着くが、船内に入ったルークとマラは意外な存在を察知する。生存者がいるのだ!
わずかな生存者たちは、残骸の中にコロニーを築き五十年を生き延びていた。彼らは侵入者を警戒し、ジェダイとストームトルーパーを罠に捕らえてしまう。さらにはジェルーンが突如豹変し、チスや生存者たちを襲い始めた。彼らこそがヴァガーリであり、かつて虐げた種族を名乗りアウトバウンド・フライトを奪おうとしていたのだ。罠を逃れたジェダイとストームトルーパーも戦いに加わるが、ヴァガーリは修復が進んだドレッドノート艦を切り離し、チスの船を航行不能にして飛び去ってしまう。
だが事態に不審感を覚えたジンズラーがフォーンビを問い詰め、ある策略が明らかになった。ジェルーンの正体は、彼には先刻承知のことだったのだ。フォーンビは侵略的なヴァガーリを警戒していたが、チスの規則は厳格に先制攻撃を禁じていた。そこで彼はアウトバウンド・フライトの発見を奇貨とし、その技術に惹かれたヴァガーリがチスを襲うよう仕向けたのである。彼の誤算は生存者の存在、そして味方として集めたジェダイやストームトルーパーでも阻止できないほどの敵の兵力だった。
50年ものとはいえ、バトル・ドロイドまで積んだ大型軍艦をヴァガーリが手に入れれば、未知領域では大きな脅威だ。アウトバウンド・フライトにあった古い宇宙機で後を追ったルークとマラはドレッドノート艦に乗り込み、すでに熾烈な戦いが演じられていたリダウトの入口でヴァガーリ軍の逃亡を阻止する。チスは正当な理由なく明確な攻撃を受けた。ヴァガーリとの戦争が始まるだろう。
ルークとマラは、この策略の影に死んだはずのスローンの謀才を感じとった。そしてそこまでしてヴァガーリと戦うというチスらしからぬ選択には、ハンド帝国でかつて語られた、外宇宙の恐ろしい脅威が関わっているのではないか。そのハンド帝国はマラにとって、邪悪さがなく秩序だった魅力的な「帝国」に思えたが、それでも彼女は、夫の愛する新共和国をともに護る道を選ぶのだった。
クローン大戦勃発の数年前、ジェダイが発案した「外宇宙航行プロジェクト」と呼ばれる大がかりな計画で送り出された、外銀河への大規模な探検調査船。
コアを取り囲むように6隻の重武装したドレッドノート艦を配し、それぞれをパイロンでつないでつくりあげた巨大宇宙船で、各種のドロイドも配置され、コアには膨大な物資が蓄えられた。中途の未知領域での植民も想定し、ジェダイ・マスター・ジョラス・シボース以下18人のジェダイのほか、乗員とその家族あわせて約5万人の人々が搭乗していた。
出航後の消息はまったく知られていないが、実はチス領域のはずれでスローンの率いる小さな前哨部隊によって妨害を受け、撃墜されていた。残骸はチスの要塞星団リダウトの小惑星に墜落した状態で発見されたが、そうなった理由は不明。惨事を生き延びたのはわずか57人にすぎず、墜落時に損傷の少なかった部分を居住地とし、コアにあった物資を元手にコロニーを築いて生活していた。
銀河の外縁部、未知領域に住む青い肌と赤い瞳のヒューマノイド種族チスによる独立国家。
ルーリング・ファミリーと呼ばれる複数の一族が支配する寡頭制で、極めてシステマチックで保守的な社会を形成する。厳格に先制攻撃を禁じる規律と強い保守性、そして他種族を見下すチス特有の気位の高さが特徴で、人間などに対しては、完璧に礼儀正しい態度を維持しつつも遠ざけるところがある。科学技術面でも高いレベルに達しているが、周辺の異種族文明を含め、ドロイドは一切存在していない。
銀河の中心部ではほとんど知られていない閉鎖的な国家で、新共和国との外交関係もないが、ハンド帝国と銀河帝国を挟めばかろうじて連絡がとれないわけではない。新共和国で一般的な言語ベーシックはまったく普及しておらず、母語は人間では発声困難な言語チユーン。多くのチスは未知領域で使われる交易言語も扱えるが、ベーシックはフォーンビなど一部が学んでいる程度である。
チスの名前は、家系や社会的地位を反映した複雑な本名と、その一部を抜き出した「コア・ネーム」からなる。コア・ネームは親しい間柄で用いるもので初対面の者や格下の者が呼ぶことは非礼とされるが、他種族にとり本名より遥かに発音が容易であるため、作中ではコア・ネームで呼ばれることが多い。
銀河帝国軍最高の戦略家、スローン大提督が未知領域に築いた覇権国家。「ハンド」とは中枢である惑星ニラーンの要塞「スローンの手」のこと。指導者はスローンの腹心だったヴォス・パーク提督。
帝国軍とチスの混合集団で、ストームトルーパーの存在など軍事および技術面では帝国軍のものを引き継いでいる。いまだ新共和国の知識が及ばぬ未知領域に莫大な資源のある広大な領域を有する「帝国」だが、かつての銀河帝国のように専制的ではなく、未知領域の諸惑星からなる同盟国家というほうが実態に近い。エイリアンへの差別もなく、人間以外の異種族も積極的に参加・登用されている。
残存帝国軍とチス・アセンダンシーの双方と連絡を取り合っていはいるが、あくまでスローンの遺志に忠実な独立した集団。もとは未知領域の向こう側に存在するという“血が凍るほど恐ろしい脅威”への対策が存在目的であるらしいが、その詳細は不明である。
2つの口を持つヒューマノイドで、未知領域に住む種族ジェルーンの生き残り。
数十年前に略奪遊牧民族ヴァガーリに故郷の惑星を襲われ、奴隷化に呻吟していたが、偶然アウトバウンド・フライトに遭遇したヴァガーリ軍がジェダイの攻撃で壊滅的打撃を受けたことで支配から解放された。しかしヴァガーリの劫掠によってすでに母星は破壊されつくしており、やむなくボロボロの宇宙船で船団を組み、新たな住処を探して旅を続ける放浪種族となったという。
チスから探索行に招待されたわけではなかったが、アウトバウンド・フライトの残骸が発見されたという情報を知り、自分たちを救ってくれたアウトバウンド・フライトに敬意を示したいと急遽合流する。
| スター・ウォーズ レジェンズの邦訳小説 (作中時系列順) |
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|---|---|---|
| 前作 | 本作 | 次作 |
| ハンド・オブ・スローン二部作 (19ABY) |
生存者の探索 (22ABY) |
ニュー・ジェダイ・オーダー (25ABY-30ABY) |
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