『ドラゴンクエストモンスターズ』とは、エニックス(現スクウェア・エニックス)から発売・配信されているRPGシリーズである。略称はDQM。開発はトーセ。
『ドラゴンクエスト』シリーズの外伝的作品。
概要
『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』で登場した「仲間モンスターシステム」と、当時ゲームボーイで流行っていた『ポケットモンスター』に代表される「育成」「収集」「通信」、『女神転生』シリーズの「悪魔合体→配合」の要素を合わせたようなRPG。プレイヤーはモンスターの話が理解できる「モンスターマスター」であり、魔物に作戦を与えたりアイテムを使うのみで自ら戦うことはない。
当時雨後のタケノコのように大量発生したポケモンの二番煎じ的なソフトではあるが、RPGの企画と親切さに定評のあるエニックスのノウハウが随所に生かされており、新しいモンスターを作り出す「配合」やランダムダンジョン、ドラクエ本篇と同様のパーティバトルを採用しているため戦略が広くまた役割分担が重要であることなどゲームとして決して二番煎じたりえない要素を多数持っていることや、国民的RPGであるドラゴンクエストのモンスターをスライムから歴代の魔王に至るまで好きなように仲間にして冒険できること、ナンバリングタイトルの名シーンの再現やキャラのゲスト的な出演な出演などファンアイテムとしての性質から人気を博し、当時多かったポケモンの二番煎じ的ソフトの中では最もヒットし、また現状唯一と言ってよい当時の勢いを維持したまま現在も続いているシリーズである。
また、この作品で初登場したオリジナルモンスターの中には、その後ナンバリングタイトルに逆輸入されたものもいる(にじくじゃく、ゴールデンスライムなどが有名)。
ポケモン同様作品を追うごとに対戦ゲーとしても洗練されていっているが、原則として作品間で直接モンスターを持ってくることはできず、作品を超えての特殊なお見合いや、一部モンスターを間接的に持ってこられる連動機能にとどまっている。そのため登場モンスターの大幅な仕様変更やリストラもよくあるが、過去の遺産に引きずられずにバランス調整がされるという長所にもなっている。「J2P」からは一つ前の作品からモンスターを引き継げるようになったが、レベルと+値は全てリセットされ種族・特性・スキルのみが引き継がれる。
ナンバリング作品同様、作曲を手掛けるすぎやまこういち氏のゲーム音楽が好評を博している。一部の作品では、ナンバリングから持ってきた楽曲もある。
本シリーズ開始より前に発売された同名の書籍が存在するが、こちらはドラクエの1~6までの鳥山明によるモンスターのイラストをまとめた画集であり、本作品とは無関係である。
シリーズ作品
個別記事のある作品はそちらも参照。
- ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド(GB)
- 1998年9月25日発売。記念すべきシリーズ第1作。主人公は『DQ6』から幼少時代のテリーが務めた。
- 肉を与える事により懐かせて仲間を増やすシステムや、モンスターの系統、配合・特技の遺伝など、シリーズの基礎はこの作品で完成している。冒険の舞台はタイジュの国と、そこからつながった旅の扉の異世界。異世界の最深部では、それまでのシリーズの1シーンが再現されると同時に、「GB音源で編曲された各作品のフィールド曲」が流れる。
- このソフトはゲームボーイカラー本体の発売に先駆けて発売された作品だが、実は史上初のゲームボーイカラー対応ソフトである。初期ロット版はその後発売されたゲームボーイカラー対応ソフトとは異なり、それまでのゲームボーイソフトと同じ灰色のカートリッジだった。今このバージョンを持っている人は自慢していいと思う。
- 2019年9月17日にSwitch、11月7日にスマホで『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランドRETRO』として当時のまま復刻。ただし通信対戦は不可能。Switch版では左右の余白にパーティや牧場に預けている仲間、今冒険している扉の情報が表示されている。
- ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵 ルカの旅立ち・イルの冒険(GB)
- シリーズ第2作。主人公はルカとイルの兄妹で、『ルカ』版ではルカが、『イル』版ではイルが魔物を率いて冒険し、もう一方は牧場で魔物の世話を行うことになる。『ルカ』版と『イル』版にストーリーの違いはなく、違うのは出現モンスターのみと、某RPGを意識したような発売の仕方ではあったが、某RPGとは異なり同時発売ではなく、1月ほど発売日がずれている。『ルカ』が2001年3月9日、『イル』が2001年4月12日発売。
- 冒険の舞台はマルタの国と、そこから「ふしぎな鍵」を使って行ける異世界。「ふしぎな鍵」はシナリオ攻略で必ず入手することになる物のほかに、名称や登場するモンスターがランダムで生成される物もある。これと似たシステムが、後に『DQ9』で「ふしぎな地図」として登場している。
- 配合システムは前作とほとんど変わっていないが、配合できるモンスターの数が100種類ほど増えている。魔王系も上位種が登場(りゅうおうに対するしん・りゅうおうなど)している。後年になって後付された設定である為、古くからのドラクエファンには否定的な感想を持つ人もおり、物議を醸した。後のリメイク作品では大幅にデザインを変更して再登場している。
- ドラゴンクエストモンスターズ1・2 星降りの勇者と牧場の仲間たち(PS)
- 2002年5月30日発売。『DQM1』と『DQM2』を1つにまとめてリメイクし、PSに移植した作品。グラフィックや音質はGB版より強化されている。対戦はメモリーカードに保存したデータを持ち出すことで行うことになった。また、携帯アプリとの連動要素もあり相互にモンスターのお出かけが出来た。
- GB版からの変更点はそれほど多くなく、現在1や2をプレイしたい場合はこれを入手するのがオススメ。現在、中古での販売価格は5000~7000円程度であり、プレミアソフトすれすれの状態になっているので、もし中古ゲームショップで見かけたら購入をおすすめします。
- ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート(GBA)
- 2003年3月29日発売。主人公は『DQ7』から幼少時代のキーファが務めた。他に『DQ7』からはダーマの大神官フォズがゲストとして登場している。
- 冒険の舞台は『DQ2』の数百年後の世界で、アレフガルドやロンダルキアも登場し、旧来からのファンを驚かせた。アレフガルドにはかつてロトの勇者に倒された竜王や、ローラ姫を守っていたドラゴンも登場する。
- BGMは『DQ1』や『DQ2』のもののアレンジが多く見られる。
- この作品では、従来の2種類のモンスターを掛け合わせる「配合」ではなく、1匹のモンスターに2つ心を吹き込む事で新たなモンスターに生まれ変わる「転身」のシステムが採用されている。また、モンスター1匹と人間4人を組み合わせて1台の馬車を護衛する「キャラバン」のシステムも、本作独特のものとなっている。
- ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー (DS)
- 2006年12月28日発売。主人公は「スカウトリング」と呼ばれる指輪を身につけた少年で、これまでのDQMシリーズとは異なり、デフォルトの名前はない。
- 冒険の舞台はグランプール諸島。中世的な世界観だったこれまでのDQシリーズと異なり、水上バイクなどの乗り物が登場したり、デパートやATMが存在するなど、現代的な雰囲気が感じられるような世界観になっている。
- グラフィックが3Dで描かれるようになり、発売時期が近く、同様に3Dだった『DQ8』のモンスターが数多く登場しているのも特徴である。
- 配合システムはGB版の頃に近いものとなったが、今作では配合結果を3つのうちから選ぶことができるようになったため、配合リストを埋めやすくなっている。また、『DQ8』から「スキルシステム」が採用され、モンスターはレベルアップした時に入手できるスキルポイントを割り振る事で特技を覚えるようになった。
- Wi-Fiを使った全国ランキングや疑似対戦、すれちがい対戦など、ニンテンドーDSのワイヤレス通信機能を生かしたシステムも搭載されている。反面、モンスターの入手方法も通信以外で入手不可というものが現れ始めた。
- ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2 (DS)
- 2010年4月28日発売。『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』シリーズの第2作。システムは前作を踏襲しており、新たに新モンスターが100体以上追加された他、モンスターの大きさという概念が追加された。詳しくは記事を参照。
- ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2 プロフェッショナル (DS)
- 2011年3月31日発売。『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2』の完全版。詳しくは記事を参照。
- ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D (3DS)
- 2012年5月31日発売。GBで発売した第1作『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』のリメイクバージョン。
- 原作のストーリー、モンスターに加え、『ジョーカー2 プロフェッショナル』で登場した全モンスター(サンディのみ種族・スキル共に完全消滅)や新たなシナリオが実装される。詳しくは記事を参照。
- ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵 (3DS)
- 2014年2月6日発売。GBで発売した第2作『ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵』のリメイクバージョン。詳しくは記事参照。
- ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3 (3DS)
- 2016年3月24日発売。『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』シリーズの第3作。システムには新たにモンスターに乗る「ライドオン」やカラーチェンジなどを追加、新規モンスターもこれまでのナンバリングの他スマホゲーやブラウザゲーから輸入されている。詳しくは記事を参照。
- ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3プロフェッショナル(3DS)
- 2017年2月9日発売。『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』シリーズの最終作。前作の不満点である登場モンスターの見直し、新たなマップやシステムの改善などを行っている。新規参戦は前作に引続きDQ10や星ドラなどから。詳しくは記事を参照。
- ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅 (Switch)
- 2023年12月1日発売予定。およそ22年ぶりとなる純粋な『モンスターズ』シリーズのナンバリングタイトル。主人公は『DQ4』から魔族の王子ピサロが務める。詳しくは記事を参照。
関連動画
プレイヤーによって展開が分かれ、またやり込み要素が多い事から、ゲームのプレイ動画・実況動画が数多く投稿されている。特に『ジョーカー』シリーズ以降は、Wi-Fiでのリアルタイム対戦が可能となった事から、Wi-Fi対戦の動画も投稿されるようになった。巧みな戦術やパーティ編成など、プレイヤーとしては参考になる動画も多い為、チェックしているプレイヤーは少なくないようである。
ゲーム動画
テリーのワンダーランド
DQM2
PS版1・2
キャラバンハート
ジョーカーシリーズ
ゲーム音楽
CM
漫画
タイトルは「ドラゴンクエストモンスターズ+」。「ケロロ軍曹」で知られる吉崎観音が手がけたメディアミックス作品。『月刊少年ガンガン』本誌にて連載されていたが、あえなく打ち切り。全5巻。
モンスターズのみならず、旧作のドラクエファンに向けた小ネタが多数散りばめられており、伏線回収もままならない未完の作品ながらも根強いファンは多い。テリー3Dが発売されるのに合わせて新装版が発売された。
詳しくは個別記事参照。
関連静画
関連項目